トップ>小説>転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜
43 / 104
第二章 学園・冒険者編

第七話 授業選択そして…

しおりを挟む
 入学式も終わり、オリエンテーションが始まった。

 王立学園には基本学科の他に選択学科というものがある。
 基本学科とは、国語、算数、歴史などが含まれており、これは必ず選択しなければならない。
 選択学科は専門性がある学科となっており、貴族科、冒険科、商業科、内政科、魔法科、武道科、魔道具科、薬剤科、家庭科など、いくつもあり自分に合った学科をひとつ以上選ぶことになる。生徒によっては三つ、四つと選ぶ人もいるとのことだ。
 ちなみに貴族科は貴族としての内政や外交、礼儀作法などの勉強をする必要があるため、貴族しか選択を認められていない。
 学科が一覧で記載されている用紙を見ながらカインは頷く。

「やっぱり冒険科だよねっ!」

「「ダメ(です)!!!」」

 カインは真っ先にテレスティアとシルクに否定された。

「カイン様はすでに貴族の当主なのですよ?これから貴族のことを色々と学ばなければいけません。貴族科は必ず選択してください」

 テレスティアはカインが冒険者登録をしたことを知っていたのだが、さすがにそこは譲れなかった。

「……はい……」

 カインは力なく頷いた。

「貴族科の他に冒険科とればいいんじゃない」

 シルクの一言でカインに活力が沸いた。

「そうだよねっ!一つだけじゃないんだよね?貴族科は仕方ないとして、冒険科と……魔法科も、武道科も、魔道具科も捨てがたい」

 カインは腕を組み悩んでいた。

「四科目なら平気だと思いますわ。それ以上になると大変になるかと」

 テレスがさすがに呆れて助言をしてくれた。

「決まった!貴族科、冒険科、魔法科、魔道具科にするよ」

「武道科はいいの?」

 シルクが訪ねてくる。

「武道は冒険者やっているから実践で覚えていくよ。二人は何を選ぶの?」

 カインは二人に聞いてみた。

「私は、貴族科と内政科を選ぼうと思ってます・・・・・・」

 テレスティアが頬を染めながら答える。

「貴族科はわかるけど、どうして内政科に?」

 カインは不思議そうにテレスティアに聞いた。

「それは・・・・・・もちろん、カイン様との将来の領地経営のため・・・・・・って!?」

 思わず言ってしまったことに、テレスティアは顔をリンゴのように真っ赤にして両手で顔を隠していた。

「あらあら、テレスったら。私は貴族科と、商業科かな。カインくんが将来統治する領地のために勉強できたらなーって」

 シルクはさっぱりとカインに答えた。少し頬は赤くしながら。

「二人ともありがとう。領地経営はまだなんとも言えないけど、二人のためにも頑張るよ」

 カインは二人の気持ちに感謝をして素直に御礼をいった。



 
 数日の科目別のオリエンテーションが全て終わり、決まった科目を書き、担任に提出することにした。

「これでよしっと。そういえば最近教会に行ってないな。たまには顔を出さないと神様たちに文句言われるか」

 そう言いながら、学園帰りに教会へ寄ってみた。
 教会に入り、お布施を渡し神々の像たちの前に跪く。
 そしていつもの通り、白い光にカインは包まれていった。


「カイン、久々よのぉ。まずは入学おめでとうじゃな」

 白い光が収まったところには、いつものように神々が座っている。

「ご無沙汰してます。そしてありがとうございます」

 そう言いながら、いつもの自分の席に座る。

「みんなで楽しませてもらっていたぞい」

 スクリーンには、入学試験で訓練場を破壊した魔法を放ったとこだった。

「また見てるんですかっ!!」

「カイン!初級なんて言わずにこの間見た魔法書に書いてあった帝級使えばよかったのに!」

 そう言ってきたのは魔法神のレノだ。

「さすがに帝級はまずいと……。あそこで帝級放ったらどうなってました?」

「うーん、訓練場だけでなく、校舎も全壊だったな。一キロくらい全部ダメになったかも?」

「なんで疑問形?しかもそんなことしたら、王都が大変なことになってましたよっ!」

「カインよっ!そんな魔法のことより、あの剣技どんだけ手抜いてるんだ?あれくらいなら一撃で倒せるだろ?お前のステータスと加護ならほとんど問題ないはずだろーが」
 
 割り込んできたのは武神サーノスだった。
 
「人の範囲内でやりましたよっ!入学試験で十歳が皆の前でA級冒険者を一撃で倒したらどう思うんですか?? 入学したら誰も怖くて近くによってくれませんよ!! しかも本気で剣振ったら剣圧でまた壁が壊れます……」

 すでにステータス、加護共に人外になっているカインは常識範囲に収めるために苦労していた。



「まぁ冗談はいいとしてな、カインよ、お主に行って貰いたい場所があるのじゃ」

 そう言って、ゼノムはカインに一枚の地図を渡す。
 地図はエスフォート王国を中心にしており、グラシア領と隣接しているバイサス帝国や、王都の反対側にあるマリンフォード教国、山脈の高地にあるタンブルトン王国、商業の主要都市イルスティン共和国など周囲の国が載っていた。

「ここまで詳細な地図は初めて見ましたよ」

 カインは貰った自分の国以外の地図を初めて見れたことで夢中で見ていた。
 
「お主に行ってもらいたいのはここじゃ」

 創造神ゼノムが指を指した場所は、グラシア領の横にある魔物の森の奥深くの場所だった。
 五歳のときに倒したレッドドラゴンを倒した場所よりもさらに奥だ。

「ここには何が?」

 カインはゼノムに尋ねた。

「行ってみればわかる」

 ゼノムが言ったのはそれだけだった。

「さすがにこの距離はすぐには行けないですよ。レッドドラゴンがいた場所よりもさらに数日奥に入った場所じゃないですか、学園に入学したばかりなのでそんなに休めませんよ」

「お主なら、帰りはすぐじゃろ。今度ある休日二日で十分間に合うはずじゃ」

「そこまでして行く必要があると・・・・・・。わかりました、行ってみます」

 ゼノムの言葉にカインは頷いた。

「うむ、よろしく頼んだぞ。では、また会おう」

 その言葉を聞いた後、また光に包まれて、気づいたら神殿で七神に向かって祈っている格好をしていた。
 立ち上がり、そのまま教会を出て屋敷に帰る。

「ただいまぁ」

「おかえりなさいませカイン様」

 迎えてくれたのはシルビアだった。

「今度の週末少し出かける用事ができた。二日間ほど留守にするからよろしくね」

 カインはそうシルビアに伝え部屋に戻っていった。

 そしてあっと言う間に週末になった。
 荷物と数食分の食事を無限収納アイテムボックスに入れ、冒険者の格好をして部屋を出た。

「何があるかわかりませんから気をつけてくださいね」

「うん。無理はするつもりはないから平気だよ。それじゃ、行ってきます」

 カインは門を抜けてから長距離瞬間移動ロングワープを唱えグラシア領の横にあるレッドドラゴンを討伐したところに転移した。

「ここも懐かしいなぁ。もう五年も経つんだな」

 カインは自分がドラゴンと対峙した時に、魔法を連発し、なにもない状態になっていたが五年も経つと草木が生えていた。

「こっちの方角だな」

 ゼノムからもらった地図を確認して、方向を確かめた。

「今回は時間がないから、戦闘なしで一気に行くか」

飛翔フライ

 そう唱えたカインの身体は床から足が離れ浮いていった。身体はすでに木々を超えた高さまで上がっていた。

「これぐらいでいいかな、風避けだけすればいっか」

 風よけウインドシールドを唱えたあと、一気に飛んだ。
 速さは時速二百キロに達するスピードでカインは飛んでいく。
 二時間ほど代わり映えがない木々の景色を眺めながら飛んでいたが、少し先に畑があり家が見えた。
 
「あそこなのかな、それにしてもこんなとこに家が一軒だけあるなんて……」

 グラシア領の横から魔物の森へ入りすでに数百キロの奥地へきた。
 視線を先に向けても地平線いっぱいまで永遠と森が続いていた。

 カインは玄関先に魔法を解除し着地した。
 周りを見渡すと、家が一軒だけあり、周りは自給自足をしているような畑が広がっていた。

「こんなところで住んでる人っていったい……」

 カインは玄関の前に立ち、一息ついてからノックをする。

「すいませーーん、誰かいらっしゃいますか?」

「ちょっと待ってろー」

 扉の奥から男の人の声が聞こえた。
 そして足音が近づいてきて扉が開いた。

「お、いらっしゃい。こんな辺鄙なところへようこそ、まぁ中に入りなよ」

 出てきたのは、二十代に見える黒髪の青年だった。
 カインはその気軽な青年に言われるがまま、中に入り案内された椅子に座った。

「コーヒーでいいかい?」

 その青年はカインに声をかけた。

「えぇ、大丈夫で……ええぇぇぇぇぇえええええ!!!!」

 カインは驚いた、自然にコーヒーを受け止めようとしていたが、この世界にはコーヒーなんてものはなかった。
 目の前の青年は特に気にすることもなく、コーヒーを勧めてきたのだ。
 カインに緊張がはしった。

「まぁ、そんな警戒しなさんな、転生者くん、ゼノムのじじいから話を聞いてるよ」

「えっ……、神様と話したのですか!?」

「そんなとこだなぁ、あのじじいどもたまに気が向くと声をかけてくるからな。それで君がくるのを聞いてたんだ」

 カインの目の前に煎れたてのコーヒーを置く。自分のカップにいれたコーヒーを一口飲みながらカインの対面の椅子に座った。
 カインも久しぶりの香りを楽しみ一口飲んでみた。まさに十年ぶりのコーヒーだった。


「まぁ、先に自己紹介といこうか。カイン・フォン・シルフォードくん、または椎名和也くんかな?」



 目の前の青年はそう言った。


「俺は、ユウヤだ。ユウヤ・テラ・ヒラサワ・エスフォートか、もしくは平沢優也だね。君は転生者だけど、俺は召喚者、転移者と言ったほうがいいかな」



「えぇぇぇぇぇええええええええ!!!!」


 目の前にいた青年はまさかの初代エスフォート国王だった。



===========================
 参考資料
 王立学園の選択学科内容

 貴族科
 貴族の子弟のみ選択できる学科となっている。内政や外交、礼儀作法や国営行事等について学ぶ学科となっている。

 冒険科
 将来冒険者になるための基礎知識を学ぶ学科、魔物についてや、野営、護衛等について学んでいく学科となっている。

 商業科
 商会をするための基礎知識を学ぶ学科となっており、簿記の仕組みや各地の特産品等について学んでいく学科となっている。

 内政科
 内政の担当官としての基礎知識を学ぶ学科となっており、文官等を育成するために学んでいく学科となっている。

 魔法科
 各元素魔法、回復魔法、召喚魔法などを学ぶ学科、冒険科と両方選択する人が多い学科となっている。
 
 武道科
 各武器の取扱、体術等を学ぶ学科となっており、冒険科と両方選択する人が多い学科となっている。

 魔道具科
 魔石を利用した魔道具の開発などを行っている学科、外灯や部屋の明かりなども開発品となっている。

 薬剤科
 ポーションや薬草などを使った薬剤について学ぶ学科となっている。

 家庭科
 料理や裁縫などを学ぶ学科となっている。






しおりを挟む