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第三章 学園・領主編

第六話 ドリントルの街の歓迎会5

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 カインは豪華な特別室でゆっくりと寝ていると、ノックがなった。
 すでに日は上っており、外では人が動き始めていた。
 
「おはようっ!」

 ノックの後、エナクが勢いよく部屋に入ってきた。カインはまだ寝ぼけながらベッドから身体を起こした。

「エナクおはよう……」

 カインは眠い目をこすりながら、ベッドから這い出る。

「もう朝ごはんできてるから降りてきてね!」

 エナクはそれだけ言って部屋を出て行った。

「エナクは朝から元気がいいな」

 カインはそう呟きながら着替えをした。今日は領主館に行かないといけないのでとりあえず平服に着替えた。
 下の食堂に降りていくと、ヒミカさんも元気になったようで、すでに働いていた。

「おはようございます。もう具合平気ですか?」
 
 カインが声を掛けると、一度作業をやめて満面の笑みで返してくれた。

「もうすっかり良くなりました。本当にありがとうございます」
「それならよかった。また何かあれば回復魔法かけますので」
「そこまで甘えるわけにはいきません。もう食事をお出ししますのでこちらへどうぞ」

 ヒミカさんに案内され、夕飯を食べたカウンターに座る。
 すぐに朝食を出された。メニューはベーコンとスクランブルエッグ、あとはスープとパンだ。お腹が減っていたこともありすぐに平らげてしまった。

「ごちそうさまでした。今日することを終わらせたらまた王都に戻ってしまうので、近々また来るようにしますね」

 カインは食事を済ませたあとに、ヒミカにそう伝えた。

「そうですか……。エナクも懐いてたようですし、寂しくなりますね」

 厨房からダッシュも出てきた。

「カイン様、世話になりましたな。またドリントルの街へ来たときは是非とも食事だけでも寄ってくださいな」

「もちろんです。料理も美味しかったですし、また寄らせてもらいますね」

 そして、厨房の隅からエナクが覗いている。
 少し泣きそうな顔をしていた。

「エナクちゃん、こっちおいで」

 カインは優しい声でエナクを手招きする。

「おにーちゃんまたきてねっ! この街に来た時は絶対だよっ」

 エナクはカインに抱きついてきた。カインはそのままエナクの頭を撫でる。

「もちろんだよ。この街に来た時は必ず食事しにくるよ。ちゃんとお母さんのお手伝いするんだよ」

「うん! ちゃんとお手伝いするね」

 カインは三人に見送られながら、宿を後にした。そして、これからの打ち合わせのために領主館に向かった。
 領主館の門には、昨日いた衛兵がいたこともあり、すぐに執務室まで通された。

「カイン様おはようございます」

 代官であるエライブが挨拶をしてきた。

「まだお時間がありますので、貴族服にお着替えになりますか?」

「そうだね、最初だし、正装しておくよ」

 カインは執務室に入り無限収納アイテムボックスより、貴族服を取りだし着替えた。
 鏡で自分の姿を確認する。まだ十歳というあどけなさを自覚しながら執務室の椅子に座る。

「この街をどう変えていくかな。ギルドもダメだし、教会も法外な料金をとってるし、スラムもあるし、問題点は山積みだよな……。その前にあの石を積んだだけの外壁もこれからの発展には邪魔だな。今日には王都に帰らないといけないし、また来週来るしかないか……」

 カインは、エライブから渡されたこの街の収支関係の書類に目を通していた。見事なまでの赤字運営で国から補助金が出ていたのがよくわかった。
 カインは前世では高校生であったこともあり、数字にはこの世界の人たちよりも強かった。
 目を通していくと疑問点がいくつも出てきて、それを箇条書きにしてまとめていた。もちろん他の人にわからないように日本語・・・で書いた。

 途中、昼食が用意され、エライブと二人で執務について話しをした。

「この街は冒険者が多い関係で、なかなか税収が集まりません。宿や商店からの売上税のみで経営しておりますが、教会への補助金、冒険者ギルドへの委託金などでどうしても赤字になってしまいます」

 エライブからの説明を受け、カインは箇条書きになっている書類を見ながら質問する。

「まずは、教会についてだけど、領民に聞いたら、王都よりも高すぎる料金を取ってるみたいなんだけど、お布施にしては高すぎる。王都の十倍近いんだけど、どうなってるの? あまりにもひどいから王都から新しい司祭を呼ぶけど?」

「そ、それは……。あ、あまり教会で回復魔法を受ける人がいないので、どうしても高くなってしまうのです……」

 エライブは、額に汗をかきながら少し動揺したように説明をする。

「だから、そこが違っているんだよね。高いからこないんだよ? 安くすればその分人数が増えてお布施も増えるはず。しかも補助金まで出しているんだよね? 補助金を出すなら教会の収支も確認していると思うんだけどどうなっているのかな? もちろんこの領主宛に出しているよね」

 カインは、前世の一般的なことを考えながら質問を重ねていく。

「い、い、いや……今まで教会から収支を出してもらったことはありません……」

 エライブは段々顔を青ざめさせながら、質問に答えていく。

「なら、来週また来るから、その時までに出させておいてくれるかな? 出せないようなら補助金は打ち切ることでお願いしますね」

 カインはさらに追い打ちをかける。

「……はい……そのことを教会に伝えておきます……」

「あとは、スラム街もそうだね、仕事の斡旋をしていけば、スラムの人は減っていくよ。今まで冒険者に頼ってばかりの産業だから、ダメなんだと思うんだけど。今この街の外壁の中って余裕ないから外壁を広げる計画を立てるよ。それは僕のほうで考えておきます。広げたことによる空き地を使って街で産業を起こすつもりなんで、それは後々説明していくつもりです」

「……カイン様は博識なのでございますね……とても十歳とは思えないです……」

 エライブはカインの質問に対して、挙動不審になりながら額の汗を拭き答える。

「まぁ、今日はまずギルドだよね。もう少ししたら来るのかな?」

「はい、ギルドマスターのリキセツ殿とサブギルドマスターのベティ殿が来られる予定です」

 カインは、ベティがサブギルドマスターだったことを初めて知った。あのギルマスは脳筋っぽいけど、サブマスはあの串焼き屋のおやじさんに聞いた通り、色々とやってそうだなと認識して、腹の中に納めておいた。

 食事が済み、エライブが一度席を外し、冒険者ギルドのギルマスとサブマスが来たら呼んでもらえるように伝えて、一人で執務室に入った。

 カインは自分で調べたいことを箇条書きし、無限収納アイテムボックスに仕舞っておく。


 午後を少し越えたあたりで、文官の一人が呼びに来た。

「カイン様、ギルドマスターのリキセツ殿とサブギルドマスターのベティ殿がお見えになりました。今はエライブ様が対応しております」

「わかった、今いくよ。応接のほうかな?」

「はい、今、応接室でお待ちしております」

 カインは、昨日ギルドでしたことを思い出し、どういう顔をするか楽しみで執務室を出た。

 エライブが先に応接室でギルドから来ていた二人と話している。
 そして扉の外までリキセツの大きな声が聞こえてくる。

「だから昨日、ギルドの訓練場が観客席含めて破壊されたんだって。それで忙しいのに新しく領主がきたから顔だせだと!? そんな事してる暇ないんだよ!」

 自分の昨日したことだとカインは自覚した。
 文官はノックがしたあとに部屋に入っていった。

「カイン子爵様が、お見えになりました」

 冒険者ギルドの代表である二人は、礼節を取るわけでもなく、そのままソファーに座っている。
 そこにカインが入っていく。

 カインの顔を見た瞬間に二人の顔は凍りついた。
 昨日、散々訓練場をぶっ壊しておいて、冒険者とサブマスを失禁させ気絶させた相手が目の前にいるのだ。

 カインはそのまま対面のソファーに座る。

「やぁ、この街の領主をすることになった、カイン・フォン・シルフォード・ドリントルです。よろしくお願いしますね」

 カインは普通に挨拶をした。
 リキセツとベティは口をあんぐりと開いたまま固まっていた。


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 いつもご愛読ありがとうございます。
 すいません、酔っ払いながら執筆してます。
 勢いで書いてしまっているところもありますので、変なとこがあるかもしれません。
 そして、これからのところで引っ張ってしまってすいません。
 また明日よろしくお願いします。








 



 
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