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連載

森での戦い、その2

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 ミリーの魔法と、リフールさんの挑発アーツである程度体勢は立て直せた。が、ある程度攻撃をし掛けるとすぐにその攻撃をした人の方にイノシシが攻撃の矛先を向ける。それに加えて咆哮で掛かる精神系の状態異常に近接攻撃メインのロナとカザミネの二人が大苦戦。

 そのため数回軽い攻撃をしたら引くと言うスタイルを取らざるを得ない様だ。重い攻撃を仕掛けると、一発で攻撃を仕掛けた人の方に牙を向け咆哮をまき散らす。リフールさんが咆哮を受けても状態異常を受けた様子がないのは、何らかの耐性を持っているのだろう。

「これだからこのイノシシは嫌い!」「埒があきませんね……このままでは盾役であるリフールさんへの負担が……」「私の事はいい、無理をし過ぎてやられるなよ!」

 前衛のロナ、カザミネ、リフールさんのやり取りが行われる。それでも何とかさらに二匹倒して残りは四匹。ミリーは主に回復行為メインに立ち回っている。どうやらこのイノシシは攻撃に対してはかなり敏感だが、回復行為に関してはどうやら反応が鈍いらしい。

 もちろん後衛である自分とシェルフィルさんによる弓矢攻撃も、アーツは禁止。アーツ攻撃をしたらターゲットがこっちに飛んでくる。そうなると前衛後衛が入り混じってしまい、戦線が混乱して危険だからだ。今はちまちまと削るしかない。

 そしてしばらく時間をかけてやっとイノシシを全滅させたが、チラッと時計を見ると十分は浪費してしまった。倒せたところでイノシシの名前を確認すると、ペインサーチボアという名前がついていた。

「やっと倒せた〜。もう面倒くさかったな〜……足があるから逃げるわけにもいかないし」「全くです、気休めに耳栓をつけてみましたが効果はほとんどありませんでしたね」「私はこういった手合いから皆を護る為に耐性を重視して鍛えてきたが……それがなかったら厳しかったろう」

 ペインサーチボアの集団との戦いでかなり集中力を落としてしまったので、数分の休憩を取ることになった。カザミネに話を聞いてみたが、この森のモンスターはこんな癖の強い連中ばかりなので、一回戦ったら休憩を取ると言うのが基本らしい。すぐに引き返せるように奥には行かないようにもしているとの事。

 確かにさっきのペインサーチボアの咆哮は、耐性系スキルや装備をそろえる事が難しい前衛には厳しい相手だな。アクセサリーの中には耐性を持つ物があるが、そういった物は大抵お高いからな。

「あのイノシシの咆哮、防ぐ方法はないのか? ロナもカザミネもかなり苦しそうだったが……」

 念のために質問をしてみると、このようなご返答が。

「うん、確かに耐性……この場合は精神耐性系のスキルの音波系かな。それを取ればそれなりに軽減することはできるんだけどね……ExP消費がかなり重いんだよ」

 ロナに言われたスキルを探してみると……あった、音波耐性スキルと言う物が。他にも毒やら麻痺やらが揃っている。だが、どの耐性スキルも習得に必要なExPが一〇だ。毒や麻痺と行った物は色々なモンスターが仕掛けて来るからそれなりに有用そうだが、音波とかは微妙だなぁ。スキルのLvが上がればある程度のExPは帰ってくるが、上げにくいスキルではそれも厳しい。

「なるほど、習得するコストが一〇はちょっと重いな。毒とか麻痺は毒薬をわざと飲んでのとかで短期間でレベルを上げてある程度の還元は望めそうだけど……」

 毒系の薬を扱うプレイヤーもそれなりに居るはずなので、入手は難しくないはずだ。モンスターから状態異常にされるのを待つよりは安全に自虐行為……いやいや、修行が出来る。だが、音波系は早々使い手がいるはずもない。一応念押ししておくと、PvPでは基本的にスキルレベルは上がらない。上がるようにしてしまうとこういった耐性スキル上げとかに使われてしまうからだと思う。

「でしょ? ある程度戻ってくるならまだしもね……だけど、レイジは迷いなく各種耐性スキルをとったよ。盾が一々状態異常にかかっていたらPT全体が危険だからって。特に動きが止まる系統の耐性スキルに抑えたらしいけど、おかげでいまはEXPがかっつかつなんだってぼやいてたっけ」

 タンカーが倒れたら危険だからな、レイジにとっては必須スキルか。自分もソロ行為が多いから本音を言えば耐性スキルの存在を知った今は取りたい所なのだが……無理。耐性スキルを入れる枠が足りない。それ故にとっても意味がないな。おそらくロナやカザミネが耐性スキルを取らない理由には、習得のコストが重いと言うだけではなく、純粋にスキルの枠が足りないと言う内情は間違いなくあるだろう。

「まあ、先程の混乱を誘うイノシシが一番厄介な相手だ。後の蟻やシカは先程のイノシシに比べれば幾分楽ではある。もちろん油断してもらっては困るが。ちなみに蟻は装甲が固い上に酸を使うし、噛みつき攻撃も行うぞ。シカは火と闇を除いた魔法を多用する。そして角を生かした突き攻撃もして来るな、近寄っても油断はできん」

 と、シェルフィルさんからの情報を頂く。蟻の方は大体予想通りだが、シカは魔法使い系か。魔法をぶち抜いて攻撃できる弓の出番だな。普段は相殺などを行う事がまずない自分だが、こういう時ならば積極的に狙っていこう。

「さて、休憩も終わりにしようか。皆もあと数回ほどは戦っておきたい所だろう?」

 リフールさんの一言に反応して全員が立ち上がり、この森の中での行動を再開した。さて、《危険察知》にかかる影は……今は無し、か。

「近くに反応は無し。もう少しだけ森の奥に進む必要がありそうかな?」

 自分の言葉にPTメンバーは頷き合った後、ゆっくりと森の奥に向かって歩を進める。そうして歩くこと数分、次の反応があったのだが。

「──モンスターの反応あり。ただ、数が多いな……十九匹って所か。正体不明状態なので、さっき戦ったイノシシではないって事だけは分かるが」

 この報告を聞いた皆は少し相談する時間を取ることに決めたようだ。と言っても相談は一分かかったかどうかの短い時間でおわり、様子を見てほしいという結論が出た。さすがに十九匹は多すぎるという事だった。自分も同意見であるが。そうして《危険察知》の範囲ぎりぎりまで下がり、モンスターの様子を伺う。そしてさらに数分後。

「どうやらあちらさんは分かれたな。こっちに来るのが五、残りは森の奥に向かう様子か」

 自分の更なる報告を聞いて、PTメンバー全員でさらに下がって待ち伏せる。もしモンスターが蟻タイプだった場合、かなりの広範囲でリンクする可能性がある。それを確実に避けるために距離を取る必要がある。まして自分にとっては未知の相手で、ロナやカザミネにとってもたやすい相手ではない以上……敵が更なる大軍となる可能性を少しでも下げるのは当たり前の行動である。

「そろそろ視界に入る頃合い、各自戦闘準備に」

 三度自分の報告が入った事で全員が武器を構える。そして待ち構えていた自分達の目の前にやってきたのは……蟻の団体様だった。蟻と言ってもその体躯はパッと見で直径一メートルちょっとはあるな。そして体色は緑色。これは森にすむために必要な事として保護色を得たんだろう何て事を考えてみる。

「下がって正解だったな、一気に叩く! くどいようだが酸には気をつけろ! もろに浴びると体が溶かされて重傷を負うどころでは済まないぞ!!」

 念押しをしたリフールさんは、早速挑発行為を行って蟻の注意をひきつける。蟻の意識が完全にリフールさんに集まった所でファーストアタックを行ったのはロナだった。

「さっきのイノシシでたまりにたまったストレスの塊! 今、ボクは全力で解き放つ!」

 などと叫びながら蟻に突進し、横から飛び蹴りをぶち当てた。ゴキャッという嫌な音と共に、蹴られた蟻の体が少し折れ曲がる。あ、蟻が口元からぽたぽたと液体をこぼしているな。下の草から煙が上がっているので、酸なのだろうとあたりをつける。もっとも、吐いたのではなくロナの蹴りの重さで無理やり吐かされたんだろうが。

「恨むなら、ちょっと前にボクに散々音波系攻撃をかけてストレスを蓄積させてしまったイノシシを恨んでね!」

 ザ・八つ当たり。気持ちはまあわからんでもないけど……さっきのイノシシ戦は、距離を取って戦える自分は良いとして、接近戦を挑まなければ話にならない格闘スタイルのロナにとってはかなりイラついていたのは想像に難くない。だが。

「ロナさん、前に出過ぎですよ! 熱くなりすぎです!」

 そんなロナにカザミネの叱責が飛ぶ。そんなとき、ロナの強襲を受けた仲間の姿に反応したのかは分からないが、一匹の蟻がリフールさんの挑発状態を脱してロナに向かって強酸のブレスを吐くような動きを見せた。

「残念だが」「それをやらせる訳には行かぬな」

 そんな蟻の動きに気がつき、自分とシェルフィルさんが蟻に向けて矢を射る。自分は久々となる重撲の矢で、シェルフィルさんは一般的な矢での攻撃なのだが……自分の重撲の矢が多少のけ反らすのにとどまったのに対し、シェルフィルさんの放った矢は蟻の顔部分を貫き通した。少しいやな感情がこみあげて来るが、とにかくロナに対し強酸を吹き付ける行為を中断させることには成功した。

「ごめん! 余計な手間を掛けちゃった!」

 一言そう言って距離を取るロナ。さて、出来る限り被害を出さないようにしないとな。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv42  百里眼Lv37 ↑2UP  技量の指Lv53  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv90 ↑1UP ダーク・チェインLv49 義賊頭Lv42 ↑1UP 妖精招来Lv17 ↑1UP (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.92 ↑UP

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv22 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 36

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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