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連載

修行の成果、そしてブルーカラーの参加

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 それから一週間ほど、ワンモアでの活動は一日を除いてほぼ毎日痛風の洞窟に挑む毎日だった。ドジってなんどかやられたりもした……が、その成果もあって、ダークチェインスキルがLv30を突破し、新しいアーツを二つほど獲得した。

 まず一つ目はスキル15で覚えた《トレーサークロウ》というアーツ。ONとOFFを任意で切り替える事が可能なスイッチ系アーツで、ONにしているとその間MPを持続的に消耗する。アーツの効果は、スネーク・ソードの後ろに闇で出来た三本の爪が生まれ、その爪がスネーク・ソードの切った場所をトレースしてついてくると言う物。つまりは一回スネーク・ソードを振るだけで二回攻撃になるという事である。

 そしてもう一つが30で覚えた《サドンデス》。突然の死という名前が表わすように、相手を一撃で倒す可能性があるアーツである。だが、どこに攻撃を当てても良いという訳ではなく……

1.即死を発動させるためには相手の弱点部分を正確に捉えなくてはいけない。弱点部分以外に攻撃を当てた場合は、ほとんどダメージが発生しない。

2.発動するためにはMPの『最大値の25%』を消費する必要がある。たとえどんなにスキルレベルが上がっても、この消費量が軽減されることは無い。

3.条件を満たしても、必ず即死させる訳ではない。弱点を捕えたのに即死させなかった場合は、コストに見合ったそれなりの重いダメージを与える。

4.発動するときは、スネーク・ソードを鞘に納めている状態でなければならない。弱点に当たる直前に発動と言った手段は使えない。

5.一定以上の力を持つ相手には即死させる確率が下がる。具体的にはボス。

 といった制約が多いアーツでもある。MPの消費が一回発動するだけで四分の一減るわけだからホイホイと気軽には使えない。だが物は試しとばかりにアクアの協力を得て北街の周囲に住むバッファロー達相手に一日かけて放ってみた。

 その結果、アーツを使った時に弱点を捕える事に成功した回数は11回ほど。そして即死したのは6回、大ダメージが5回と弱点に当ればかなり即死確率は高い。念を押して言うが『敵の弱点にきちんと当たれば』だ。弱点に当てる為にはかなり神経を使う。アクアにお願いしてバッファローの気を引いてもらわないと、自分の今の腕では当てる事が出来なかった。

 とまあ、順調に自分は成長していた訳だが、ここでメールのやり取りをしているツヴァイ達からちょいとお声がかかった。内容としては、

『そのアースが今行っているダンジョン、一度行ってみたい!』

 この一言でまとめられる。様は新しい場所に行ってみたいのだろう。そして今は北街のある場所で待ち合わせ中である。

「ようアース、済まねえ、遅れた!」

 待ち合わせ時間を一分ほど超過したところで、ブルーカラーの面々がやってきた。こいつらが遅刻とは珍しいな。

「ああいや、一分ぐらいなら問題はないよ。んで、もう一回確認したいのだが……本当に痛風の洞窟に挑みたいと言うのか?」

 と念押し。あそこは軽い気持ちで行くとあっさり死ねるからなぁ。前もって準備をしっかりしておかないと中の寒さで行動することすらままならない。

「ああ、行きたいんだ。どういったモンスターがいるのかが気になるし、いろんな所を見て回りたいからな」

 と、レイジが答える。ふむ、他のメンバーからも反論が出ない事を見ると、本当に行くことで意見が纏まっているようだな……では、早速最初に行かないといけない場所がある。

「了解した、じゃあ痛風の洞窟に向かう事にしようか……と言いたいのだが、その前に絶対行かなきゃいけない場所がある。自分について来てくれ」


「お前ら、こんな格好であそこに行くつもりか! このにーちゃんがここに連れてきた訳がよくわかったぞ! あの洞窟は準備を整えていかないとどんな屈強な戦士でもあっという間に死ぬぞ! 主に寒さで!」

 そして、今自分とブルーカラーのメンバーは、道具屋のおっちゃんの店の中に居た。ハッキリ言おう、ブルーカラーのメンバーをあのまま痛風の洞窟に連れて行ったらモンスターと戦う前に全滅しただろう。死因はもちろん凍死。そうならないようにするために、この道具屋にブルーカラーのメンバーを引っ張ってきたのだ。

「とにかく、動きにくいという意見は却下だ! こっちのにーちゃんのように全身を包む外套などを鎧の上から纏え! そうしないとあっという間に寒さで体をやられて死ぬだけだ!」

 と、道具屋のおっちゃんにどやされてブルーカラーのメンバーは準備を整えるのにてんてこまい。それとやっぱり外套やローブと言った鎧の上から纏えるものは必需品だったようだ。自分の場合は最初から纏っていたからこそ何も言われなかっただけか。

「アースよ、ほんとにこんな準備が必要なのか〜?」

 ツヴァイが情けない声を上げるが、自分は静かに頷いた。

「ここの道具屋のおっちゃんの言う事には全面的に従ってくれ。本当にこれから向かう痛風の洞窟は事前の準備が肝心だ。ここで準備を怠って無理やり行ったら、20分もかからずに全員が凍死するぞ。特に筒形の温度上昇の道具、そして外套は絶対に買っておいた方が良い。洞窟の中は本当に厳しいから、そのためだけに買う価値は十分にある」

 実体験から、そうツヴァイに告げる。あの洞窟の寒さと言う厄介な敵は、準備を怠れば容赦なくこちらの熱を奪ってから命を刈り取りに来る。ツヴァイ達も一度中に入れば身を持って納得するだろう。そしてここのおっちゃんの忠告が本心からの物であると理解できるはずだ。

 そうしていろんなアイテムがツヴァイ達のアイテムボックスに収まって、ようやく出発できるようになった。時間はかかったが、ここで準備をしていかないわけないは行かないからな。自分もアイテムを補充して、十二分に準備を整えた。これでようやく出発できる。

「よし、じゃあ向かう事にしよう。洞窟に入れば、ここで費やした時間は無駄じゃなかったと痛感できるから」

 若干疲れた表情を浮かべるブルーカラーのメンバーを見ながらそう声をかけた。

「にーちゃん、にーちゃんは最近よく行ってるからある程度はあの洞窟内での行動は慣れてるだろ? こいつらのサポートをしてやれよ」

 道具屋のおっちゃんの言葉にうなずく事で応え、道具屋を後にする。その後は街の外に出て歩くことしばし、ようやく目的のダンジョンである痛風の洞窟前に到着した。

「アースさん、やはりこの外套と言う物は動きにくくなるのですが……どうしても脱ぐ訳には行きませんか?」

 特に外套姿に不慣れな様子であるカザミネから、そんな不満が出て来た。だが、自分は首を振る。

「ダメ。どうしてもというのであれば、洞窟の中に入った後で脱いでみるといい。脱いではいけないという自分の言葉が分かると思うから」

 カザミネにそう返答を返した後に、ゆっくりと痛風の洞窟の中に入る。数歩足を踏み入れただけでヒヤリとした冷気がお出迎えをしてくれる……気を引き締めなければ。

「うわっ、一気に寒くなって来たわ。外套を着ていてもこの寒さなのね……私は絶対に着ている外套を脱ぎたくないわ」

 ノーラの言葉に、ミリーも無言でコクコクと頷いている。体を冷やしたくない女性にとっては、ここの寒さは特に堪えるだろうな。

「先程の自分の言葉を取り消します。アースさん、生意気を言ってすみませんでした……そしてあのお店に連れて行ってくれてありがとうございます。あのままの恰好でここに入っていたら、あのお店の人が言っていた通りに凍死するまでにそう時間はかからないでしょうね……」

 カザミネも洞窟の寒さを知って、すぐに先の言葉を撤回したようだ。自分も少しは慣れてきたとはいえここの寒さはきついからな、カザミネの漸減撤回を笑うつもりはない。

「分かってもらえればいいよ。そして、この先はもっときつい。覚悟を決めてもらうからね」

 自分の言葉に女性陣のミリー、ノーラ、エリザがげんなりした表情を浮かべるが……あの冷風を超えるのが正規ルートだからな。残念だが我慢してもらうしかない、な。
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スキル

風迅狩弓Lv40 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv32  技量の指Lv45 ↑3UP 小盾Lv31 ↑2UP 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv79 ↑4UP ダーク・チェインLv31 ↑17UP 義賊頭Lv28 ↑1UP 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.82 ↑UP

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 26

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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