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連載

地下18階

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作業用BGMに対しての多くの情報、ありがとうございました。
皆様の教えてくれた曲をあたってみることにします。
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 地下18階をしばらく歩き回って、今の階層の地図を大体完成させたところで休憩をとりつつ、お互いがここまでの戦いなどで思ったことを発言する場を設けた。

 まず、今まで歩き回って分かった事は、出てくるモンスターはオーク系とゴーレム系がメインで、たまにゴブリン系。幸いにしてオークやゴブリンたちとゴーレムは協力関係という訳ではない様で、同時に襲い掛かってくる事はなかった。

 オーク系の中で特に目に付いた事は、たまにだがオークマジシャン……つまりオークの魔法使いが混ざり始めた。力が強いオークだが、その中でも突然変異的に生まれたと思われるオークマジシャンは厄介な相手だった。オークのタフさ加減はあまり落ちず、魔法を放ってくるのだから。おかげで速攻で倒す事が難しい。その上、オークマジシャンにはあまり魔曲が効いてくれない。魔法が使える事から、そういった精神的な防御力が高いのだろう。

 一方のゴーレム系だが、多くても同時には2体までしか一緒に行動していないようだ。単体行動を行っている個体の方が圧倒的に多い。サンドゴーレムは斬る攻撃を何度も当てていると再生スピードが落ちていくと共に、弱点であるコアを露出しやすくなっていくということがライさんの活躍から分かってきた。

 マッドゴーレムも基本的にはサンドゴーレムと変わらないが、マッドゴーレムは魔法、もしくは魔剣による攻撃でないと削れない事は最初の戦いで既に分かっている事である。逆にサンドゴーレムは魔法に対する耐性が高めで、物理攻撃じゃ無いと有効なダメージを与えられない事も判明した。惑も魔剣なので、サンドゴーレム相手には分が悪かった。

 これらを踏まえて、オークが出てきた場合は魔曲で少しでも削り、ゴーレムが出てきたらライさんと自分が前に出る動きをすることが一連の流れとなった。ただ、オークマジシャンがオークたちの中に混じっている時は魔曲を過信すると危険なので、殴ってもこちらに気が付かない状況になるほどの深い催眠状態に落とす事はエミューさんに諦めて貰っている。

 一連の敵と一通り戦ったので、自分の《危険察知》によって接近前にモンスターの詳しい内容が分かるようになったのは探索するには明るい材料だが。

「とにかく、アース君の指示を受けたらいかに早く私達が対応できるか、その一点に全てが集約すると思うの」

 ライナさんがそう話を切り出した。自分を含めた3人はとりあえずライナさんの話の続きを聞くべく、黙っている状態だ。

「アース君が魔物の気配を察知して、その魔物の数と内容を教えてくれるでしょ? 後は私達がそのやってきた魔物の集団に出来るだけ早く対応出来るように動いて戦闘する。オーク系ならエミューに魔曲を弾いてもらって少しでも削ってもらうのが一番だし、オークマジシャンがいれば私が突っ込んだり、ライ君やアース君に射殺してもらうなりしてもらう事になるわよね。

 そしてやってきた魔物がゴーレムだったら、私はゴーレムの注意を引く事しかできなくなるし、エミューもある程度の支援魔法をかけたりすることぐらいしかやれなくなっちゃうから、ライ君とアース君の男性陣ペアが頼りね。マッドゴーレムなら魔法攻撃が通用するけど、サンドゴーレムが相手だった場合はライ君の大剣が頼りになってくるんだし」

 自分を含めた3人は、ライナさんの話に頷く。今までの動きを振り返ると、ライナさんの話のように動くのが一番有効だったからだ。

「確かにそうだな。オークが多くやってきた時はエミューさんの魔曲による同士討ちや、ライナさんによる大暴れをやってもらったほうが良いしな。俺は俺でサンドゴーレムが出てきた場合は一番前に出て大剣を振るう事になるし、距離を詰めにくい相手の場合は弓矢を使った素早い対処という方法が、一番被害を出さずに済む方法だな」

 ライナさんの話に、ライさんも今までの戦いを振り返りながら同意している。

「そうですね、私もある程度弓は使えますし、初歩の魔法は扱えますが……ゴーレムが出てきた場合はライさんやアースさんに頑張ってもらう方がはるかにいいですよね。その代わりに、私はオークが出てきたときに精一杯頑張ればいいのですから。幸いにしてアースさんが料理を現場で製作できるという強みを持っているので、魔曲によるお腹がすぐに空くという問題は解決していますし」

 実際、魔曲を弾くエミューさんは、食事の回数が自分達より1.5倍は多い。一回前の休憩時に話をより詳しく聞いてみたところ、魔曲は精神力(プレイヤーで言うならMPか)の消費は緩やからしいが、その分満腹度の減りがかなり激しいようだ。だからどうしても食事の回数が増える。しかし、エミューさんにはなんらのトラウマがあるようで、パンなどの一部を除いて料理は出来てから30分以内の物でないと食べられないらしい。

 肝心なトラウマの内容だが……それは聞いていないというより、話をしている時に苦しそうな顔をエミューさんがしていたので深く掘り下げる事はやめている。あまり人の苦しい過去をつつくのは良いことではない。とりあえずそういう事情があると分かっただけで十分だろう。

「そろそろ地下19階も見えてくる頃合だろうが、動きは大体ここで話し合った内容のままでいいと思う。地下18階では休憩しなければいけない時間も多かったが、その代わり戦闘における各個人の立ち位置がはっきりした為に一段階連携が良くなったのだから、有益な部分も多かった……と考えよう」

 自分が話を纏めると、他の3人も頷く。最初のサンドゴーレム&マッドゴーレムペアとの戦いは苦戦させられたが、そのおかげで全員の立ち居地がはっきりした事は大きかった。オーク系はライナさん&エミューさんの女性陣ペアが。逆にゴーレム系はライさんと自分の男性陣ペアが対処する事により、どっちかが一方的におんぶされているわけではなくなったのだ。片方にはそのつもりがなくても、もう一方はそうは思わない。特にライさんの精神がよろしくなかった。

 まあ、自分は《危険察知》による早期警戒、発見能力があったからまだましではあったのだが……ライさんでなくても、周りのPTメンバーは忙しく働いているのに、自分はただ居るだけというのは精神的にじわじわと来る物がある。そうして焦った所でお荷物ではない事を証明するために行動を起こして失敗して……という負のスパイラルに嵌ったらまずい事になっていた。だが、サンドゴーレムの登場により、ライさんはPT内での立ち位置を得ることができた。この事実に、自分は内心でほっとしていた。

「じゃ、この形をしっかり保って地下20階を目指しましょう。もうひとふんばりよ」

 ライナさんが立ち上がりつつ、お尻をポンポンと叩く。ライナさんに釣られる形で自分とライさんも立ち上がる。

「もっきゅもっきゅ……」

 一つ前の休憩時に作っておいたハイ・ラビットのから揚げを口にしながらエミューさんも立ち上がる。前の休憩から経過した時間は大体25分なので、エミューさんの30分トラウマの範囲外だ。ちなみに、自分を含めた3名は食べ物を今回の休憩中は口にしていない。

 エミューさんがごっくんと食べ物を飲み込んだ事を確認してから、探索を再開する。モンスターとも当然遭遇し、戦闘になるが……念入りにPT内での行動を話し合っておいたおかげで楽勝ではないにしろ、危なげなく対処する事ができた。ライナさんは再びオークを手に入れて? 振り回すようになったし、エミューさんの魔曲もオーク相手なら十分に効果を上げる。男性陣である自分とライさんは剣を持ってゴーレムたちをなぎ払った。

「あ、あそこ。地下19階へのエレベーターじゃない?」

 ライナさんが指差した部屋には、確かにエレベーターが存在していた。

「一応念のために調査するぞ……んっ?」

 乗る前に自分はエレベーターを今回も調べてみた。その結果、今まで乗ってきたエレベーターとは違う、なんとも表現しがたい気味の悪さを感じた。その気味の悪さは、モンスターハウスのような寒気ではないのだが……このエレベーターには乗りたくない。そんな感じだ。

「どうしました?」

 自分の様子がおかしい事にエミューさんが気が付いたようで、心配そうにこちらに話しかけてきた。

「すまん、わがままを言わせてもらえるならこのエレベーターは利用したくない。罠がかかっているわけじゃないんだが……なんだか気味が悪いんだ」

 盗賊としての直感かもしれない。どうにも目の前にあるエレベーターから気味の悪い何かを感じるのだ。

「──なあ、2人とも。アースはこう言っているがどう思う? 俺は今までのアースの働きを考えると、アースの意見を聞いて他のエレベーターを探してみる方がいいと思うが、どうだ?」

 自分の意見に真っ先に賛成してくれたのはライさんだ。ライさんの言葉を聞いたライナさんとエミューさんも、あっさり自分の同意してくれた。

「アース君がそう感じるのならば、何かがきっとあるんでしょ。探索とはいえ、無理に危ない場所に行く必要もないしね」

 このライナさんの言葉も後押しして、気味の悪さを感じるエレベーターを後にした。それから数分後に見つかった2つ目のエレベーターからは罠もなく、気味の悪さも感じなかったので乗り込み、地下19階へと向かうことになった。あの気味の悪さは何だったのだろうか? 興味が無いといえば嘘になるが……行きたいとは思えないな。自分ひとりの探索ではないのだから。
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明日か明後日も一日中出かける事になりそうですが、
そっちは事前投稿で更新をカバーしようと思います。

スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv30 小盾Lv28 隠蔽・改Lv2 武術身体能力強化Lv65 ↑1UP スネークソードLv49 ↑1UP 義賊頭Lv25 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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