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連載

試練終了

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 気合を入れて臨んだ地下19階だったが、少々拍子抜けしていた。確かに罠はびっしりと敷き詰められているが、踏まなければ問題はないし、自分のスキルレベルは〈義賊頭〉なので、見破れない罠もここにはない。安全な足場は飛び石状にしかないが、リアルでも再現する事が可能なぐらいの距離に安全地帯が配置されているので、ひょいひょいと安全地帯を飛び跳ねて移動する。

 罠もぱっと見ただけだが、踏めばバネが発動して天井に叩きつけられそうな物、大爆発を起こしそうな地雷、落とし穴に飛び出し槍などなど、バリエーションに富んでいる。何か1つを踏むと、次々と連鎖を起こすように罠が発動しそうな雰囲気も漂っているので、間違っても踏みたくは無いな。

 ぴょんぴょんと飛び跳ねながら考える。もしここに自分以外が来た場合はどうなるのかと。物理戦闘系統スキルでがっちりと固めている人が来たとしたら……恐らく罠はなく、ある程度強いモンスターが通路に待ち受けていて倒して進む形になるんだろう。

 そして魔法系統で固めている人ならば魔法を使ってモンスターを倒すとか、魔法で壁を壊したりして道を切り開くとかの力押しでは無い方法で突破するようになるのではないだろうか?

 やがて最奥に設置されていたエレベーターにあっさりと到着した。さて、後は下に下りればやっと目的地の地下20階……と考えた所で手が止まった。それはスキルではなく、今までワンモアの世界を長く旅してきたからこそ感じた違和感だった。

(おかしいな。確かに罠は山ほどあったが、飛び石のように安地があった。その安地を渡る事で余裕を持ってこのエレベーターに到着できてしまった……そんな簡単な事で試練を突破したとこのワンモアが認めるか? 厄介な罠を解除しないと前に進めないようになっているとか、そんな試練の作り方もあるだろう? むしろそっちの方がこの世界『らしい』よな)

 今までの経験からそんな考えを持った自分は、ゆっくりと押そうとしたエレベーターのボタンからそっと指を離す。そして、エレベーターだけではなく周辺の壁や罠などを調べ始める。そうして調べているうちに、今乗っているエレベーターには即死トラップが仕掛けられている事と、奥の壁は『壁のように見えているだけの幻覚』であるという事を突き止めた。

(そうそう、そうだよ、これでこそプレイヤーの間でドS開発者のたまり場と言われているワンモアだ。やっぱりすんなりとクリアさせてくれないよな)

 エレベーターから、壁のように見えていた幻覚のほうに突っ込む。幻覚の先には見える範囲には罠こそ無いが、先が見えない長い一本道が待っていた。妙に余裕があると思った罠地帯の距離だったが、ここを駆け抜けないといけないというのであればギリギリ間に合うかどうかの微妙な線だろう。当然自分はすぐさま全力で走り始めた。

 そうして幻覚の壁の先にあった通路を走っているうちに、またぽつぽつと罠が仕掛けられていることに気が付いた。通路を進めば進むほど仕掛けられている罠は確実に増え始め、それに伴って前に走る速度が確実に削られている。仕掛けられている罠が地面には地雷系、壁には吸着の罠なので、踏んだり発動してしまったら危険すぎる。

 地雷は当然ながら大ダメージだし、吸着はそこからしばらく壁にくっつけられて移動する事が出来なくなってしまうので大幅にタイムロスをさせられるという厄介な罠だ。増えてきた罠を地雷は飛び越える事で、吸着は近寄らない事で突破を続けたのだが……ここで制限時間を超過し、もう耳と体が慣れてしまった床崩壊の音を感じ取り始める。まだエレベーターなどのゴールらしき物は見えない……。

(もうそろそろゴールがあってもおかしくないと思うんだが……まだ先なのか?)

 がらがらがらとダンジョンが崩壊していることを教える音は後ろ側から徐々に大きくなり始める。床も揺れ始めているので、もうじきここも崩壊する事を感じ取る。それでも出来ることは、ひたすら前に進むことだけだ。音と振動という焦りを生む要因と戦いつつ、ひたすら前に進み始める。

 そんな焦りと制限時間との戦いはようやく終わりが見えた。前方に青い光を放つゲートが見えてきた。あのゲートを潜れば恐らくこの試練は終了となるのだろう。足元は揺れるし、すぐ後ろからはがらがらと床が崩れる音が聞こえてくるが振り向く余裕は全く無い。前を向いて罠の位置を見て飛び越えるという作業から目を離せないからだ。

(後3歩、後2歩、後1歩!)

 とんとんとん、と飛び石状にある安地を必死で飛び跳ねて、最後の1歩を踏み出そうとした瞬間、足元が崩れて体勢が崩れる。何とか飛ぶことは出来たが、距離が足りない。そして足場は完全に崩れ、下には闇しか見えなくなる。このままでは落下してしまう! とっさに腰に下げている惑を右手で持ち、鞘から抜き放つ。

「惑! 頼む!」

 惑の先を、ゲートの上部に向けて飛ばす。惑の切っ先は狙ったとおりゲートの上部に突き刺さる。この時点で下に見える闇に落下する事は無くなった。あとは惑に引っ張り上げて貰ってゲートに入ればいい。惑は自分を突き刺したゲートの上部まで刀身を剣状態に戻すことで運んでくれた。そうして何とかゲートの中に身を躍らせることに成功した。

「はい、ゴール到達おめでとー。最後までなかなか目が離せない展開が続いたから面白かったわよー」

 ゲートの先には宝箱を椅子代わりにして腰掛け、水晶玉を持った1人の女性が居た。黄色い髪に黄色い目、そして服装はラフなシャツにレザーパンツという服装の女性が居た。恐らく彼女がミーツさんなんだろう。外見の歳は大体17,8歳といった感じか。

「それと、よく初見で偽エレベーターを見破ったわね。引っかかると思ったんだけどなぁ」

 なるほど、この試練を作ったのは間違いなくこの目の前に居るミーツさんだな。

「すんなりクリアさせてくれるほど、甘い試練じゃないなとエレベーターを起動させる前に思ったんでね」

 本当に今までのワンモア世界を旅してきた経験が生きた。この世界での活動時間が短かったら、絶対にあの偽エレベーターに引っかかっていただろう。

「そっかそっか、実にお見事でした。で、いまさらだけど自己紹介ね。貴方に手紙を出したミーツです。私の作った試練を突破したことで実力は十分ですね。そしてこうやって私に襲い掛からず、話に応じてくれているところから姉さんに会わせても問題はなさそうね」

 どうやら、ミーツさんのお眼鏡には適ったらしい。そうでなきゃ、散々落下させられ続けても諦めずに挑戦し続けた意味がない。

「意地の悪い試練でごめんね。でも、姉さんが甘い試練では認めない可能性が高いから……そうそう、貴方に渡した鈴を一回私に渡してもらえないかな?」

 ミーツさん申し出に自分は頷き、ドラゴンスケイルメイルの内側に入れておいた鈴を取り出してミーツさんに手渡す。

「ここをこうして、ほいほいっと。はい、この鈴を持って地下30階に到達できれば姉さんに会える筈よ」

 ミーツさんの手の中で鈴がダイアモンドのような形に変化した。手渡された鈴を手に持って眺めてみるが、見れば見るほど、ダイアモンドを鈴のようにカット加工を施したようにしか見えない。

「姉さんと話が済んだ後は、それを売ってしまっても構わないわ。相応のお金になるでしょうから、それが試練突破の報酬ということになるわね。特別な効果は無いから、売らない場合は単純なアクセサリーとして使う程度になるでしょうけどね」

 確かに、こんなにきらきらとダイアモンドのように輝く鈴なら、それなりの高値で街の道具屋さんあたりが買ってくれそうではあるな。売るのが惜しいから、当分の間は売るつもりは無いけど。

「さて、これで最低限の用事は終わったわけだけど……できればもうちょっと私との話に付き合って欲しいな」

 ここで自分はチラッと時間を確認。問題はないので、このままミーツさんとの会話を楽しむことにした。自分の返答を聞いたミーツさんは、宝箱から降りて持っていた水晶玉を座っていた宝箱の中に仕舞った後に、お茶を持ってきた。さて、何を話そうかね。
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スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv30 小盾Lv28 隠蔽・改Lv2 武術身体能力強化Lv65 スネークソードLv49 義賊頭Lv26 ↑1UP 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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