トップ>小説>転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜
12 / 99
第一章 幼少期編

第八話 冒険者ギルド

しおりを挟む
 初めて教会以外で外にでる許可がもらえた。

 もちろんミリィとニーナの護衛付きということだが。
 領都の外壁の外に出るということで、サラからは子供用の革鎧とローブ、武器としてショートソードを貰った。
 部屋で貰った装備を身に着けている。

「カイン様、とっても素敵ですよ」

 いつでも褒めてくれるメイドのシルビアだ。

「初めての外ですからね、外壁周りでも危ないですから十分注意してくださいね」

「うん。わかっているよ。ケガでもしたら外に出してもらえなくなりそうだから気を付けるよ」

 装備を整えて外にでる。
 母のサラと、姉のレイネが待っていた。

「カイン、よく似合っているわ。魔法の練習とはいえ外には魔獣がいるのよ。気をつけなさい」

「カイン君、外に出たときの話聞かせてね!」

「母上、それでは行ってきます。夕方までには戻りますから」
 
 ミリィとニーナの後を歩いてついていく。

 敷地の門をくぐり二人に連れられて領都を歩く。
 大通りは石畳で舗装され、屋台らしきものも沢山出ていた。
 外にいる人は賑やかで繁栄しているのがわかる。父上は結構まともな領主なのだなと納得しつつも、目新しいものばかりでキョロキョロと見まわしていた。

「そんなに周りをキョロキョロしていたら、田舎からきた人みたいだぞ。しかも親が領主様なのだから堂々としていればいいのだ」

「いえ、領主の息子といっても三男ですからね。成人したら冒険者になるつもりですし」

「まだ五歳なのに、何か子供らしくないな。その位の年で親が領主ならばもっといばっているイメージしかないのだが」

「両親にも領民あっての貴族だからと教育を受けていましたからね。領民が栄えるからこそ税収があがる。それで僕たちは食べさせてもらっているのだと」

「ここの領主は善政を敷いているのでギルドでも有名だからな。私たちも他の街からここを移って来たのよ。治安もいいし森も近くにあるから、ギルドの依頼も多いし」

「うん。ここ住みやすい。食事も美味しいし」

 二人ともこの街が良いと思ってもらっているみたいだ。父上の政策が上手くできていることだな。
 満足しながら歩いていく。

「あ、外壁に出るなら一度ギルドに寄っていいかしら。もしかしたら外の情報もあるかもしれないし」

「ギルド行ってみたいです!」

 カインは目を輝かせながら即答する。
 領内を歩き、盾に剣が交差している看板が見える。それなりに大きな建物だ。
 扉を開けて中に入る。
 正面には受付があり、右側には依頼と思われる用紙が貼られていた。
 左側には待合スペースと食事処みたいなところがある。
 まだ朝なのに、すでに飲んでいる冒険者たちもいる。
 そのまま三人で受付まで進む。

「ルディ、ちょっと聞きたいけどいいかしら」

 犬耳の獣人の受付嬢が顔を上げ笑顔で答えてくる。

「あら、ミリィじゃない。今日はどうしたの?」

「外壁の外で訓練でもしようと思ってな、魔獣が出ているのか確認にきただけだ」

「それならホーンラビットとたまにウルフが出ているだけで、目新しい情報はないわよ。それにしても今日は可愛らしい子を連れているのね。弟子でもとったの?」

 ミリィは受付嬢のルディの近くまで寄り小声で話す。

「今依頼を受けている、領主様の御子息だ。訓練のためにこれから外にでるつもりだ」

 ルディは慌てて立ち上がり、カインに向かって頭を下げる。
 冒険者の恰好した子供なのだ、まさか領主の子供だとは思っていなかったようだ。

「あ、これは失礼しました。ご子息様とは知らずに、私は冒険者ギルドで受付をしておりますルディといいます」

「カイン・フォン・シルフォードです。まだ五歳で冒険者登録はできませんが、十歳になったら冒険者になる予定です。その時はよろしくお願いしますね」

「あら、礼儀正しいのね。気軽にルディって呼んでくださいね」

「それじゃ、行ってくるわ」

 ミリィたちはそのままギルドの出口に向かう。
 食事処で飲んでいる冒険者たちの一人から声が掛かった。

「おい!ミリィじゃねぇか。なんだよ、ガキなんて連れて。子守なんてしてないでこっちで一緒に飲もうぜ」

「そうそう。ガキなんて放っておいてこっちで飲もうぜ!そのまま夜も付き合えよ。満足させてやっからよ」

 ミリィもニーナも嫌な顔をしている。

「私たちは今依頼中なの、酌相手が欲しいなら娼館でもいったら」

 興味がなさそうに言葉を返す。
 そのまま出ようとしたら、一人の男がニーナの腕を掴んできた。

「俺たちの言うこと聞けねぇのかよ?」

「あなたたち離しないよ」

 ミリィが問い詰める。

「あ?Cランクのクロス様に文句あるのかよ?お前らはDクラスだろ?上の言うことを聞いて酌すればいいんだよ!」

 なんかテンプレみたいのがきたぁぁぁ!!思わずウキウキしてしまったカインだ。
 だが、このままではいつまで経っても外に出れなくなる。

「すいません。これから一緒に出るので、離してもらえますか」

 カインは、すっと前に出て、ニーナを掴んでいる男の腕を叩く。
 武神の加護に、体術ももっている。とても五歳には思えない力だ。

「いてぇぇ。てめぇガキのくせになにしやがる!!てめぇは許さねぇ。教育してやる!」
 
 腕を叩かれたクロスは、カインに殴りかかった。
 カインは体術を駆使して、寸前で一歩横によける。そのまま相手の懐に入り込み膝の内側に蹴りを入れる。

「このガキ絶対許さん!死ねやっ!!」

 鞘から剣を抜き、切りかかってきた。

「あぶないっ!!!!」

 ミリィが叫ぶが、飲んでいるせいか、剣筋もイマイチだし簡単に避ける。
 鞘についたままのショートソードを引き抜き、鞘で相手の顎を打つ。
 相手は白目を向いて、そのまま倒れた。
 周りは茫然である、飲んでいるとはいえ、Cクラスの冒険者が五歳児に倒されたのだ。

「何をしている!!!」

 突然の大声で、そこにいる全員が声を出したほうに向いた。
 そこには、倒れている冒険者たちとはまったく違う40代くらいで坊主頭の男が立っていた。

「ギルドマスター!」

 受付嬢のルディが声を上げた。

「ルディよ、何があった?説明しろ」

 ルディは今までにあったことを説明した。

「なるほど、とりあえずそこに寝ているやつを運んでおけ。あとで罰を与える」

 そして、こちらを向きニヤニヤしている。

「領主の三男坊か、将来冒険者になるなら歓迎してやる。五歳でそれだけ強ければSランクにもなれるかもしれんな」

 カインの頭を撫でたあとに笑いながら、奥に引っ込んでいった。

「カイン様、申し訳ありません。うちのギルマスはいつもあんな感じなので」

 申訳なさそうに受付嬢のルディが頭を下げる。

「いいですよ。気さくなギルドマスターでいいですね。私はケガもありませんしね。それに早く外に出たかったですし」

「カイン。ありがとう」
 
 ニーナが膝をついて抱き着いてきた。
 抱き着かれたこととのちょっといい匂いに、カインはにやけてしまう。
 エルフだけにちょっとスレンダーで胸のボリュームが足りないのが残念だったけど。

「話は終わったし、とりあえず外に行こう」

 ギルドを出て、三人で門に向かって歩く。

「それにしてもカイン、剣も魔法も使えるのに体術もできるんだね」

「カイン。強い」

「家で本を読みながら特訓しました!」

「本読んで特訓したくらいで、Cランクの冒険者が簡単に負けるもんか。ただ、外に出たら何が出るかわからないから注意するんだよ」

「ミリィさんわかりました」

「私がカイン守る。安心して」

 ニーナが守ってくれるそうだ。ミリィと違ってあまり余計な事は話さないけど優しい。

「ニーナさんありがとう!」

 笑顔で返しておく。
 話しながら門をくぐっていく。門番がいたがミリィが話をつけてくれた。
 さすがに領主の息子を止めることは出来ないだろうし仕方ないよね。
 それにしても領都の門だけあり、かなり大きかった。外壁も5メートル位の高さで続いている。
 
 
 やっと外に出れた。
 門をくぐると、街道がまっすぐと整備され、草原が広がっている。
 産まれて五年、自意識を持ってから二年経つが初めての冒険だ。
 思わず胸が躍ってしまうカインだった。
しおりを挟む