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第二章 学園・冒険者編

第十一話 兄妹

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 三人を助けたカインは、皆と同じペースで王都に向かった。
 盗賊に襲われたこともあり、途中で野営をし次の日の昼前に王都へ入った。
 王都の入口で、衛兵には馬のいない荷馬車に驚かれ、捕まえてきた盗賊でさらに驚かれた。

「君みたいな子供がこの人数の盗賊を捕まえるなんて……」

 カインはしまってあるギルドカードを提示した。
 手の平に置き魔力を流し名前を浮かせた。
 金色ゴールドに光るギルドカードに衛兵は一番驚いた。

「まさか……Aランク冒険者とは……。これは失礼いたしました」

 衛兵は態度を改めた。いくら子供に見えても相手は上級とも言えるA級冒険者だからだ。

「死体も持ってきてますが、どこで出せばいいですか」
「それでしたら、確認をしますのでここの裏手でお願いします」

 衛兵の一人に案内された場所で死体をだし、盗賊の引渡し証明書をもらう。

 サビノスさんたちも入都手続きも終わり王都の中に入っていた。

「カイン様おまたせいたしました」

「こちらも引渡しを終わったばかりですので」

 盗賊を押し込んでいた自走式馬車も格納し、四人で商会の馬車に乗り商会へ向かった。
 商会につくと、パルマが店の手伝いをしているところだった。
 接客がちょうど終わり、みんなに気づいてこちらに向かってくる。

「あ、お父さんお疲れ様、カイン様も一緒にどうしたのですか?」

 休みの日にカインと会えたのは予想外のことだったので驚いた。

「実はね、盗賊に襲われているところを、カイン様に助けていただいたのだ。おかげで皆無事だし、商品もこの通り無事だ」

 盗賊に襲われたことを聞き、パルマは驚いた。

「カイン様、お父さんを助けてくれてありがとうございました」

 パルマはカインに向かって丁寧に頭を下げた。

「無事で良かったね。僕も盗賊討伐の依頼だったから……」

 頭をポリポリと書きながら、パルマのお礼に照れくさくなってしまった。
 荷馬車を商会の裏に置いたサビノスさんが出てきた。
 
「これで片道の依頼は終わりだ。あとは二日後に戻るまでは自由ですので、二日後の朝に商会までお願いします」

「「わかりました」」

 サビノスさんが、ミリィ先生とニーナ先生に伝えた。

「では、僕もギルドに報告しに行くので行きますね」
「私たちも行くわ」

 サラカーン商会を出て、ギルドに歩いて向かった。

「聞いたわよ、男爵様になったんだって? カイン男爵様って呼んだほうがいいかい?」
「たまのこし……」

 一人良くわからない事を言っているのでスルーしておいた。

「そんな、ミリィ先生もニーナ先生も、僕の先生だったんだから気にせず「カイン」って呼んでくださいよ」

「五年も経つとやはり成長するもんだな。カインも随分大人びてきたぞ」

 ミリィはカインの頭を腕で抱えた。顔にはミリィの胸の感触を感じ思わず赤くなってしまう。
 少し歩いたところでギルドに到着した。

「レティアさん、盗賊の討伐終わりましたよ。これが証明書です。衛兵に引渡してありますので」

 そう言って、衛兵からもらった引渡し証明書をレティアに渡す。

「まさか、依頼を受けて次の日に終わらせるとは……。ギルドマスターに報告してきます。少々お待ちください」

 レティアは証明書を持って奥へ行ってしまった。
 ミリィとニーナのほうを向くと依頼ボードを見ていた。王都に来る途中で二人のギルドランクはBクラスに上がっていることを知った。
 依頼を見ている二人を眺めていたら、見覚えがある三人が二人に近寄っていった。

「綺麗な姉ちゃんたちだな、王都に出てきたのかい?俺らが色々案内したやろうか……」

 冒険者登録した時に絡んできたチンピラ冒険者達だ。

「あん?なんだお前ら。あっちへ行け」
「興味ない……」

 二人ともまったく興味がないようで、そのまま依頼を見ている。

「いいじゃんかよ? ちっと付き合えよ」

 二人に伸ばした手をカインがそっと間に入り止める。

「二人の知り合いです。あっちいってもらえますか」

 カインは三人に向かって冷たく言い放つ。

「お前、この前登録したルーキーじゃねーか!Cランクの俺らに文句あるのか?」

「お引取りください……」

 三人は、カインに絡もうとしたところで、カインが殺気を放つ。
 一瞬にして、ギルド内が静まり返った。
 近くにいた冒険者たちは思わず、剣に手をかけたり、低級冒険者たちはガクガクと震え始めた。
 目の前で殺気を当てられた三人は、その場で腰を抜かして震えている。
 ユウヤとの修行によってレベルが上がったことで、少しの殺気でギルド内が埋まってしまった。

「わかりましたね……?」

「ハイ……わかりました……。すいません……」

 三人のチンピラ冒険者は震えたまま、四つん這いになりながらギルドから逃げ出した。
 ギルドの扉から出たところで、入れ替わりで人が入ってきた。

「なんだ、あの出ていった奴らは……おうおう、すげー殺気放ってるな」

 入ってきた二人組は、殺気を放っていたカインのほうを向いた。

「お、カインじゃねーか。すげー殺気だな?どうした」

 チンピラと入れ替わりで入ってきたのは、氷炎のクロードとリナだった。
 殺気を引っ込めてクロードのほうを向いた。

「あ、クロードさん、リナさんお久しぶりです。知り合いに絡んでいた奴らにちょっと……」

「あんなの当てられたら、普通のやつにはキツイだろ?それにしてもカインの知り合いって……」

「あたしたちだ……アニキ」

 後ろから声をかけたのはミリィだった。

「えっ?」

 カインは後ろを向き驚く。

「お、ミリィとニーナじゃねーか。久しぶりだな」

「ミリィ、ニーナお久しぶりね」

 クロードの横に居たリナも話に入ってきた。

「みんな知り合いだったんですかっ??」

「ミリィは俺の妹だ」

 クロードは笑って答えた。同じ赤髪で見覚えがあるなって思っていたらミリィ先生の兄妹だったわけだ。

「逆に、カインがミリィ達のことを知ってることに驚いたぞ」

「わたしたちは、カインが五歳の時に家庭教師をしてたから知ってるんだよ。手紙にも書いたでしょ」

「そういえば、グラシア領で貴族の坊ちゃんに稽古をつけてるって手紙に書いてあったな」

「だからカインくんの名前に見覚えがあったんだ」

 クロード、リナ、ミリィの三人は確認しあっていた。
 お互い手紙のやり取りはしているらしかった。

「カインつえーだろ?試験の時に俺の本気についてこれるからな。それにしてもカイン、お前貴族様だったのか?」

 それを聞いて、ミリィは驚いていた。

「アニキは剣でA級までいったんだよ?それと同等って……」

「カインくん……辺境伯様の子……。男爵様としてすでに当主に就任している……たまのこし……」

 爆弾を投下したのは、ニーナだった。最後に余計な一言までつけて……。
 その言葉で、今度はクロードとリナは固まった。

 
「……カイン様って呼んだほうがいいか……?」

 恐る恐るクロードはカインを見る。

「いやいやいや、今まで通りにしてくださいよ。そっちのほうがありがたいです」

 二人は安心し、ため息をついた。

「貴族の当主によっては不敬罪が適応されるからな、当主の子供たちなら問題ないが、当主はそうもいかないから」

「そんな不敬罪なんてやるつもりはないですよ」

 五人で笑い合ってると、後ろから声が掛かった。

「カイン様、ギルドマスターがお呼びです。関係者であるミリィ様とニーナ様もご同席お願いします」

「クロードさん、呼ばれたんで行ってきますね。またあとで」

「アニキあとでまた話そうぜ」

「いってくる……」

「奥で飲んでるから、そこにこいよ」

 レティアに案内されるまま、応接室に入っていった。
 応接室にはすでにギルドマスターのエディンが待っていた。

「やぁ、カインくん、まさか依頼した次の日に捕まえてくるとは思わなかったよ」

 その後、状況をミリィが説明していった。ニーナは黙っている。

「そこでカインが現れて、あっという間に盗賊を捉えていったという感じですね」

「そうか、ありがとう。これでカインくんは問題なくAクラスとしてやっていけるね」

 エディンは置かれた紅茶に口をつける。

「ありがとうございます」
 
「以上だ、これがその報酬だよ」

 エディンから受け取った小袋に入った金貨二枚を確認し、無限収納アイテムボックスにいれた。

「何かあったらまた頼むからよろしくね、義弟カインくん」

 なにか最後の言葉は変に聞こえたが、そのまま応接間を出て飲み処に向かった。

 すでにクロードとリナは飲んでいた。

「おまたせ〜」

 三人でクロードたちに合流していった。

「そういえば、どうしてギルマスに呼ばれてたんだ?」

 問いかけてきたのはクロードだった。

「あたしたちが商会の護衛の依頼時に十人組の盗賊に襲われたんだ。それを、盗賊討伐の依頼を受けたカインが来て討伐したんだけど、それを説明してたんだ」

 ミリィは出てきたジョッキに口をつけてから話し始めた。
 その言葉に驚いたのは、リナだった。

「カインくん、この前私たちとギルドで会った時に登録しにきたんだよね?なんで盗賊の討伐してるのかな……」

 リナが痛いところに突っ込んできた。

「カインくん……すでにAランク……」

 ニーナが相変わらず爆弾を投下する。

「「えっ……」」

 さすがにその言葉にはクロードもリナも驚いた。

「なんで登録したばっかりでAランクなんだ??」

 食いついてきたのはクロードだった。
 仕方ないので説明する。グラシア領にいたときに一人で魔物の森に入ってたこと。地竜を倒して騎士団に納入してたこと、家には倒したSS級のレッドドラゴンの剥製が飾られていること。

「SS級……それならAランクでも納得できるな……」

 さすがにそのレベルの魔物はクロードとリナのペアでも倒すのは難しい。

「まさか一人で狩りしてたとは……。だからこの魔法ポーチマジックポーチ作れたのね。これにはかなり助かってるわよ」

 ミリィとニーナはカインがつくってくれたバッグを撫でていた。カインは二人とも大事につかってくれてたことが嬉しかった。

「ちょっと待って……。今、魔法ポーチマジックポーチと言ったわね……。それ、カインくんからもらったの?容量は?」

 リナが食いついてきた。

「カインくんがつくった。容量は今まで満タンになったことはないから知らない……」

 ニーナの言葉に、リナはカインをじっと見つめる。

「カインくん……。正直に言いましょう。これはどうしたのかな……」

 少しアルコールが入ったリナの視線は怖かった。

「僕がつくりました……」

 カインはがっくりと肩を落とし、白状した。

「それはどれくらいの容量なの?私たちが持っている魔法袋マジックバッグは三メートル四方くらいのよ。これ一つでも白金貨二枚かかったわ」

「たしか……「五十メートル四方ってもらったとき言ってた……」あ」

 ニーナが正直に言ってしまった。

「「……」」

 クロードとリナは固まった。この腰につけている魔法ポーチマジックポーチは国宝クラスのものだったのだ……。

「それって国宝クラス……」

 リナはそう呟くので精一杯だった。




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 いつもご愛読ありがとうございます。
 予想はついたと思いますが、クロードとミリィは兄妹でした。
 
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