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吹雪は収まらず……

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 カザミネ達が寒さから解放され、今回の戦いについて反省会を開いている隣で自分はコツコツと薬草の鑑定を行っていた。そしてかなりの鑑定失敗による薬草消失が発生していた。その分〈上級薬剤〉のレベルが怖ろしいスピードで上がっていく。やっぱり薬草のレベルが相当に高い様だ。新しい薬草もいくつか出て来ているし。

 まず一つ目……自分は強化オイルに使用している鈍足草だが、これの上位版が発見できた。強鈍足草と、狂鈍足草だ。そして説明文は……


 強鈍足草

 鈍足草の効果が強化された物。ただし生育に向く場所が少ないために発見される数はそう多くはない。これを直接食べたり、ポーションにして飲むと鈍足草以上に体の動きに関する全ての動きが遅くなるため大変危険な草。ただしその特性を逆手にとって、出血多量などの窮地に陥った者を鈍足効果で延命させて、時間のかかる治療を間に合わせる等の治療薬補助として用いる薬師も居る。また、特別生成された強鈍足草から作られたポーションは、老化を遅くする効果を生み出す。そのため、特別生成された強鈍足草のポーションは金持ちが血眼になって探すお宝となっている。


 狂鈍足草

 未鑑定で口に運び、これを食べてしまった者は己の不幸を呪って良い。効果が続くのは三〇分ほどであるが、その三〇分間は口にした物にとって世界の動きが一〇〇倍ほど早く見えるようになってしまう。もちろん、それは狂鈍足草を口にしてしまったが為に、被害者が世界の一〇〇分の一の速度でしか動けなくなってしまった故に見る物なのだが。この草が生えている場所は大抵危険地域なので、三〇分もそのような状況が続けば、生きて帰れる可能性は限りなく〇である。


 と、下手に扱うと非常に危険な毒草である。強鈍足の方は使い道があるが、狂鈍足の方はどうしたものかね……でも、何の使い道も無いという事はなさそうなので捨てるような真似はしない。まあ狂鈍足はいったん置いておくにしても、強鈍足の方は色々と役に立ちそうだ。数が集まったら研究してみるか。そして二つ目の薬草というか毒草だが……


 自爆草

 食べると、食べた本人が爆弾となるというとんでもない毒草。爆弾になってしまうと、当然口も無くなるので解毒剤が飲めなくなる。解毒薬を掛けられても、外見が鉄になってしまって体にしみこまないために効果がない。対処法はただ一つ、五分間爆発しない様に逃げ回ることのみである。逆にその五分間に、摩擦熱、松明などの火、火魔法などによって導火線に火をつけられたら……潔く人生を諦める事。さらにこの毒草の厄介な点は、人種にしか効果を発揮しないと言うう点である。動物や魔物がこの草を食べても、空腹を間際らせる効果しかない。またポーションにして飲ませても、爆弾化すると言う効果を発揮するのは人種のみである。


 なんだこれは。なにこの、人種だけをピンポイントで殺す為だけに用意された悪意に満ち満ちた毒草は。即死する毒草なら以前に窒息草と言う物があったが、あっちはデスポーションとしての使い道があった。しかし、この自爆草は人種にしか効かないと来た。なんかヤだなあ、これを持っているだけで犯罪者とかの気分になりそうだ。強化オイルの強化素材にも使えそうにないかも知れないな……一応研究はしてみるけど、期待しない方が良さそうだ。ええい、毒草ばかりじゃなくていい加減薬草来いよ!


 渇水草

 食べてしまうと、体中の水分が一気に汗として対外へ出て行ってしまう状態に陥る毒草。当然渇水状態による精神に関する状態悪化は避けられない。対策は出来る限り早く水分を補給する事。この毒草は、魔物を捕える事を生業とする者がポーションに生成し、エサに忍ばせておくことが多い。突然渇水状態になった魔物が精神的な状態悪化に陥った隙を突いて、捕えやすくなるためである。


 使い道はあるが、またしても毒草──そっと視線を、カザミネ達ブルーカラーのメンバーに向ける。話を聞いてみるか……

「ちょっと済まない、話に割り込んでいいかな? 聞きたい事が出来たんだけど」

 この自分の言葉に、カザミネが手を上げて応える。大丈夫のようだな、じゃあ早速質問してみるか……。

「協力してもらったおかげで手に入れた未鑑定の薬草なんだが、失敗も含めて半分ぐらいの鑑定が済んだ所なんだけど……なんというか、普通の薬草以外はことごとく毒草ばっかりなんだ。で、ここの情報を知っていた事から、以前ここにブルーカラーの薬剤スキル持ちの人と一緒に来たことがあるんだろ? その時に獲得した草って、基本的な物以外は毒草だらけだったのかな?」

 一回だけなら偶然。二回続いてもたまたま。しかし三回続けば疑うし、四回続けばもう……しかし、カザミネからの返答内容は。

「毒草だらけ、ですか? あの、私は生産スキルを取っていないので詳しくは言えないのですが、何度かこの場を訪れて薬草を集めたギルドメンバーは、良質な薬草が多く取れて喜んでいましたよ? 実際、その子からギルドメンバーに提供されるポーションの質も格段に上がっていますし……アースさんの運が、極端に偏ってしまったのでは……?」

 と返された。特に、運が極端に偏ってしまったの部分は言いずらそうに。こう言われると反論できない。何せ称号欄にすら人災の相というとんでもなくふざけ切った物があるからなぁ。

「まあまあ、そう言う時もありますよ〜。それに今回がだめでも次が、次もダメなら三回、四回とくればいいだけです〜。粘り強くここに通えばいい物が絶対に取れますから、諦めずに頑張りましょ〜」

 とミリーが元気づけてくれた。うん、確かにミリーの言う通りだ。今回は一回目、一回目で毒草まみれだったとしてもまたここに来ればいいだけだ。そうすれば、毒草ではなく薬草を得るチャンスは巡って来る。諦めてしまうのが一番いけない事だ。が。

「そうなると、それなりの期間で付き合ってもらう事になっちゃうけど……問題は無いのかな?」

 一応確認しておかないと。この自分の念押しに応えたのはカナさん。

「問題はありません。ギルドマスターのツヴァイさんからは、『アースが良いと言うまで同行してやってくれ』とも言われています。それにギルドの方もそれなりのメンバーの育成が進んでいますから、もう私達が極端に面倒をみなくてもよくなっていますし……いつまでも面倒を見続けてしまっては、成長を鈍らせる可能性もありますからね。時には痛い目に合って苦労するのも経験です」

 そっか、ツヴァイからの許可が下りてるなら問題ないな。ならば遠慮なく頼らせてもらおう。毒草だけでなく薬草も押さえておきたいからな。スキルレベルの限界がいつ来るかが分からないのが怖いが、鑑定が通っている所から何とかポーション制作は出来るだろうと、今までの経験を踏まえた上で結論を下す。ただし、スキルの限界を早々に迎えてしまった場合は成功率百パーセントにはならないだろうが。

「──にしても、ちょっと困りましたね。今だに吹雪が収まりません。このかまくらに入って四十分ほど経過しましたが、いまだに吹雪の勢いは強いまま……これは持久戦を覚悟しないといけませんか。ログアウトする時間にはまだまだ余裕があるのでそちらは問題ありませんが、この吹雪が収まるまで炭の火が持ってくれるかどうか……」

 外の様子を見たカザミネから、そんな不安をのぞかせる言葉が零れ落ちた。自分やミリーもその言葉に促されるように外を覗くが、吹雪の強さはカザミネが言ったとおりに弱まったようには見えない。炭の量はまだそれなりにあるが、これだけ時間が経過しても弱まらない所を見ると確かに不安ではあるな。

「なら、火鉢の数を半分にしましょう。幸い十分にかまくらの中は暖まりましたから、半分にする事で持続時間を倍に伸ばせます。せっかくかまくらを作ってもらったのに、炭の消費を考えずに凍死なんて愚か以外の何物でもありません」

 カナさんの意見に反対する言葉は出ず、まずは男性陣である自分とカザミネの火鉢を運用することに。火鉢の数が減ったために少し温度が下がったがまあ問題がない範疇だろう。一応温度を感じる為にマントをいったん解除してかまくら内の温度を体感したが、それなりの暖かさは保持できている様である。

「多少寒くはなりましたが、これぐらいなら問題はありませんね。後は少しでも早くこの猛吹雪が止むことを祈るのみ、ですか。吹雪が止んだ後は族座に撤退ですね、炭の量が十分でない状態で魔王領の街以外をうろつくのはあまりにもリスクが高すぎます」

 カザミネの言う通りだな。時としてこんな猛吹雪が襲ってくる環境下で、道具の残量に不安がある状態で撤退を選べないようでは自殺をするようなものだ。この吹雪が収まったら全力で街まで撤退し、補給を行った後に今日はログアウトすべきだろう。何も今日中に良い薬草を手に入れなければ不味い事になるという訳じゃあないんだ。のんびりやればいい。

「とにかく、この猛吹雪さんがと待ってくれないとどうしようもないですね〜。さすがにあんまりピカーシャちゃんに頼りたくないですし……慣れたら抜け出せない可能性があります〜」

 ミリーの言葉にうんうんと頷くカザミネとカナさん。まあ、気持ちは分からんでもないけどな。さて、今自分にできる事は薬草の鑑定を進める事だけだな。ゆるゆると再開しようか。
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スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv38  技量の指Lv55  小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化Lv3 ダーク・スラッシャーLv3 義賊頭Lv47   隠蔽・改Lv7 妖精招来Lv18 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv2.58  偶像の魔王 1.12 

控えスキル

木工の経験者Lv13 上級薬剤Lv47 ↑12UP  釣り LOST!  料理の経験者Lv27  鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 11

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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