トップ>小説>とあるおっさんのVRMMO活動記
113 / 391
連載

そして本当の意味での合流

しおりを挟む

 突如やってきたピカーシャのおかげでお肉は十分な量が集まった。後は街に帰るだけなのだが、その前にピカーシャの不興を買ってでもやっておかねばならない事が出来た。

「ピカーシャ、ちょっとここにお座り」

 自分は指先をトントンと叩くように地面を指し示す。その時分からの要請を受けて、ちょこんと座りこむピカーシャ。体は大きいのだが、ちょこんという表現が似合うように座り込んだ。

「くどいと思われるかもしれないが、念を入れておきたいから今からちょっとした質問をするぞ? いいかな?」

「ぴゅい」

 自分からの問いかけに、ゆっくりと首を縦に振るピカーシャ。本当ならすぐにでも「おかえり」と言ってあげたい所なのだが……それはまだ後回し。

「一番気になっているのは、本当に体が元の調子に戻ったのかどうかなんだ。先ほどの戦いができるほどだからそれなりに回復したのは分かった。でも、無理をしていないか? あのときみたいなボロボロの姿を見たくはないのだが……」

 この自分の質問に対し、ピカーシャは首を左右に振った。無理はしていない、と言いたいのだろう。

「うーむ。では、ちょっと羽根の付け根とか背中とかを触らせてもらってもいいかな?」

「ぴゅいぴゅい」

 あの回復中のピカーシャは、ちょっと動いただけでも羽がぱらぱらと落ちていたからな。ある程度触ってみてそんな状態がどこかしらに見られたら、妖精国に帰る様に説得しないといけない。恩人というか恩鳥だからこそ、無理をしている姿を見抜けずに死なせる様なことはしたくない。どんな存在だって、この世界では死亡したらそれまでなのだから。自分達の様なプレイヤーだけが例外だ。

 ピカーシャに許可をもらってから羽根の付け根を撫でてみたり、背中の毛を梳かしてみたりと無理をしていれば羽根がすぐにハラハラと抜けていく行動をいくつか行ってみた。だが、自分が撫でても梳かしてもピカーシャの羽根は抜ける様子は見られない。ランダムに選んだ羽根をいくつかじっくりと見てみたが、どれもが生命力にあふれている元気な羽根だった。どうやら本当にピカーシャは完全復活したと判断してよさそうだ。

「確かに、ピカーシャの体は完全に治ったみたいだね」

「ぴゅい!」

 あちこち調べさせてもらって、そのどこにもおかしい部分や疲労している部分が見受けられない以上、そう判断するのが自然だ。そうなると、もう一つ聞いておかねばならないことがある。

「それじゃあと一つだけ聞きたい。ずいぶんと外見が変わっちゃっているんだけど、いったい何があった?」

 この自分の質問に、ピカーシャは立ち上がってから足で蹴りの素振り? を行ったり、地面に何度もくちばしを突きさしたりした。

「もしかして、体が治った後に特訓をして強くなった、とか?」

「ぴゅい!!」

 自分の言葉に、力強く鳴き声を上げるピカーシャ。つまり、体力が回復した後に今のままではまた同じことになると考えて、外見が変わるぐらいの猛特訓を積み重ねてからやってきたという事になるのか。羽のメイン色は青のまま変わってはいないけど、こうも逆立っているように見える羽根がいくつもあるだけで受けるイメージが大きく変わってしまうな。

「じゃあ、これからまた自分の旅に同行してくれる、そう考えていいのかな?」

「ぴゅいい!」

 最終確認に、迷うことなく即答するピカーシャ。断る理由もないし……お願いするか。

「分かった、またよろしく頼むよピカーシャ」

 だが、この自分の言葉にピカーシャは不満そうに首を振る。ん? 同行してくれるんだよな? と自分が首をひねると、ピカーシャは自分の嘴で地面をなぞり始めた。何だろうと思ってみていると、それはカタカナの文字になっていく。そこには『アクア』と書かれていた。

「──もしかしなくても、これがピカーシャの名前?」

「ぴゅい♪」

 ──なるほど。ピカーシャと言うのはあくまで妖精国のマスコット兼いざと言う時には戦う種族名みたいな物だ。この子以外にも他にいるという話は聞いているし、今のままピカーシャと呼び続けたら、この目の前にいる子の事を指しているかどうかがあやふやになってしまうな。

「えーっと、じゃあ改めて。おかえり、アクア。──元気になってくれて、本当に良かった……」

「ぴゅいいいい!」

 もふっとした感触が自分の顔の左側に来た後に、すりすりすりすりと言う感触が続く。ピカーシャ……改めアクアが頬ずりの様な事をしているんだろう。そんなアクアの頭を右手を伸ばしてゆっくりと撫でてあげる。久しぶりの再会を邪魔をしてくる可能性のある無粋な存在は先程逃げて行っているから横やりが入る心配もない。アクアの気が済むまでこのままにしておこうか。

 そうして20分後、ようやくアクアが落ち着いた。今まで溜まっていた物を一気に吐き出すかの様なすりすりっぷりだったなぁ。そんな時、指輪から反応が。

(次は私の番ですね。いつ実体化しようかしら?)

 聞こえない聞こえない。自分にはなーんにも聞こえない。何はともあれ、そろそろ南街に戻らないといけないな。お肉も手に入れたし、ハーピーの子供達を面倒見ている獣人さんを安心させてあげないといけないし。ピカー……じゃなかった、アクアにはまた小さくなって貰って頭の上に乗ってもらえばいい。

 アクアを頭にのせて、南街に無事帰還できた。まあ、バッファロー達が寄ってくる気配は微塵もなかったけどねえ。ピカーシャには小さくなって貰って、その上で殺気も消してもらったんだがそれでも寄ってくる気配はなかった。本気で怯えたんだろうな。

「お帰りなさい。あら? 頭の上にいるその子は?」

「ぴい?」

 ハーピー達の寝床に戻ると、ハーピーの面倒を見ている牛の獣人さんと、ハーピーの子供の中でも一番のお姉さんが出迎えてくれた。そして当然ながら頭の上にいるアクアに気がつき、質問を投げかけてくる。

「あ、この子は自分に同行してくれている妖精なんですよ。しばらくの間、重傷を負ったことが原因で自分と離れていたのですが……今日街の外で久しぶりに合流できたんです」

 と、大雑把に紹介する。詳しく教えるとちょっと面倒な存在だからな……そういう意味ではアクアと言う名前が分かってよかった。呼びかける時もこれからは『ピカーシャ』ではなく『アクア』と呼べるからな。

「そういえば一部の人族は妖精と一緒に行動していると聞いたことがありますね。その子があなたの同行者という訳なんですね」

 獣人さんはそんな感じですんなりと受け入れてくれた。まあ厳密には、自分は同行でほかのプレイヤーの皆さんは契約と言う大きな違いがあるのだが……これも別にいう必要はないだろう。

「ええ、そういう事です。それとこれが今日のお肉になります」

 ぼろが出る前に話を切り上げ、獲得してきたお肉を獣人さんに手渡す。今日は4頭分あるから十分に足りるだろう。ドリルホーンの肉だけはこっちの懐に入れたままにしておくので4頭分だ。

「頑張っていっぱい狩ってきたんですね! これだけの量があれば当分の間お肉の心配をしなくて済みます!」

 獣人さんはニコニコ顔だ。これでログアウト中にハーピーの子供たちが飢える心配はないだろう。その一方でハーピーの子供で一番上のお姉さんは、アクアに興味津々の様子だったが今日はそろそろログアウトしたいので、ふれあいの時間は次回だな。獣人のお姉さんはハーピーの子供に別れのあいさつを済ませて宿屋に戻りログアウト。アクアと添い寝しながら眠りについたのであった。
************************************************
というわけで、ちゃんと挨拶も済ませてピカーシャことアクアが正式復帰です。今後アースに同行しているピカーシャはアクアの名前で明記します。

スキル

風迅狩弓Lv33 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv29 技量の指Lv35 小盾Lv28 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv68 ダーク・チェインLv1 義賊頭Lv26 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.77

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv16 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 14

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

同行者 青のピカーシャ(アクア) 飛行可能 騎乗可能 戦闘可能 魔法所持 風呂好き 巨躯進化の可能性
しおりを挟む