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連載

薬草減少と、他者の行動を調べる者

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 それから数日、ブルーカラーのメンバーと協力してダンジョンに潜り薬草を集めた。有難い事にダンジョン内の行動ではトラブルらしいトラブルは発生せず、薬草集めは成功していると言って良い。そのお蔭で自分の手元だけでなく、ブルーカラー側にもそれなりの薬草が行き渡った事でブルーカラーの《薬剤》担当メンバーからも直接お礼の言葉を貰っていた。そんな感じで自分やブルーカラーは問題なく薬草、およびポーションの在庫には余裕を持てていたのだが。

「ここ最近、色んな所がぎすぎすして来てるな」

 ブルーカラーの宿泊している宿屋内で、そんな言葉が漏れる。声の主はレイジだ。

「ちょっと予想以上に周囲の状況が良くないですね。ポーションの値上がり速度が予想以上です。私のギルド外フレンド数人にも話を聞いてみましたが、どこの国でも本格的に薬草が取れなくなってきている様子です」

 カナさんも額に皺を寄せながら報告する。

「生産者が利用する掲示板の方も、ポーション関連はかなり雰囲気が良くなかった。不確かな情報で申し訳ないんだが、今の状態を大雑把に言うぞ。十分に取れる状態を十と仮定すると、人族のエリアは一、妖精国は二、龍族エリアは三、エルフ&ダークエルフの集落にある森ではすでにエルフ達が採取を禁じてるから零、獣人連合の方もニと言う状態らしい。更には龍族のエリアも薬草の収集を特定の場所ではしばらく禁じる方向で進んでいるそうだ」

 この発言は自分。冗談抜きでワンモア全体で薬草の枯渇が進んでおり、その薬草の枯渇によるポーションの在庫不足。それに伴う急激な値上げは戦闘職プレイヤー、旅をするワンモア世界の人達の懐を直撃している状態となっていた。

「唯一まともに取れるのが魔王領のダンジョン内だけって状態になりつつあるみたいだね。ボクの方もフレンドから『薬草を用意できる人に心当たりない?』ってよく聞かれるようになっちゃったよ……流石にアース君を他の人に紹介は出来ないから困っちゃうんだよね……口がそこまで硬くないからさ、情報をばら撒かれそうで怖いんだ」

 ロナの方もそんな状態か……

「正直、他のギルドからも聞かれてるんだ……ブルーカラーの方ではポーション不足に苦しんでないのかって。どうもギルドメンバーの狩りの様子をチェックしてた奴らが居るらしくてな、それで今の状況に陥っても普段通りの狩りをして普段通りのポーションをギルドメンバーが使う頻度から、何か特別な入手経路があるんじゃないかってな。特に黒い外套を身につけて顔を見せていないアースの存在は特に聞かれる。むろん喋る気はないけどな、あくまでギルドメンバーの一人でそう言うプレイスタイルを貫いているだけだって言ってある」

 ツヴァイの方にもそんな話が行ってるのか、なんだか申し訳ない気持ちになる。しかし本格的にポーション不足が浮かび上がってきたな。過去に発生したポーション事件は、あの時はあくまで《薬剤》スキルによるポーション生産を行えるプレイヤーが居なかったが為にポーションが手に入らなくなった訳で、その後《薬剤》スキルを取ったプレイヤーの増加で問題は沈静化した。しかし今回はその材料である薬草その物が足りないのだから過去の話とは全く違う。

「薬草が栽培できれば話は違うのですが……残念ながらそれもかなわぬ状態ですものね……」

 エリザの言葉に、皆が無言でうなずいて肯定する。そう、何らかのスキル……農業系統のスキルで薬草を促進栽培できれば問題は解決する。しかし、そのような話はどこに行っても聞いたことが無い。研究してるプレイヤーは現在進行形でかなり大勢いるらしいのだが、野菜や果物は作れても薬草はそうは行かないらしい。

「お蔭で、ダンジョンに入る為に出来上がる列の長さが伸びる一方ですよね〜、最初の頃は数分で入れましたのに、今ではもう三十分以上待たないと駄目ですもの〜」

 ミリーの言う通り、現状では唯一中に入れれば潤沢に薬草を集める事が出来る可能性がある草と木のモンスターが生息する魔王領にある例のダンジョンは、長い行列ができる状態となってしまっていた。もちろんその並んでいるPTの中には明らかに浮いている人が一人参加していて、彼らが《薬剤》系統のスキルを持っていると言う事がすぐにわかる。ただ掲示板の方ではそうやって同行した《薬剤》持ちの生産特化者の死亡報告も多く上がっており、『戦闘が苦手だから生産特化になったのに、あんなダンジョンに同行しないといけない状況は辛すぎる。早く薬草回復して』という嘆きもかき込まれていた。

「ここに来て、戦闘能力を持つ《薬剤》持ちプレイヤーがものすごく重宝されているな。あのダンジョンは木材も取れる事から《木工》持ちも歓迎されてる。溶岩の方は掘り出すのではなくモンスターからのドロップアイテムだから《鍛冶》持ちのプレイヤーを連れてこなくても良いが、《薬剤》も《木材》もその場から採取して持ち帰らなければならないと言うのが難易度を大きく上げる結果になっているな。薬草もモンスタードロップで十分な量が取れるならまだマシになるのだが、そうは行かないのが現状か」

 レイジの言葉にため息を漏らす。そう、ダンジョンであってもモンスターを倒すと落ちるモンスタードロップで薬草がたくさん落ちるなら何の問題も無いのだ。だが、ダンジョンモンスターの落す未鑑定薬草は大半が毒草系統という事もあり、そっちの方法で不足している薬草を補う事は残念ながら無理なのだ。

「しかし、ここまでする必要があったのかしら? いくらなんでもちょっと絞め付け過ぎよ。運営は薬草なんかの必需品はもっと早く回復するようにするべきだと思うのよね。今回の一件に関してはアタシも意見のメールを送ったんだけど、運営からは『現在の情勢は正常な状態であり……』って返答しか返ってこなかったわ。プレイヤーの数も増えたし、旅をするこっちの世界の人も増えてるんだもの、それに合った調整をすべきだとアタシは思うのよ。ここまで薬草不足に陥っている時点で、すでに異常と思うし」

 ノーラの言葉に、「確かに」とか「そうだよな、その辺はもうちょっと調整を入れてほしい」なんて言葉が交わされる。

「俺も本音を言えばノーラの言葉に全面的に賛成なんだけどよ、現状で出来る事をするしかないってのも事実なんだよな。あと、ギルメンには申し訳ないが、ポーションの使用をある程度制限させてもらうしかないってのもつらい所だな……まさかいちいち他のギルドのポーション消費に対してのチェックを入れる連中が居るとか、さすがに考えなかったぜ……アースのお蔭で薬草の供給が滞らなかったせいで、そこら辺の感覚が知らず知らずのうちにずれていたって所か」

 ツヴァイが苦虫をかみつぶしたかのような表情を浮かべつつそう呟いた。それにしてもそんな事を一々調べる連中まで現れるとか……まてよ? もしかすると、それも自分が持っている《盗賊頭》系統のコミュニティ形成スキルの連中がやっている行動か? そうなると調べたのはプレイヤーじゃなくってワンモア世界に居る人々かも知れない。それなら、プレイヤー自身が他のギルドメンバーの活動に張り付く必要はないし、情報も集める事が可かなり容易くなる。忍者や怪盗のコミュニティもあったんだ。ストーカーとかの他者に対して気づかれる事なく追跡する事に特化したコミュニティスキルが存在していたっておかしくない。これはツヴァイ達に教えておくべきか。

「ちょっと良いか? そのブルーカラーのポーション消費をチェックしたって話なんだが……」

 ツヴァイ達に、スキルの内容によってはワンモア世界の住人と協力し合う事が可能なコミュニティ形成スキルが存在している事を伝えた。以前に言った事があったかもしれないが、そうだったとしてもここでもう一度言っておくことで、その存在をはっきりと知ってもらった方がよいだろう。ツヴァイ達も有名人だからな。

「トレーサーチームか! 確かにこのワンモアにおけるスキルには突拍子も無かったり他のゲームじゃまずお目にかかれない物もある。そう考えれば、アースの言っているコミュティ形成スキルの中に追跡、他者の行動を観察することに特化した集団と情報を交換できる物が有ってもおかしくはない。むしろそう言う集団がこっちのポーション消費をチェックしていたと言われる方が納得するぞ!」

 自分からの情報とレイジの言葉に、それならギルドメンバーの行動を把握されていてもおかしくないと頷くブルーカラーのメンバー達。

「悪趣味な人達ですわね。とはいえ、その能力は脅威ですわ。ギルドメンバーの皆様には申し訳ありませんが、しばしの間ポーションの使用量に制限を付けるしかありませんわね。何時見張られているか分からない以上、目をこれまで以上につけられればうるさい人たちがツヴァイ様にますます寄って来る事は容易に想像できますわ。むしろそうやって詰め寄る証拠を得る為に、悪趣味な人達に金銭を渡して雇っている可能性がありますもの。そうなる前に手を打たねばならないでしょう」

 エリザの言う通り、そうやって雇われている可能性もある。追跡している連中が本当にいたとして、そいつらを潰してもふたつめ三つめの組織が出て来るだけの様な気もする。そんな面倒な事になる前に、ポーションの消費を減らして怪しまれないような行動をとっていく方が速い。

「とりあえず今の話を元に、ギルドメンバーにはポーション消費を極力抑えるように通達するぜ。アース、教えてくれてありがとな。なんでこっちのポーションの消費量をあそこまではっきりと言えるのかがいまいちわからなかったが、アースの言うようなスキルがあれば可能になるって事が判明したからな。ギルドメンバーから反発が出ても、そこら辺を交えて話をして納得してもらうしかないな……」

 そう言いつつ、早速ツヴァイはシステムメニューをいじり始めた。早速ギルドメンバーに通達を送るのだろう。これでツヴァイに対する風当たりが弱まればいいのだが。


スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv39 技量の指Lv68 小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化Lv18 ダーク・スラッシャーLv9 義賊頭Lv60 隠蔽・改Lv7 妖精招来Lv22 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv4  偶像の魔王 Vv3


控えスキル

木工の経験者Lv14 上級薬剤Lv49 ↑2UP  釣り LOST!  料理の経験者Lv47 鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 24

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者  魔王領名誉貴族 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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