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連載

地下9階の探索+α

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 地下5階での鬱憤を晴らすかのように、地下6階7階の探索は快進撃となった。自分がモンスター達に気づかれないように2人を誘導→近寄れたらエミューさんが演奏を開始してモンスターを同士討ち→数が減ったらライナさんの無双タイム開始のパターンが完全にはまったからだ。おまけに地下8階は下りた部屋に下りる為のエレベーターがあるという幸運。そのため、地下5階から地下9階まで降りるのに15分ぐらいしか時間が経過していない。

「そういえば、気になっていることがあるんだけど」

 地下9階に降り立ち、軽い休憩をしている最中にライナさんが喋り始めた。

「エミューちゃんの服、肩から肘にかけて素肌を晒しているわよね? そんな無防備な服で大丈夫なの?」

 そこは自分も気になっていたが、なんとなく聞き出しにくくて黙っていた。ただのファッションとも思えないが……流石に何の理由もなく素肌をさらすと言う危険な格好を好んでしているわけではないだろう。

「あ、やはり気になりましたか……ですがその前に、ライナさん。エミューちゃんと呼ばれると、かなり気恥ずかしいのでご勘弁願えませんか?」

 少し顔を赤らめて、ライナさんにそうお願いするエミューさん。ライナさんもごめんごめん、ならエミューさんでいいかしら? と提案している。

「はい、それでお願いします。ええと、この部分ですが……この魔曲を行うには、ある程度の肌を露出していないと効果が大幅に薄まってしまうのです。それこそ、皮や布どころか紙一枚ですら肌の露出を完全に抑えてしまうと効果が落ちると言う程でして。個人的には、この腕の素肌をさらしている部分がある事は、結構恥ずかしいんですよね」

 あれま、そんな所にも魔曲のデメリットがあるのか。だから仕方なく肌を一部さらしていると言うわけか……ますます自分には習得できる技術ではないなぁ。モンスターの目の前で演奏をするというだけでもかなり度胸が居る上に、嫌でも防御力の低下を強いられてしまうとあってはな……その上に音楽のセンスがなきゃ演奏も歌も十分なレベルには到達できないだろう。

「なるほどね、だからなの……てっきり肌に自信があるからそういった服を着ているのかなと思っていたけどね〜」

 ライナさんはそんな事を笑いながら言う。いうまでもなく冗談だと言う事は分かるので、エミューさんもくすくすと笑っている。

「さて、エミューさんの服装の謎も解けたところでそろそろ探索を再開しますか。後1階下に下りれば宝物庫だから、疲れたなと思えば、そこで引き返せるから頑張ろう」

 地下9階の探索も順調に進んだが、なかなか下に下りるためのエレベーターが見つからない。まあ時間制限も無いから焦らずに行こうと歩き回り、途中で出会ったモンスター達は先述のコンボ行動で殲滅しながら進んでいたのだが……ここで《危険察知》に一回り大きな反応が引っかかった。連携の関係上先頭に居た自分は、即座に手を出してライナさんとエミューさんの前進を止める。

(どうしたの?)

 自分の行動で察してくれたのか、ライナさんも質問を小声で行ってくれた。もしキッドがここに居たら大変だったな。

(このダンジョンの中では初めてとなる大きな反応がある。もしかするとボスクラスかも知れない)

 自分の報告に、ライナさん、エミューさんの表情も真剣な物に代わる。

(どうします? 戦う必要がないなら回避する方が良いですよね?)

 エミューさんの意見に、自分とライナさんは同意する。あくまで探索がメイン目標であって、ボスは探索の障害とならないのであれば無視してしまっても構わないだろう。あくまで戦闘は目標や目的を達成するための手段に過ぎないのだから。

(とりあえず、自分が単独で少し探ってくる。二人には申し訳ないんだが、ここで静かに待機していてもらえないだろうか?)

 無言で頷くライナさんとエミューさん。自分は2人の視界からも角を曲がる事で視線を外してから、久々となる《隠蔽・改》を発動することで自分自身の気配を絶つ。《隠蔽・改》を発動した事でMPが容赦なく減り始めるのでもたもたしてはいられない。《危険察知》に引っかかった大きな反応がある場所へと急ぐ。

 ──そこで見た物は、剛毛を全身にまとうでっかい蜘蛛。これは生理的に受け付けない人にとっては非常にまずい相手なんじゃないだろうか? だが幸いにしてその蜘蛛がいたのは行き止まりの部屋であって、その部屋にはエレベーターは無い。あくまで戦いたい人が戦ってくださいと言う感じがする。

(そうと分かれば長居は無用、エレベーターも無いと分かればこれ以上の情報を集める理由も無いな)

 必要な情報は集める事ができたので、自分はさっさと立ち去った。変に長居して、ボスクラスと思われる蜘蛛に感づかれたら斥候役として失格だ。距離を十分にとってから《隠蔽・改》を解除し、わざと足音を立てながらライナさんとエミューさんに待機してもらっていた場所へと帰還する。足音を立てたのは、そこに他の人が居ますよと教えるためだ。足音を消して近づいたら敵と誤解させかねないし。

(おかえり、何か分かった?)

 ライナさんの質問には、巨大な蜘蛛が行き止まりの部屋に居た事と、その蜘蛛がいる部屋にはエレベーターはなかったことを伝える。

(そうですか、ではボスと関わる必要は全く無いですね。それに、そんな大きな蜘蛛を私はあまり間近で見たくは無いです……)

 エミューさんの言うとおり、ボスはスルーする事に決定。ただ、何らかの要因で部屋からボスクラスの蜘蛛が出てくるか分からないので……出来る限り隠密行動をする事にした。当然エミューさんの魔曲も一時的に封印。戦闘も極力回避した。そうして静かにダンジョンを進む事数分後、ようやく地下10階へと降りるエレベーターを発見した。

(エレベーターに罠が無いか一応確認しますので、少しだけ時間をもらいますよ)

 小声で2人から了解を貰って、エレベーターを調べる。どうやら罠の類は一切なさそうなのでほっとする。後はこのエレベーターに乗ればあの蜘蛛とはおさらばだ。

(罠はありません、さっさとこの階を立ち去りましょう)

 言うが早いか、ライナさんもエミューさんもエレベーターに乗り込む。最後に自分が乗り込み、エレベーターを起動。途中から重苦しい雰囲気になってしまった地下9階だが、これで何とかクリアした事になる。

「はぁー、やっと普通の声で喋れるわね」

 窮屈な思いをしていたんだと思われるライナさんが、背伸びをしながら喋り始める。

「まさかボスが居る場合があるとはなぁ。やっぱり油断はしちゃいけないな……」

 自分も首を回して緊張をほぐしつつ、ライナさんの言葉に相槌をうつ。あの蜘蛛を倒せば何かしらのドロップアイテムを獲得できたのかもしれないが、こちらは3人しか居ないし、ヒーラーも居ないのだから挑むとしたらデメリットの方が大きいだろうな。今回は無視したが、それで正しいだろう。

「次は宝物庫ですね。お2人はどうなさるんですか? 宝物を得るのか先に進むのか……」

 エミューさんからの質問に、自分とライナさんは顔を見合わせる。最初の予定では戻る事にしていたが……しばらく目を合わせた後、自分は頷く。

「そう、ね。進んでもいいかなーとは思っているわ」

 少し考えた後、ライナさんはそうエミューさんに切り出した。こうやってダンジョンの中でライナさんと合流できるのはいつになるか分からないし、魔曲を奏でることが可能なエミューさんという人と同行できるチャンスは早々ない。ここは足をもう少し延ばしてみるのも悪くないだろう。時間的にも余裕があるしな。

「そうですか、ではもうしばらくお願いしますね」

 エミューさんも笑顔になる。そうして話が付いた後に、宝物庫の中へと足を踏み入れた自分達だったが……そこには。

「ふみゅふみゅ〜。退屈だな〜……あ……」

 宝箱の蓋を開けてその体を出している女の子……ミミック? が大きな欠伸をしていた。当然入ってきた自分達と目が合う。その直後、変な沈黙がこの場を支配した……。
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スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv30 小盾Lv28 隠蔽・改Lv2 ↑1UP 武術身体能力強化Lv64 スネークソードLv48 義賊頭Lv25 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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