トップ>小説>とあるおっさんのVRMMO活動記
78 / 371
連載

ミーツさんとの会話

しおりを挟む
焦げたぜ、真っ黒にな……がくり。
********************************************

「まあ、話って言っても聞きたいことは1つだけなんだけどね。貴方は姉さんから話を聞いた後どうするつもりなの? 私達とこのダンジョンを」

 自分を椅子とテーブルがある部屋に案内した後に飲み物を用意してくれたミーツさんが、不安半分、興味半分といった感じで聞いてくる。

「ああ、それか。そうだなぁ、聞きたいことは何でここにあったダンジョンがここまで大幅に変わったのかということを知るためだったからな。ククさんやミーツさんからも貴方達のお姉さんが原因だってのは教えてもらったが、やっぱりこういうことは本人にも直接聞いておきたいからね」

 出てきた飲み物……紅茶っぽい物を飲みながら自分はミーツさんに今後のことを伝え始める。

「それと、少なくとも自分は、貴女達に対して何もしないよ。敵対しているわけじゃないし、今はこうやって話もできている。貴女達もモンスターの一種なんだろうが、だからってこうやって話が出来る相手と戦うつもりは自分には無いかな。このダンジョンにしてもそうだ。第一このダンジョンを、人の手でどうにかできる物なのか? とてもそうは思えないが」

 もしこのダンジョンを破壊するとなると、相当の労力が必要になるだろう。ダンジョンのボスを張り倒してダンジョンマスターの座を乗っ取ってしまった、ユニークミミックであるミークさんと戦って倒さなければならないし、倒したとしてもその後の取り壊し作業を考えただけで計画を投げたくなるだろう。それに、そこまでしてこのダンジョンを壊してもメリットは全く無い。デメリットはいくつもあるが。

「そう、なら良いんだけど……やっぱり怖かったから。例え貴方一人の意見といえど、直接聞くことが出来ただけでも幾分気が楽になったわ。勇気を出して話をしてよかった」

 ミーツさんはそう言いながら、テーブルに突っ伏す。かなり緊張していたようだな……それでも口調からはあまりそういった感じを受けなかったのだから、その度胸は大した物だと思う。リアルでもなかなか緊張を表に出さずに話をするということが出来る人はなかなかいない。

「それにしても、相当に緊張していたんだな。そこまで身構える理由があったのかい?」

 この自分の質問に対するミーツさんの答えは、こんな風に帰ってきた。

「とりあえず人に限りなく近い姿を私達3人姉妹は手に入れたけど、だからって私達が魔物じゃなくなるわけじゃないからね。だから私は今も少しびくびくしてる。姉さんだけはとてつもなく強いけど、私やククはもし貴方がこちらを倒すつもりならばまず勝てないぐらいの力しかないから、こうやって話すのも結構勇気が居るの。ククと話をして危害を加えなかったという前提がなければ、直接話をしようとは考えなかったと思う」

 そうか、人型をしているとはいえ彼女はミミック。世界的には倒しても問題はない存在なんだな。ミミックって言うと、国民的なゲームでは箱の内側に歯があってはこの奥に一つ目があるとか、他の作品ではスライム状の本体が箱から顔を出して攻撃してくるとかの姿だからな。仲良くする対象にはなりにくい面が強いかもしれない。

「貴方がいろんな意味で『良い人』で助かったわ。やっとあまり怯えずに居られるわ」

 そう言われても仕方ないのかもしれないな。だが、そうすると引っかかるのが……

「だったら、こんな個室というかミーツさんの部屋でなく、貴女にとって逃げやすい場所で話をすればよかったのでは? それこそ、宝箱の中からとか。ミミックなんですから、ククさんのように宝箱の中に入れるんでしょうし」

 そこまで怯えているのであればすぐ逃げ出せる場所で話をすれば良いという自分の意見を、ミーツさんは顔を左右に振って即座に否定した。

「それはダメ。そんな話のやり方は誠意がなさすぎるもの。ククは突然貴方に出会ってしまったから仕方が無いけど、私は手紙で貴方を呼び出した上にあんなキツイ試験を吹っかけたんだから、試験を乗り越えた貴方をこうやってキチンと出迎えて向かい合って話をしないといけないでしょう?」

 ──耳が痛い。こんな風に『誠意を持って』他の人と話をしようという心構えをモンスターである彼女から語られるとは。いつの間にか、人間が疎かにしているのではないか? という一部分を遠まわしに指摘されたような気がする。

「なるほどな、その誠意に感謝を。そして改めて自分は貴女達に危害を加えないという事をお約束させてもらう」

 誠意には誠意で応えなければ無礼だからね。ま、とりあえずこれで残すは長女であり、ダンジョンマスターであるミークさんだけだ。ミークさんから話を聞いたら、ダンジョンの受付をしている妖精さんに情報を伝えればここのダンジョンでやるべき事は全て終了だな。獣人連合エリアが解放される日も近づいてきているし、そっちに向けた準備もしないといけない……〈義賊頭〉としての、な。

「恐らく姉さんの試験は、地下30階に降りるためのエレベーター前でボスと強制的に戦う事になる形をとると思う。私は応援することしか出来ないけど、試験をクリアしたら絶対に話し合いに応じるように姉さんに伝えておくわ」

 ミーツさんがそんなことを教えてくれた。そうか、ボスか……数種類いるんだったな、地下21階〜30階の間に居るボス級モンスターは。気合を入れていかないといけないな。それでもソロ強制じゃない分、まだマシか。

「ありがとう、準備を整えて向かうことにするよ」

 これでここに居る理由はなくなったな。女性のプライベートエリアに長居をするのはあまりよくないし、このあたりでお暇することにしようか。椅子から腰を上げてミーツさんにお別れの挨拶をしたときに、ミーツさんから引き止める声がかかった。

「あ、あのね。用事は確かに済んだし、貴方が帰るのも問題はないんだけど……1つお願いがあるの。いいかな?」

 ん? と、ミーツさんからの申し出に首をひねる自分を見て、ミーツさんが更に話を続ける。

「あの、以前にこのダンジョンの中で料理をしてたよね? 料理を私も一度食べてみたいの!」

 ふむ。そう言えばミミックである彼女は普段何を食べているんだろうか? そんな質問を投げかけてみた。

「普段食べているもの? 私達はダンジョンの中に居ればエネルギーが体の中に入ってくるから、食事という行動は必要ないの。だけど、今回はその、どうしても興味心を抑えられなくて」

 人間に例えるなら、嗜好品ってことですか。お酒とかの類って感じで。食材はそれなりに用意してあったはずだとアイテムボックスを確認してメニューを考える。作れるのはハイ・ラビットのステーキ、簡単なサラダ、サンドイッチって所か。出された飲み物が紅茶っぽい飲み物なので、ステーキはパスだな。サラダとサンドイッチの2品でいいか。

 パンをサンドイッチとして挟み込めるように切る。切ったパンの耳は後で油で揚げて砂糖をさっとまぶして個人的に食べるお菓子に仕立てるので捨てない。サンドイッチの具はシンプルにハムとレタスにした。バターを薄くパンに塗って、ハムとレタスをはさんでいく。

 サンドイッチが出来上がったら、次はサラダ。サラダの具はレタス、トマト、カイワレに加えて少量の細いパスタ。パスタを茹で上げた後にオリーブオイルを少しだけまぶしてくっつかないように処理する。後はレタスを包丁を使わす手で軽くちぎり、トマトは6等分になるように切って、カイワレとパスタを投入。ドレッシングを軽く入れてさっと混ぜて完成。


 ハムとレタスのサンドイッチ

ハムのボリュームとさっぱりとしたレタスの組み合わせとなるサンドイッチ。片手でカードゲームをしながら食べるのに向く一品だ。

 生産評価6

 野菜とパスタのサラダ

野菜だけでなく、少量のパスタを入れて食べ応えを上げたサラダ。野菜だけでは物足りない人向け。

 生産評価7


「できたよ、こんな感じでいいかな?」

 ダンジョン内とはいえ、好戦的なモンスターが来ない(目の前の彼女もモンスターだが)場所なので、ちょっとだけいいものを作ってみた。パスタ入りサラダはリアルでも食べる一品なので、変な事にはなっていないはずだ。もちろんささっと食べないとパスタがダレるけど。

「食べていいの? いいの!?」

 料理が完成する前からそわそわしていたミーツさんだが、とうとう堪えきれなくなったらしい。そんな彼女に苦笑しながらも、どうぞ召し上がれと許可を出す。早速がっつき始めるミーツさんを、自分はのんびりと食事を取りながらほほえましく見守った。
************************************************
スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv31 ↑1UP 小盾Lv28 隠蔽・改Lv2 武術身体能力強化Lv65 スネークソードLv49 義賊頭Lv26 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
しおりを挟む