トップ>小説>転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜
57 / 112
第二章 学園・冒険者編

第二十話 子爵就任

しおりを挟む
 陛下の説明が終わり開放されたあと、王家用の馬車でカインの屋敷まで送られた。
 送ってくれたのは近衛騎士たちだった。

「送ってくれてありがとうございます!」

 カインは頭を下げてお礼を言った。

「何いってるんですかカイン様、カイン様はうちの団長の婚約者なんですから、これくらい当然です」

「また訓練にも来てくださいね!」

 騎士たちは笑顔で手を振りながら帰っていった。
 屋敷に入り、扉を開けるとシルビアが待っていた。

「おかえりなさいませ、カイン様、今日は遅かったのですね」

「うん、陛下に呼ばれてた。話があるからコランと一緒に執務室に来てくれるかな」

「わかりました、すぐにお伺いします」

 シルビアは一礼したあとに、コランを呼びに行った。
 執務室という名前にはなっているが、実際はカインの勉強するための部屋だった。
 部屋で制服から着替えたあと、ソファーに座ってゆっくりしていると扉がノックされた。

「失礼します。コランです。お呼びということで」

 コランとシルビアが部屋に入ってきた。

「うん、報告があるんだけど、今日陛下に呼ばれて、来週の謁見で子爵就任だって。それと街を一つ見ろって言われたんだけど……」

「おぉ!それはおめでとうございます!すぐにガルム辺境伯様にもご連絡しないといけませんね。それでどこの街の領主になられるんですか」

 コランとシルビアはカインが昇爵することがかなり嬉しいみたいだった。

「それについては当日だから、まだ知らされていないんだ。王都の近くとは聞いてるけど」

「カイン様だったら、どんな街でも大丈夫ですよっ!今日は身内だけでもお祝いにしましょう!料理長にも話してきます」

 シルビアはスキップしながら部屋から出て行った。

「それではご用意ができましたら、お呼びいたします」

 コランは一礼して部屋を出ていこうとしたが、カインが止めた。

「あ、今日は身内のお祝いだから、家の全員で食事にしよう。全員分の用意でお願い」

「わかりました。そのように伝えます。カイン様ありがとうございます」

 そしてコランは執務室を出て行った。
 その夜はメイドも料理長も関係なく楽しく食事ができた。
 僕以外は成人しているので、酒も自由に飲ませてあげたら感激していた。
 たまにはこういうのも必要だよなとカインは思った。


 そして謁見の日がきた。

 正装をし、謁見の間の入口付近に立っている。
 貴族の当主は公爵から始まり、段々の爵位の低い順に入口に向かって並んでいる。
 もちろん新人男爵は入口のすぐ近くに立つ必要がある。
 ガルムはグラシア領にいるため、今回は不参加だ。

「それでは陛下がいらっしゃいます」

 宰相の一言で、中央のカーペットを挟んで並んでいる貴族たちが一斉に頭を下げた。
 陛下が入場し、中央の玉座に座る。

「皆、頭を上げてくれ」

 その一言で、並んでいた貴族全員が頭を上げた。

「それでは、カイン・フォン・シルフォード男爵前に」

「はい」

 カインは列から一歩出て、王の前まで進み膝をついた。

「カイン・フォン・シルフォードよ、そなたを子爵に叙する。そして、現在直轄地となっているドリントルの街を治めよ。準備金として白金貨五十枚を授ける。そしてこれは子爵を証明する短剣だ。これからはカイン・フォン・シルフォード・ドリントルと名乗るが良い。」

「はい、承りました。カイン・フォン・シルフォード・ドリントル、エスフォート王国繁栄のために誠心誠意治めさせていただきます」

 今回は何事もなく素直に終わった。



「よりによってドリントルか……。あそこを治めることができるのか……」
「子供があいつの相手をできるのか……」

 周りからはそんな声が聞こえる。いつもなら絶対に文句を言いそうなコルジーノ侯爵はニタニタ笑っていた。

「……なにがあるんだろ……」

 そう思いつつ謁見が終わった。
 詳細の説明があるということで、応接室に通された。

 メイドから紅茶をもらい、ゆっくりと休んでいるとマグナ宰相が入ってきた。いつもは陛下と一緒のはずなのに今回は一人だった。

「カイン殿、待たせてすまんな。陛下は説明するのが嫌で逃げた。だから私だけが来たのだ」

「……逃げたって……」

「ドリントルの街のことを説明したくなかったらしい。あそこは特殊な街だからな」

 その言葉にカインは不安を覚えた。
 マグナ宰相は一枚の地図を出し、その一箇所を指で示し説明を始めた。

「ここは王都から西に二日の距離にある。街の横にはグラシア領ほどではないが、魔物が多い森があるのだ。そして数少ないダンジョンもある。だからこそ冒険者がかなり多い。いや、冒険者が多すぎるのだ。だから、そこの領主よりもギルドマスターのほうが権力があってな、誰も領主をやりたがらん。衛兵よりも冒険者の方が強いのだ。全住民で三千人いるが、それに対して冒険者だけでも千人以上あの街に常駐している。それに対して街の衛兵は三百人しかいないのだ。冒険者と衛兵では人数の差がありすぎて冒険者たちが幅を効かせているのだ」

「そういうことだったのですか……。だから周りの貴族たちからも文句が出なかったのですね。僕の好きなように治めてもよろしいですか」

 カインはマグナ宰相ににっこりと微笑む。

「……うむ。それで良い。これが就任証明書だ。あと、準備金として白金貨五十枚用意してあるから好きに使うといい」

 マグナ宰相から、就任証明書と白金貨入りの小袋をもらいそのまま無限収納アイテムボックスの中にいれた。

「ただ、治めるのにも僕はまだ学生なので、そこまで領地に行くことができません」

「それについては、学園の監督官であるエリック公爵から学園長に連絡しておく。これからは自由登校でかまわぬぞ。ただ、試験だけは受ければ問題ないようにしておく」

「わかりました。頑張ってみます」

「結果、楽しみにしてるぞ」

 宰相が出て行った。残された部屋でカインはため息をつく。

「領地くれるって言われてもこれか……。道理でコルジーノ侯爵がニタニタしてたわけだ。それにしても自分の領地だから好きにしていいってことだよな」



 一人しかいない応接室で、久しぶりにカインは黒い笑みをうかべた。



 ◇=========================◇
 すいません。今回短めになります。
 そろそろストック切れそうで必死です(笑)



しおりを挟む