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女性陣無双タイムが終わりを告げた

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本日の作業用BGM?? ニコニコ動画『【MUGEN】51対51で友人と潰し合い Part Final』
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 ダンジョンの地下20階まで、ライナさんとエミューさんを主軸にした戦いの優位性は維持されると思っていた。だが、この世界はやはりそこまで甘くはなかったようだ……地下18階に降り立ったところで、自分は2匹のモンスターの接近を感じ取った。当然それをPTメンバーに伝え、エミューさんは今までどおりに魔曲を弾き出すが……。

「だめです、近くにいる魔物には魔曲が全く通じていません! 注意してください!」

 と、エミューさんから警告が飛んできた。とうとう今までの戦い方が通用しないモンスターが出てきたか。幸いこの場所の近くに罠は無いし、ここで迎撃しようか。

「エミューさんと自分は弓で攻撃を、ライナさんとライさんは前衛をお願いします。モンスターの移動速度は速くはないですが、こちら側に向かって接近してきています」

 ライナさんが地下17階で確保してきたオークを引きずりながら、ライさんが両大剣を鞘から抜き放ちながら前に出る。そんな自分達の目の間に現れたモンスターは……

「サンドゴーレムにマッドゴーレム……これでは私の魔曲も弓も通用しません……!」

 エミューさんの言うとおり、サンドゴーレムとマッドゴーレムが1匹ずつ自分達の目の前に立ちふさがった。なるほど、砂や泥相手に音楽を聞かせても意味が無いな。それに、砂と泥で出来たゴーレムといっても、その体長が2メートル以上は軽くあるとなればなかなかに威圧感がある。

「このまま見合っていても仕方が無いわ! 私から仕掛けてみる!」

 両手に掴んだオークを引きずりつつ、ライナさんがサンドゴーレムをオークの体で殴りつけた。が、サンドゴーレムはその一撃を悠々と受け止め、オークの体を取り込みつつ砂の体を崩してライナさんに覆いかぶさるように動いてきた。ライナさんを押しつぶすつもりか!

「ライナ、オークを捨てて下がるんだ!」

 ライさんの指示の直後、ライナさんはすぐさまサンドゴーレムに取り込まれたオークを放棄し、飛び退いた。そのおかげでサンドゴーレムの砂によるプレス攻撃をなんとか回避していた。

「打撃が全く通じない!? これは困ったわね」

 ライナさんが飛び退いた後に、攻撃を仕掛けた感想を叫ぶ。叫んだのはこちらにも情報を伝えるためだろう。

「それなら、これはどうだっ!」

 ライさんがサンドゴーレムに大剣を構えながら突っ込む。マッドゴーレムのほうは攻撃を受けていないためか、まだ動きが緩慢なので自分が警戒していればいいか。ライさんが突撃しながら振り下ろした大剣はサンドゴーレムを見事に切り裂いたが、すぐさまサンドゴーレムは体を元通りにしてしまう。面倒だな。

「倒すには、コアを打ち抜かないとダメというわけか……ライナさん、サンドゴーレムはライさんに任せるんだ! もう一匹のマッドゴーレムを牽制するように動いて欲しい!」

 サンドゴーレムは斬撃が効く様なので、勝機は十分にある。ライさんがコアを見つけてぶった切ってくれるか、コアの力がなくなるまで切り刻んでくれるかのどちらかに期待しよう。

「ああ、このサンドゴーレムは俺が何とかする! 今まで楽させてもらったからな!」

 ライさんも本格的な出番が回ってきたのでやる気満々のようだ。あちらはいいとして、もう一匹のマッドゴーレムのほうだが……こちらでもライナさんの様子が芳しくない。

「ああもう! サンドゴーレムほどじゃないけど、こっちも打撃があんまり通じないわ!」

 残ったもう一匹のオークをぶんぶん振り回しながらライナさんはマッドゴーレムからの反撃を回避しつつ殴りつけるが、有効なダメージを与えているようには残念ながら見えない。エミューさんもアーツを交えつつハープボウから矢を放つが、こちらもマッドゴーレムの表面に突き刺さるだけで効いているようには見えない。

「エミューさん、魔法を試してみましょう!」

 自分は風属性を纏った矢を放つ《風塵の矢》で。エミューさんはファイアランスでマッドゴーレムに攻撃をしかけてみた。自分の放った矢とエミューさんのファイアランスはどちらも命中し、マッドゴーレムの前面に爆発を起こす。これにはマッドゴーレム相手にも有効打となったようで、2歩ほどマッドゴーレムが後退する。

「どうやら魔法ならば効くようですね。私の下手な魔法でも効いたという事は、魔法に対する耐性はかなり低いのでしょう」

 エミューさんの予想に自分も同意する。ライナさんには申し訳ないが、前衛でマッドゴーレムの気を引いてもらい自分とエミューさんの魔法や魔法を纏った矢の攻撃で攻撃すれば……まてよ、もっといい方法があるじゃないか。

「ライナさん、マッドゴーレムの気をもう少し引いていてください!」

 ライナさんにそうお願いしながら、自分は腰からスネーク・ソードの『まどい』を抜く。こいつなら切ることも刺す事もできるし、何より伸ばせるからゴーレムのコアが上の方にあっても切り裂く事が出来るだろう。

「頼むぞ、惑。目の前のマッドゴーレムを叩き切れ!」

 アーツ《ブラッド・カット》を繰り出し、中距離からマッドゴーレムを切り裂く。普通のスネーク・ソードではこうはいかないかもしれないが、惑は闇属性を纏っている魔剣だ。先ほどのエミューさんが放った攻撃魔法と自分が放った《風塵の矢》のどちらもマッドゴーレムに対して有効打になっていた事から、惑を使った攻撃ならば切り刻めるんじゃないかと予想した。

 そしてその予想は的中した。アーツを使って惑を振った一撃で、マッドゴーレムの腕をあっさりと切り落とす事に成功した。落ちた腕はただの泥に戻り、再びマッドゴーレムに吸収されて元に戻ったが……そうやって元に戻すには相応のコストがかかっているはずだ。例えコアを見つけ出せなくても、こうやってダメージを与えていけば倒せる筈だ。

「そっちはどうだ!? こっちはもう少しでいけそうだ!」

 ふと、そんなライさんの声が聞こえてきた。サンドゴーレムと戦うライさんを見る余裕は無いが、言葉の通りにライさんが優勢であると信じよう。

「こっちも何とかなりそうだ! エミューさん、出来る範囲でいいからライさんを魔法で支援! ライナさんはこのままマッドゴーレムと戦って!」

 自分の指示に、「「了解っ!」」と返事が返ってくる。今までライナさんとエミューさんに頼りっきりだったからな。ここら辺でいい加減に戦闘でも働けとダンジョンからも言われてしまったような物だし、ここからは頑張りましょうか。そんなことを考えていると、マッドゴーレムがこちらに泥でできた手でパンチを繰り出してくる。

「そのパンチも当れば痛いんだろうがな……《惑わしの演陣》!」

 当身技である《惑わしの演陣》でマッドゴーレムのパンチ攻撃を受け止め、反撃する。陣から発生する闇によって動きを封じられたマッドゴーレムは惑の刃に切り刻まれた後に、闇の魔方陣の爆発により大きな被害を被ったようだ。体こそ元に戻したが、動きが大幅に鈍くなり、何より頭部に石みたいなものが露出している。

「これで終わりかな、そこだ」

 惑を伸ばし、頭部から露出していた石らしきものを突き刺す。惑はあっさりとその石を突き破って破壊する。その直後にマッドゴーレムは全身がただの泥となって崩れ落ち、消滅した。

「おっ、終わったか。こっちも少し前に終わったぞ」

 どうやらライさんも、サンドゴーレムを無事にしとめていたようだ。しかし、ここまで頼りにしてきた魔曲が効かない相手が出てきたか……気持ちを引き締めないとな。
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作業用BGMですが、洋楽やラップ系は真っ先に外します。聞いているだけでストレスが溜まるので。アニソンでも燃える歌とか、元気が出る歌とかが好きですね。
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