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第二章 学園・冒険者編

第十八話 召喚魔法

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 今日は学園の日だ。
 最近諸事情で休みが多かったが。

「カインくんおはよー」
「カイン様おはようございます」
「テレス、シルクおはよう」

 いつものメンバーで朝の挨拶をした。

「カイン様、今日は午後の授業は貴族科ですからね、やっと一緒に専門授業を受けれます」

 テレスティアはこの科目だけ一緒なので喜んでいた。

「わたしも一緒だけどね〜。カインくん、午前中の専門科目は今日は魔法科じゃなかった?」

「うん……。また自習かもしれない……」

「カイン様の攻撃魔法見てみたいわ……」

 テレスティアは妄想の世界に入りながら、カインの勇姿を想像していた。

「うちのお父さんもカインくんが魔法放ったらまた学園の修理代かかるからやめてね!って言ってたよ。受験のときの修繕費でも白金貨十枚かかったらしいし」

「……」

 その修繕費用を聞いてさすがにカインは凹んだ。

 この学園では、午前中四時限の授業があり、最初の二時限が基礎科目授業、残りのニ時限と午後のニ時限専門科目の授業となっている。


 基礎学科の授業が終わり、魔法科の授業となった。
 生徒は訓練場に集まっている。

「カイン・フォン・シルフォードは今日はいるか?」

 魔法科担当教師のメリッサ先生がカインに声をかけた。

「カイン、います……今日も自習ですか?」

「今日は召喚魔法についてやるから、特に問題ないぞ」

「ありがとうございます!」

 メリッサの回答にカインは満面の笑みで返した。

「では、授業を始める。今日は召喚魔法について勉強するが、私は専門外だ。召喚魔法専門の先生を呼んでいる。グラット先生お願いします」

 メリッサの案内で、ローブ姿の男性が入ってきた。

「召喚魔法を専門で教えているグラットだ。普段は宮廷魔導師をしている。今日は召喚魔法について教えていく。まずは召喚魔法については二種類あるんだ。魔物と意思疎通をして契約する場合と、魔法陣から魔力を通じて呼び出す方法だ」

 宮廷魔導師が教えてくれるということもあり、生徒たちもかなり真面目に授業を聞いていた。
 もちろんカインも真面目に聞いた。ハクとギンは意思疎通をしてからの契約となっていたが、魔法陣からの召喚魔法は初めて聞いたからだ。

「魔法陣からの召喚では、お互いが気に入らなくて契約しなければ、そのまま消えていく。魔力を込めれば何かしら召喚できるだろう。順番に試していくぞ」

「あ、カインは危ないから一番最後な!」

 メリッサが余計な事を言いやがった。

 順番に生徒たちがグラット先生から魔法陣の紙をもらい、召喚魔法を実践していく。まだ魔力が少ないこともあり、呼び出されてきた魔物は小動物くらいの大きさが多かった。少し魔力が多い生徒については、ウルフ系やベア系の魔物も召喚されていた。
 ただ、契約できたのは半分もいなかった。魔力不足だったらしい。

「では、最後にカインやっていいぞ」

 やっと最後にカインの順番が回ってきた。

「では、この魔法陣の紙に魔力を込めるように。込めただけ強い魔物の召喚ができるはずだ」

 何も知らないグラットはカインに思い切り魔力を込めるように薦めた。

「何が出てくるか楽しみだなっ。ハクやギンと遊べる仲間がいればいいんだけど」

 他の生徒は少し離れたところで待機し、グラットだけは近くにいた。
 訓練場の中央に魔法陣の紙を置き、魔力を込めていく。
 カインの魔力は、ファビニールでの修行もあり大幅に上がっていた。
 魔力をどんどん吸い込んでいく魔法陣に、カインは魔力を送り続けた。
 その瞬間、紙の大きさだった魔法陣がそのまま地上に出現した。
 大きさにしたら十メートルサイズの魔法陣だ。

「こ、これは……」

 何も知らないグラット先生が驚いている。

 そして魔法陣から一人の男性が現れた。見た目が二メートル位で人間に見えるがその額からは三本の角が出ていた。格好も豪華で、マントまでしていたのだ。

「ん? ここは? 人間どもが……なぜ……私を呼び出せるんだ? この魔王である……「ストップ!!!」うん?」

 カインはそのまま魔法を唱えた。

閃光弾フラッシュ

 あたり一面が白い世界に覆われた。
 先生も生徒も一瞬にして圧倒的な光に覆われて視界を失った。



「「「「「「あああああ目がぁぁぁぁぁぁあああああ」」」」」」



 悶えてる先生や生徒を放置して、カインはその魔法陣から出てきた人に話しかける。



「なんで魔王なんてでてくるんだよっ!!!!」



「む、お前が呼び出したのか……にんげんごとき……」

 その瞬間、魔王は見てしまったのだ。鑑定でカインのことを。
 魔王は冷や汗を流した。カインの圧倒的な称号と加護と見えなかったステータスに。



 そして即座に魔王はカインに土下座した。


「生意気な事をいって申し訳ありません……どうか私を殺さないでください。喜んで部下になります」

「えっ……」

 驚いているカインに魔王は続けていった。

「もちろん喜んで召喚契約させていただきます。カイン様の言うことなら国を滅ぼせといわれても実行します」

「ちょっと待ってよ。なんでそうなるの?」

「カイン様、私は名前がありますので、そのまま契約できます。名前はセトといいます」


「あっ……うん……わかった……」


 そのセトの勢いでカインはつい契約してしまった。

「カイン様ありがとうございます。何かあれば呼んでください」

 そう言って、カインに頭を下げたあとセトは消えていった。

 だんだんと周りにいた先生や生徒の視界が戻ってきた。

「カインくん何を召喚したんだ!? さっき魔王って……」

 グラット先生がカインに詰め寄った。

「い、いや、ち、違いますよ……。契約できなかったので帰ってもらいました」

 カインは頭を掻きながらそう答えた。


「「……」」

 カインとグラットは無言のまま見つめ合った。


「うむ……そういう事にしておこうか……」

 グラット先生は顎に手を当て考え事をしていた。

「カインくんだね。何かあれば君は王城の私のところにくるといい」

 そう言ってから生徒のところに戻っていった。

「では、今日の授業はこれまでとする」


「ふぅ。ごまかせたかな……」

 安心したカインであった。
 そして昼食の時間となり、食堂へ向かった。




 授業が終わったあと、グラットはすぐに王城に向かった。しかもかなり急いで。
 向かったところは宰相の場所だった。

「マグナ宰相よろしいでしょうか」

 
「おぉ、グラット殿どうしたんだ? そんなに焦って」

 マグナ宰相は焦っていたグラットに気づいて作業を止めて、ソファーに座らせた。

「実はですね。今日学園で召喚魔法の授業を行ったのですが……」

 その瞬間に宰相は気づいてしまった。

「もしかして……カイン・フォン・シルフォードか?」

「えっ!? なぜそれを!?」

「グラット殿、陛下のところに行くぞ、付いて参れ」

 よくわからないグラットはマグナ宰相に連れられて、陛下の応接室に通された。

「グラット殿、ここに座っておれ。陛下を呼んでくる」

 マグナ宰相はそのまま部屋を出て行ってしまった。
 そして数分後、部屋には陛下、マグナ宰相、エリック公爵が並んで座っていた。

 一番最初に口を開いたのは陛下だった。

「カインのやつ、今度は何をやらかしんたんだっ!?」

 いきなり現れた陛下や上級貴族に囲まれ動揺しながらも説明を始めた。

「実は、私が専門している、召喚魔法の授業を行ってまいりました。それでですね、カインくんが一番最後に召喚魔法を行ったのですが……」


「「カイン(くん)に召喚魔法……」」


「……召喚魔法……カインに召喚魔法って……何呼び出したんだ? ドラゴンかっ!?」

「いえ……確実ではないんですが……」

「なんじゃ、ドラゴンじゃなかったのか……」

 ドラゴンでないことに安心したレックスだった。


「あれは……多分……魔王かと……」

 グラットか思ったことを口にした。


「「「プッ!!!!!!ブホッ!!!!」」」


 三人が勢いよく吹き出した。


「「ま、ま、ま、魔王じゃと!?」」

 レックスとマグナはあまりの驚きで呼吸ができなくなっていた。

「カインくん、さすがにそれはねぇ〜。想像以上にさすがの僕も驚いたよ」

 エリックは想像以上の出来事でお腹を抱えて笑っていた。


「グラット殿、最初から話してもらえるかな……」

 それからグラットは今日授業であったことを説明した。
 魔法陣の紙から十メートルくらいの魔法陣が地上に現れ、そこから角が三本生えた人が出てきたこと。かなり高貴な格好をしており自分のことを「魔王」と言ったこと。その瞬間に光の玉が現れ全員が視界を失ったこと。視界が戻った頃にはその「魔王」らしきものはいなかったこと。カインくんに聞いたら「契約できなかったので消えた」と答えたこと。

「「……」」

「あやつめ……。今日あったことは口外禁止とする。わかったなグラット」

 陛下の勢いでグラットは顔を縦に振るしかなかった。

「学校終わる時間に呼びますかな?」

 宰相の問いかけにレックスは即答だった。

「あたりまえじゃ!!!テレスティアを迎えに行く時に捕まえてこい!!!」


 カインが昼食を楽しんでいる時に、すでに王城呼び出しが決まった瞬間だった。

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