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連載

獣人連合・東街の長い一日 その七

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作業中のBGM 俺の右手はGod・Hand(GODHANDエンディング)
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 それから少し後に、バッファローの壁を突き崩し先頭を行くグラッド達のPTにツヴァイ達が追い付いた。グラッド達が一度突き崩したバッファロー達が再び強固な壁を作る前に突貫することで速度を上げたのだ。グラッド達とツヴァイ達は軽い挨拶をした後に協力し合って前に進む。人数が増えたおかげで支援なども安定を見せ、前進速度が少し上昇した。

 そしてさらに、アヤメさん&ランダさんのレイドチームもその後に追いついた。こっちは自分が手持ちの強化オイルをすべて使い切って爆撃し、無理やり道を切り開いた。爆発の音があまりにも続いたのでアクアが少々嫌がっていたが……我慢してもらうしかなかった。

 近距離、魔法攻撃が主体だったグラッド、ツヴァイ達の混成チームに中距離の槍、遠距離の弓攻撃まで加わった。その影響は大きく、弓で弱らせ槍で追い込み、近接で吹き飛ばすという形が成立。人数が増えたおかげで攻撃の手数が一気に増え、前進速度がより上昇した。

【アース、お前は俺達の事が見えてるんだろ! このペースで行ったらバッファローの王の前に到着できるのは何分後ぐらいだ!?】

 そんな前進陣形が牽制したことを確認していた自分に、ツヴァイからのウィスパーが飛んでくる。そうだな、このペースで突き進めるとするならば……二分弱ってところか? 上級プレイヤーの集団が合流したから、グラッドPT単体の時よりもはるか早い。

【今のペースなら二分弱でおそらくバッファローの王の前に到着することができると予想する。グラッド達にもそう伝えてくれ】

 強化オイルを使い切ったので、ひたすら弓矢での攻撃に専念しつつツヴァイからのウィスパーに対応する。こっちは空中に居るからある程度余裕もあるしな。

【分かったぜ! あと、この戦いが終わったらいろいろ聞くからな!!】

 そうしてツヴァイからのウィスパーは切れる。やれやれ、アクアの事だろうな。これだけ長い時間空に飛んでいられる存在がいる事、そして指示が飛ばせたことをかんがみて自分が上空からこの戦場を見ているという考えに到達するのはおかしい事ではないし。ま、それは後だ。今はとにかくバッファローの王を潰さないと。

 バッファロー側も『王の元には行かせるな! とばかりに立ちふさがるが、勢いはすでにグラッド達にある。バッファロー達が使える最大の攻撃方法であるタックルは密集気味の状況では当然使えない。だが、グラッド側はそんなことはお構いなしで武器を振るい、バッファロー達を沈めてゆく。バッファローの中にも怯える奴がかなり出てきているようで、攻撃に精彩を欠いているだけではなく、こそこそと逃げ出すバッファローもちらほらと見かける。もちろんそんな奴は放置。追いかけるほど暇ではないし。

 そしてついにバッファローの壁をぶち抜き……グラッド達とバッファローの王が直接対面を果たした。一般的なゲームなら、ここでちょっとした会話イベント……みたいなものが発生するんだろうが、そんなものは当然ながらなく、お互いの姿を見た両者は即座にぶつかり合った。

 バッファローの王も、側近らしきバッファローが付き従っているので一体VS複数のレイドボスパターンではない。その周囲に居るバッファロー達は、戦いの巻き添えになることを恐れてか……もしくは王がグラッド達を打ち負かし、逃げようとしたグラッド達を突き殺す為か……一定の距離を取り、壁になる。さながら闘技場の様だ。

「その首、俺に寄こせ!!」

「ブルオオオオオオオ!!」

 そんなグラッドの声や、それはこちらの言葉だと言わんばかりのバッファローの王による咆哮が耳に入ってくる。自分は空中から矢を放ち、バッファローの側近を妨害している。戦いの状況は、バッファローの王とグラッドPTが対峙し、ツヴァイとアヤメさん&ランダさん混合チームが側近と相対している。側近の数も10以上確認できるので、かなり厳しい。グラッド達が単体で突撃してここまで到達していたら、おそらく勝てなかっただろう。ツヴァイやアヤメさん達に合流してもらったのは正解だったようだ。

 バッファローの王の側近に攻撃を仕掛ける最中、バッファローの王の様子も時々伺うが……バッファローの王は雷の魔法の様な物を使っていた。

 バッファローの王の角は他のバッファローと違って四本あるのだが、その四本のうち頭の上についているやや小ぶりな一対の角の間に雷光球を生み出している様だ。その雷光球を直接放って来たり、炸裂させて範囲魔法のようにしたり、盾のようにしたりと操っている。そして角の間で発生させているので、攻撃の手そのものが止まらない。他のバッファローよりもはるかに立派な角でグラッド達を突いたり薙いだりする攻撃に上に、その雷光球による攻撃も飛んでくるのだ。

「なんでバッファローがこんな魔法みたいな攻撃をしてくるのよ!」

 グラッドPTの女性プレイヤーが、そんな不満をぶちまけていた。それでもやってくるものは仕方がない、何とか対応してほしいものである。その一方でツヴァイやアヤメさん&ランダさん混成チームVS側近バッファローの戦いも、一進一退という状況である。側近だけあって普通のバッファローならとっくに死亡しているレベルの攻撃を受けても平然としているぐらいタフであり、連携が取れた攻撃は熟練の盾役であるレイジですら防ぐのに一苦労といった様子だ。実際、攻撃を受けて数名がすでに脱落している。

「固いったらありゃしないわね……正面からじゃアタシのナイフが刺さらないわ!」

 そんな言葉と同時に、ノーラは攻撃を諦めて陽動と水魔法による支援に徹している。ノーラだけではなく、片手剣より軽めの武器を扱う人は直接攻撃を諦めている。自分が空中から放っている矢は刺さるので背中を取れれば通じるのだろうが、地面に居る人達はその弱点の背中を取るのがかなり厳しい。背中を取ろうとして盾役の影からこそっと忍び寄り、不意を突いたつもりが側近バッファローにばれていて……ドスン! と角による一突きをくらって不意打ち主体のプレイヤーはこの場から退場しているからな。

「これ以上ここに居る人数が減ってはまずいわ! 無理に弱点を狙わず削ることに専念しなさい! 弱点攻撃は、上から弓矢で攻撃できるあの人に任せましょう!」

 アヤメさんの指示が飛ぶ。その期待に応えるべく、自分も矢を放って入るのだが……なかなか側近は倒れてくれないのだ。そのタフさに少しげんなりする。だが今は空中に居る自分だけが側近の背中に攻撃できる存在なので頑張るしかない。側近の数が減れば、隊列も乱れるだろうし隙も生まれるはずだ。攻勢に転じるのはその時で良い。その攻勢に転じる機会が来るまでは何とか粘るしかないだろう。

「弱音は吐くな! ここが正念場だぞ!」

 盾役を必死で勤めながらも、レイジが声を出す。確かにその通りだ、ここを乗り越えてバッファローの王を倒すことができれば終わるのだ。だからこそ一番きつい状態になるのは当たり前の事である。相手だって本陣に攻め込まれている以上、もう後に引くことができない背水の陣なのだからこそ死にもの狂いで攻めて来るからこそここまで厳しい。

「こいつらには魔剣や属性を武器に纏わせることができる人が主体で攻めた方がいいわ! 私の槍は他の人に比べてかなり通じているみたいよ!」

 戦いの最中、そう声を上げたのはランダさん。そういえば彼女は槍に火を纏わせて戦うな。

「気のせいではなかったのですね、私の大太刀もこの側近らしきバッファローの肉をしっかりと切り裂けていますから!」

 その声に応えたのは氷の魔大太刀を振るうカザミネ。よーく注意を払って様子を見ると、レイジの片手斧による攻撃は深く突き刺さっていないが、カザミネの魔大太刀やツヴァイの持つ魔剣による攻撃はかなり効いているようだ。自分の弓矢は背中に突き刺さっているからよくわからないが……《風塵の矢》を使ってはなった時の方が効いているような気もする。

「突破口が見えたのならば、その方法を主体に組み立てましょう! 私はこれから変身し、より時間を稼げるようにします! 隙が見えたら反撃を!」

 カナさんがそう宣言し、ラミアに姿を変える。そのカナさんの姿を見て、武器が使えるビーストヒューマンタイプを変身先に選んだ人たちが次々と変身してゆく。突破できる方法が見えたから、少ない反撃回数でも大きくダメージが取れるようにするためか。

 ──ここまで温存していたのは、いざという時の切り札としてだろう。今回はここまで攻めあがることができたが、展開としては街の中まで攻め込まれた時に変身して支援が無くても相応に粘れるために……という使い方をする可能性も十分にあったのだから。

「攻略法が見えればなんとかなるな! みんな、最後まで油断せずにきっちり決めるぞ!」

 そしてここでツヴァイが声をかけて纏める。そうだな、ここでしっかりしないと全てが台無しになってしまうからな。ここはビシッと決めて勝たねばならん。

「もたついていると、こいつらが息を吹き返しかねない! 厳しい事は分かっているが、このまま攻めるぞ!」

 バッファローの王と対峙しているグラッドもそう叫ぶ。この場に少数で突っ込んだ以上、守りに転じれば勝ち目はその時点で消滅する。攻めて攻め続けて相手に大きく攻撃する機会を与えないいう『攻撃は最大の防御』を続けなければならないのだ。さあ、決着をつけないとな。
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活動報告にも書きましたが、ちょっとお休みをいただきます。

スキル

風迅狩弓Lv40 ↑1UP 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv32 ↑1UP 技量の指Lv40 ↑1UP 小盾Lv28 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv73 ↑1UP ダーク・チェインLv3 義賊頭Lv27 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.80 ↑UP

控えスキル

木工の経験者Lv1 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 21

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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