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連載

宝物庫〜地上へ帰還

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なんか、このダンジョン編だけで書籍の半分ぐらい埋まりそうだなぁ。
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 エレベーターが地下20階に到着し、ゆっくりと動きを止める。自分達の目の前には、宝物庫の派手な扉が待っている。

「ようやくここに到着だな。ここに到着するまでの道のりはものすごく長く感じたな」

 自分の声を聞いて、全員が立ち上がる。エミューさんもライさんから降りて自分の足で歩き出す。

「中身の方はどうかしらねー……苦労したんだから、ある程度の物が入っているといいのだけれど」

 ライナさんが先頭に立って進み、宝物庫の扉を開け放つ。宝物庫の中には、金色に輝く宝箱が30個ほど安置されていた。念のために確認したが、罠は一切無い。もうこうやっていちいち確認してしまうのは癖になっているな。

「さて、後は肝心のククちゃんのお姉さんが居るかどうかですが……居ないようですね」

 周辺を見渡しながらエミューさんが少々残念そうに言葉を洩らす。まあ仕方が無いだろう……そうそうポンポンと上手くは行ってくれないのが世の中ってやつだから。

「そちらは何か他の目的もあるようだが……宝箱を開けて帰還、解散するって流れは変わらないんだよな?」

 ライさんが確認を取ってきたので、自分は頷く。流石に今日はこれ以上ダンジョンの先に進む気力は無い。今日はもう引き上げることは確定である。

「さっさと宝箱を開けて地上まで帰ろうか。次からはモンスターとの戦闘を出来る限り回避しなければならないな……」

 馬鹿正直にモンスターを倒しまくってしまったので、ペース配分が悪かったのが今回の反省点だろう。10階層先まで進むのであればそれでいいだろうが、20階層先まで進む以上、戦闘回数は減らすべきだったのに……ついライナさんとエミューさんに頼りすぎてしまったな。この反省は次に生かさないと。

 そしてライナさん、エミューさん、ライさんの3人は自分よりも先に宝箱を開けて、帰還の転移を受けて消えてゆく。地下20階の宝箱には、初回限定で地下11階転移の札が必ず入っていることは前情報で知っている。なのでどの宝箱を開けても大差はないのだ。適当な宝箱を自分も開けてみると、札が一枚、5万グローのお金が入った袋、そして小さな鈴と手紙のセットが入っていた。中身を取り出してアイテムボックスに入れると、自分も転移の光に包まれた。

 そうして自分が地上に帰ってくると、先に箱を空けて地上に転移していた三人が待っていてくれた。

「お、アースも帰ってきたな。じゃ、すまないが俺はこれで失礼する。また中で出会ったらよろしく頼む」

 ライさんはそういい残し、外に出て行った。そして残ったのは自分とライナさん、エミューさんだが……エミューさんから正式にこのダンジョンに居る間限定でPTを組みたいとの申し出を受けたので、それを了承してPTに入ってもらった。

「ありがとうございます、これからよろしくお願いしますね。では、本日は失礼致します。もうかなり疲れてしまっていますので、このまま宿屋に戻ってベッドの中にぐるぐるきゅーでばったーんです〜……」

 少々足取りが怪しいが、そんな言葉を残してエミューさんは雑踏の中に消えていった。ライさんの背中に少しの間乗っていたから、体力が多少回復していたのだろう……足取りが怪しいとはいえ、ダンジョンの中に居た時よりはまだましな気がする。

「アース君、私たちも宿屋に帰りましょう。アース君が合流するまで私もしっかりと休息を取らないとね」

 そうだな、ワンモアの世界とリアルの自分達の世界では一日の長さが違う。それを考えれば次に自分がログインするまでの時間で、ライナさんはそれなりの休息時間を得ることが出来るだろう。

「そうしてほしい。今日は本当にきつかったし、無理をさせてしまったな」

 ダンジョンを後にして宿屋に向かうころには、外は既に夜を迎えており……空にはいくつもの星が輝いていた。星の並びは違うから、星座なんて物がこちらの世界にあったとしても自分には分からない。まあ、リアルの星座に詳しいわけでもないが。知っている物は数個しかない……死○○で有名なあの星座だけは嫌でも知っているが。

「じゃ、お休み〜」

 宿屋に到着した後、ライナさんはすぐに借りている部屋へと入っていた。軽く体を拭いたらすぐに寝るんだろうな。自分もログアウトするべき時間なのだが、先ほどのダンジョンで手に入れた物を確認してからでもいいだろう。宿屋の借りている部屋に自分も入り、アイテムボックスから入手した物品を取り出す。

 グロー入りの袋は中身を取り出し、さっさと所持金に加える。札は前情報の通り、地下11階への転移の札だ。この札は使用限度数が無制限になっているので、自分から捨てない限りは消失することは無い。これもアイテムボックスの中に入れる。そして最後の鈴と手紙だ。鈴を軽く振ってみると、リーン、リーーンと澄んだ音がする。だがこの鈴自体にはこれといった力が籠められている様子は無い。なので、セットになっていた手紙を広げてみることにした。

『この手紙を読んでいる方へ。恐らく貴方はククの話にあったアースという人族か、ライナと言うダークエルフか、エミューという魔族の方という3人の中の誰かだと思います。妹の話を聞く限り、貴方達は他者に無差別に襲い掛かるような無法者ではないのでしょう。もちろん襲い掛かってくる魔物相手となれば話は別でしょうけどね。

 さて、そしてククの話ではミーク姉さんにお会いしたいそうですが、ククの話だけでは少々繋ぎを姉さんにつけるには弱い部分があります。ですので、私からの試練を受けていただき、それを突破することが出来ましたら、姉さんに私からも話をして繋ぎをつけることに協力いたしましょう。この手紙と一緒に同封した鈴はそこにございますよね?』

 もう一度自分は鈴を確認する。間違いなく手元にある事を確認してから、手紙の続きを読む。

『今、鈴の色は白だと思います。そしてこれから提示する試練を貴方が突破すればその鈴の色は銀色に輝くようになるでしょう。その銀色の鈴があれば、姉さんと話をする時に身分を証明する事が出来る品となります。決して無くしたり他者に譲ったりせず、体のどこかに身につけておいて下さい。なお、鈴は貴方が鳴らそうと思わない限り絶対にその音色を出すことはございません』

 手紙の指示に従い、ドラゴンスケイルメイルの内側に引っ掛けておく。これも一応アクセサリーにあたるのかも知れないが、とくにこれといった特殊な効果は無いようだ。

『そして試練の内容ですが、もう一度地下11階から地下20階にある宝物庫までやってきてもらう事です。ただし条件として、【貴方1人で】【ダンジョンは特別設計】【1つの階を5分以内に突破できないと床が崩れて行き、落ちたら地下11階からやり直し】という条件がつきます。挑みたい時には、ゲートに入る前に鈴を鳴らしてください。鈴を直接手にもつ必要はありません、貴方が挑戦したいと願えば、鈴が勝手に音を鳴らしますので』

 時間制限つき、か。これはまたキツイ条件をだしてきたな……。

『当然ですが、挑む挑まないは貴方様の自由です。ですがもし挑まれることをお選びになったときは、貴方様の姿を拝見させていただきます。ミミック3姉妹の次女、ミーツより』

 手紙はそんな形で締めくくられていた。手紙をしまってからベッドの中に入る。この挑戦は受けさせてもらう事にしようと心に決めてから、ログアウトを行った。
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次回からは更にきつくなるよ! やったね、アース君!

そしてミミック3姉妹の次女の名前が出ました。ミが2つ→2はツー→ミーツー→ミーツという事です。皆様の予想は当たっていましたか?
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