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連載

そして修行&再開

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 ダークエルフの街に来て、翌日のログイン。早速自分はルイ師匠の指示の下で蹴りの修行を行っていた。相手はもちろんダークエルフの谷に居るモンスター。こいつらとやり合うのも久しぶりだなと思いつつ、カエルタイプのモンスターとやり合う。ここに来る前にルイ師匠から新しく与えられた課題の一つとして、武器の装備を禁止されている。その為、弓や惑、盾に仕込んであるスネーク・ソードは使えない。盾は純粋な盾としての使用に限定。

「あらゆる獲物が使えない状況を想定した訓練だからね。そう言う状態に追い込まれてしまう可能性はゼロじゃないでしょう?」

 とはルイ師匠のお言葉。その言葉に同意できる点は多くあったので素直に自分は従った。さすがに蹴り系統のアーツまでは禁止されていない無いので、蹴り系統と身体強化系のアーツを組み合わせた空中コンボなども使用して相手を蹴り倒す。ただ、蛇タイプのモンスターだけは蹴るのが難しいので、カエルやリザード系に比べると苦戦している。

 ここに来てからの蹴りの訓練は、今までの訓練の中で一番真剣に行っているような気がする。いや、気のせいじゃないな。何せ今日ログインしてからこの谷に降りてくる前に、ルイ師匠が怖ろしい事を言い出したからな……それを回避するために、つい必死になってしまっているのだろう。くっ、また思い出してしまった!


「ねえアース君。もし今日からの訓練であまりにも無様な姿を見せたり、真剣にやらなかった場合は……これ、買って貰うからね〜?」

 ルイ師匠がダークエルフの谷に向かう前に、一枚の紙を自分に何気なく手渡してきたのだが……その紙に目を通した自分は、その場で時間が止まったかのように固まってしまった。お値段、一着のメイド服のために四百七十万グロー……だ、と!?

 詳しく見ていくと、どうやらダークエルフの布における最高級の素材と技術を一切の妥協をすることなく盛り込み、仕立て上げるこれ以上ないと言うぐらい最高級のメイド服。もちろん見た目だけではなく、防御力、魔法抵抗力を鉄系統の鎧と大差ないレベルに引き上げた上、多種多様の付与魔法まで施されている。汚れ耐性とかの生活に関わるものから、治癒力向上、耐刃性能などの戦闘に関わる面まで。

 もちろん一つの者にそれだけの者をぶち込めば、素材や技術料が跳ね上がる訳で。安っぽいネーミングで言うならば、人の手で作り出せる思考のバトルメイドドレスと言った所か。その結果、お値段が四百七十万グローというふっ飛んだお値段になった訳だ。

 だが、確かに其れだけのお値段がするだけの価値はある。決してぼったくりではない。そしてさらに恐ろしい事に、このバカ高いメイドドレス、需要がそれなりにある様だ。渡された紙……まあチラシの一種なんだが、戦うメイドに大人気とある。お金って、あるところにはあるんだねえ。そしてそれを着て戦うメイドさんもそれなりに居る、と。

 だが、だが。それを自分の懐から出すとなれば話は別だ!! 色んなところでお金も貰ってきたし、それなりの資産は持っている。しかし、ここで万が一にも四百七十万グロー何て大金を放出したら、一発で借金生活に転がり落ちる! もちろんルイ師匠も修行をさぼる様な事がないようにするために行っただけなんだろうけど、だからと言ってふぬけた様な行動をしていれば、本気でお金を出してもらうと言う方向に動くかもしれない。『事前に言っておいたよね?』と素晴らしい笑顔で。


 そんな事になってしまう未来を回避するためにも、修行は真剣に行った。いや、そんな脅しがなくったって真剣にやるつもりでしたよ? 戦いにおける引き出しの多さは、いくらあっても困ることは無いのだから。現実だって、話術という戦いにおける引き出しの多さは大切だ。結局、どれだけ時代が流れてどれだけ技術が進んでも、人間という根本が変わらないければ大差ないという事か。ただ、その戦いの場面に血が流れる事がやや減っただけなのかもな。

 そんな事をがふよふよと頭に浮かんでは消えるが、そっちに気を取られていてはバカ高いメイド服を買わされる羽目になってしまう。頬をぱんぱんと軽く叩いて気合いを入れ直し、新しく表れたリザードタイプのモンスターと対峙する。するするっと近寄ってきての噛みつきや、尻尾を振り回して行う攻撃の一発性は侮れない。考え事をしている余裕はないな、以前と違ってこっちは単独で、しかも弓も惑も使えないんだから。弓が使えたとしても、以前使っていた双咆とは比べ物にならないぐらい威力が弱いんだけど。

 滑るように近寄ってきたリザードの噛みつきを、フェイント込みで回避する。わざと前に出るぞ? という感じで前傾姿勢を取っておいて、実際には前に無かった。その為リザードの目測が狂い、神月の踏み込みが浅かった。なので、自分がとった回避行動は少し後ろに下がっただけだ。

 噛みつきを外して閉じた口付近に、ドラゴンの骨で作ってあるつま先の牙を食いこませる。牙はあっさりとリザードの鱗を貫いて突き刺さり、リザードを後退させる。

 だがリザードもお返しとばかりに体を回転させ、尻尾による一撃を見舞ってきた。自分は大きく飛びのいて回避、さすがにギリギリで回避して反撃、というほどの余裕はない。盾で受けても、重量があるので吹き飛ばされる可能性もあったからな。ここは大人しく回避に全力を注いだ。焦る必要はない、近くに敵の反応はない事は確認済みだ。今はこいつとの戦いに専念できる。

 そこからは一進一退だ。やはり飛び道具である弓や近接武器? の中でも射程のあるスネーク・ソードが扱えない分手数が落ちる。というか、戦闘スタイルがそう言った各種の武器に合わせて道具も使う形になっていたからな。こうやって一つの者しか使わないと言う限定的な戦いの経験がほとんどない。痛風の洞窟の中でやった戦いも、各種武器は使っていたし。近接攻撃に重点と置いている人ならば、とっくに戦いは終わっていただろう。とにかく自分は色々やれる分、経験が分散してしまっているのだ。ゲーム的な意味ではなく、プレイヤーの能力として。

 そうして倒すのに二十分ほど掛かった。カエルやヘビタイプに比べると、頑丈なのが売りなリザード系だからなぁ。前に来た時に苦戦しなかったのはPTを組んでいたからという理由が一番大きい。やっぱり数は力だな。量より質で事態をはねのけると言うのはなかなか難しい……この辺のレベルになってくるとなおさらそう感じるな。

「お疲れ。今日はそろそろ引きあげましょう。帰りは私も戦うし、その妖精さんも参戦解禁ね」

 自分が戦い終えた所で、ルイ師匠からそんなお言葉が。疲れて来ているし、これ以上戦いを続けると精神的な疲労でミスが増えて修行にならないか……その見極めがついたからこそ、今日は終わりという事だろう。

 小休憩を行ってから街に帰るために歩き出したのだが、帰りはルイ師匠がカエルだろうがヘビだろうがリザードだろうが蹴り飛ばし、アクアも嘴で貫いたり魔法でブッ飛ばしたりで自分の出番は全くなかった。が、ただ見ているだけではもったいないので、ルイ師匠の動きをよく見ておいた。見るも修行というからね。取り入れられる所は取り入れていきたい。

 行きはよいよい、帰りは恐い。そんなフレーズの歌があったような気がするが、今回は真逆で行きが辛くて帰りは楽だった。街に帰って腰を下ろすと、今日の戦いの総括を行われ、蹴り方や立ち回りにいくつかの指摘を受けた。

 やはり普段の各種武器を用いる立ち回りが染み付いてしまっているようで、もう少し積極性を持たないと戦いが長引き、疲れた所をぱくっとやられちゃうよとの事。それは解っているんだが、どうにも自分の見切りが甘い。近接メインのプレイヤーならとっくに超えている壁でつまずいている状態なんだろうな。

 まあ、それを乗り越えるのが修行だ。ゲームでもリアルでもそこは変わらんなぁ。ただゲームは乗り越えられなきゃ乗り越えられないで遊び方はいくらでもあるが、リアルだと乗り越えられなきゃおいて行かれて落ちこぼれるという点は違うな。そんな事を思いながら街を歩いていると、背後から「あら? もしかして貴方様は?」という声が聞こえてきた。なんだか聞き覚えがある様な……そう思って自分が振り返るとそこには、三人のメイドさんがいた。

「「「やはりアース様でしたね。お久しぶりです。覚えて頂けているでしょうか?」」」

 そう、そこには以前一時的に主人となり、PTも組んで居た三人のメイド、名前は……そうそう、サーナ、シーニャ、スーだったな。思い出すのに時間が少しかかるぐらいに久しぶりだ。それとも即座に思い出せなかったのは、歳のせいか……? いや、上司は自分より二十以上年上だが名前を思い出すのに時間がかかるっていう様子はなかったよな。単純に自分の問題か。

「「「どうなさいました? お疲れなのではありませんか」」」

 ああ、思い出してきた、以前も良くハモる三姉妹だったよな。心配をさせたくはないので、首を振って否定しておく。

「こうして会うのは久しいな。仕事の方は順調かい?」

「「「はい、あの時アース様と同行させて頂けたことで多くの経験を得る事が出来、一人前のメイドとしてご主人様に仕えさせて頂く事が出来ております」」」

 そうかそうか、それなら安心だ。せっかくだし、あれからどうなったのか、話せる範囲内で聞いてみるのも悪くないかな?
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・一人前)Lv33 ↑2UP  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv98 ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv46 ↑1UP 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv27 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 7

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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