トップ>小説>とあるおっさんのVRMMO活動記
88 / 367
連載

街の復興をお手伝い

しおりを挟む

 バッファロー達に大群による侵攻も終了してから数日が経過。獣人連合東街を取り巻く環境はかなり変化した。まず一つ目は周囲に居る動物系のモンスター。バッファローは綺麗に消え去り、今獣人連合東街の周囲に居るのはディアー系、つまりシカ系統である。こいつらは近寄れば攻撃してくるが、街に侵攻してくる素振りは全く見せていない。このため、警戒状態は最低限の見張りを置いた上で解除された。

 今回侵攻して来たバッファロー達は例外なく森の奥に引っ込んだらしい。森の奥に行けば出会う事はあるが、以前の様な積極的な攻撃行為を取らなくなったと言うか、こちらを見た途端に逃げるようになっていたらしい。向こうが逃げるのであれば無理に追う必要は無しという事で、バッファローのさらなる追加討伐は行われることは無かった。

 さて、そうなると街の四方にあった拒牛槍は最低限を残して片づけられ、街は今回の侵攻防衛で受けたダメージを回復する作業に入っていた。人的被害はかなり抑えられた(獣人の皆さんからの言葉)らしいので、人手が足りないという事はあんまりない様子である。が、やはり手伝いを望む依頼が張り出されたので自分はそれを受けている。今は作業の真っ最中、大破した西門の再建に使う木材の加工の真っ最中である。

「おう、そっちはどうだい?」

 作業仲間である熊の獣人さんが、切り出した直後の丸太を担いでやってくる。

「あー、渡された分の木材加工は大体終わったよ。材料の追加分を置いて行ってほしいかな。こっちは加工が済んだ分だから持って行ってー」

 おう、分かったぜと丸太を下ろして、自分が加工した木材を担いでいく。バッファローの襲撃が終わった翌日からこの依頼をこなし始めてから数日。門に使うための木材の数は大体確保できたようで、あとは加工をしつつ門を組み立ててゆくと言った所か。今の自分の姿は、鎧などを完全に脱いで街の職人さんが来ているような服を纏っている。当然邪魔になるので普段身に着けている外套も着ていない。そういえばこんな人前で外套を脱いでいるのも久しぶりの事だな。

(えーっと、今日のノルマはあとは丸太15本を加工ってところか。この仕事も終わるまでにもうしばらくかかるかな)

 ちらりと視線を、新しい門の組み立て現場に向ける。門の左側はすでに完成したようで、すでに西門に取り付けられている。何度か開閉のテストも行われており、そちらの方も問題なかったらしい……との話は聞いている。左右同時に取り付け作業を行わないのは何かしらの理由があるんだろう、自分がいちいち突っ込む事ではない。

「それにしても今回は、いろんな種族の人達が防衛に参加してくれたから凌げたようなもんだな。俺達だけじゃもっと被害が出ただろうよ」

 近くで作業している獣人の職人さん達が、作業する手は動かしつつもそんな雑談を交わしている。

「なんでも今回は、人族の勇敢な者達を中央に招いて大々的に感謝を述べて報酬を与えるって話だぜ。まあそれだけの事をあの人族たちはしたんだから納得するが、中央に獣人以外が入るってのは数える位しかない事だからな、かなり大がかりなものになってるらしいぞ」

 これはグラッドとシルバーのおじいちゃんの事だな。この二人とこの二人が率いていたPTメンバーは、獣人連合の中央部に招かれたらしい。グラッドは王の首を取った猛者として。シルバーのおじいちゃんは門を守りきり、士気を保ち続けた守護者としての姿が高く評価されたらしい。今回の報酬は、防衛に参加した人に5万グローが基本給として支払われた。そこから活躍の度合いによってお金が上積みされていき、自分は三十七万グローほど頂いていた。そして追加の報酬で、バッファローの王と直接やりあったメンツは街の間で動いている馬車の運賃が無料になるパスを譲られた。

 だが、グラッドPTとシルバーPTにはそれだけでは支払いきれないほどの貢献をしたという事で、中央に招かれて更なる報酬が渡されることになった……と噂で聞いている。まあそれだけの事をしたってのは、プレイヤー側もこちらの世界の人にも共通して認識されているという事だろう。それと、バッファローの王のドロップはどうやらほとんどをグラッド達が獲得していた。まあ貢献の度合いからいって当然の事か。

「何でもバッファローの王と直接やりあったのは全員人族だって話じゃねえか。本来なら俺達が真っ先に立たなきゃならねえってのに」

「今回の事で、でかい借りが出来ちまったよな。いつか俺達にできる形で返さねえとならねえよな……」

 丸太を加工しながら、そんなことを話し合っている獣人の職人さん。今回の一件で、今回の防衛戦に参加したプレイヤーと獣人連合との間には良好な縁が結ばれたとみていいだろう。仲が良くなれば色々と融通を聞かせてくれるだろうし、獣人連合での旅をやりやすくなる。この良好な仲を維持していきたいものだ。

「そういやにーちゃん」「はい?」

 突如、世間話をしていた獣人の職人さんがこちらに声をかけてきた。何かあったかな?

「にーちゃんも人族だろ? もしかして、今回の防衛戦に参加してくれてたんか?」

 別段隠す事でもないので、自分も参加しました。所属していたのは遊撃の部隊でしたと獣人の職人さんに返事を返す。

「おー、にーちゃんも参加してくれてたんだな。本当にありがとうよ、今回はにーちゃん達の様な人族の皆が居なかったら厳しかった戦いだからなぁ。ってか、戦いで疲れてるはずなのに、今こうやって門の復旧を手伝うとかしてくれて大丈夫なんか? こっちとしちゃありがたいけど、無理しちゃいかんぞ〜?」

 ああ、単純にこっち気遣ってくれただけか。

「問題ないですよ、自分は弓使いだったので手傷を負わずに済みましたから。それに自分で自分の弓を作る事もやっているので、木材の加工なんかもこうやって行えますし」

 よし、この木の加工はこれで良し。次はこいつだ。

「いやいや、確かに怪我はしてないようだけど、あれだけの戦いを乗り切った以上まだ体に疲れが残っててもおかしくはないだろーに。街でのんびりしていてくれても良いと思うんだがなぁ」

 そんなことを獣人の職人さんは言ってくるけど……別段無理はしてないんだよねぇ。もちろん数日はノンビリしてるーっていう人達は居る。バッファローの王に水魔法を当てるべく感電死覚悟で水魔法を放ったノーラも、しばらく獣人連合の南街でのんびりとしたプレイすると聞いている。

「んー、そこは人それぞれと言う奴でしょうね。実際今回の防衛に参加した知り合いにも、しばらくノンビリするーって言っている人もいますからね。まあ、自分にとってこうやって作業している方が落ち着くと言いますか……」

 ああ、工場勤務の悲しい性。こういう作業をしていると落ち着くんだよな……同じものを作っていくという面で共通する部分がある。まあ工場は流れ作業な部分もあるから、何から何まで一緒という訳ではないけれど……。

「それならそれでいいけど、無理だけはしないでくれよ〜? 防衛戦に参加した勇士を過労でダウンさせたなんてことになったらシャレにならんからなあ」

 はっはっはと笑いながらも、そんな事を言う獣人の職人さん。こちらもははは……とちょっとだけ乾いた笑い声で対応する。乾いた笑い声になったのは、過労という言葉に顔が引きつった為にあんまり笑えなかったから。うちの会社はスケジュール的に極端な事にならないよう配慮されているからいいが、学生時代の知り合いの中には体を壊した奴もそれなりに居るからな……。

 とまあ、そんな周囲の職人さんと軽口をたたき合う事もして、さらに数日が経過した。漸く門の右側も完成し、門に取り付けられた。テストも行われて問題なしとなり、ここに門の修繕目的の木材修繕は完了した。

「職人、ならびに協力者に感謝する。予想よりも早く門の修繕が完了した。これから報酬を渡す為、並んでほしい」

 現場の総監督からそんな報告と共に報酬が手渡される。今回の報酬は二万四千グロー也。リアルでしばらく街中に拘束されたが、まあ一切戦闘をしないで得られたお金としてはそれなりに多いだろう。さて、復旧のお手伝いをしながらの休憩もこれでお終いにして、そろそろ東街の外に出てみますか。今度は北にでも行ってみようかね……。
************************************************
地味にこういう時に出番がある木工スキル。

スキル

風迅狩弓Lv40 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv32  技量の指Lv41 ↑1UP 小盾Lv28 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv73 ダーク・チェインLv3 義賊頭Lv27 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.80

控えスキル

木工の経験者Lv8 ↑7UP 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 21

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
しおりを挟む