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連載

魔王城からダークエルフの守護者の元へ

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「開門!」「開門!」「開門ーー!」

 ゴン! ゴゴゴゴゴ……という大きな音と主に、魔王城の正門である大きな扉が開いて行く。普段は常に閉じられている状態であり、基本的な出入りは正門の横にある小さな出入り口から行われている。この正門が開くのは何かしらの行事がある時とかぐらいで、滅多にない事。その滅多にない事が起きた理由は……魔王様のお茶目心が発動したから。なんでこうなったのか。

 ログインした自分は、そろそろお暇する事を魔王様に伝えた。魔王様はそんな自分に、ある程度の魔王領における情報をくれた。情報の内容はどこら辺に行けばこういった素材を手に入れやすいと言った物。特に薬草関連と鉱石関連の情報はありがたかったので、取りに行く計画を後で立てる事にする。

「それでは、これにて。魔王様や四天王の皆様もお元気で」

 といった感じで静かに立ち去ろうとしたのだが、そこに待ったをかけたのが魔王様。

「うむ、ならば見送りぐらいはさせて貰おう。今回の一件は、貴公が居なければ魔王領に住む民の命を始めとした多くの取り返せない物が消える事になったであろう。そんな運命を捻じ曲げた貴公を見送らぬとなれば、私の沽券にもかかわる」

 などと言い出し……その結果が、滅多に開かない魔王城の正門が開き、魔王様を始めとして四天王の皆さん、以下重鎮の方々が一斉に自分を見送りに並ぶと言うトンデモ状況が出来上がった。自分は貰ったマントを纏い、頭にはアクアを乗っけた状態で魔王城の外に出て行く。魔王城には、城下町が無くって本当に助かった……妖精城みたいに城下町があった場合は、えらく目立つどころの騒ぎじゃなかったな。ある程度距離を取った所で、アクアに本来の姿にもらって乗り込む。今日はダークエルフの守護者様に今回の一件の報告に行く事が目的だ。魔王領内の冒険はそれからだ。

「それでは、皆様失礼いたします!」

 自分の言葉に、魔王城の皆さんが手を振る。今回自分は魔王領にとって非常に有益な活躍をした人物であるとの情報が、城の皆様には流されていると四天王様の言。詳しい話はできないが、徴兵を取りやめる事が出来た一件にも関わっているという事も伝わっているようで、城の皆さんの手を振る姿も、嫌々ながらやっていると言う感じは無い。もちろんこれは城の人にだけに流された情報であり、街の人には内緒という形になるらしいが。

 そんな魔王城の皆様に見送られて、自分を乗せたアクアは空に飛びあがる。空は魔王領では珍しい快晴であり、気持ちの良い旅立ちとなった。そのままアクアに飛んでもらって魔王領の関所前に到着した所でいったん降り、アクアには小さくなって貰う。関所で出国のチェックを受けると同時に、ペンダント型の保温具を返却。これを忘れると犯罪者になってしまうので、関所の魔族さんに言われる前に素早く返却しておいた。関所を出て、少し距離を取ってから再びアクアを本来の姿に戻してエルフの村へ。

 エルフの森も飛んで行こうかとも考えたが、迷いの森の効果が上空にもあったら不味いなと判断して降りる事に。アクアの飛行速度で十分に時間を短縮できているので、大人しく歩くことにしよう。久々に森の案内役であるとらちゃんに再会。もふもふの体にもふもふされた後、とらちゃんに森の案内を頼む。森の中は穏やかな様子だったが、数回モンスターとエンカウントした。そのエンカウントしたモンスターだが、右手に装備しているドラゴン・スネーククリスタルシールドと左手に装備している毒蛇の盾に仕込んでいるスネーク・ソードで戦った。

 円花という素晴らしいスネーク・ソードの魔剣と自分は一体化したが、円花は本当の意味での隠し武器であり、最終手段ともなりうる。そんな円花に頼り過ぎれば、間違いなく自分のプレイヤースキルは落ちていくだろう。おかしいレベルの敵と戦って、狂ってしまった可能性が高い戦いの感性を取り戻すべく、エンカウントしたモンスターを一切やり過ごさずに戦う事を自分は選択した。最初はしばらく使っていなかった盾の中に仕込んであるスネーク・ソードの扱いにずれを感じたが、森を出るころにはそのずれもほぼなくなった。やっぱり鈍っていたな……普段は円花に頼らないでおくか。

 メイドさんを多数見かける様になってしまったダークエルフの街中を歩き、守護者様が祭られている祭壇を護る巫女様が居る場所へ。ここでアクアには待っていてもらう事にする。ダークエルフの守護者様はエルフとダークエルフの機密だから、ここで待機してもらう。出てきた巫女様に、守護者様から受けた仕事が完了したので報告を行いたいと今回やってきた理由を説明。そして巫女様が念話で守護者様に報告した様子なのだが……

「『闇』様より、直接詳しい話を伺いたいとの返答がございます、お手数とは思いますが……」

 との巫女様の返答に自分は頷き、例の祭壇にある捧げ物を入れる穴から再び守護者様のいる所に降りる事になった。さすがにここでは円花を使わないと降りる事は叶わないので使用したのだが、実に使いやすい。何せイメージするだけでその通りの動きをしてくれるのだから、サクサク降りる事が出来る。更に射程も伸びているようで、より安全に降りる事が可能になっていた。これなら上る時も楽だな。そんな円花の能力を確認しながら守護者様の元へと暗い穴倉の底に降り立った。

「良くやってくれた。これで魔王領の方はしばらく安泰であろう。そして、すまんがより詳しい話を教えてもらいたい」

 ちゃぶ台にお茶菓子を何時ものアラクネーさんが用意してくれたので遠慮する事なく頂き、一息ついた後に守護者様からそう要請を受けた。なので、すべてを包み隠さず報告。魔王様からも、この守護者様にだけは話していいとのお許しも貰っているからね。自分の話を聞き終えた守護者様は「ふむう……」と声を上げ、しばらく沈黙。そののちにゆっくりと頭を下げてきた。

「──すまぬ、謝ればよいという問題ではないという事は理解しているが、まずは謝らせてもらいたい。まさかそこまで事態が悪化しておるとは予想できなかったこちら側の不手際だ。よもや、暴走した魔力が形を取り、その様な力を振るうとは……そこでお前がその身を張って阻止してくれなければ、どれほどの血が流れたか予想が出来ぬ。お前の判断と行動に、深く感謝の意を示させてもらう」

 そう言い終えて、再び頭を下げる守護者様。こちらとしてもあの異様さはしっかりと覚えている。強いだけではなく、こちらの技をコピーしてすぐさま己の物としてしまう能力も怖ろしかった。あそこで止める事が出来て本当に良かった。止める事に失敗した場合は、本当にどれだけ多くの血が流れる事になったのか……ゾッとする。

「それだけの仕事をしてもらった以上、当然ながら報酬を出そうと思う。しかし、事が大きすぎるがゆえに何を出せばよいのかが分からぬ。魔剣を始めとした武具をいくつか渡して、金に換えて貰うのでも構わぬが……何か希望する物は無いのか? 可能な限り応えよう」

 何も貰わない、という訳には行かないからな。とはいえ、難しいのも事実だ。鎧はドラゴンスケイルシリーズ、武器は自作品に+αでやって行ってるし、魔剣は円花以外使う気にならない。破損したマントも、魔王様からブッとんだ性能の物を用意されてしまったし……そうだな。

「では、何かしらの素材を頂けませんか? 実はちょっと半分趣味で作りたいと考えている弓があるのですが、それを作る為の素材のあてが無くてですね……」

 設計図をちょこちょこっと書き換えているが、X弓の更なる強化系の弓を作る為には、ドラゴンの骨や龍の鱗、人魚さんの所にある蒼海鋼といった素材だけでは足りない。強度を高める素材や喧嘩しそうな素材同士をうまくなだめる事が出来る潤滑油のような素材が必要となっている。しかし、そんな都合のいい素材の当てが殆どない。なので今のところは机上の空論と言っても良いような状況で、生産に乗り出す事が出来ていない。潤滑油となりうる素材はオリハルコン・ダストがあるが、それだけでは心もとない。何かあともう一品ほしい所だ。

「ふむ、素材か……ならばいくつか持ってこさせよう。その中に目的にかなう物があるのであれば、遠慮せずもっていくが良い」

 そうしてアラクネーさんの手によって運び込まれてきた各種素材。大半が剣や盾を打つのに向いている素材ばっかりであったが……一つ、使えそうなものがあった。


 天千の雫

天が千回変わるほど長い時間、ある場所で眠りつづけた雫を集めた物。強力な接着力を誇り、相性の悪さなどを完全に無視して繋ぎ合わせてしまう能力を持つ。ただし、命ある物には効果がない。


 これだ。これがあれば、オリハルコン・ダストが通じない素材が万が一あったとしても何とかなるし、単純な補強用素材としても使える。これを貰う事にした。

「ふむ、それでいいと言うのであれば譲ろう。もし足りなくなった場合はまた来るがよい」

 さて、後は買える前に一つ質問をするだけだな。聞いておかないとすっきりしない事がある。

「あともう一つ、お願いがあります。これは物ではなく、質問となりますが」

 円花の話と、依然聞いたこの守護者様の話は食い違いとは言わないが、どうにもすっきりしない部分がある。そこを確かめておかないとな。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv55  小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化Lv2 ↑1UP ダーク・スラッシャーLv2 ↑1UP 義賊頭Lv47   隠蔽・改Lv7 妖精招来Lv18 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv2.58  偶像の魔王 1.12 

控えスキル

木工の経験者Lv13 ↑1UP 上級薬剤Lv35  釣り LOST!  料理の経験者Lv27  鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 11

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 NEW! 人族半分辞めました NEW! 闇の盟友 NEW! 魔王領の知られざる救世主 NEW! 無謀者 NEW! 魔王の真実を知る魔王外の存在 NEW! 天を穿つ者 NEW!

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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