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連載

やっぱり料理を

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しかし、誤変換の中には、今まで一度も使っていない変換が多いんですよね。なんであんな変換になっているんだろう? って頭をひねることが多いです。
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 さて、ダンジョン内での出来事や、冒険者達のダンジョン内珍プレー&好プレーなどの雑談を交わしているうちにかなりの時間が経過した。そろそろお暇するかね。

「今日は話ができてよかった。では、これで失礼します」

 そうして帰るためのゲートを開けて貰おうとしたのだが、がしっと両手を掴まれる。片方はミーツさん、もう片方はククちゃんに。

「な、なにかな? 何か問題があった?」

 両手を無理にほどくよりも、とりあえずその理由を聞いてみようと考えた。なので二人にそう聞いてみると返答は……

「「ご飯、もしくは何かお菓子を作って」」

 であった。食事はあくまで嗜好品なはずなのに、すっかりはまった様子のミーツさん。そんな姉の姿に影響をもろに受けたと思われるククちゃん。期待していた分、一切料理を出さずに帰ろうとした自分に落胆したのかも知れない。こちらも料理を出すと2人に確約をしたわけではないのだが。

「二人とも、やめなさい。あくまで料理を出してくださるのはアース様の善意ですよ? アース様、妹二人がご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 ミークさんが妹二人に注意を行い、手を離させようとするのだが……二人はなかなか手を放してくれなかった。そんな二人の姿を見たミークさんは深いため息をつく。

「この子たちは……全く。わがままが過ぎますよ? それ以上無理にアース様に料理をねだるのであれば、お仕置きです」

 ビクっとしたのはククちゃんで、ミークさんの威圧に負けたこともあってか手を放した。だが、ミーツさんはいまだに手を離さない。

「姉さんは食べたことがないからそんなことが言えるんです! アースさん、簡単なものでいいのでお願いします! もちろんお代は払いますから!」

 こりゃここで何か料理を作ってあげた方がいいな。時間はやや遅くなっているとはいえ、急いで寝なければいけないという時間でもない。ここで無理やり帰るより、ちょっとした物を置いていく方が揉めずに済むな。

「分かったから、手を放してください。掴まれたままじゃ料理ができない」

 自分の言葉に、笑みを浮かべて手を放すミーツさん。その一方でミークさんは申し訳なさそうに頭を下げていた。さて、さっさと作ってしまうにしても、何を作ろうか。とりあえずミーツさんに作ったサンドイッチのあまりであるパンの耳を油で揚げて砂糖をまぶすお菓子っぽいものを作るのは確定として、もう一品欲しいところだ。

(手持ちから考えて……甘いもの2つはやめておこう。うーむ、パスタ料理にするか? そうすると上にかけるソースは何にしようか。ミートソースも悪くはないが、ここはちょっと違うものを出したい。よし、ここはあえて基本に立ち返ってペペロンチーノにするか! あれなら製作時間も大してかからんし)

 出すものが決まれば、あとはさっさと動き出すだけだ。ミークさんの家に合った台所を借りて製作することにする。しかし、なぜ台所があったんだろうか? まあいいや、料理が楽に行えるんだし、つまらない事を一々気にしても意味がない。料理の方も少し多めに作っておき、ミーツさんあたりがしそうなお代りの要求にもすぐに応えられるようにしておかないとな。もし残ったとしても、アイテムボックスに入れておけばいいんだからな。

 さて、手際よくいかないと。パスタにニンニク、オリーブオイルに唐辛子、おまけにパセリを少々用意してから調理に入る。パスタをたっぷりのお湯で満たした鍋の中に投入して茹で始める。なんか視線を感じるので顔を少しだけ上げると、ククちゃんがこちらを興味津々! といった感じで見つめてきているな。

 そんなククちゃんを見てほんのちょっとだけ笑ってしまったが、調理を続ける。フライパンにオリーブオイルを敷き、潰した後に皮をむいておいたニンニクを投入。火加減はいちばん弱火を維持してほどほどのきつね色になるまで焼く。軽く香ばしさが出てきたところで唐辛子を適度な大きさにしてフライパンの中に。ちょっと間を置いた後にパスタを茹でているお湯を少し失敬してフライパンの中に。これでソースを白く濁らせる。

 ここから《料理促進》を使って一気にパスタを茹で上げてしまい、水気を切ってからソースを作っていたフライパンの中にどさっと投入。ここで前もって用意しておいたパセリも入れてゆく。あとはソースがちゃんとパスタに絡むようにむら無く混ぜ合わせればペペロンチーノの完成だ。ベーコンがあれば入れても良かったかもしれないが、あいにく今の手持ちにはなかった。

 ペペロンチーノ

シンプルなパスタ料理だが、手軽に作れる魅力、手軽に作れるのにおいしいという面が好まれる料理。

 制作評価 8

 追加効果 火に対する耐性がやや上昇


「はい、まずは一品目があがったよ。このフォークに巻き付けて食べてほしい」

 久しぶりに作れた製作評価が8の料理であるペペロンチーノを三人の前に持っていき、フォークを渡す。デモンストレーションとしてクルクルっとフォークにパスタを巻き取らせて、ククちゃんのお口に入れてあげる。そのままもぐもぐと食べるククちゃん。

「なんか少し熱い。舌がピリッとする。でも……もう一口食べたくなるかも」

 唐辛子を控えめにしたのは正解だったな。ククちゃんが食べにくかったらまずいし。食べ方がわかった事で早速ミークさんやミーツさん、自分がフォークを返したククちゃんが食べ始める。

「なるほど」「うん、美味しい。やっぱり料理ってすごい」「もっきゅもっきゅ」

 さて、3人が食べているうちにもう一つもちゃっちゃと仕上げよう。こっちはもっと簡単だしな。油を張って高めの温度にしたらパンの耳を投入して一気に揚げる。低温ではべたついて美味しくなくなるから、高めの温度で一気に揚げるのがコツだ。時間にして大体15秒も揚げれば十分。揚げ終わったら素早く油を切る。粗熱が取れたことを確認して、ざざっと砂糖……リアルではグラニュー糖がおすすめなのだが……を軽くまぶしてはい完成。

 パンの耳揚げ

サンドイッチの残り物であるパンの耳を有効利用したもの。だが、ただの有効利用ではない美味しいお菓子である。

 製作評価 7

 こっちは袋に包んで、お菓子として食べ終わった3人に渡して帰ればいいだろう。よし、こんなものかな。

「ところで、ペペロンチーノのお代りは必要かい?」

 パンの耳揚げを仕上げた自分がそう聞いてみると、3つの皿がほぼ同時に上がった。あれま、ミークさんやククちゃんももっと食べたいと来ましたか。追加分をちゃっちゃと仕上げつつ、3人の前に差し出す。アイテムボックスにしばらく貯蔵してもいいやと思って多めに作ったのに、どんどんなくなるペペロンチーノ。いったいあの体のどこに入っていくんだか。

 そうして食べ続けた3姉妹であったが、ようやく満足したのかフォークを置く。

「──妹の意見を尊重して正解でした。これは確かに次も口に運びたくなりますね」

 ミークさんが食後にそう言い始めた。あれま、貴女もですが。紅茶を持ってくるために呼び出されたメイド服を強制装着させられている女性が、少々残念そうに空になった皿を見つめているような気がするが……あえてスルーすることにした。

「そして、これはお菓子です。早めに食べてください」

 袋に詰めて3等分したパンの耳揚げを3姉妹に一袋づつ差し出した。

「わあ、こっちも楽しみ」

 ククちゃんがキラキラした目で見ているが、そんな大したものじゃないんだけどねぇ。余りものを無駄にしないように作っただけだし。

「いくら出せばいいのかな?」

 ミーツさんがそう聞いてきたので、頭の中でそろばんをはじいて8000グローぐらいだなと計算結果を出した。3人ともかなりの量を食べたので、原価が安いペペロンチーノでもそれだけのお値段になる。こちらが値段を伝えると、ミークさんがすぐに代金を払ってくれた。

「今日はありがとうございました。こちらとしても有益な時間を過ごさせていただきましたわ。では、お帰りになられるでしょうからゲートを開きますね」

 ミークさんが手を振るうと、青いゲートが発生した。ここから帰れという事だな。後片づけを済ませた自分は最後のあいさつをしていくことにした。

「ここでのお話は必ず地上の方にお伝えいたします。では、今度こそ失礼します」

 そうして、何とか無事に新しく生まれ変わったダンジョンの探索は幕を閉じた。あとは妖精のダンジョン担当者に今回の話を報告をするだけだな。余計な事を自分が色々と裏で考えたせいで変に疲れた。さっさと引き上げよう。
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という事ですんなり帰れるはずもなく、料理を作るアース君でした。

今回出した料理は、作者が実際に作って食べた経験があります。簡単に作れるものですしね。ペペロンチーノは多少ベーコンを加えてもおいしいですよ。
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