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連載

地下29階、そして最後の試験。

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これは予約投稿です。
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 初めて地下20階に到達した時の苦労は何だったんだろうか? 地下11階から20階の特殊ダンジョンで落とされまくったあの苦労は何だったんだ? そんな思考がふよふよと浮かんでは消える。このPTは隙が無さすぎる!

 罠関連はすべて自分がシャットアウトしてしまうし、戦闘に入ればグラッドの特殊なタンク行為が強すぎて敵はあっという間に蹴散らされる。何せ背後から攻撃を当て放題なのだから、ツヴァイの大剣やライナさんのモンスター鈍器の火力が跳ね上がっている。

 地下27階、地下28階もサクサクと終ってしまい、今は地下29階の攻略が60%ほど進んだ状況。この分ならばあと数分で地下30階へと降りるエレベーターが見つかるだろう。全員でマップを見ながら埋まっていない区域を歩いてゆく。

 歩き回るのだからモンスターはもちろんそれなりの数が出てくるが、どうなったのかなんてもう細かく言う必要はないだろう。全部消え去った、の一言でもういいだろう。

 そうして地下29階を歩き回ること数分。とうとう地下30階へと通じるエレベーターが見つかった。いらないおまけつきで。

「ようやく来たか……待ちかねたぞ」

 そう、おまけとはボスモンスターの一人、大太刀を使う浪人の様な姿をしている……女性だった。彼女がエレベーターの前に立ちはだかっていたのである。

「おおっと、最後の最後にレアボスのお出ましとはな」

 グラッドがこちらが聞き取れる位の声でつぶやいた。ああ、ワンモアにもボスの中でもめったに会えないレアボスなんてのがいるのね。自分が事前に入手していた情報では、このボスは男性だったはずだ。

 まあそれは置いておくにしても、この浪人風の着物を着た女性をどうにかしないと自分は地下30階へと降りることができないのだろう。それがミミック3姉妹長女、ミークさんに出会うための最終試験か。

「最後の最後にこんなでかい山が待っていたなんてな! みんな、気合い入れていくぞ!」

 ツヴァイの声に呼応して、PTメンバー全員が武器を構える。だが、その行動に対して浪人風の着物を着た女性は一言、こう告げた。

「申し訳ないが我が主からの指示により、資格を持たぬ4人は地下30階に転送させてもらう。宝を得て地上に戻るがいい」

 浪人風の女性が腕をこちらに向けて軽く振ると、自分以外のPTメンバーが全員消失した。

「──こちらの仲間に何をした?」

 ここで一人にさせられてしまった自分は、浪人風の着物を着た女性を睨みつけながらドスが効いた声を何とか作って威圧する。

「知れたこと。あの4人はわが主に合う資格がない。それだけのことだ。案ずるな、あの4人は地下30階の宝物庫に飛ばした。あとは宝を得れば帰れるから、怪我をすることも無い」

 ──信じるには情報が足りない……だがこのダンジョンは少なくても人を殺す事だけはない。そして、目の前に迫った問題だが……目の前の浪人風の女性をどうしたものかという事だ。

 試験ならばこれから戦うのだろうが……レアボスというものは希少なだけあって、たいていのゲームでは戦闘力が基本となったボスよりも強くなっていることが多い。そんな相手と1VS1で戦って勝てるのか?

「さて、そろそろお主も察してきただろうが……ここではっきりと申し渡す。私がお前の最後の試験を担当する。肝心の試験の突破条件だが、私が主と会わせても構わぬ人物である……という事を認めさせよ。それだけだ」

 認めさせよ、と来たか。さて、これは困ったぞ。どこに地雷があるのかわからんな……戦っちゃいけないのか? だが、目の前にいる女性はすでに抜身の大太刀を構えている。両手をあげて戦わないというアピールをしながら前に進むか? それともある程度剣を交えないと納得してもらえないか?

 目の前で自分がどうしたものかと悩みだした自分の姿を見て、目の前の女性がこう告げてきた。

「つまらぬ交渉などは一切受け付けぬぞ。そんな賢しいだけの人物を私は信用できぬ。当然主にも会わせぬ。」

 カチャリ、と一度だけ大太刀から音をさせつつこちらにヒントを与える女性。そうか、この女性は殴り合って理解するタイプという事か。戦って、そのあとの始末をどうつけるかが焦点になると見た。ならば、今は戦わなくてはならないな。

 そう覚悟を決めた自分は、惑を鞘から抜き放って構える。弓を使わないのは、間合いが近すぎて矢を射る前に踏み込まれて取り返しのつかない一撃を受けそうだったからだ。

 大太刀のアーツには一気に間合いを詰めて相手を斬る《一閃》を初めとした突進系アーツがいくつもある。目の前の女性もおそらくは使えるだろう……だから逆に間合いに踏み込んでゼロ距離の戦いに持ち込むしかない。ゼロ距離に持ち込めれば、その大きさから大太刀を振り回しにくくなる。

 もちろん目の前にいる女性が体術系……つまり突きや蹴り、投げといったアーツを持っていない保証はない。だが、大太刀とスネーク・ソードではこちらが一方的に火力負けで押されてそのまま終わってしまう。大太刀の攻撃をすべて回避しきる、そんな芸当は不可能だしな。

 双方が武器を構え、お互いに最初の切っ掛けを掴むべく睨みあう。始まってしまえばもう止まることは無い。だからこそ最初の一太刀が肝心なのだ。ダメージは大したことなくてもいい、最初の一太刀を当てると流れが作りやすくなる。

 それを逆に言えば、その一太刀でずるずると最後まで流れをつかめずに押し切られて負けるという可能性があるという事だ。だからこそ、自分も女性もあまり動かない。

 もちろん本当にあまり動いていないのではない。お互いに手に持った得物を動かしてフェイントを細かくかけ合っている。と言えば聞こえがいいのだが、自分の方は半分以上動けないというのが事実だった。

 幸い大太刀の動きはカザミネの動きを見てきたおかげである程度は理解している。ボス相手なので、そのカザミネの動きを2倍ぐらいに早めるイメージでフェイントを行いつつシミュレートを行っているのだが……10回中8回が先手を取られている。

(切り込めないのはもちろんだが、惑を伸ばすタイミングも掴めない。下手に伸ばして搦め取られた場合は切れる札が一気に減る。カウンター技の《惑わしの演陣》は、絶対に失いたくないからな……そうなると、盾に仕込んだスネーク・ソードを伸ばすべき……か)

 いつまでもこうして睨めっこをしている訳にもいくまい。攻める覚悟を決めて惑を握りなおしたことを見た事でこちらの意図を察したのか、目の前の女性の目が細められていく。

 ジャリ、と音を立てたのは自分の靴だったのか、はたまた女性のわらじか。それとも双方がたてた音だったのか? それは解らないことだし、どうでもいいことだ。大事なことは一つだけ、この瞬間戦いが始まったという事だ。

 自分は惑を振りかざして斬るように見せかけるために右手を振り上げる。そんな自分の行動に反応した女性は大太刀をわずかに引いて突きの様子を見せる。剣が振り下ろされる前に、大太刀のリーチで手を突いて剣を落とさせるつもりだったのかも知れない。

 だが自分はそこから右手の盾に仕込んでいたスネーク・ソードを、勢いをつけるために女性に向かってパンチをするような動きで打ち出した。

「っ!!」

 剣で切りかからず、仕込み武器で攻撃してくる事までは読めなかったのか、一瞬女性の動きが鈍る。そこを狙って、自分は左手の盾の中に仕込んであるスネーク・ソードも打ち出す。

 だが、この攻撃は女性が振るう大太刀によって左右から打ち出されたスネーク・ソードははじき返される。とはいえ、これで女性の体勢がほんの僅かではあるが崩れたのも事実。その女性が体勢を整えなおすわずかな時間を使って、自分は一気に接近し間合いを一気につぶす。これだけ接近すれば──

「ぐおっ!!」

 と思った瞬間、自分は女性によって体を掴まれた後に投げ捨てられ、地面に叩きつけられていた。なんてことだ、大太刀では対処できない距離になったと理解した瞬間、女性は持っていた大太刀を捨てて両手を自由にして自分を掴み投げ捨てたのだ。

 こちらも大したダメージは受けていないが、距離を潰して蹴りを叩き込むチャンスを丸々潰された。あえて武器を捨てて対処する思い切りの良さ……くそっ。

「──暗器とは。可能性として考えていなければ今のやり取りで一太刀貰っていたな」

 貰っておいてくれよ! というのが自分の本音だ。暗器は基本的に一発勝負だ。見破られてしまった暗器では不意を付くことが難しい。距離をあけられてしまったので、女性は一度投げ捨てた大太刀を余裕で拾いあげている。

「次はこちらだな……行くぞ?」

 まずい、あの動きは《一閃》だ! 間に合え!!

「《一閃》!!」「《惑わしの演陣》!!」

 女性の放った《一閃》と、自分の放った《惑わしの演陣》がほぼ同時に発動する……。
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ダンジョン編ラストバトルです。

スキル

風迅狩弓Lv29 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv37 百里眼Lv28 技量の指Lv31 ↑1UP 小盾Lv28 隠蔽・改Lv1 武術身体能力強化Lv64 スネークソードLv49 義賊頭Lv26 ↑1UP 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.54

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv23  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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