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連載

バッファロー狩り

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 モンスターの位置を《気配察知》で確認しながら歩くこと数分、うまい具合に単独で行動しているウォーバッファローを発見した。すぐにPTメンバーとして参加しているブルーカラーのメンバーに情報を伝える。

「よっし、んじゃ早速弓で釣ってくれ!」

 ツヴァイにそう言われたが、自分は首を振って拒否。遠距離攻撃を仕掛けてしまうと、バッファローの高速タックルが来るからな。ツヴァイ達にもそのことについての説明を行っておく。これはもう少し早めに言っておくべきだったな。

「そうなのですか……東街に居るバッファローはそんな行動を取らなかったのですが……実際にこの周辺で戦ったアースさんの意見ですから従いましょう」

 カザミネの声に他のメンバーも同意するようにうなずく。

「そうすると……盾を持つ私が先頭に立って強襲をかけた方がよさそうですね。近距離ならば高速で突撃してくる行動はしないのですよね?」

 こちらに確認をしてくるカナさんの意見に自分は頷く。

「ああ、槍ぐらいの間合いにまで近寄れば高速タックルは使ってこない。幸いに背の高い草むらがいくつかあるから、今回はそれを利用して近づこう。あそこを1、次を2、そのさらに先を3として、身を隠しながら近寄り、間合いを詰めたらカナさんとツヴァイ、カザミネの三人に突進系アーツを使って距離を詰めてもらって戦闘開始としようと考えているだけど……どうだろうか?」

 と言う自分の作戦にこれと言った反対も出なかったので早速戦闘開始。自分が先導し、ブルーカラーのメンバーについてきてもらう形で1、2、3の草むらを予定通りに経由してバッファローに近寄る。バッファローの方はその場からあまり動いていないことが《気配察知》にて分かっている。

 そうしてうまく距離を詰められたところで、ハンドサインで全員にいったんここで止まれと指示を送る。草むらの影で全員の呼吸と陣形を整えた後で、カナさんの盾を指さした後に《危険察知》で分かっているバッファローのいる方向を指し示す。カナさんが頷いた事を確認した後に、手を横に振って突撃! と指示を送る。

「ハァァアアアアアアッ!」

 気合いの入った声を上げながら、カナさんが盾を前方に構えて草むらから抜け出して突進していき、その後にツヴァイ、カザミネ、ノーラ、自分と言う順番で続く。バッファローの方は突然奇襲を受けた事からこれと言った対応は何もできなかった様子で、カナさんの盾を構えた突進攻撃である《シールドバッシュ》の直撃をもろに受けた。

「入りました!」

 カナさんの声に反応したツヴァイが魔剣である片手剣を大剣に変形させた後、大上段に構えてからバッファローの顔面に振り下ろす。さすがに重量がある大剣の一発に加え、魔剣自体が持つ火による追加攻撃でバッファローが悲鳴を上げる。一撃における破壊力の高さはさすが大剣という所だろう。

「カザミネ!」「分かってます!」

 ツヴァイの声に応え、さらなる追撃を行うのはカザミネ。氷の属性を持つ魔剣である大太刀が一瞬きらりと怪しく輝き、バッファローの横っ腹に切り付けられる。文字通り、スパッとだ。この一撃でバッファローの体の一部に氷が付着した。どうやら【凍結】の状態異常が発生したらしい。

「背中を!」

 カザミネの声を合図に、三人による一瞬の猛攻で動きを完全に止められたバッファローの背中にノーラと自分が攻撃を仕掛ける。ノーラは短剣で、自分は惑でバッファローの背中に獲物を遠慮することなく突き入れる。ザクッと言う手応えから、完全に弱点に入ったという事が感じられる。一人だと倒すのに手間取るバッファローだが、PTで挑んだ今回はあっさりとその身を横たえる事になった。

「まずは一匹目だな! それにしてもアース、やっぱりお前の《危険察知》からの奇襲はスムーズだな。やっぱりソロで戦う事が多い事からくる経験なんだろうけどよ」

 倒したバッファローが消滅し、ドロップを獲得した後にツヴァイからそう声をかけられる。

「そういう物かな? まあ確かに自分は真っ向から戦うタイプではないから、最初に行う一手は不意打ちになる事が多いのは間違いないだろうけど」

 と、ツヴァイに返しておく。メインウェポンは弓だし、これまた真っ向勝負で使う武器ではない。不意打ち上等で遠距離から仕掛けるのが当たり前だから、自然とツヴァイの言う奇襲戦闘になるんだろう。

「私も盗賊系に入るから奇襲はやることが多いけど……うん、ここまでスムーズにやれるかどうかは微妙ね。基本的に私はPTでの行動が多いから」

 〈盗賊〉技能持ちのノーラからもそう言われてしまえば、そういう物なのかねえ? と首をかしげつつもある程度納得せざるを得ないのかも知れない。まあ、ソロ主体の自分とPT主体のノーラは見ている世界が全くもって違うのは当たり前の話だろう。

 今回の突撃だって、おそらく普段は声なんかほとんど出さずにやっている事なんだろう。普段いない自分がいるから、普段声を出していない部分でもあえて声を出すことでタイミングを掴みやすくしてくれていると考えるべきだ。

「スムーズにいくことは良いことです。実際たくさんお肉を取らないといけないのですから、一匹を倒すのに時間を一々かけすぎてしまってはあの子たちが飢える事になってしまいますし」

 カザミネの言葉に、反応したのはカナさんだ。

「そうですわ、あんなかわいい子達を飢えさせるなんてありえませんわ! アースさん、次の獲物はどこですか? 早く教えてくださいまし!」

 反応したというより、鬼気迫ると言った方が正しいのかも知れない。凛とした表情を持つアバターなだけに、恐ろしさが跳ね上がる。これは早く次の獲物を見つけないと危険だ。《危険察知》でさらに探ってみると、幸い次の反応がある。

 こっちに2匹ほどいるとカナさんに告げた途端、「では行きましょう、早く行きましょう」と急かされる。ああ、完全にハーピーの子供に魅了されていらっしゃる。──あれ? もしかしてもうカナさんがお肉集めに没頭するだろうから自分はもういらないんじゃないか? そんな疑問がふよふよと頭の中に浮かんでくる。

 そうして先程《危険察知》で見つけた2匹のバッファローの近くに来たが、カナさんが「2匹ぐらい抑えるのは簡単です。この盾の性能も高いですから!」と、魔盾を構える。じゃあ実際にやってみようという事で、今回も奇襲から戦闘を開始した。奇襲の内容は一回目とあまり変わらないが、さすがに2匹相手には効果がやや薄く、弱点である背中に攻撃を仕掛ける事は出来なかった。ここからは実力勝負となる。

「早く貴方達はお肉になりなさい! 待っている子がいるんです!!」

 そんなおっそろしい発言をしながらカナさんが自分に攻撃をするように仕向ける〈挑発〉系統のアーツである《メガタウント》を発動。バッファローからの攻撃を一手に受ける……のだが、バッファローの表情が少々おかしい。なんか怯えている? そんな感じがする。

 それでも挑発系のアーツを受けているために、体というか本能が逃げる事を許さないかのようにカナさんに攻撃を角で仕掛けている。何だろう、こっちが一方的な悪党の様な気がするのは。まあ、倒すんだけどね。それから、蛇足ではあるがツヴァイ達の妖精達がそんなカナさんに対して軽く引いていた様子だったことを追記しておく。アクアはいつも通りだったけど。


「これでお終いです!」

 カナさんの攻撃で、ドウッと倒れるバッファロー。そんなこんなでテンションが怖い方向に高いカナさんに引っ張られる形で、バッファローの討伐&お肉回収の戦闘が長時間進んでいた。まあ、そのおかげで一人では絶対手にできない量のお肉を獲得できている。これならばハーピーの子供達が飢えに苦しむ事も無いだろう。

「カナ、お疲れさんだ。だがよ、そろそろ飯を食おうぜ? 満腹度もかなりすり減ってるし……な?」

 そんなツヴァイの言葉を聞いて、カナさんが剣を軽く振ってから鞘に納める。

「そうですね、お肉の回収に夢中になっていてさっぱり気がつきませんでした。お恥ずかしい限りです……」

 もはやカナさんにとっては、 バッファロー=ハーピー達のごはん と言う図式が成立しているらしい。バッファロー達の受難はこれからだ! と言った所だろうか? ま、それについては諦めてもらうしかない。ただただ不運だったという事で。何はともあれ、食事の時間である。《危険察知》の範囲内にバッファローがいないことを確認してから、調理器具をアイテムボックスから取り出す。

「アースさん、なぜ調理器具を?」

 カザミネからそんな質問が飛んできたので……

「ああいや、バッファローのお肉の味を確かめようと思ってな。PTプレイのおかげで十分すぎる量が取れたから、少しだけ自分でも食べてみようと思ってな」

 味付けは塩と胡椒。香り付けと臭み抜きにハーブを。油を入れて軽く熱したフライパンに、塩と胡椒、ハーブで下ごしらえを済ませたお肉を投入。ステーキなので一番最初に作ったラビットホーンのステーキと焼く要領は大して変わらない。赤い血が表面に浮かび上がってきたところでひっくり返し、もう片面も焼く。

 この赤い血が浮かび上がってくるぐらいが程よい焼き加減らしい。言うまでもなく焼き過ぎたステーキなんか、肉汁が逃げてしまっているからぱさぱさになって美味しくないのは言うまでもない事だ。


 バッファローステーキ

 下ごしらえをしたバッファローの肉をステーキとして焼き上げた物。下ごしらえをしてあるため、鼻につく嫌な臭みなどは無い。ボリュームがある為、よほどの大食らいでない限りは一枚食べれば十分すぎるほどに腹を満たしてくれるだろう。

 製作評価 7


 製作評価7、か。一発勝負の割には上手く行ったな。説明文にもあるように、ボリュームがアメリカ版ステーキ並にでかい。自分の分とアクアの分を焼いてゆっくりと頂きます。という訳には当然ながら行かず、ツヴァイ達から焼いてほしいと要請が。

 もちろんいじわるせずに同じように焼いてツヴァイ達にステーキを提供した。で、肝心の味の方は……霜降り肉よりは固いけれど一般的な肉よりははるかに美味しいので、個人的には十分満足した。

 そしてお肉を食べた事でその味を知った自分達は、街に帰る途中でも見つけたバッファローはすべて討伐。ハーピーの子供達に渡す分と自分自身のために確保する分を分けて保管する事になった。
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スキル

風迅狩弓Lv33 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv29 技量の指Lv35 小盾Lv28 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv68 ダーク・チェインLv3 ↑2UP 義賊頭Lv27 ↑1UP 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.77

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 ↑1UP 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 14

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

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