トップ>小説>転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜
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第三章 学園・領主編

第一話 ドリントル領主

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 謁見も説明も終わり屋敷に戻ってきた。

「カイン様、子爵就任おめでとうございます」
「「「おめでとうございます」」」

 扉の中のホールでコランとシルビアを筆頭に、メイドたちが整列していた。

「どうもありがとう。この屋敷と行き来をするようになるから、これからもよろしく頼むね」

 メイド達は「ハイッ!」と元気よく返事をしてくれた。メイドとしても子爵の屋敷に勤められることは名誉なことらしい。

「コランちょっといいかな。執務室で話したいことがあるんだ」
「はい、かしこまりました」

 カインは、メイド達に礼を言い、コランと共に執務室に向かった。



「まさか、ドリントルとは。大丈夫なのですか」

 やはりコランもドリントルの街の話を知っていた。

「陛下や宰相から好きにして良いって言われてるしね、色々とやらせてもらうよ。冒険者の街っていうくらいだから、冒険者として一度見てくるのもいいし、今度の週末行ってくるね」

「お気を付けください。と言ってもカイン様はAランクでございましたね。あまり派手にやり、また陛下のお手を煩わせないようにお願いいたします」

「うん。陛下からもこの前「自重できないのかっ!」って言われたばかりだからね」

「陛下からもですか……。いったい何をしたら……」

 さすがにステータスについては言えないので黙っておいた。


 次の日の学園。

「カイン様、陞爵おめでとうございます」
「カインくんおめでとう!」

 テレスとシルクからお祝いの言葉をもらった。

「カイン子爵、陞爵おめでとうございます。まさかあのドリントルの領主とは、まぁ頑張ってください」

 裏がありそうな笑顔を向けてくるのは、コルジーノ侯爵の息子のハビットだ。ドリントルの現在の様子を聞いてるらしく、領地経営を失敗するのが目に見えてると、親から聞いているみたいだ。
 わざわざBクラスから子分を引き連れて、Sクラスまで挨拶にきた。 
 
「ハビットくん、どうもありがとう。領地経営は初めてだし、代官がいてくれるから頑張ってみるよ」

 その後、何事もなく学園の授業が終わった。

 カインは制服のまま、南門を出て冒険者ギルドに向かう。
 扉を開けて中に入ると、制服姿で来たことで一瞬中にいた冒険者からの視線は感じたが、すぐに目を逸らされた。
 以前に、冒険者ギルド内で殺気を放ったことがあり、その時の事を知っている人たちだった。
 依頼掲示板を素通りし、顔見知りの受付嬢がいたのでそこに並んだ。

「レティアさんこんにちは」

 冒険者登録の時に対応してくれた受付嬢だった。

「あ、カイン様、こんにちは。今日は依頼ですか」

「実は、エディンさんに相談があってきたのですが、大丈夫でしょうか」

「ギルドマスターでしたら、執務室にいると思いますので聞いてきます。それまでそちらでお待ちください」

 レティアさんは席を立ち、隣の受付嬢に一言伝言し、奥へと入っていった。
 ロビーに座って数分待っていると、レティアさんが戻ってきた。

「カイン様、ギルドマスターがお会いになるそうです。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」

 レティアさんの案内で執務室まで案内された。

「レティアです。カイン様をご案内しました」

 扉をノックした後にそう告げた。

「どうぞー」

 扉の反対から声が聞こえたので扉を開け中に入っていく。

「そこに座って待っててね。あとちょっとでキリがいいとこまで終わるから。レティアは紅茶を頼むよ」

「わかりました。ではカイン様こちらでお待ちください」

 レティアはカインを案内したあとに、紅茶を用意するため部屋を出て行った。
 すぐに紅茶を出してくれたので、のんびりと待っていると、エディンの仕事が終わったようだった。

「ごめんね、カインくん、おまたせしちゃって」

「いえいえ、こちらこそ約束もないのにすいません」

 エディンはカインの対面のソファーに座りレティアのいれてくれた紅茶に口をつける。

「それで今日はどうしたんだい? あ、そういえば子爵陞爵おめでとう。ティファーナから聞いたよ」

「ありがとうございます。そのことで相談があったんです。実はドリントルの領主をすることになったんです。冒険者の街と有名ということで……」


 ドリントルの名前を聞いたことでエディンは顔をしかめた。

「あそこの街か……。またひどいとこ受けさせられたもんだね。あそこのギルドマスターはリキセツといってね、もともとはS級冒険者だったんだ。怪我の後遺症の関係で冒険者を引退しギルマスになったんだけど、元々権力に対して好意を持ってないからね、いつも領主と揉めて衛兵ごと追い出されてる。それで今は王の直轄地となっているはずだよ」

 やはりエディンは冒険者ギルドエスフォート王国本部長なだけあり、情報には詳しかった。

「今度の週末に一度、ドリントルに行ってみようと思ってるんです。まずは領主としてではなく冒険者として」

「うん。そうだね、一度様子を見てくるといい。僕からもリキセツ宛の手紙を書いておくよ」

「そうしてくれると助かります。できれば穏便に済ませたかったので」

「さすがにそれは無理かな〜。あいつは自分より強い相手でないと、言うこと聞かないからな、あ、カインくんなら平気か。何かあればぶっ飛ばしちゃえばいいから」

「そんなに簡単でいいんですか」

「あそこの街は力が全てって感じだからね。リキセツぶっ飛ばしておけば、他が言うこと聞いてくれるでしょ」

 エディンの適当な返事でカインはため息をつく。

「わかりました。頑張ってみます」

「明日には手紙を用意しておくから、ドリントル行く前に顔だしてね!」

「はい、お願いします」

 カインはエディンにお礼を言い執務室から出た。受付にレティアがいたので手だけ振ってお礼を言い、そのままギルドを出た。

「なんとなくイメージは出来たけど、どこまでやっていいんだろう……」

 カインは空を見上げながらそうつぶやいた。






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