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連載

盾を追加とライナさんの釣りの腕前

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(ああ、やってしまった)

 サーズの鍛冶場にて、自分は目の前に完成しているサーズ坑道産の鉱石で作ってしまった自作の盾を眺めつつため息をついていた。そもそも作る予定の無かったこれが目の前にある理由は少し前のライナさんとの会話が原因である……。


「ごめーん、もうちょっと釣りを続けたいのよ、お願い」

 盾を完成させた翌日にログインし、馬車でサーズに移動。サーズの近くを流れる川岸にて自分が見た物は……釣りギルドの人や人魚とおしゃべりしながら、釣りにドはまりしたライナさんの姿だった。なんでももう少しで釣りの技術がワンランク上がりそうだということで、きりのいいところまで続けたいとお願いされてしまった。

 ぽっかりと予定が明いてしまった自分は暇つぶしを兼ねて、実に久々となるサーズの近くにある坑道を訪れていた。新しい素材が次々と見つかるので、この坑道で掘削している人はあまり多くなかった。なので、自分も遠慮することなく鉱石を多く掘り出した。ここで鉱石を大量に掘っても、次に向かう予定なのは妖精国なのでファストの倉庫に立ち寄る事ができるから問題はない。

 各種鉱石を掘り出した自分はサーズに帰ると強化オイルを製作し、在庫を補充した。しかし、まだログアウトするには時間が早すぎた。あんまり早くログアウトしてもやる事がないんだよな……なので、昨日作った仕込み盾をサーズ近辺の坑道から掘り出した鉱石と余ったドラゴン素材で作れないかと試してみる事にした。時間つぶしにはもってこいだし。

 スネーク・ソード部分は刃物製作に向いているグリンド鉱石で、盾の装甲部分や土台は比較的軽量なカッティン鉱石で作ればいいだろう。そして、スネーク・ソードの一番先端部分の刃だけはドラゴン素材で作り、〈龍の毒〉効果を持たせてみよう。設計図は既にあるし、製作も二回目なので製作自体はすいすい進む。

 そうなるとつい熱が入ってしまい、半分時間つぶしの遊びのつもりで作っていたはずが……気が付くと現物が完成していた。そして我に帰ったのが冒頭である。

(作ったはいいが、こんな趣味武器を他の人には売れんし……そもそも性能も見向きもされないレベルだからなぁ。自分で使うしかないか)


 毒蛇の盾

 スモールシールド Def+20 左右どちらの手にも装着可能 製作評価7

特殊能力(スネークソードによる攻撃が可能、アーツは使用不可。Atk+17、毒付与・弱)


 特殊能力も、仕込んだチェーンソードによる攻撃が可能と言う能力だけだ。製作評価がやや高いのは、ドラゴン素材ではない分作りやすかったことと、2回目の製作のためにやや部品作りの作業に慣れていた事などが理由だろう。だが防御力は低いし、スネークソードの攻撃力も低い。これで毒付与すらなかったら使い道は本当にタダの嫌がらせ止まりだったかな。

(ま、これもロマンと言う事にしておこうか……)

 左手に毒蛇の盾を装備する。手に持つタイプではなく装着させるタイプなので、弓も扱える。そして鉱石などもドラゴン素材に比べるとかなり軽量なので、左手の動きをあまり妨害しない。両手に6角形の小盾を装着する姿は、少々異様な感じもするな。普段は身にまとっている外套の内側に隠れてしまうから、あまり気にする事も無いが。

 サーズの外に出て、きちんと仕込んだスネーク・ソードが動くかをチェック。昨日と同じような動きをしてみると、きちんとスネークソードが飛び出す。安全装置もきちんと機能している事を確認する。

(次は実戦だな。蹴りと、この両手に装着した盾のスネーク・ソードだけで戦ってみるか)

 見つけた巨大狼が単独行動をしていたので、弓で攻撃して自分の所に向かせる。巨大狼の突進を盾で受け流し、狼の横側から蹴りを一発おみまいする。

「ガウッ!?」

 ふーむ、ちょっと芯を捉えていなかったな。足から伝わってくる感覚が、クリーンヒットしていないと教えてくれる。まあいいか、盾の安全装置を解除して、と。

「ガルル……ガウッ!」

 矢で攻撃された上に、突撃を受け流されて反撃を貰った巨大狼はお怒りのようで再び突進してくる。だが、この辺のモンスターならいまさら遅れを取る事もない。今度の突進は盾に頼らず回避する。

 そして隙だらけの後姿にむかって、左手を右上から左下に振い、その後に右手を正拳突きのように突き出して、双方の盾から仕込みスネーク・ソードを射出する。左手の仕込みスネーク・ソードは巨大狼の足部分を切り、右手の仕込みスネーク・ソードは……お尻の真ん中に直撃して貫いていった。

「アォーン!!!」

 あら痛そうだ。でも、まだ終わってないんだよな……突き刺さった右手の仕込みスネークソードは、機構に従って無慈悲に突き刺さった巨大狼のお尻からその刃を引き抜く。つまり、引き抜く事でより傷口をえぐった訳であり……巨大狼は地面に突っ伏すと、ビクンビクンと痙攣しながら光の粒子になって消えていった。──ログアウトする前に刃を消毒をしたほうがいいだろうか?

 サーズ近辺のモンスターは比較的弱いので、この後数匹ほどと戦ってみた。もちろん単独行動している奴に限定して、だ。何度も左右の仕込みスネーク・ソードを振って感じたのは、やはり4刀流どころか、3刀流も自分には無理であると言う事か。

 自分の頭では2本が制御できる精一杯で、ためしに魔スネーク・ソードの惑まで持って戦ってみた所、自分の頭が複数のスネーク・ソードの扱いに追いつかず、かえって戦いにくかった。結局その時は惑を常時剣モードで使用し、中距離では仕込みスネーク・ソード、寄られたら惑で斬るか蹴りで迎撃するかになった。惑を使う時は、惑に専念した方がよさそうだ。

 とにかく実験も実戦も終わり、サーズへと帰還。巨大狼のお尻を貫いてしまったクリスタルシールドのスネーク・ソード部分を一度分解して取り出し、手入れを行う。傷ついてもいないし、ゲームデータ的には何とも無いんだが、どうにも気分的にやらないと落ち着かなかった。

 手入れを済ませるとそこそこ遅い時間になっていたが、まだログアウトするには早いのでもう一度ライナさんの所へ様子を見に行ってみると……入れ食い状態になっているのか、ものすごい勢いで次から次へと魚を吊り上げているライナさんがいた。

(うわお、これはまた。リアルでもこちらの世界でもボウズだった自分とは大違いだな)

 自分が近寄ると、釣りギルドに所属しているロッドさんが気が付いたようだ。

「これはアースさん、お久しぶりですな」

 ロッドさんに挨拶を返し、ライナさんの状況を聞いてみた。

「いやはや、彼女には凄い才能がありますよ。基本的なことを教えた後は、あっという間に釣りの腕を上げていますからね。ライナさん、アースさんがやってきましたよ」

 ロッドさんの声に反応したライナさんが、魚を吊り上げ終わった後にこちらを向く。

「アース君、ごめんね。今さっき吊り上げた魚でようやく一区切り付いたから、魚釣りはこれで一旦終わりにするわ。それにしても、釣りって面白いのね〜」

 まあ、あんな勢いで釣れれば楽しいだろうな……自分には味わう事ができない楽しみだが。大量に釣った魚は、ロッドさんの料理指導を受けながらカマボコに加工する事にしたので、無駄にせずに済む。ためしに出来上がったカマボコを食べてみると、とても美味だった。

「市販のとは、ずいぶんと味が違いますね」

「この世界は大した物です、私が現実でも作るかまぼことほぼ同じ味がしますから」

 調理方法を教えてくれたロッドさんと話をしながら、ライナさんの吊り上げた魚をカマボコにしていく。思わぬ形で料理の素材に使える物が入手出来たな……。カマボコは料理の具材にもなるから、手に入れることが出来たのはうれしい。カマボコへの加工が終わり、分配した後、ログアウトした。
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スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv30 小盾Lv28 隠蔽・改Lv1 武術身体能力強化Lv64 スネークソードLv48 義賊頭Lv24 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV28 ↑1UP 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮)

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)

妖精の記憶

外見は青い本。今まで呼び出した妖精の記録や指示の内容が記録され、同じ指示をするときの説明の必要がなくなる。また、呼び出し触媒の側面もあり、高位の妖精を呼び出しやすくなる。MP消費が抑えられたりもする。
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