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連載

再び魔王城、何かと縁がある

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今回のあとがきは必ずご確認ください。
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 黒歴史として封印しておくことが決定した看護を受ける日々がようやく終わり、自分はデスさんと共に魔王城に再び訪れていた。目的は魔王様ともう一度会ってほしいとデスさんから頼まれたので、それを果たしに。今回の一件は終わったからはいさよならとはいかない内容だから仕方がないだろう。魔王城では最敬礼で迎えられ、魔王様の元へ。話は謁見室で行うと当初は思っていたのだが──

「内容が内容なので、今回は魔王様の執務室にて」

 とデスさんから教えられた。今回自分からの話を聞くのは、魔王様と四天王の皆さんだけらしい。それ以外の人は完全にシャットアウトする方向のようだな。そんな訳でリビングメイドさん達のメイド長でもあるリビングアーマーさんを先頭に、エキドナのマドリアさん、サキュバス・クィーンのヘテラさん、そして死神のデスさんと共に魔王様の執務室へ。魔王様は執務室で待機していらっしゃるそうだ。そして蛇足ながら、魔王様の執務室に入った異種族は自分で四人目らしい。

「良く来てくれた。まずは中に入ってくれ」

 魔王様の執務室に到着すると、魔王様からの出迎えを受けた。その後全員が着席し、魔王様から今回の一件に関して最初から思い出せる部分はすべて話してほしいと頼まれたので、すぐに応える。どんな小さなことでもいいのでとの事だったので、今回の話を持ち掛けられたところから、討伐後に生命力を分け与えて倒れる所までと一部始終覚えている部分はすべて魔王様に報告という形で話した。

「それにしても、まさかの事態ね……前もって文官達に今までの魔力封印に関する資料を洗いざらい調べて貰ったのだけれど──まさか暴走した魔力の残滓がもう一度暴れるなんて件は一切なかったわ。今回が初めてのケースとなるでしょうね」

 自分の報告を聞き終えた魔王様がため息の後にそうこぼした。なるほど、今回の一件は初めてのケースであり、想定外の事態であったと言う訳か。しかし、今回はこれで終わりだろうが、次はどうなるか分からない。今後魔王様はそちらへの対応方法の模索も行わなくてはならないだろうな。

「魔王様。今回の一件を鑑み、暴走魔力への対処方法を研究する部署に更なる予算を追加せざるを得ないと考えますが如何でしょうか?」

 エキドナのマドリアさんの言葉に、魔王様は頷く。

「とりあえず、暴走魔力を抑えた後にその残滓が残って居るか否かを調べる事が出来る魔道具。並びにその残滓を少数精鋭で処理できる能力を持った兵士の育成は必須でしょう。今回はアイスジャガーキングという個体に取り付いたからこそ厄介な話になった訳であって、そうなる前に抑えて処理できれば少数精鋭で十分なはず……」

 これは魔王様の言。そうだな、その点は自分も同意できる。何かのボス級のモンスターに取りつかれる前に処理できれば、今回の様なピンチを迎える事は無かっただろう。ボス級のモンスターの体を乗っ取った挙句、そのボスの配下であったと思われるアイスジャガー達を呑み込んであんなおそましい姿とシャレにならない力を得たのだろう。

「やはりこれだけの力を持つお方が在野に居ると言うのは惜しいですね……アース様、魔王領専属の冒険者になるつもりはございませんか? もし望むのであれば結婚相手もお探しします。もちろん、指名されれば私でも構いません。そして次世代の魔王を──」

 なんて事を魔王様が口走った途端、突如執務室のドアがノックされた。

「魔王様、失礼します! 本日予定されていた妖精国からのお客人として、妖精の女王陛下であるフェアリークィーン様が直々においでになられました! 謁見室においで下さいますようお願いいたします」

 え? クィーンが魔王領に? 何だろう……仕事か?

「ああ、しまった。今日だったわね、妖精国から使者が来る日だったのは──しかしまさか、女王陛下自ら参上とは予想外だったわ。とりあえずアース様から伺いたい話も済みましたし、ここからの話し合いは上層部を加えて行う必要がありますから……アース様には申し訳ないのですが、報酬をお渡しするのに少々お時間をいただきます。妖精国の女王陛下との対話に臨む必要がありますので──」

 理由は良く解らないが、クィーンがここに来るのも魔王さんにとってはやや予想外だったって事かね。とにかくクィーンを待たせるような事になっては申し訳が立たない。

「分かりました、では私は別室にでお待ちしております」

 そうして魔王様と四天王の皆さんの四人中三名と分かれ、自分はリビングメイドさんの一人の案内の元、サキュバスクィーンのヘテラさんと共に別室へと移動した。

「今回、例外中の例外であるアース様には二度も助けられることになりましたね。その恩と働きに報いるために相応の報酬をお渡ししたいのですが……申し訳ありませんがアース様、装備を一度完全に私に拝見させていただくわけにはいかないでしょうか?」

 と、そんな話をサキュバスクィーンのヘテラさんが振って来た。うーん、どうした物か。別にヘテラさんを始めとした魔族の皆さんから危害を加えられるとは思っていないが、かと言って、こちらの手札を晒すってのもなぁ。ちなみに装備はもう預ける必要など無いどころか、魔王様の装備を預けて頂くなんて、そんな恐れ多い事などできませんと言われてしまう始末なので堂々と持ち歩いている。もちろんすぐには使えないように布に巻いている形で穏便な形になるように心がけてはいるけど。

「うーん、あまりこちらの装備を他の方に晒したくはないのですけどね……」

 ついそんな言葉を漏らしてしまったが、そこを曲げてと言われてしまったので……もう一回自分の装備を見直すべく、一度装備を全て外して見直してみる事にした。

 まずはメインウェポンである弓だが、これは蒼虎そうこの弓。Atkも八四と高く、人魚さんの協力がないと手に入らない蒼海鋼が使われているから水中でも使えると言う強烈な弓。元々は獣人連合で功績を上げた事で貰った伏虎の弓という武器だったのだが、蒼海鋼で作った弓と融合した事により大幅なパワーアップが行われたと言う経歴がある。

 次に蹴りの威力を上げる為にブーツにつける補助具だが、これも蒼海鋼による融合が行われたことでパワーアップしたマリン・レッグセイヴァー。Atkは六四だが、更に防具としての一面も持ち、Defが四四も上がる。複数の突起や爪を模した部分にはドラゴンの毒を付与する効果もあり、更に泳ぎの補助や足の動きを妨害する行為への抵抗力も兼ね備える。

 魔剣である円花はもう吸収してしまったから取り外せないのでここではスルーだな。マントも四天王であるヘテラさんは知っているだろうからスルー。そうすると次は矢筒かな? 魔弾の相棒という名がついていて、矢の射程や威力を上げるだけではなく属性を付与して放つアーツのコスト軽減なんかの効果も持っている。これはミミック三姉妹の長女が贈って来たアイテムだ。

 後は両腕につけている盾も人前で外すのは久しぶりだな。右腕につけているのはドラゴン・スネーククリスタルシールド。そして左腕には毒蛇の盾。どちらもスモールシールドだが、仕掛けが隠されていてどちらもスネークソードが仕込まれている……円花のお蔭で仕込まれているスネークソードは出番がほとんどなくなってしまったけど。クリスタルの方は防御能力、が優秀。毒蛇の方はスネーク・ソードに毒付与能力があるんだが……最後に使ったのはいつだっけ。円花が便利すぎるんだよな。

 鎧はドラゴンスケイルメイル一式なのは変わってない。けど最初と比べて随分と色あせたなぁ。レッドドラゴンの王様から頂いて以降ずーっとお世話になってきたが、これを上回る防具っていまだに露店などでは見ない。そもそも防具のマスタリー無しで何のペナルティも無く使えていると言う時点で十分すぎるんだけど。顔は妖精国のフェンリルさんから貰った頬あてが現役。そう言えばこの顔の覆面装備を貰った前後だったかな、オーガキス事件が発生してツヴァイとノーラが泣いたのは。

 そしてアクセサリーは、特定条件で攻撃を加えると火力が頭おかしい事になるアミュレット・オブ・フェアリーズ。アクアから貰ったピカーシャの心羽根、あと呪いの指輪。

【呪いって何よ!】

 ルエットが切れたけど、装備を解除できないって時点で一般的には呪われていると言う認識だからね? まあマイナス効果は一切ないんだけど……他の世界にも呪って来て装備を外せなくはするが、デメリットはそれだけで防御力は付与されてる能力は優秀というアイテムもごく一部ではあるが存在してるらしいけど。それにしてもこうやって装備を解除して広げてみると、いろいろとたくさんの装備を身につけてるもんだよなぁ冒険者って。

「──解ってはいましたが、どれもこれもすごいですね。一般的な武器防具ではやはりどう頑張っても報酬と言える物にはなりそうにないのがこちらとしては困る所なのですけれど。しかし、ちょっとこちらの鎧はまずい事になっている様ですよ?」

 え? ドラゴンスケイルメイルフルセットが?

「内包されていた魔力がほとんど抜け落ちていて、このままではそう遠くない内に自壊するでしょう。これを完全に治すためには大がかりな修繕が必要となりますが……残念ながら、それを可能とするのは地の世界に住むドワーフだけですね。ですが、もうしばらく持たせる応急処置ならば、私でも出来そうです」

 ヘテラさんはそう自分に告げると、その美しい指をそっとドラゴンスケイルメイルの胴体部分に触れる。その直後に指と鎧の合間に紫電の輝きが生まれ、紫電の輝きは細い糸のようなものとなって鎧の表面を走る。そんな光景が数分、アーマーのパーツごとに行われた。

「これでもうしばらくは持つでしょう。ですがドワーフの方にできるだけ早く修理をして頂いた方がよいでしょうね。魔力を流してみてわかりましたが、このドラゴンスケイルは全盛期の二割ぐらいの性能しか発揮できていないようです」

 うそでしょ? これだけ強い装備の性能が二割? そうだとしたら、十割、つまりは完全になった場合はどんな防御力を持つことになるのやら。見てみたいような恐ろしいような。
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今回の更新をもって、なろう様におけるとあるおっさんの更新を終了します。
今後の続きはアルファ様の方で、お盆明けに再開する予定となっています。
しばらく間が空くのは、色々と用事が入っているからです……申し訳ない。

色々な事が二転三転して、ここでの連載が続けられないのは残念に思いますが
これも決まりとの事ですので致し方ありません。

なお、停滞してはおりますが他の作品は引き続きなろう様にて
続きを書いていく予定となっています。宜しくお願いします。
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