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連載

ルイ師匠

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 そしてやっぱりなまってました、が結論だった。そんな自分を見た師匠が容赦なくハードルをガンガンあげてくれるので、毎日ボロボロ。今までの一週間における行動内容が、ログインして宿屋から出て料理を用意してから特設修練場に向かう→ルイさんとひたすら戦う。

 基礎は叩き込んだので、後はひたすら戦う事で磨き上げていくらしい→そしてブッ飛ばされて転がされて、食事休憩までボール気分を味わう→食事休憩中に必死で息を整える→ログアウトするまでひたすら戦う……→ボロボロの体を引きずって宿屋まで帰ってログアウト。

 こんな修行なんだかイジメなんだかわからない毎日を送っているお蔭で、〈剛蹴〉のレベルアップ速度が異常な事に。三日目でLv五十になり、〈剛蹴・エルフ流一人前〉からExPを3消費して〈砕蹴さいしゅう・エルフ流一人前〉に進化。そこからさらに連日のルイさんとの戦いで〈砕蹴・エルフ流〉のレベルが三一にまで上がってしまった。いくらなんでも急激に上がりすぎだろう……これには、ルイ師匠曰く、

「蹴りの修練はあまりしてなかったようだけど、肉体の強さそのものは以前と比べるとかなり上がってるから……その体にふさわしい訓練をしているだけよ」

 らしい。こちらからしたら、ひたすら蹴られてお手玉されてボールごとゴールポストのなかにぶち込まれた気分なんですが。因みに新規習得アーツは、まず剛蹴Lv五十で《開門》という蹴り技を習得。一種のガードブレイクの特性を持ち、一発目の蹴りで相手の動きを封じる。この時防御態勢を取っている相手を崩す様だ。そして二発目の蹴りで門を蹴り開けると言うイメージだと思われる。ただし、一発目の蹴りを放つためにはかなりのタメ時間を必要とするので、相手のとの読み合い勝負になる。

 さらに〈砕蹴〉の方では、一で《幻体》という技を習得。体と足の動きで幻影を見せる。これにより相手の命中力や回避を惑わす、とある。砕きに行く前の事前準備という事でここに入っているんだろうか? そしてもう一つ、二十五になった時に習得したアーツが《楔》という技だ。つま先で相手を三回蹴る。攻撃がすべて命中すれば、蹴った場所がラインを結び、内部で爆発を起こす。

 ラインの間が離れているほど最終的な威力が上がるという特性を持っている。まさに相手の体にくさびを打ち込んで砕くと言うアーツ。ただ、こっちも蹴りは自力で当てなければならず、つま先での蹴りを成立させないといけない。体を使うVRならではのスキルだろう。

 が、この各種身に着けたアーツもルイさんの前では当たらないか、発動前に潰されるかという散々な結果に。どこぞの人じゃないが、当たらなければどんな攻撃も意味がないのだ。それどころかアーツを振ったとたんに反応して容赦ないカウンターがふっ飛んでくる。そんなわけで、せっかく新しく覚えたアーツがあると言うのに、振ったのは一回か二回だけという散々な結果に。マニュアルアーツに切り替えないと駄目かねえ。唯一オート発動がない《楔》だが、これは蹴り方が明らかに変わるから簡単に見抜けるとはルイ師匠のお言葉。

 そんな一週間を過ごした自分に、ルイ師匠は「そろそろいいかな?」とボソッとつぶやいた。この言葉を聞いたとたん、ビクッ! と反応してしまった自分が嫌だ。だが、ルイ師匠から出た言葉は修練のレベルを上げるという事ではなかった。エルフの森の見回りに行こうとのお話。何故ですか? との自分の問いかけには、森を走る事で足腰を鍛える為だと言う。それに加えて、先日の事件を鑑みて、見回りを増やそうと言う雰囲気がエルフの皆さんの中では流れて居るらしい。ルイ師匠は自分がいない時に見回りに行ってたんだろう。

 そういえば、先日エルフの皆さんに引っ張られていった奴らの末路も発表されていた。まず、エルフやダークエルフの領域からは永久追放。さらに全員に特定の腕輪と足輪が強制装着されたらしい。んで、その腕輪と足輪の意味も発表されており、装着者の生命力と魔力を奪い取りってエルフの森の木々に与える、という効果らしい。

 この腕輪と足輪を用いて吸い上げた力を、新しく植えた幼い木々の成長に用いるのだと言う。木が成長すれば腕輪や足輪は自然と外れるとの事だが、木の成長速度は知っての通り時間がかかる。基本的に死ぬまで外れることは無いだろう。また、刑の執行内容には死刑も上がったらしいのだが、殺してしまうと苦しみは一瞬。それでは行った罰に対する報いとしては不十分すぎるという事で、このように長く苦しむことになる罰を下したらしい。あくまで発表された内容なので、これ以上詳しい所は分からないが。

 それと、この六名の事は世界に広く広めたともエルフの連絡版には書いてあった。つまり、あの六人は今後どこの国に行っても『その国の規律を守れない愚か者であり、犯罪者である』と知られることになるんだろうな。そうなれば……悲惨だな。誰だって犯罪者となんか関わり合いを持ちたがらないだろう。それはすなわち、お店から物は買えなくなるし、宿屋には泊まれない。それ以前に街にすら入れなくなっていくかもしれない。そうして孤立していけば、最終的に待っているのは死しかない。悪党が集まり、法がないのが法なんて言う映画とかにある悪人街とかがあるのかは知らないけど、それすらなかったらどうにもならなくなるんじゃないかねえ。

「やっぱり魔物の数が急激に増えてるわね……修行も兼ねてどんどん狩るわよ!」

 そして、こんな罰を下した理由の一つがこれ、魔物増殖。大討伐という方法を定期的に取らなくてはならないとはいえ、基本的にこの森はモンスターの発生を抑える役目も担っているらしいのだ。この事は基本的に部外秘らしいが……エルフに対して悪意を持たない上で信頼できる者には喋っていいらしい。そしてその森の木が一気に消えてしまった事で、モンスターを抑える力が低下。今こうして倒さなければいけない様になっている。

「一つ、二つ、三つ! 《楔》成立!」

 ラインが走って、グラスホッパーを砕く。自分も新しく覚えたアーツを使いこなせるようになるために、時々アーツを組み込んで戦いを行っている。久々にモンスターとの戦いで振るわれるレッグブーツの牙は、嬉々としてモンスターの体をえぐっているような気がするな……牙部分はドラゴンの素材で作っているから、その影響だろうか? また、これも修行という事で……自分が使っていいのは蹴り攻撃系統だけとルイ師匠に指示されている。危なくなれば師匠とアクアがサポートに入るが、まずはやってみなさいと。

 しかし、確かにモンスター数が多い。自分だけではなく、ルイ師匠やアクアも戦っている。自分の頭上には案内役として契約しているとらちゃんが乗っている。現状ではルイ師匠とアクアが数を減らして、自分が対処できる数になったら基本的に手出しはしないと言う感じだ。

 そうして森の中に入り、それなりの時間をかけて戦っているのだが……スキルレベルは全く上がらない。一気に上がった分、その反動で上がらなくなったのか? それともルイ師匠との訓練が苛烈すぎたせいで、このグラスホッパーレベルではもう格下扱いになってしまっているんだろうか。

「うーん、数は多いけどされだけね。見回りは必要だけど、これじゃアース君の訓練としてはぬるすぎるわね……サージェントランクじゃないと駄目かしら」

 師匠、今は大討伐中じゃないです。物騒なこと言わないでください……それにレベルが上がらないってだけで、弓も魔法もスネーク・ソードも無しでモンスターの複数相手は結構きついんですよ!? そりゃ、確かに師匠と戦ってぼてくり固化されるよりはましですけどね!?

「よし、もうしばらく見回りをしたら……ダークエルフの谷底で訓練しましょう! そうと決まれば、もっと湧いてしまった魔物を討伐しないと。さ、アース君。次行きますよ!」

 師匠、お願いですからもう少しペースを落としていただけると……聞いてくれそうにないなぁ。アクアも諦めなさいとばかりに首を振っているし、とらちゃんは肩に降りて来てポンポンと軽く叩いてがんばって! って感じで応援? して来るし……行くしかないかぁ。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・一人前)Lv31  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv98 ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv45 ↑1UP 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv27 ↑2UP 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 7

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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