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連載

ファストへ

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 翌日ログインし、ライナさんと合流。失った盾の製作のために自分はファストに向かうと告げ、製作中はライナさんがかなり暇になるだろうから、その間サーズの方で魚釣りなどに興じていて欲しいとお願いをしてみる。

「そう、ね。確かに物を作るとなると、ちょっとやそっとではできないでしょうから……解ったわ、そっちの製作が終わったら連絡を私に頂戴ね」

 とのことで、あっさりと許可が下りた。ライナさんの方も重要なお仕事はもう無い様子だし、特に焦る必要もないのだろう。個人的には、自分には魚を釣り上げる技術が全くないのでライナさんにはぜひ魚釣りをある程度できるようになって欲しい所だ。魚料理も色々と挑戦したいからな……生以外で。

 ライナさんとPTを維持したまま別行動に移り、自分はファストに向かう高速馬車に乗る事にした。以前のモンスターが町を襲撃したイベントの報酬で自分は乗車賃がタダだし、どんな物なのかを実際に乗って試してみたい。以前は街を行き来できる転移門を作るみたいな予定があったらしいのだが、あのモンスターの襲撃が原因でとりやめになった。既に開通していたファストとネクシアの間も完全に封鎖されたらしい。何でこんな情報を得られたのかというと。

「その代わりがこの高速馬車と言うわけでしてな」

 高速馬車の御者さんが教えてくれたからだ。馬車はきちんと屋根もあるしっかりとしたつくりだったが、外で馬を操る御者さんと会話が出来るように、馬車の壁に筒が通っていた。馬車の周りには武装した騎馬の兵士さんが同行し、馬車の護衛に当たっている。

 また、高速馬車が走る道だけはしっかりと舗装されており、馬車の揺れも激しくない。モンスターもたまに見かけるが、武装した騎馬兵を見かけると一目散に逃げていく。おかげで快適な速度で移動できる……ピカーシャと比べてはいけないが。ちなみに自分はタダだが、普通の人は片道5000グローかかるらしい。割高だが、護衛の騎馬兵や高速で移動できるメリットがある。利用するのはもっぱら街に住んでいる人たちで、どうしても出かけねばならない時に使う足となっているようだ。

「冒険者の皆様に護衛を頼む事ができるのは、それなりに裕福な人ですよ。商人とかね」

 一緒にサーズの街から馬車に乗った人がそう教えてくれる。彼はサーズからファストの家に帰る途中なんだそうだ。ちなみに馬車は、同時に6人乗りまで可能だ。荷物が多い人は当然荷物がふさぐ分の値段を取られる。荷物を載せる分、人が乗れなくなるのだから。

「自分はそういった仕事を引き受けた事が無いから分からないのですが、大体片道でどれぐらい商人さんは冒険者に報酬を渡しているんですか?」

 ついでなので、そう質問してみた。

「そうですねえ、ファストからサーズに向かうには一人頭だいたい2500〜3000程度ですね。ただし商人の皆様は最低でも7人ぐらい雇うのが当たり前ですから、やっぱり合計金額では高くつきますよ。もし人一人護衛するだけとしても3人は欲しいですから……そうなると、この高速馬車の方が経済的に楽なんです」

 なるほどね。人を一人護衛するにはやっぱりある程度の人数が必要だからな。大統領のSPと言うわけではなくても、この世界にはモンスターがわんさかいる。そんなモンスターに絡まれたら、街の人達はひとたまりもない。先ほどの話にあった3人は欲しいという言葉は、真ん中に護衛対象を置いて、前に1人、後ろに2人とするか、またはその逆。三角形の形を取って守りたいからだ。モンスターが背後から襲ってこないなんて保証はないから、後ろにも人を配置するのは当たり前の事だ。

 雑談を馬車に乗った人達と交わしていれば、ファストの街が見えてくる。流石は馬車だ、歩くのに比べれははるかに速い速度で到着できるな。しかも安全に。一般の人達の足になるのは当然の事だな。

 馬車から降りて、久々となるファストの街に入る。街並みは流石に変わっていないな……これと言った問題も起こってはいないようだ。これならば盾の製作も腰をすえて行う事ができるだろう。素材となるドラゴンボーンを倉庫に取りに行く。とりあえず15本ほどを取り出し、アイテムボックスへ。今回は精錬が大変になるだろう……。

 久々に訪れたファストの鍛冶場。火事場の中の熱気は変わらない熱さで自分を出迎えてくれる。さて、開いている場所は何処かな……ぐるっと回って、開いている場所を発見したのでそこに陣取る。ぐるっと回っている時に親方を見かけたが、忙しそうに剣を打っていたので声をかけるのはやめておいた。

(さーてと、今回は面倒だ)

 今回の盾は、仕込み武器と頑丈さの両立を狙おう。まずは頑丈さと言う事で、以前作った盾のような変形機構は採用しない。変形はロマンだが、それに頑丈さを兼ね備えるほどの腕は自分には無いことは、あの時に戦ったスケルトンナイトに証明されてしまっている。だから今回は、土台と盾の装甲部分の間に仕込み武器を入れる所は同じだが、変形が必要ないものを入れることにしよう。

 そして今回は、それをスネーク・ソードにする事にした。スネーク・ソードの伸縮機構を学ぶために……惑を手に入れるまで頑張ってくれた鋼のスネーク・ソードを分解する。この鋼のスネーク・ソードの伸縮機構を出来るだけ真似できればと、そう考えていた。が。

(やっぱりよくは分からないな。動きかた自体は何とか分かるんだが、この機構を自分の腕では組み立てる事は無理だ)

 そう結論を下すしかなかった。なので、マジックハンドのような機構で代用する事にした。ためしに鋼を溶かして作ってみた試作品でマジックハンド機構をいくつも作って細かく分担させ、それを連結させる事である程度曲がるように作る。流石に本職の作ったスネーク・ソードのように滑らかには曲がらないがある程度はモノになるので十分だろう。

 大体の方向性が出来たので、この後はひたすらドラゴンボーンを炉に入れて熱した後に、叩いて精錬を重ねていく。土台や盾の装甲部分として機能させる部分は頑丈なものになるように。刃部分は切れ味と粘りが出るように、その刃をまとめるチェーン・マジックハンド機構部分は柔軟性と耐久性を出来るだけ持つように。

 今回の盾の完成形は5角形のカイトシールドタイプで、いままでの盾と同じように右手に装着する。今回は安全装置を解除すると、盾の中に仕込んであるスネーク・ソードを延ばせるようになり、右手を振り回す事で盾の先端からスネーク・ソードを伸び縮みさせる事で、一般的な剣の間合いよりも長いリーチを持つようにする。

 盾を振り回して一度延ばしたスネークソードはばねのような物を仕込んで、すぐに盾の中へと引っ込むようにする予定だ。そうすることで、盾の中に仕込んでいるスネーク・ソードのリーチの長さを相手になかなか見破られないようにしたい。何せ盾の中に仕込むのだから、一般的なスネーク・ソードよりも長さが短くなるのは避ける事ができない。だからせめて、リーチの長さが見破られるのを少しでも遅らせたいのだ。

 そんなこんなでスミスハンマーを持ってドラゴン・ボーンを叩き続けるのだが……不運な事に、頑丈な素材となるインゴットは十分に作れたが、刃部分に使いたい粘りと切れ味を生み出す素材のインゴットと、鎖機構に使いたい柔軟と耐久性をある程度持つ素材のインゴットはほとんど取り出すことが出来なかった。仕方が無いのでもう一度倉庫からドラゴンボーンを20本ほど持ち出して叩いてみたのだが……そちらも取れたのは大半が頑丈な素材として使える素材のインゴットにしかならない。

(これは困ったな。前にドラゴンボウを作った時よりも素材の偏りがひどいぞ)

 結局翌日のスネーク・ソード仕込みの盾を作るために必要だと思われる素材をそろえるために、ドラゴンボーンを合計74本も消費する羽目になった。これでドラゴンボーンの在庫は残り僅かになってしまったな……何かを仕込む盾は、今回が最後かもしれない。普通の盾を作るのであれば、丈夫な素材のインゴットは十二分に作り出せたから当分は問題ないが。

(ぼやいてもしょうがない、今日はもうお終いだ。続きは明日にしよう)

 そう考えをまとめて、後片付けを済まして火事場を出る。その後は倉庫に作ったインゴットを預けた後に宿屋に泊まってログアウト。明日は気合を入れて盾を作らねば!
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と言うわけで、人族の間にも馬車が実装されて運用されています。
盾の製作は明日。

スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv26 小盾Lv28 隠蔽・改Lv1 武術身体能力強化Lv64 スネークソードLv48 義賊頭Lv24 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV20 ↑2UP 人魚泳法Lv9 

ExP 15

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮)

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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