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連載

戦闘状況

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 戦いが始まり、体感的には15分ぐらいが過ぎている。そうして思ったことは、この襲撃に合わせていろいろと今回の事を知った獣人連合の上が手をある程度回していたのだろう……という事だ。

 さすがに議員の邸宅が庭付きなどで規模がでかいとはいえ、あくまで邸宅。ある程度の距離にはほかの議員が使っているであろう邸宅も当然ある。そしてこれだけの剣がぶつかり合う音が響けば当然ながら『何事だ!?』と他の邸宅の護衛者が警戒や確認のために出てきてもおかしくない。なのに、他の邸宅に明かりは全く灯っておらず、護衛者達も出てこない。ターゲットであるラウガ以外の議員は、どこかに出かけていると思われる。

 たとえば議員が連れ添って他の街に視察などを兼ねた旅行に行くとかのセッティングをしたのか? ただしラウガは高齢かつ議員を辞するのが近いためにそれを辞退した……等は仮説としてどうだろう。まあとにかく、他の議員は出かけるがラウガはここに残るような用事を生み出して、物理的に他の議員とそれとなく引き離したんじゃないだろうか。

(おっと)

 まあそんな考察はどうでもいいか。今は潜入した怪盗&忍者チームを支援するために、護衛者を一人でも多くこの場所に引き付けねばならない。今ラウガのいる議員邸宅はあちこちで剣同士がぶつかり合う音が響き、その中で「ギャッ!!」とか「ぐぬ……っ」などの悲鳴やうめき声が混じっている。自分は弓矢で、手下の義賊たちは加工した石を投擲して護衛者達の行動を妨害している。

 石? なんでそんなしょぼいものを使う? と他の獣人の一人から言われたが……手下が使う投擲用の石は先端をきちんと尖らせており、投げやすいように全体を加工している。

 そして何かにぶつかったら刺さった後にすぐ割れる事で、敵に投擲武器としての再利用が出来ないようにもなっていたりする。材料がそこらに転がっている石なのでコストも安いし、身元がばれる様な事も無い。案外投石と言う物は使い勝手が良いのだ。

 これは余計な雑学になるが、日本の戦国時代であっても投石は一般的な攻撃方法として用いられていた。いくらしっかりとした鎧兜を装備していても、多数の兵士が次々と石を投げてきたらさすがにたまったものではない。実際に投石によって死亡した兵がいるという記録が、きちんと当時の被害報告書に残っているといった事実がある。

 さて、戦いの方は双方に被害が出始めた。負傷により戦えなくなり、下がったり敵に捕縛された者はまだいい。死亡して帰らぬ人になった者も残念ながら出てきている。戦場はかなり混戦状態で、蘇生を行う余裕はないのが実情だ。それに状況としては6:4でこちらが4と言った状況になり始めた。

 いくら戦闘能力が高い人と言えど、隠密行為のために軽装しかできないこちら側に対してしっかりとした鎧などを装備できる護衛者の方に分がある。まして、護衛者と言うだけあって相手の能力もかなり高い。戦闘不能、もしくは死亡する人員はこちらの方が間違いなく多い。弓を使うためにやや引いたところから状況が見えるために、そういったことが嫌でも分かってしまう。

(一刻も早く、怪盗と忍者が仕事を達成してくれることを願うしかないか……これ以上人数差が開くと、ここに引き付けるという事が出来なくなってしまうぞ)

 焦る心を無理やり抑え付け、矢を護衛者達にに向けて放つ。自分の放つ矢によって、すでに護衛者は数名が戦闘不能、数名が死亡している。だが、加減をすれば味方である隠密仕事をメインとした獣人達が死ぬ。両方を生かすことは残念ながら不可能だ。

 急所を外して戦闘不能に追い込むだけ……なんて芸当はこの混戦状態では無理な話である。当然ながらこちらの居る場所がばれた途端に護衛者の弓使いがこちらに矢を放ってくるので、数回矢を放ったら移動をくりかしている。

 その一方で手下達は投擲と言う攻撃方法が今回のメインなので、あえて争いの中に紛れて至近距離から投げつけるなんて芸当も行っているようだが。相変わらず優秀な手下たちである。自分の下にいるのがもったいないぐらいだ。こんな状況下では、なおさらそんなことを強く思う。

 こちら側は南街の住人達の死滅を防ぐため、護衛者は守るべき主を守るためと双方の理由がぶつかり合って血を流すこの戦い、避けることはできなかったんだろうかと言う考えが泡のように頭のどこかに浮かぶ。そして即座に無理か……とその思考の泡を割って消す。

 そもそも発端が流行り病が起きたここによる不幸、その不幸に便乗した詐欺師……その両方が色々と組みあってしまった時点で色々とどうしようもなかったのだろうな。if(もしも)を考えればきりがないが、歴史は流れて、その結果はここで戦いと言う形でぶつかり合うように動いてしまった。

 歴史のそれまでを変えることはできない、だが、それからを変えることはできる。とは誰の言葉だっただろうか? ラウガのためにも、彼の凶行はここでくい止めねばならない。

 ここで捕縛されるなりして、彼が毒薬を使えないようにすれば彼の名は意図的に伝染病をまき散らした極悪人として歴史に名を残すようなことにはならない。彼の妻や子供たちがそんな大悪人になってしまったラウガを見れば、嘆き悲しむ事になるだろうし。

(しかし、そろそろ何らかの動きが怪盗、もしくは忍者チームからあっていいはずなんだが……陽動チームの限界はもうすぐそこだぞ)

 陽動チームの人数はすでに半分以下になっていた。居なくなった人たちの内訳は、深手により撤退したのが6割、護衛者に捕まった人1割、残りが死亡による永久退場。自分の部下は撤退5名、捕まった人数と死亡者はゼロ。

 それに比べて護衛者側はまだ6割以上が健在で、人数差がひどいことになってきていた。全体的に防戦主体になり、護衛者の足止めが厳しくなってきた。このままでは間違いなく押し切られてしまう。かといって、まだ潜入したチームから何の反応もないのでは撤退することもできな──

 ズドオオン!!

 と、思考をめぐらしながらも矢を必死で放っていた時、そんな大きな音が邸宅の中から響いてきた。なんだ、今の音は……爆発とかの音じゃなく、馬鹿でっかいハンマーで、壁を思いっきりぶっ叩いたような……そんな音がさらに数回邸宅の中から聞こえてくる。

 この音の影響で、陽動チームと護衛者の戦闘が中断する。音はそれだけではなく、メキメキィと何かが壊れる音まで邸宅の中から聞こえ始めてきた。

「なんだ今の音は!?」「まさかラウガ様に何か!?」「内部でラウガ様を護衛していた連中はなにをやっている!?」「この音は魔法じゃない、この音を出した奴とはいったい……」

 あちこちからそんな声が聞こえてくる。先ほどまで必死に戦いあっていた両者だが、睨みあいにこそ起こっても剣を振り上げるところまでには至らない。両者ともに状況が分からないからだ。そんなとたんに静まり返った奇妙な状況下で、さらに邸宅内からズドオン!! と派手な音が何回もした後に、窓の一つを突き破って中から人が飛び出してきた。

 いや、その登場の仕方は何かにぶっ飛ばされてきたという方が正しいか。ふっ飛ばされてきたのは忍者チームのくノ一一人と、護衛者だった。なんでこの二人が同時に同じような感じで吹っ飛ばされてきたんだ?

「お、おい! 大丈夫か!? 邸宅の中で何があった!? ラウガ様は無事なのか!? そこの覆面は敵か!?」

 近くにいた護衛者の一人が思わず出してしまったという感じの大声を上げる。邸宅の中からふっ飛ばされるように出てきた護衛者はごほっと何かを吐き出した後に、体を少しだけ起こした後に何とかと言った感じで声を絞り出す。

「ら、ラウガ様が……化け物に……なった……」

 は? 化け物? と周りの人全員が頭上に?マークを浮かべたと思われる。自分も?マークを浮かべた一人に当然ながら入る。

「ら、ラウガ様を襲ったこの覆面達から、ラウガ様を護る為に……がはっ、ごふ……護る為に我らは盾となって……戦った。だがその最中で、ラウガ様が何かポーションらしき物を口にされた。その時に『もう時間もない、ならば早めるだけじゃな。念には念を入れておいてよかったわい』とおっしゃら……ぐっ、仰られていたが、それから数分後に突如老人なはずのラウガ様が突如筋骨隆々な姿に巨大化し……」

 ここまで喋ったところで、ガクッと力が抜けたように防衛者は地面に寝転がってしまう。失神したのだろう。おい、しっかりしろ! との声をかけながら揺すっている人がいるが、彼は目を覚まさない。

「──そこから先は、私が話す」

 そんな力尽きて気絶した護衛者の話の続きを、くノ一が受け継いだ。

「貴方たち護衛者を、ラウガは『もうお前たちは用済みじゃ』とだけ宣言した後に、大きく膨れ上がった腕で殴りつけ始めた。自分の護衛であり、私達には狂ったような視線を向けつつも忠実にラウガを護っていた人達も、私達もお構いなしに……

敵味方など関係なく周辺にいる人達に嵐のような暴力を振るい、私と彼は外に吹き飛ばされた……死者は多数、特にラウガのそばで護衛していた人達は全滅……彼と私は少し離れた場所にいたから助かったけど……」

 どうやら、この時点でラウガを捕縛して止めるという解決方法は使えなくなったと考えるべきか。なんでこうなっちまうんだ!!
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スキル

風迅狩弓Lv31 ↑2UP 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv28 技量の指Lv34 ↑1UP 小盾Lv28 隠蔽・改Lv1 武術身体能力強化Lv67 ↑1UP スネークソードLv49 義賊頭Lv26 妖精招来Lv12 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.76

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 19

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

進化武器 護魂の弓

Atk+110 魂弓こんきゅう 所有者が変身中のみ使用可能 魂をささげた者の力が宿っている 大きさが必要に応じて変化

特殊能力 貫通力強化(中) 大雷光招来(確率低) 大砂塵招来(確率低) 矢が光状になり、命中直前に4本に分裂する 大妖精の魔薬(ランダムで状態異常を付与する、確率中)弦1本 サハギンの水膜(水による矢の威力減衰無視) エルフの魂(一部の弓技を変身中でも使用可能)
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