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連載

久々の……

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「お帰りなさい、森の様子はどうでしたか?」

 森を出た自分達は、何事も無くハーピーの家に帰還した。そして出迎えてくれた母親ハーピーと軽く会話を交わす。ついでに森の中での戦闘なども様子を伝えるついでに話しておいた。

「と、まあそんな感じでした。変に無理もしていませんし、問題はなかったかと」

 こちらの話を聞き終えた母親ハーピーも「そうですね、普段はいたずらに無理をするのはよろしくないです。窮地に陥った時に無理をする事は大事ですが、窮地に陥らないようにした方が良いのは言うまでもありませんからね」とのお言葉。

「では、皆様は部屋でごゆっくりお休みください。私はこれから食事を作らせていただきますね」

 この母親ハーピーの言葉に、自分は待ったをかけた。「どうなさいましたか?」と首をかしげる母親ハーピーに、自分はちょっとした要望を出してみた。つまり……

「今日は料理を一品、自分にもつくらせてもらえませんか?」

 と。こうして寝泊まりできる場所を提供してもらっているのに、その上食事まで甘えっきりではさすがに少々申し訳ないと感じる。が、全部自分がつくるとなれば今度はハーピーの母親の方が恐縮してしまう可能性が高い。だから一品だけとお願いしてみたのだ。

「それは構いませんが……私の料理は口に合いませんでしたか?」

 と返されたので、そうではなく、料理をたまにつくらないと腕が鈍っていくだけなのでと伝える。ここ最近は戦いにばっかり没頭していたので、そろそろ何かしら物を作りたくなったのだ。そうなるとまだ構想が練れていない〈鍛冶〉はやれないし、ポーションの在庫はそれなりにあるので〈薬剤〉もあまりやる意味がない。

 そうなると残るのが〈料理〉だけになるのだ。料理ならば食べてしまえばなくなるかさばらない。まだ保管しているドラゴン丼などの例外はあるが……大半はその場で消費することになる。

「そういった事であるのならば……では、何をおつくりになるのでしょうか?」

 この獣人連合は、南側と言えど少々肌寒い気候だ。そうなればやはり暖かい物を食したくなる。焼きもいいが、今は煮込む系統の物を口に入れたい心境になっていた自分はこれを作ろうと決めていた。

「『肉じゃが』とこちらでは呼ばれている料理ですね」


 さて、この肉じゃがを知らないと言う人はまずいないだろう。少々前では『お袋の味』なんて言い方もされている料理だったな。基本的な材料は> 豚コマ肉か牛肉、にんじんにじゃがいも、玉ねぎに糸こんにゃく。そして出汁となる物に砂糖と油が少々。調味料として醤油とお酒、みりんと言った所だろう。

 が、今回の肉はバッファローの肉で代用する。以前に何回も食べてその味は牛肉と変わらない事は分かっているし、肉じゃがに使っても極端におかしな味になる事はあるまい。

 キッチンの一部を借りて調理開始。野菜の皮をむき、程よい大きさに切り分ける所からスタート。さすがにもう何度も野菜を切ってきたので、しばらくやっていなくても手が作業をすぐに思い出す。特に問題も無く皮むき、適度な大きさに切り分ける作業が終了。最初のころに比べると大幅に進歩していると言って良いだろうな。ここでじゃがいもだけは少しの間、水に浸しておかないとな。インゲンもあればよかったのだが……今回は諦めるしかない。

 ジャガイモを浸しておく間に、調味料も必要な分を計量してしまう。リアルを含めても肉じゃがは久々に作るので、目分量や感覚で作るのは避ける。きちんとスプーンを用いて必要量の軽量も完了。鍋に油を回し、温まった所に牛肉を投入。程よく火が通った所にじゃがいもを投入して火を通す。じゃがいもがある程度柔らかくなってきたところでにんじんを投入。この辺はすばやくやらないと製作評価が下がる。

 にんじんにも火が通ったので水を投入して煮る。火加減は中火と言った所。ここは落ち着いて煮るべき場所であり、灰汁取りもしっかり行わないといけないため《料理促進》のアーツは使用しない。煮る時間は十分ぐらいだから、焦る必要はない。やはり煮ているうちに灰汁がそれなりに出て来るので、しつこいぐらいに取り去る。

 しかしちょっと予想以上に灰汁が浮いてくるのが気になるな……何か材料の処理をマズったか? それとも使用したバッファローの肉の影響か?

(──まあいいか。大きな問題は発生していないはずだ……うん)

 十分ほどが経過し、じゃがいもやにんじんが良い感じに煮えてきた。じゃがいもの型崩れも起きていない。ここで砂糖にお酒とみりん、玉ねぎを投入。そのまま静かに三分ほど煮込む。

「横から拝見していましたが、随分と念入りに煮込む料理なのですね。普段私が作る焼き中心の料理とは全く違う……これは完成と味が楽しみですね」

 ハーピーの母親に「期待に応える事が出来ればよいのですが」と返答しながら鍋を見つめ……三分が経過したところで最後の大事な調味料である醤油を入れて落し蓋を行ってからさらにじゃがいもやにんじんを完全に柔らかくするためじっくり煮込む。

 今回の感覚だとざっと十二分ぐらい煮込めば完成となるだろう。ことことと音を立てて一つの鍋が一つの料理を完成させるために仕事を果たす。その様子を自分とハーピーの母親は一言も交わさず見つめ続けたのであった。


「ご飯が出来ましたよ。そして今日は何と外からやってきた恩人のおひとり、アース様が腕を振ってくださった料理もありますよ!」

 そしてしばし後。ツヴァイ達も帰ってきて一緒に食事を集まった面々に前に置かれていく料理。ハーピーの母親が作った焼き中心料理にサラダ。そしてそこに並べられる自分の作った肉じゃが。出す前にもちろん自分、そしてハーピーの母親に試食してもらったが、満足のいく結果が出ていた。


肉じゃが

好きな料理に上げられることが多い煮る料理の一つ。元々はとある国の軍人が海外で食べたビーフシチューを、材料名だけ大雑把に言って部下に作らせたものが生まれるきっかけになった。現在では豚肉で作ることも多い。

製作評価 8 Def上昇 中


 評価八ならば上々の出来だろう。そして今更ながら、おそらく自分の製作物は最大でも評価は八で止まるのではないか? と考えるようになった。色々な方面に手を出した以上、スキルの上限だけではなくそう言った方面にもマイナス調整が入っていると考えられる。

 実際今まで自分が作った武具や料理、そして薬などは評価がほとんど八までで、それ以上が出来たことは一度も無かった……はず。器用貧乏ゆえの弊害と考えればおかしい事でもない。

「「「「いただきまーす!」」」」

 皆で食べる前のいだきますをしてから手を付ける。この鳥の焼き料理はおいしいな。そんな事を思っていると、横からちょんちょんと肩をつつかれた。

「こっちで肉じゃがを食べるなんて思わなかったわ。うん、美味しいわよ」

 親指を上に立ててGOOD! の評価を示してくるノーラ。他のブルーカラーのメンバーや、ケンタウロスの皆さん、ハーピーの子供達からも「美味しい」と言って貰えたのでほっと一息。せっかくの食事に不味い物を出しちゃいけないからな。せっかくの楽しい食事が一気に楽しくなくなってしまう。

「アースの作った物を食ったのは久々だな。うん、美味い」

 じっくり味わっていたレイジがそう評価してくれた。その隣に座っているコーンポタージュが「私も肉じゃがをリアルで作れるようになった方が良いかなあ」なんて少々ため息交じりで口に出していた。

「このような料理もあるのだな、肉も美味いが出汁を吸った野菜がまたたまらんな」

 こちらの感想はシェルフィルさん。どうやら気に入って頂けたようで何よりだ。こうして自分の作った肉じゃがは受け入れられて、無事食事は終了した。さて、あてがわれた部屋に戻っていくつか考えを纏めないといけない事を検討するか。
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なんとなく作りたくなった料理がこれでした。

スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 剛蹴(エルフ流・一人前)Lv42  百里眼Lv37  技量の指Lv53  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv90 ダーク・チェインLv49 義賊頭Lv43 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.92

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv23 ↑1UP 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 36

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人
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