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連載

PT戦終了

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 ブルーカラーのメンバーと検証を行いつつ氷の結晶集団としばらくの間戦った。そしていくつか新しくわかった事だが……氷の結晶の幕は、ほとんどの魔法に対して耐性を持つものだと判明した。より詳しく調べると……火属性の魔法は問答無用で反射。地と風は魔法の内容によって対応が異なる。水は吸収(一応念のために行った)。闇は使い手がいないので不明だが、光も魔法内容によって膜の対応が異なっていた。

 地と風は、単体狙いの魔法ならば膜を貫通する。ただしかなり速度が減衰してしまうので当てる事はほぼ不可能と考えていい。そして複数を巻き込むような範囲魔法だと跳ね返される。光も単体狙いの魔法であれば通るが、複数狙いの魔法になると屈折させるような形で無力化される。つまり、このモンスターは範囲攻撃を絶対に許さない特性を持っているのだ。

 この事から、実質ミリーとエリザの使える魔法で唯一攻撃手段として使えるのは単体攻撃の光魔法だけであると確定した。逆に一つでもここのモンスターに通じる属性があってよかった、と考えた方が良いのかもしれない。

「自分達の弱点を自覚し、それをさせないように徹底する。モンスターも侮れんな……」

 そして今は、安全な場所で腰を下ろし筒を握りつぶして暖を取りつつの休憩中。その休憩の最中にレイジがこぼした言葉に皆が同意する。

「自分一人の時ではわからなかったことがかなり多かったな……このダンジョンは前衛系の修練がメインなんだろうな。おそらくだが、魔法使いがメインとなる修練の洞窟もどこかにあると思うが」

 あのモンスターから考えられることはそれで間違いないはずだ。回避行動が得意な敵を相手にすることで攻撃の正確性と無駄を落とし、盾や回避行動で攻撃を受けない事を学ぶ事で生存率を上げる。ただ、度が過ぎている点がひっじょ〜に気になるのだが。

 近距離では氷の結晶達が撃ってくる水弾を回避することはかなりきついはずだし、氷の結晶達の動きもちょっと早すぎると思う。レイジのように大きな盾を持つか、自分のように中距離から攻撃できる武器を持っていないと水弾を対処することが出来ないと思うのだが。

 それでも、ある程度戦っているうちにレイジも防御するタイミングを掴み、反撃できるようになっていたから極端に無茶って訳でもないのか?

「ですけど〜、私やエリザちゃんもやれることがある以上攻撃には参加しますよ〜。光魔法が上げれる機会ってあんまりないですし、最近伸び悩んでいた魔法属性ですからここはありがたいです〜」

 とはミリーの談。なんでも最近は、回復や補助魔法だけでは光魔法のスキルレベルが上がらなくなってきており、攻撃にも使う必要性が出てきた。だが、火力が他の属性と比べるとやや劣る事からなかなか使う機会がなかったとの事。だが、ここならば攻撃魔法としての出番があるという事で、光魔法のレベルをこの洞窟での戦いでガツンと上げておきたいらしい。

「そういう事ですので、もうしばらくここで戦いっていきたいのは私も一緒ですわ。前衛の皆様がもう精神的にきついとおっしゃるのであれば仕方がありませんが……」

 エリザもこの機会に光魔法を上げておきたいという意見を出してくる。そうなると盾役のレイジ、残り僅かになったところを確実に削ることができるカザミネの二名次第になってくる。ツヴァイ? 彼はヘロヘロになってもノーラが何とかするので除外というのが共通認識だ。

「まあ気持ちは分かるわ。最初に二つぐらい結晶を倒させてもらうようにしてもらっただけで、私の短剣スキルもかなりのペースで上がってるものね。その反面、妖精たちが活躍できない一面もあるけど……」

 言い忘れたが、妖精達の攻撃は全て無力化されている。いや、妖精達が行える防御手段の壁系魔法もほぼ無力化されていると言った方が正しいか。水は無意味、火と風はすぐに消失。土が一番持つが……あくまで他の属性に比べればであり、すぐに崩れるので当てにできない。

 なので契約妖精達は安全な場所で主人に補助魔法をかける位しか出番がないのだ。実際にブルーカラーの妖精達はしょんぼりしており、各々の主人に気にすることは無いと慰められている状況であったりする。

「仕方がありません、この洞窟のテーマは私達自身の攻撃能力と攻撃対処能力の底上げのようですからね。契約妖精に頼ってはそれが行えないという理屈で、力を発揮できないようにされてしまっているのでしょう。契約妖精の皆さんには悔しい思いをさせてしまっていますが、ここは我慢してもらうしかありません」

 カザミネが、自分の契約妖精のハーピーを慰めながらそう結論付ける。まあそれしかないよな、こういう特殊な場所でない限り契約妖精達は大いに戦いに貢献してくれる訳だし、今回は例外だろう。

「それはそうと、お代りはいるか?」

「「「「「欲しい!」」」」

 自分がアイテムボックスから仕込んでおいたミルクティーをちらつかせると、一気に食いついてくるブルーカラーのメンバー。道具屋のおっちゃんの店にも当然熱い飲み物が入れられた魔法瓶みたいな物はあったのだが、中身がちょっと肉の味が濃厚すぎて飲みずらいという一面が。

 一種のスープなんだろうが、ブルーカラーのメンバーと自分にはあまり合わなかった。妖精達は喜んで飲んでいるので無駄にはなっていないけど。自分がミルクティーをブルーカラーメンバーが持っているそれぞれのカップに注ぐと、すぐに口をつけて飲んでいく。

「はぁー、生き返るわ」

 ノーラの言葉にうんうんと同意している他の女性陣。できるだけ注意して紅茶を入れたのだが、リアルでの店売りミルクティーに比べるとちょっと見劣りする味かな? と自分では思う。しかし、今は温かい飲み物を口に運べれば十分という環境が手伝って美味しく感じているのかも知れない。

「アースの準備の良さに感謝だな……寒い場所だってのはよくわかっていたつもりだったが、見通しが甘かったぜ。ワンモアの開発者の腹黒さを俺はまだまだ舐めていたらしいな」

 ツヴァイの言葉に自分は苦笑い。ここまでVRで寒さを再現するとか、相変わらず変な方向に力を入れている開発である。

「しかし、もしかするとですよ? 魔法使いの人を修練させることをメインとした場所があるとするならば、ここと真逆でとてつもなく暑いとかありそうですよね?」

 そんな会話を聞いていたカザミネがそう言葉を投げかける。その言葉を聞いた他の人の反応は、「「「「「十分にありうるな」」」」」であった。これだけ寒さを再現するのであれば、その制反対があってもおかしくない。

「そうなると〜、溶岩が噴き出す場所とかでしょうか〜? あれでしたら熱い場所であると分かりやすいですよね〜」

 ミリーの言葉に、そのパターンが濃厚だろうなと同意する自分と他のブルーカラーメンバー。この言葉はまさにフラグとなっていたのだが、この時点では誰も知らない。

「さて、カザミネ。行けるか? それとも今日は引くか?」

 休憩も終わりの時間となり、もう少し戦うか引き上げるかの話になり始める。氷の結晶体が残り僅かとなり、高速で動き回って回避する状態になってしまってもそれを撃ち抜けるカザミネの存在がこの戦いにおけるキーマンだ。カザミネがもう無理というのであれば、引き上げるのが妥当となる故に、カザミネの意見がこの場では一番重要視される。最終確認としてレイジがカザミネにそう告げると、カザミネは一度頷いた後に返答を返した。

「あと数回ならば大丈夫です。ですがそれ以上はさすがに集中力を保ち続ける自信がありません」

 と、カザミネからの報告。

「よっし、ならあと三回だけやろうぜ。三回やったら今日は引き上げ、それでいいよな?」

 ツヴァイの発言に反対する意見は出なかった。そしてツヴァイの言った通り、氷の結晶団体と三回戦った後に痛風の洞窟を後にした。冷風の中を突破する事が苦手なレイジとエリザは、帰りも自分が引っ張る事で対処した。

 そして誰かが死亡することもなく、無事に北街まで戻ってきた。ただ、ちょっとカザミネが疲れた表情見せている。高い集中力を要求される行為を行ったから、無理の無い話である。だが、あのカザミネの集中力と攻撃の鋭さは見習うべき点だろう。伸ばせることでリーチが確保できる惑であのようにアーツに頼らない鋭い突きが行えるようになれば、かなりの戦力アップになる。目指すべきあの突きに近いものができるようになるまで、ひたすら痛風の洞窟に籠るのも悪くないな。

「今日はお疲れ、アースも案内とミルクティーありがとな! で、俺達もしばらく痛風の洞窟で修練を積もうと思うんだが、それについての話し合いを明日しようぜ。とにかく今日はこれで解散だ!」

 と、ツヴァイの言葉でPTを解散させて宿屋に戻りこの日はログアウトした。リアルに戻った後も、しばらくの間カザミネの繰り出す突き攻撃のイメージがなかなか離れなかった。アレに一歩でも近づくことがこれからの目標だな。
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モンスターのネタが枯渇庭園。

スキル

風迅狩弓Lv40 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv38 百里眼Lv32  技量の指Lv46 ↑1UP 小盾Lv31 隠蔽・改Lv3  武術身体能力強化Lv80 ↑1UP ダーク・チェインLv33 ↑2UP 義賊頭Lv28 妖精招来Lv13 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.82

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv26  釣り LOST!  料理の経験者Lv17 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 26

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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