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もう一つの仕事・・・

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 さて、早速翌日から護衛ターゲットとなる六人のサポートを開始。六人は西の砦街をベースとしてその周辺で戦闘経験を積み、依頼達成を狙っていくつもりらしい。ちなみにこの六人の居場所を教えてくれるGPSのような物が、ゼタンから提供されている。妖精国の技術も恐るべし、だな。衛星でも打ち上げてるのか? どうやってるのか、ちょっと興味がある。

 それはさておき、早速六人が動きだしたのでこちらも十分な距離を取った上で行動開始。早速今日の依頼を探しているようだが、ハイ・ラビットとシーフバードの二つを取った様子。懐かしい、自分も最初はその二つから始めたからなぁ。と、六人は装備の最終確認を始めたな……ほう、自分の判断だけではなく、お互いの武器を見せ合って何か問題が起きていないかを確認している様子。ここら辺は同じ学び舎で共に訓練を積んできたからこそか。出会って数日の面子に、自分の武器のチェックなんて頼めないよな。

 全ての最終確認が終わったようで、六人が街の外へ。もちろん自分もその後を追う。常時視線を向けていなくても、GPSモドキのお蔭で対象を見失う事が無いのはありがたい。そして視線を向けない事で不審に思われないと言うのもデカい。ずーっと一人の人に見られ続けると、なんだアイツ? って警戒されてしまうからね。街の外に出た後も、しばらく六人とは別の方向に歩く。とりあえず最初は距離を取らないと……妖精族の中には非常に目が良い奴もいるってゼタンから事前情報もあったからなぁ。

 そんな訳でしっかりと距離を取ってからお仕事開始。と言ってもなぁ……周囲に危険なモンスター集団は確認できず。もちろん常時警戒はするが、これぐらいなら何の問題も無いってレベルなんだよね。戦闘状況ももちろんチェックしているけど、前衛と後衛の連携がスムーズで、問題なし。タンクが止めて後衛が削ってアタッカーがしっかりトドメ。あれ? これへたなプレイヤーより強いんじゃないか? レベル的な意味じゃなくて、プレイヤースキル的な意味で。ワンモアは一体どこに行こうとしているのか。

 そんなくっだらない事を頭の片隅に置きつつも様子を見続けるが、本当に安定してるなーという感想しか出てこない。ウォーゴブリンズも単体かペアしかいないし、そいつらに出会っても危なげなく討伐成功している姿も確認。あの六人が危機に陥るとしたら、ウォーゴブリンズの六匹PTに不意打ちされるとか、たまにいる変異種とぶち当たった時ぐらいなんじゃないだろうか? 仕事が楽なのはありがたい所ではあるが。

 そのまま何の問題も無く、六人PTは街へと帰還。きちんと周囲への警戒を怠らずに依頼をすべて達成した。さすが卒業直前まで訓練を重ねてきただけはあって、経験が浅い冒険者よりもよっぽどしっかりしている。教育の大切さを痛感するよ……というか、これプレイヤーも人によっては入学した方がよいのではないだろうか? 連携? 何それ? 俺が活躍したいんだ! という方々がたまーにいらっしゃるようだからなぁ。もちろん掲示板で名前こそ曝されないが、その身勝手が過ぎる行動内容は袋叩きにされるのではあるが。

 ってな行動を数日繰り返す。その数日、ヒヤッとした瞬間は一回だけあったのだが……すぐさま六人が逃げを打ったお蔭で全員無事。その後そのヒヤッとさせられたハイ・ラビットの変異種二匹は自分がさっくり始末しておいた。円花の悪夢をうろついていた影響でしばらくまともに使っていなかった弓の腕が落ちているかもと思ったがそんな事は幸い無かった様で、さっくりと射殺に成功。それなりに長く使っていると、体が覚えているっていうのは事実だねえ。

 そして最終日。この日を乗り越えれば、六人は学校へ戻って成果を報告。後は卒業できる成績かどうかを教師たちが判断することになっているとの事。しかし、世の中には嫌な法則って物が有って、最後の一日とか、最後の仕事とかに限って妙なトラブルが発生することがよくあるんだよな。仕事の方も、納期一日前とかで製品が仕上がっていよいよ収めるぞーってときに限って……

「すいません、注文内容が一部間違っていました! 要請されていたのはIT−〇九じゃなくってIT−〇六でした!」

 なんてどこをどうしたらそんな間違いするのぉぉ!? って言う自分を含めた作業班全員の悲鳴が上がることがたまにある。そんな経験を何度かして来た身としては、この最終日って響きがとても恐ろしいのですよ。今日は今まで以上に警戒して行かなければ手遅れになるなんて展開が待っているかもしれない。気を引き締めて行こう。もちろんそんな事が発生しない事が一番良いのですがね。そう祈っておいたのに。

(やっぱりこうなるのか!)

 やたらとウォーゴブリンズが自分の近くに湧く。変異種が湧く。なんというか、『今まで仕事をやってるとは言えない位にのんびりして来たんだからさ、ここらでお仕事頑張ってみようよ? ね?』なんて世界からのお言葉が聞こえたような気がする。幻聴だと思いたい。どっちにしろ、こんな数が護衛対象であるあの六人に襲い掛かったら危ない所じゃない。とにかく矢を放って円花をルエットの指示で操ってもらって対処するしかない。円花が強化されていて助かったと言うのが正直な所。特に円花の展開時MPコストが二五%軽減が有難い。これが無ければMPの枯渇が偉い事になっただろう。更に普段活躍の場がない矢筒である魔弾の相棒も今回は活躍。矢に風を纏わせることで発動する効果である吹き飛ばしで、モンスターの足並みを乱せる。

(マスターの邪魔をするなら土に返りなさい!)

 ルエットの操作を受けた円花は、自分が使った時よりも滑らかにかつ容赦なくモンスターを斬り捨てていく。というかどこにこれだけ隠れてた! モンスターハウスってのはダンジョンにある物でしょーが!? なんでフィールドにここまでモンスターが居るのだっ!? あああ、護衛対象との距離がじりじりと開いていく。まずいまずいまずい!

「ぴゅいぴゅいぴゅい!」

 アクアも当然ながら魔法で撃ちまくってモンスターの殲滅に協力してくれている。自分のすぐ近くから氷の槍とかが吹っ飛んで行くのはちょっと怖い所もあるが、操作をミスって誤爆なんて真似はアクアがやらかすとは思えないので信用する。正直ここはシューティングゲームじゃないんですけどとツッコミを入れたくなってくる位モンスターが襲いかかかって来る。。何なんだよこの異常なモンスターの発生は! 後で掲示板覗いてみる必要がありそうだな!

「お前らもう帰れよ!」

 そう言いたくなる位、自分に襲い掛かって来るウォーゴブリンズと変異種モンスター。ウォーディアーの変異種が風と雷系統の魔法でこっちの動きを妨害し、ハイ・ラビットの変異種が首を執拗に狙ってくる。ウォーゴブリンズはそんな自分に矢とか魔法とか爆弾とか投げて来るし、ああもう!

(土の妖精さん、MP半分あげるからこいつらを落とし穴&その穴の下に土の槍の生成をお願い!)

 MP消費がさらに厳しくなるが、《妖精招来》も解禁。この落とし穴で大多数が落ちて一気に楽になるが、MPもガッツリと減った。MP回復ポーションを口に含みつつ戦闘を続行する。行儀が悪いなんて気にしてられるかぁ! というか冗談抜きで護衛対象との距離が開きすぎた。このままじゃ不味いが、こいつらも放置できない。ならば仕方がない……

「ルエット、実体化! アクアと連携してここに沸くモンスターを殲滅してくれ! 自分は護衛対象を追う!」

 ルエットを実体化させるとしばらく使えなくなってしまうが、今回はやむを得ないだろう。これ以上護衛対象と距離が空いた場合、万が一の時に駆け付ける事が出来なくなる。

「了解マスター、ここは任されたから行って!」「ぴゅいぴゅい!」

 ルエットが実体化して、敵に突撃をかける。そのルエットを支援するようにアクアが氷魔法を敵に打ち出す。そうして敵の勢いがそがれた所で、適度に矢を放ってウォーゴブリンズの魔法使いを数匹処理した後にこの場を離れる。さて、護衛対象の方がこれ以上に厄介な事になっていなければよいが……。


明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。
ああ、やっと終わった。年末から三が日にかけての仕事が。自分の休みはこれからだ!
え? そんな時間はない? やっぱりー?
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