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連載

修行が終わったー! と思ったら。

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 さて、それから叱咤の声を背中に受けつつ、何とか一通りの動きが出来るようになるまで十七日。さらに魔法陣を完ぺきに描けるようになるまで九日。さらにさらにより風との連携が深まるようになるまで八日。さらにさらにさらに仕上げとしてダークエルフの谷にて戦い続ける事二十日。以上が自分の《風結蹴》習得にかかった時間である。風との連携が深まった事で、弓の方にも良い影響が出ると言う副次的な恩恵もあったのが救いか。アーツ中の高速移動も、『これはこういう物なんだ』という感じで無理やり慣れた。

「お疲れ様でした。ただいまをもってアース君を【エルフ流蹴術・限定師範代候補】と認めます。限定なのは、またごく一部の技しか使えないから。それに、エルフ流には手わざもあるけど、そっちの適正はアース君には全くなしだからねー……どう頑張っても限定が取れる日は来ないのはしょうがないと諦めてもらいますよ」

 ルイ師匠からのお言葉である。ま、別に限定とか付いていてもかまわないけどねえ。別に自分はエルフ流の蹴術を広めるつもりは全くない。むしろ限定とはいえ師範代を名乗れるランクにはまだ達してはいないと思うのだが、師匠が言うのだから、大人しくそのお言葉を受け入れるしかない。

「それと、念押ししておくけど。アース君がエルフ流の蹴術を広めるのは禁止ね。もし教わりたいと言う人が出てきたら、エルフの村にいる私を訪ねる様にしなさいと言って頂戴。それで諦める程度の人には、エルフ流の技を習得できっこないから。それはアース君も解ってもらえたと思うし」

 ええ、よく理解しましたよ。奥義の一つとは言え、まともに使えるようになるまで毎日ログインして二か月以上掛かったんだ。もちろんもっとカンが良い人なら習得にかかる時間をある程度縮められるかもしれないが、それでもそれなりの時間は必要だろう。その間、投げ出さないと言うのは結構大変だ。遊びをやってるはずなのに、なんでこんな事しなきゃいけない? もういいやって考えになってしまってもおかしい事ではない。

「了解しました。あくまで自分で使う範囲に留めます」

 なので、素直に師匠の言葉に従う事にする。あー、やっと終わったなぁ。しばらくはのんびりとこの世界を観光しよう。さて、そうなるとどこがいいだろう? 久々に妖精国に足を延ばしてみるのも良いかもな。そんな事を考えながら、のんびりダークエルフの街をルイさん(修行は終わったので、師匠と呼ぶのもいったん終了。ルイさんもそうしてほしいと言うので)と一緒に歩いていたのだが……そんな自分の肩に手を置く人が。誰だ?

「お前さんはアースだろ? 久しぶりだなぁ」

 振り向いてみれば、そこには以前PTを組んだゼイさんとザウさんが。確かに久しぶりだな。外套のフード部分を脱ぎ、顔を出して一礼する。

「久しぶりだ。鍛錬を怠ってはいないだろうな? さて、久しぶりの再会故、積もる話をしたい所なのだが……済まないアース、少し付き合って貰えないだろうか? 少々力を貸してほしい事があるのだ」

 ザウさんが本当に申し訳ないと言った表情を浮かべて自分に話しかけてきた。何か厄介ごとか? ゼイさんやザウさんなら過去にPTを組んだこともあるし、ある程度なら力を貸すこともやぶさかではないが……ルイさんをちらっと見ると、こくりと頷いた。

「──わかりました、何か問題が派生したようですし……とにかく同行します」

 こうしてルイさんと別れ、ゼイさんとザウさんと共に移動することになった。そして二人に連れられて移動した先は……かつて自分が何も知らずに乱入してしまった、ダークエルフの守護者? を祭っているお社のような場所だった。そして中に通され、ここを取りまとめている巫女様? と対面。二度と会うことは無いと思っていたんだが。

「此度はこちらの呼び出しに応じてくださり、心より感謝を申し上げます。早速本題に入りますが、本日来て頂いた理由は、『闇』様からのお告げでございます。貴方様を一度、地下まで寄こす様にと。貴方様がこのダークエルフの街を訪れている事を、『闇』様は気がついていたようですね」

 闇さまっていうと、この魔剣である惑を譲ってくれたあの謎の存在だな。しかし、あんな存在が自分に何用だ? 迷惑をかけるような真似をした覚えはないし、存在を風潮した記憶も無いぞ? 正直呼び出される理由が思いつかない。それとも、知らず知らずのうちに何かしらの害を与えていたとか?

「これは強制ではないそうです。『闇』様曰く、本人に伝えた上で気が向いたら来てほしいとの事です。その、正直に申し上げればこのようなことはめったにない珍事でして……こちらとしても正直な所、『闇』様がなぜこのような話をして来たのかが全く分からないのです……」

 あ、ダークエルフの皆さんの方も分からないのか。そーなると、行っておいた方が良いかな。気が向いたらという事からしてそんな大事ではなさそうだし、以前のような溶岩地帯を連続ジャンプで飛び越えるアスレチックをやらなければいけないと言った状況にもなるまい。

「ふーむ。強制ではないとはいえ、ここは私が『闇』様のもとに出向いてお話を伺ってきた方が、そちらの精神衛生上楽ですよ……ね?」

 と、ダークエルフの巫女様&ザウさんとゼイさんに確認すると、皆さん揃って首を縦に振ってきた。そりゃそうだろうなぁ、崇めている存在がそんな事を伝えてきたのであればその理由を確認しておきたいよね。幸い修行も終わった事だし……ここは素直に行っておくか。こちらとしてもなんで急に呼び出されたのかってのは気になるし。

「分かりました。では行ってくる事にします。その為に入り口というか……祭壇にある例の穴から入っても構いませんよね? あそこ以外確実な入り口をこちらは知らないので」

 この要求はあっさり通った。というか、通らなかったら行けないんだけどね。この日はもう遅くなっていたので、日を改める事に。そして宿屋に戻り、先に戻っていたルイさんにこの街でやる事が出来てしまったので、先にエルフの村に帰っていてほしいと伝えておく。

「うーん、それはいいけど。詳しい話は……聞かない方がよさそうね?」

 ルイさんにごめんなさいと謝っておく。さすがに闇様の事は迂闊に口に出す訳には行かない。下手に口にしたら、最悪ダークエルフの皆様が全員敵に回る可能性もあるのだからな。そんな未来は御免被る、沈黙は金、だ。迂闊な事は喋らないにこしたことは無い。

「じゃ、先に帰ってるわね。それと、用事が住んでエルフの領域から離れるときには挨拶に来てよ? 無言で立ち去るのだけはやめてね?」

 そんな念押しをされてしまった。まあいいか、さすがにここまでの修行をつけて貰っておいて用事が済んだからはいさよならは薄情すぎるってもんだろう。必ず立ち去る前には挨拶に訪れる事を約束しておいた。そしてこの日はログアウト。

 そして翌日。ログインした自分はまっすぐ闇様を祭っているお社を目指す。向こうも早く闇様の元に向かってほしいだろうしな。お社の人達には話がきちんと通っていたようで、すんなり通過。改めて巫女様とあいさつを交わした後、二人で祭壇に向かう。

「それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ。また、闇様とのお話の内容は私にも伝わりますので……詳しい説明は私が他の者に行っておきます」

 そんな言葉に見送られて、自分は祭壇の穴からゆっくりと下に降りはじめた。惑いをピッケルとロープの替わりに使ってゆっくりと降りて行けば、いつしか陽光は途絶え、闇の世界がやってくる。その到着点には──

「お、来たか。待っておったぞ。まずは茶と菓子を用意させよう。もってこい」

 蛇の様な形を持つ黒い塊と、その世話役? のアラクネーがあの時と同じようにお茶とお菓子を持ってくる。こうやってもてなしてくれるという事は、何かこちらが悪い事をやってしまったという訳ではなさそうだな。とりあえずびくびくしなくても良さそうだ。腰を据えて、話を聞く事にしよう。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42 ↑3UP  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  隠蔽・改Lv7  武術身体能力強化Lv99 ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv47 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv27 鍛冶の経験者LV28 人魚泳法Lv9 

ExP 17

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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