トップ>小説>転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜
29 / 88
第一章 幼少期編

第二十六話 自宅お披露目会その後

しおりを挟む
 お披露目会も終盤に差し掛かる。
 お酒も進めば、トイレにも行きたくなる。
 この屋敷のトイレはとても特殊だ。シャワー洗浄付トイレだからな。
 案の定、声が上がった。近くにメイドを待機させて説明して納得してもらう。
 女性陣には好評のようだ。まぁ男性陣はそこまで使う機会がないしね。
 
「カイン男爵、あれはなんですの!あれが欲しいですわ!」

 カインの肩をいきなり掴み、問いかけてきたのは王妃だった。

「王妃様、シャワー付洗浄トイレにございます。魔石を組み込み作ってみた試作品になります」

 カインが素直に答える。実際に設置されているところは、この屋敷とガルム邸だけだ。
 サラとレイネの二人掛りでつけるように言われては仕方ない。
 メイドたちの使用人用トイレにもつけてあげたら、泣いて喜ばれた。
 そんなに嬉しいものだったのかな。

「すぐに商品化しなさい!あれは革命です。必要なものです!」
 
 王妃様は興奮気味だ。

「なにがあったのだ?そんなに興奮して……」

 陛下がまざってきた。

「なにかじゃありません。トイレに行ってみなさい。あれをすぐに王城につけるようにお願いしてたのよ」

「うむ……。良くわからんが、わしも行ってみるか」

 王は案内されトイレに向かった。
 数分後に戻ってきた。

「カインよっ!あれは明日にでも王城につけるのだ!わかったな!!!」

 まったく同じ反応だった。
 ちなみにテレスティアもシルクも同じ反応だった。少し恥ずかしそうに言ってくるのがとても可愛かった。

「わかりました。まだ試作品ですが少しありますので、早々にお付けするようにいたします」

「まったくカインは想像のナナメ上をいくわい」

 取り付けてもらえることになって、ご機嫌な陛下と王妃だった。
 


 お披露目会も終わり、来ていただいたお客様にはペアグラスをお土産に持って帰ってもらった。
 もらった客はみな中身を聞いて喜んでいた。
 さっきまで使っていたグラスである。実際に帰り際にいくつか買いたいとの話を受けているが、今回のパーティ用で全て使ってしまっているため、王家に献上の後でしたら構わないと伝えておいた。
 このグラスを買えると知った貴族は、大満足して帰っていった。
 夫人たちには、グラスよりもトイレに興味津々だ。もうちょっと試作が済んでから販売する予定ですと伝えてある。自分で売るのは大変だし、また商会に任せようと思う。


 そして来客が全て帰り一息つく。

「父上、色々とありがとうございました。無事に終わることができました」

 ガルムに向かって頭を下げる。

「かまわん。私の息子だしな。これで他の貴族たちには顔が売れたはずだ。今後はある程度一人でやらないといけないぞ。まぁカインのことは心配はしていないが。逆にやりすぎる気がして心配だ」

「そこらへんは自重しながらやっていくつもりです」

 カインも苦笑いするしかなかった。今回のパーティは自重をしなかったし、異世界のことを取り入れてやらせてもらった。
 手伝ってもらった人たちに手当として多少の銀貨を支給したら、皆喜んでくれた。
 メイドたちは一ヶ月働いて、大銀貨一枚なのだ。一日頑張って三日分の給与をもらったと思えば喜ぶしかない。
 これからも頑張ってもらわないといけないしね。


 パーティの次の日に王城のトイレを設置するために伺った。
 数が少ないので、王家のプライベートスペースだけ先行して取付を行った。
 土から出来て低級の魔石だけで、代金として白金貨をもらった。
 叙爵のときにもらったのも使いきっていないのにどんどん増えていく。

 トイレ設置も終わり数日、のんびりしていたら、また王城からの呼び出しがきた。
 男爵を毎回呼び出す王様って……と苦笑いしながら、自分の馬車に乗り王城へ向かった。
 もちろん、何かあるかもしれないとヴェネチアンガラスのグラスを十セット用意しておいた。
 最初はこれくらいで十分だろ。
 いつもの応接室に案内され、美味しい紅茶とお菓子をいただく。
 またリバーシの相手かなーって気楽に考えていたら、陛下と宰相が入ってきた。

「またせたな、この間はご苦労だった。わしも楽しませてもらったぞ。それにしてもお主も結構黒いところがあるのだな。五歳のくせに。この間の時はコルジーノにわしがいるのを教えなかったろ」

「いえいえ、初めてのパーティでしたから、そこまで気が回らなかっただけです。そんな悪意があった訳では……」

「まぁよい、あのグラスのほうは出来上がったなら買い取るぞ」

「今日は少ないですが十ほど用意いたしました。こちらです」

 テーブルの上にグラスを十並べていく。
 陛下が一つとり、グラスを眺める。

「うむ。素晴らしい出来だ。これはお主以外も作れたりするのか?」

「魔法を使い作っているので、なんとも言えません。おかげで魔力切れで一度倒れました」

「うむ。そうか。まぁ良い、定期的に王城へいれてくれ。代金は……一つ金貨一枚でいいか?十枚で
白金貨一枚じゃ」

「えぇぇぇぇぇ……」

 あまりの金額に驚く。

「なんじゃ、不満か?それなら一つにつき金貨二枚だすぞ」

 材料代無料の魔法だけつくったものが、白金貨になった。

「いえ。金貨一枚で十分です」

「うむ。それなら良い、すぐに用意させよう」

 陛下が手元にあった鈴を鳴らす。
 すぐにノックが鳴り、執事が部屋に入ってきた。陛下が話すと頭を下げて出て行った。

「すぐに代金を持ってくるようにいった。それでじゃ本題なんじゃがな」

 またリバーシかな?

「カインよ、剣技も魔法も一流だな、あのエントランスに飾っていたドラゴンを見ればわかる。あれほど綺麗な状態で狩るのは相当な実力が必要だ」

 陛下が鋭い目で見つめてくる。

「カイン、お主、定期的に近衛騎士団と宮廷魔術師の訓練に参加しろ。今はやることはないはずだ。わかったな?」

 まったく断れる雰囲気を出していない。早々に諦める。

「……はい。わかりました……」

 五歳にして、近衛騎士団と宮廷魔術師の訓練に参加することになった。

「その代わりだが、宮廷魔術師の書庫の閲覧許可を出しておこう。お主、魔法の本を小さいころからずっと見てたとガルムがら聞いてるぞ。まだ見たこともない本もあるだろうしな」

 すごくありがたい。家にあった魔法書は上級までだった。火の超級『獄炎地獄インフェルノ』は原理を知っていたからたまたま出来たのだ。他の超級以上については資料がない。

「ありがとうございます!とても嬉しいです」

「なんじゃ、そんなときだけは五歳児か。おぬし。見たい内容は五歳児じゃないがな」

 顔に出てたのかな。

「あと陛下、お願いがあるのですがよろしいでしょうか」

 カインが尋ねる。

「無理なことでなければ、構わんぞ」

「まだ五歳ということもあり、冒険者登録ができません。グラシア領にいたときに倒した魔物がいるのですが売ることができません。王城で素材を引き取ってもらうことができますか」

「魔物の素材なら喜んで引き受けよう。ゴブリン程度の低級はいらんぞ。ある程度の素材なら流通に回しても、研究にしても色々と使い道があるからな」
 
 答えてくれたのはマグナ宰相だった。

「うむ。それくらいなら構わないだろ。逆に王家が潤うことになるしな」

 陛下も同調してくれる。

「アイテムボックスに入っているので、いつでも出せます。どこに置きますか」

「それなら、近衛騎士団の詰所の倉庫がいいだろう。あそこからなら運びやすいはずだ。私から連絡しておこう」

 陛下と宰相の許可が出たのが大きい、アイテムボックスの容量的には問題はないが、いつまでも入れておきたくない気持ちもある。

「うむ。今日はリバーシもやりたいが……」

 陛下が宰相の顔を見てる。

「なりません。本日は会議もありますし、時間があまりないですからね」

 宰相に言われ陛下は落ち込んでいる。

「なら仕方ない。カインまたそのうちな」

 陛下はそのまま席を立って、部屋を出て行った。

「そのまま近衛騎士団の詰所に行くと良い、話はすぐに通しておく」

 宰相はそう言って、王の後を追っていった。

 
 カインは部屋を出て、近衛騎士団の詰所に向かった。
 入口で要件を伝え、中に入ると、見知った顔があった。

「お、久しぶりだね、英雄カイン男爵」

 近衛騎士騎士団副団長のダイムだった。
 



 

しおりを挟む