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連載

情報交換

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 カザミネとカナさんと一緒に行った結晶狩りも終了し、二人と別れた直後にツヴァイにウィスパーチャットを飛ばす。少し後にウィスパーチャットの許可をツヴァイが出した事によりつながる。

【ツヴァイ、今時間はあるかな? ちょっと相談というか確認してみたい事があるんだがいいかい?】

 自分の問いかけに対するツヴァイからの返答は、【ああ、時間なら大丈夫だぜ! 話って何だ?】との言葉が返ってきた。ツヴァイ相手なら回りくどい事をしなくていいな。単刀直入に聞いてみよう。

【カザミネやカナさんから聞いた話になるんだが、ツヴァイは最近自分が使っている火の魔剣に違和感を覚えている……と言うのは本当かな?】

 この質問をツヴァイにした所、一瞬の沈黙の後に【ああ、本当だ。なんか最近おかしいんだよ。使い始めの時から比べて慣れてきたことによる変化とかじゃとてもじゃないが説明できない】とツヴァイからの返答。なるほど、確かに自分の状況と酷似しているな。これは直接顔と魔剣を突き合わせて話をしたい所だ。

【今日はもう遅いから、明日時間を取ってじっくりと話し合いたいんだが……実は自分も、ツヴァイの言うような違和感を手持ちの魔剣から受けている状態で……】

 即座にツヴァイが【アースもそうなのか!? 俺だけじゃなかったのか!】と興奮したような言葉を上げていた。そうしてとにかく明日じっくり話し合う事で話を纏めてこの日はログアウトした。


 そして翌日ログイン後、ログインしたことを伝えるためにツヴァイにウィスパーを送って了解を得てからツヴァイが使用している宿屋の個室に入って話し合う事にした。宿屋の主人に案内してもらってツヴァイが使っている部屋の前に案内してもらい、ノックをする。

「よっ、アース。待ってたぜ! 入ってくれ」

 ツヴァイの許可を貰って中に入った宿屋の個室の中には、ツヴァイとカザミネが居た。

「今回の話は私にとっても重要性が高そうなので参加させてもらいます。よろしくお願いします」

 同時期に魔剣を手に入れたカザミネにとっても大事な話になるのは間違いないな。自分はカザミネに向かって頷いてからあいている椅子に座らせてもらった。

「さてアース、早速なんだがお互いの魔剣を手に持ってMPを流した状態を見せ合わないか?」

 ツヴァイに言葉に従い、自分とカザミネは魔剣を鞘から抜きMPを魔剣に流す。そして自分の魔スネーク・ソードは刃が完全な闇となり、ツヴァイの魔剣は刃部分が明らかに灼熱の輝きを放ち始め、カザミネの魔剣はより冷え切った刃の輝きを放つ。お互いの魔剣の様子をお互いに見せあった後、ほぼ同時に誰もが魔剣にMPを注ぐことをやめて刃を元に戻す。

「で、だ。アースとカザミネ、今どんな感じだ?」

 魔剣を鞘に納めながらツヴァイが質問を投げかけて来る。

「別段何ともありませんね。MPの消費量なども別段変わっていませんし、気持ち悪いと言った感じを受ける事もありません」

 こちらはカザミネの返答。そうか、やはりカザミネには今自分が感じている違和感はないのか……

「──こちらは妙な違和感を感じている。目の前にモンスターがいれば、惑……自分の魔剣は即座に反応して攻撃を仕掛けていただろうな……これは気のせいじゃない」

 自分の返答にツヴァイは普段あまりしない難しそうな顔をしている。

「俺やアースは感じてカザミネは感じない、か。一体何が違うんだ? 俺とアースとカザミネが今持っている魔剣を手に入れた時期はほぼ同じだ。魔盾や魔鎧なんかも含めればミリーやレイジ、カナも可能性の中に含まれてくる。だが前もってその三人に話を聞いてみたんだがこの三人も特に違和感なんか感じないという事だった。俺とアースの共通点なんかほぼ無いだろ? 持っている魔剣の種類もそうだが、戦い方や普段の行動内容も全く違うしな」

 ツヴァイの言葉に、自分は頷く。そうだな、確かにツヴァイと自分には共通している物はプレイヤーであるという事だけだろう。それ以外はスキルの取り方や戦闘方法、行動内容も全く違う。

「私から見ても二人に共通している部分はちょっと見いだせないですね。ゲームのプレイヤーという点以外は共通点はほぼ無いのでは? 魔剣持ちという部分も共通していると言えば共通していますが、それを含めると、同時期に魔剣などを手に入れた私やミリーさん、レイジさんにカナさんにはこれといった変化や違和感が起きていないのですから、共通点として考えるのはおかしいですし」

 カザミネから見てもやはりそういう結論になるか。う〜んと部屋の中で唸る男三人。三人いれば文殊の知恵なんて言葉もあったが、今この場では通用しない様だ。せっかくお互いに時間を取って顔を合わせたのに、何の結果も出せずに終わるってのはちょっと悔しいんだが。そう思っていると、指輪から呼びかけがあった。

(ちょっといいかしら? もしかしたらって可能性に過ぎないけど、謎の一端が解ける可能性ならあるわ)

 クィーンの分身が指輪の中からそう呼びかけてきた。何かあるのか?

(本当か? このままでは八方ふさがりだ。些細な事でもいいから教えてほしいんだが……)

 この自分のお願いと言うよりは懇願に近い言葉に、クィーンの分身はこう答えた。

(貴方に通風の洞窟に行く事を勧めたあの占い師……の様な事をしていた人の所に行けば良いと思うわ。あの人はきっと何かを知ってると私は予想しているの。個人的な意見になるのだけど、あの人は占い師ではなく学者と言った方が私としてはしっくりと来るわ。占うのではなく今までの経験と蓄えた知識で目の前の立った人の事を見抜いて成長できるように促していたとすれば……今回の魔剣の変調みたいな物? も予想の範囲内にあるのではないかしら?)

 ──なるほど、あの占い師か。このままここで考えていても答えは出そうにないし、行ってみる価値はあるな。

(分かった、早速行ってみる事にするよ)

 クィーンの分身に礼を言うと(じゃ、私は眠るわね。最近なんだか眠くって)という言葉を残して通信が切れた。そしてクィーンの分身と話した事の内容をツヴァイとカザミネに話してみる。

「そっか、あの洞窟をアースが知ったきっかけはそんな人にアドバイスを受けたからなんだな。それなら行ってみる価値は十分にありそうだな!」

「そうですね、ここでこうしてもいても埒があきません。何らかのきっかけを得る事が出来るのであれば、行動してみるべきでしょう」

 と、二人からの同意も得られたので早速行動を開始。宿屋を出て、記憶を頼りにあの占い師がいた場所を探す。少々記憶違いがあって迷ったが、二十分ぐらいであの占い師を見つける事が出来た。今日も路上の端で外套を身に着けて顔を隠しながら占い? をしている様だ。先客が二人ほどいたので立ち去るのを大人しく待った後に占いの席に自分が座り、ツヴァイのカザミネは自分の背後に立った。

「おや、先日の方ですね。どうですか? 修練は進んでいますか?」

 どうやら向こうもこっちを覚えていたらしい。ならば話は早いな。

「ええ、おかげさまで教えてもらった場所での戦いは良い修練になっております。実はその修練をしていた時におかしなことが起きるようになりましてね……気のせいという言葉で処理するには無理なのでここにもう一度お邪魔させていただきました。そして単刀直入に言いますが、今使っている魔剣から、妙な違和感を覚えるようになっています。そのことについて、何かご存じありませんか?」

 しばしの沈黙の後、占い師? からは「本当ですか? そしてそれはどのような違和感ですが?」と説明を求められたので内容を説明する。こちらの話を聞いた占い師? はううん、と唸るような声を上げてから商売道具であるはずの水晶玉などを突如片付け始める。その作業をしながらこちら側にこう話を振ってきた。

「それが本当であるなら、ここではちょっと話せません。どこに耳があるか分かりませんから……ですので、我が家にて話をさせていただきたいのです。よろしいでしょうか? もちろん後ろのお二方も一緒に」

 自分は振り返ってツヴァイとカザミネに視線で(どうする?)と問いかけ、二人は一度こくりと頷く。確かにここで引いてしまっては何もわからないしな……手下の義賊リーダーもこの占い師は白……悪事を働いている奴じゃないと言っていたから変な罠を張られている可能性は低いだろう。ここはこのままお邪魔させていただくことにしよう。

「解りました、それではそちらにお邪魔させていただきます」

 さて、何が飛び出してくるのだろうか? 魔剣について何かしらの有用な話が聞けるといいのだが。
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そろそろ書籍化作業の後半戦が始まる……
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