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連載

助けをを求める声

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本日の作業用BGM「小さなシアワ……」だとアレすぎるので、
ドラゴンボールZ 神と神から FLOW HERO〜希望の歌〜
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「ふうーん、ダークエルフのお偉いさんからの依頼かぁ」

 翌日、一足先にエルフの村に帰ってきていたルイさんの家を訪れた。依頼を受けた当日は、あの後巫女さんといくつか話をして今回の依頼関連の話が念話で通っていることを確認。今回の依頼について、詳しい事は口外しない事も確認。まあ、そもそも依頼内容をPTメンバー以外にぺらぺらしゃべるような人は信用されないが。しかも今回は、それなりに危険な内容でもある。例の漆黒の玉を触らせるのはもちろん、見せる事も許されない。間違いがあってからじゃ遅いからな。

「もちろん詳しい事は言えないから、それ以上は聞かないで欲しけど」

 自分の言葉に「分かってるわ、依頼内容をぺらぺらしゃべる人なんて私も信用できないし」とルイさん。さすがにそこらへんの事はすぐに分かってくれるか。これを結構理解してくれない人が自分の周りにはちらほらと居るので、面倒な説明をせずに済んだのは助かる。

「じゃあ、早速今日からその依頼に取り掛かるってことかしら?」

 確認するようなルイさんの言葉に頷く自分。とはいえ、魔王領に行けるようになるにはもうしばらくの時間が必要なのだが。公式による発表だと、まずは人族第四の街であるフォルカウスが実装され、それからしばらく時間をおいて魔王領実装が予定されている……まあ、実際には通行許可を下ろすという事になる。ひとまず今の自分がやるべきことは装備のメンテナンス、そしていい加減新しい弓の設計と製造。後は魔王領に向けての下準備と言った所か。

「修行をつけて頂き、ありがとうございました。伝授していただいた技は、有効活用させていただきます」

 そして、立ち去る前に修行をつけて貰った師に礼を述べる。こういった事はきっちりとしておかないとね。ルイさんも「死に急ぐ様な事だけはしないように。どんな生物もいずれ死ぬのだから、生きているうちは目一杯生き抜くことが生者の務めよ?」とのお言葉。そしてルイさんの家、エルフの街を後にする。さて、魔王領の実装が行われる前に、下準備という名の行動を開始しよう!


 ──そのつもりだったんだがなぁ。ただいま自分は川の中で以前泳ぎを教わった緑髪人魚さんに手を掴まれて川を下っております。人魚さん達に手を繋がれて川を下っているのは自分だけではなく、大体プレイヤーは二十人ぐらいかな? それぐらいの面子が一緒に行動している。なぜこうなったのかと言うと──


「どなたか、お力を貸しては頂けませんか!?」

 それは自分がエルフの村を後にして、サーズの街へと向かうために、川にかかっている橋を渡っている時だった。相変わらず大勢の釣りに興じている人達を見て、変わらないなーなんて思いながら歩いていた時にいきなり大きな声で聞こえてきたものだから、ちょっとびっくりしてしまった。そして声が聞こえてきた方に視線を向ければ、そこには水面から顔を出した複数の人魚さん達が。

「どーしたよ? そんな大勢で何があったんだ?」

 ある釣り人プレイヤーが、人魚さんに向かってそう問いかけた。他のプレイヤー達もなんだなんだ? と近くに集まってきている。

「実は、私達の住処である人魚の里が危機に陥っています! 相手は狂暴な性格の鯨で、生きる為だけではなく……他者を傷つけて面白がる事を目的として暴れ回っているのです! 数は三体おり、私達や、他の海の仲間が協力して戦っても防戦一方な状況に陥っています。このままでは、私達や近くで生きている他の海の仲間たちも死滅してしまいます!」

 おいおい、そりゃ何とも。それにしても相手が鯨って……相当なでかぶつだなぁ。さらに救援に行くとなれば水中戦になるな……この時点で戦える人は相当限られてくるぞ。水泳のスキルは必須で、さらに水中でも戦えるだけの武器を使える事が最低条件。属性だと、火はアウトだから他の属性が使えないといけない。

「お願いします、水中という状況であっても戦えると言う方はどうか私達に加勢してください! もちろん相応の報酬はお支払いします! どうか、お力をお貸しください!」

 ざわざわと、人魚さんの言葉を聞いて騒がしくなる川岸。そりゃそうだよね、人魚さんとのかかわり合いは僅かな例外を除けば基本的に穏やかな物ばっかりで(これは人魚さん関連スレッドでも確認)、こんな戦闘関連の話を振られることは無かったんだから。そりゃ大騒ぎになっても無理はない。

「よっし、そう言う事なら一肌脱ごうじゃないの。俺達『水泳戦隊』が出向くぞ! 野郎ども、大急ぎで準備しろい!」

 そんな声が、ざわめきの中から聞こえてきた。水泳戦隊ってのはギルドの名前か? なんともまぁ、特殊地域限定っぽいギルドもあった物だ。他にも「俺はいけないが、フレの中には行ける奴がいるから連絡とってみる」とか、「私は行けるから参戦するわ!」とか。色んな声が聞こえ始める。皆突発的な話でも積極的に参加していくんだな、これなら自分は必要なさそう──

「そこの橋の上に居る人、たしかボクが泳ぎを教えた人だったよね?」

 その声は、確かに依然水泳を教えてもらってスキル〈人魚泳法〉を獲得する切っ掛けとなった緑髪の人魚さんのものだ。そう言えばこうやって会うのも久しぶりだってのに、良く覚えていたもんだ。

「お願い、キミもボクたちと一緒に戦って貰えないかな? 無理にとは言えないけど、それなりのお礼はするから!」

 ──予定変更だな、知り合いがこうして困っているならば助けに行っておくか。水中戦となるから、メインウェポンとして活躍するのは惑になるな。弓はまともに飛ばないだろうし、蹴りはリーチがなさすぎる……ならば、ここで悩んでいた〈武術身体能力強化〉のスキル進化先を、〈蛇剣じゃけん武術身体能力強化〉へと進化させることに決める。消費ExPは十とかなり重いが……まあ仕方がないだろう。そして進化させたときに習得したアーツは……

蛇剣の使いパッシブスネーク・ソードの武器耐久低下が抑えられる。スネーク・ソードを用いたアーツの威力が上昇する。消費MPが一割低下する。

 と、なかなか強力だ。さすがにここまで進化すれば最初は弱かったスキルでも、相応のアーツを習得できるという事だろう。まあ、特化の方はさらに強力な物を習得できそうだが、その分効果の数が少ないとか選択の幅が狭いとかはありそうだけど。そんな考察は置いておこうか。今必要なのは人魚の皆さんの支援に行く事なんだから。

「分かった、あの時泳ぎを教わった恩もある事だし……自分も同行するよ」

 と意思を伝えると笑顔に……こうして自分は水の中へと身を躍らせた。そして人魚さん達の力で水の中を高速移動する今回の救援プレイヤー二十名。もちろんあとから援軍として駆けつけてくれるプレイヤーも居るが、取り急ぎ時間を稼ぐために速攻で移動するのがこの二十名って事で。

「で、その鯨ってなのは何もんなんだ? こうやって移動している間に少しでもわかっていることは教えちゃくれねえか? 何も知らずに戦ったらさすがにやばいんだろうしな」

 そして移動中、プレイヤーの一人が人魚さん達にそう尋ねる。そして人魚さんから帰ってきた答えは……

「私達にも詳しい事は……ただ、その鯨は全身が真っ赤で、滅茶苦茶に暴れる事を楽しんでる。攻撃は水の魔法と闇の魔法を使ってくるし、その巨体を生かして体当たりや押しつぶしなんて事もして来る。さらに丸呑みされちゃったら、ほとんどお終いね……海で私達と共存共栄しているマーマンの人達も居たんだけど、数人は丸呑みされて……そこから帰ってこれなかった」

 丸呑みされたら即死、という事になるんだろう。敵のサイズがどんなものかは見てみないと分からないが、真正面に立ったら駄目だな。横からか後ろから攻撃しないと丸呑みされるか突き飛ばされるか……

「あと、かなり体が頑丈。マーマンの人達や私達の中でも特に戦いがうまい戦士の使う特別あつらえの頑丈なトライデントであってもあいつには全く刺さらないのよ。その上に魔法にも抵抗力があるみたいで……特に水の魔法はダメ、完全に無力化されてしまうわ。他の属性はある程度効くみたいだけど……水中だから、火は武器自体がぞの力を宿していないと使い物にならないわ」

 図体がでかくて魔法耐性をもち、単純な防御力も高いとか……リアルで存在する中でも一番でかい鯨のサイズをイメージするならば、動く小型要塞だな。勝ち目があるんだろうか、これは?

「あの、私からも質問が。その鯨……三体って言ってましたね? その三体をこのまま放置した場合、どうなるか予想が尽きますか?」

 女性プレイヤーからそんな質問が。この質問に対する人魚さんからの返答は……

「近海に居るすべての生物は食い散らかされて全滅するでしょうね。そしてそのまま他の海に出向いてまた同じことを繰り返し……いくら海が偉大で大きくても、あんな怪物を三体も放置してしまったら、そう遠くない内に海の生物は消え去るでしょう。そうなったら、三体が共食いを始めて……生き残った鯨が地上に食料を求めて何かとんでもない事をし始める可能性も無いとは言えません」

 であった。シャレになってない……ならばそんなアホみたいな進化をして滅茶苦茶にされる前に、何とか阻止しないといけないな。話を聞いた他のプレイヤーの大半は、この情報をもとに、もっと援軍を増やす方向で動いているようだな。確かに戦いにおいて数は力、今回の様な化け物相手ならばこちらは数を集めて対抗するしかない。ただ、今回厄介なのは水中戦闘という事だ。この時点でブルーカラーのメンバーやグラッド達は多分駄目だ、〈水泳〉を鍛えてるなんて話は聞いたことがない。そうなると……あ。

(そーいや、心強い存在がいたじゃないか。それに彼らなら水中戦の経験がすでにある事を自分は知っている。ここは情報を流して加勢を要請しておくべきだろう)

 めったに使わないフレンドリストを起動して、目的の人物にウィスパーチャットを送る。その対象者は……ヒーローをやっているあの男、レッドだ。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv54  小盾Lv39  蛇剣武術身体能力強化Lv1 NEW! ダーク・スラッシャーLv1 義賊頭Lv47 人魚泳法Lv9 妖精招来Lv17 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv1.94

控えスキル

木工の経験者Lv8 上級薬剤Lv34  釣り LOST!  料理の経験者Lv27 鍛冶の経験者LV28  隠蔽・改Lv7

ExP 7

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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