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連載

魔剣とは?

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この考えは、あくまでワンモア世界での考え方です。
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 占い師? に案内された家は、獣人連合の中ではやや大きめの一軒家だった。そして中に通されたのだが、とにかく色々な所にぎっしりと本が満載された本棚が並んでいた。ざっと見ただけでも数百冊では済まないだろう……もしかしたら数千冊の本がこの家の中にあるのかも知れない。

「大したもてなしもできませんが……とりあえずこちらへ」

 占い師? が外套を脱ぐと、中からは女性の狐獣人さんが顔を出した。耳は帽子をかぶって無理やり曲げていたようで、脱いだとたんにピンと高く立つ。そして自分達は居間に案内され、そこにあるソファーに腰掛けるように促される。この居間にもかなりの本がずらりと並んでいる。

「さて、お茶をお持ちしますのでしばしお待ちを。話はその後で」

 そう言っていったん家の奥に姿を消す狐の獣人さん。自分、ツヴァイ、カザミネは素直にソファーに腰を下ろす。座り心地はなかなかいい。

「これはすごいな……図書館よりも本があるんじゃないのか?」

 周りをぐるっと見たツヴァイの感想に、自分とカザミネは同意する。本の内容が気になるところだが、勝手に見るわけにはいかないのでおとなしく待っている状態だ。そうして二分ぐらい後に狐の獣人さんがお茶とお茶菓子が入った器を乗せたお盆を持って姿を現した。

「お待たせしました。話が長くなるかもしれませんので、まずはお茶とお茶菓子をどうぞ」

 丁寧にお茶とお茶菓子を自分達の前においてゆく狐の獣人さん。そうして獣人さんも自分自身のお茶を置いてから椅子に座る。

「さて、まずは自己紹介をさせていただきます。私は歴史や昔にあった事柄などを調べて纏め、後の世に残す仕事をしているケティと申します。そして今から話すことは、まだ私としても正しい事なのかどうか確証が取れていないあやふやな一面がある話になりますことを前もってお断りさせていただきます」

 この狐の獣人さんであるケティさんの言葉に、自分やツヴァイ、カザミネはほぼ同時に頷く。

「ありがとうございます。ではまず最初に『そもそも魔剣とは何か?』と言った話をさせていただきますが……皆様にとって魔剣とは何でしょうか? お答えいただけますか?」

 このケティさんの言葉に返答を返したのはツヴァイだった。

「え? そりゃ……魔法を付与して魔法の属性を持たせている剣って事じゃないのか? そしてよりよい魔剣はさらに特殊な技が使える様になっている……これじゃダメか?」

 ツヴァイの返答を聞いたケティさんはゆっくりと頷く。

「はい、そのお答えで大体問題ありません。ですが、それは『今の世界において』という一文をつけなければなりませんが」

 ふむ? 今の世界において……ですか。つまり昔は違うって事かね? そんな自分の中に沸いた疑問をカザミネが代弁した。

「今の世界においてという事は、以前は違った……という事になりますよね? それは一体どういうことなのですか?」

 カザミネの質問にケティさんは席を立ち、一冊の本を持って帰ってくる。その本はかなり古いもののようで、ボロボロになっていた。

「この本を始めとして、数冊の本にしか記述されていないのですが……先程の貴方が答えてくださった魔法の属性を持たせている剣とは『魔術剣』や『魔導剣』などと呼ばれており、『魔剣』とは完全に区別されていたようなのです。より具体的にいえば『魔術剣』は魔法の属性を持たせた剣であり、『魔導剣』は魔術剣に更なる力を付与して魔法の才がない者でも疑似的に魔法のような能力を使えるようにした物の様です」

 そんな明確な区別があったのか。そうなると過去の死者の挑戦状などで出てきた属性を持っている魔剣は『魔術剣』であり、今自分やツヴァイ、カザミネなどが使っているのが『魔導剣』に属することになるのか。そうなると『魔剣』とは一体どういった物を指すことになるのだろうか?

「さて、『魔術剣』『魔導剣』と言う物に関してはそういうものだ、という認識で構いません。そうなると当然、皆様も『じゃあ魔剣とは何なのだ?』という疑問をお持ちになったと思います」

 このケティさんの発言には、即座に首を縦に振って肯定する自分達。ツヴァイもカザミネもその疑問を当然ながら持つのは当然の事だろう。

「そして魔剣とは……私が調べた範囲での結論になるのですが、『魔法そのものが剣の形を取った物』というのが現時点で調べ上げた結果から導き出される結論です」

 魔法そのもの? そりゃゲームによっては魔法で作られた剣を短時間振り回すことができるなんて物があったけど……それに近いのか?

「これだけでは漠然としすぎていますが……そもそも『魔術剣&魔導剣』は、魔剣のレプリカの様な物です。魔剣は人の手では作れないのですが、出来る限り魔剣に近いものをを作りたいと欲した人達が疑似的な物を作った結果生まれた様です。それが長い歴史のうちに魔剣としての立場を得たのですね。何せレプリカとは言え、魔剣とは違って人の手で作ることができるという一点が大きなアドバンテージですから」

 えーっと、つまり魔剣とは魔法が作った天然物みたいな物で、それをまねて作られたのが魔術剣と魔導剣という人工物だって事か。この考えをケティさんに行ってみた所、「はい、その考えで問題ありません」と言われた。

「そこで、じゃあ元となった魔剣はどうやって生まれてきたのか? という疑問が湧き上がりますよね。これは本によっていくつかの説が見受けられましたが……主に三つあったそれらを述べますね」

 1.環境発生説

 地水火風光闇の属性が強い所に魔力が集まり、一種の魔法を編み上げた結果生まれたという説。火なら火山、水なら海や川など……というように属性の力が強い所に魔力が組み合わさり、自然が魔法を唱えたような状況が出来上がった時に、結果として魔剣が生み出されたと言う物。昔のおとぎ話などに出て来る強力な剣が人知れない場所に突き立っていたのは、自然が偶然の積み重ねによって魔剣を生み出だしたからであると。そんな魔剣を手に入れたからこそ、主人公は物語の中で活躍できたのだ──と考えるパターン。

 2.魔物生成説

 一般的な魔物とはけた違いの力を持つ魔物の体内で、魔法が時間をかけて徐々に形を取ったのが魔剣であるという説。これまた昔話や今でも物凄い強さを誇る魔物を討伐した際、なぜか数本の剣が落ちていることがある事から生まれた説。魔物が人の使用していた武器を取り上げて体内などに隠していたのではなく、魔物の体内で生成されたからこそ討伐された際に魔剣などがその場に残されるのだという考え方。

 3.魔法使い作成説

 数百年に一度の稀代の魔法使いが、自分の命と全魔力を引き換えにして魔剣を作ったとする説。実際にその場に立会い、その剣を受け取った戦士が活躍するという話はここから来ているとする考え。だが、魔剣を人の手で作れるのか? という疑問が残る上に(人の手ではどうやっても魔剣が作れないからこそ、レプリカである魔術剣や魔導剣が生まれたんじゃないか? という流れに矛盾を生む)もし本当だとしても、稀代の魔法使いをたった一本の魔剣を作る為だけに使い潰す事のはまずあり得ないとされる為に否定されることが多い考え方。

「となっています。有力なのは最初か二番目で、最後のはどの本にも否定的な考えが多かったですね。ちなみに私は二番目が一番信憑性が高いと考えています」

 そう言ってお茶を口に含むケティさん。確かにツヴァイやカザミネが持っている魔剣はダークエルフの谷で戦った馬鹿でかいワームのドロップ品だった。もしその二つが魔術剣や魔導剣ではなく、本当の意味での魔剣だったとしたら二番目の説が一番有力だろう。だが、自分が手に入れた惑はあの暗闇の中に居たダークエルフたちの神? から譲り受けた物。こちらは出所がよくわからないんだよな。

「ひとまずいったん休憩しましょう。話はもう少し続きますので……」

 ここで軽く休憩を入れて、考えを纏めるか。それにしても、魔剣にも格があるというのは分かっていたが……ここまではっきりとした違いをこうやって知ることができるとは思わなかったな。
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12月1日に、ダイジェスト化する場所の発表を行います。また今回は今まで出した本の中でも一番の手直しが入っています。かなり受ける感じが変更されていますので、WEB版を保存しておきたい方はお忘れなく。
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