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連載

護衛任務顛末

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 ルエットとアクアに後を任せ、護衛対象の六人を追いかける最中にふと頭をよぎった事がある。それは、ゼタンの現・奥さんであるミーナ嬢の事だ。まだゼタンが体を壊さずに放浪妖精をやっていたころの話だが、あの時ミーナ嬢が襲われていたのは、『人族が指示を飛ばしていたゴブリン集団』だった。今回ももしかしたら、そういった類の連中が仕掛けた事なのでは? と思い始めたのだ。とにかく今日のモンスターの数が異様に多いのは唐突にも程があるのが引っ掛かる。

 他のゲームならば、そう言う設定にすればいいのだから理解できる。イベントなんかの時にモンスターを増やして乱戦状態を人為的に発生させるとかだ。しかし、ワンモアにはそう言った唐突なモンスターの大量発生はまずあり得ない。一応追いかけつつ公式のINFOなども覗いてみたが、そう言ったイベントを知らせる内容は一切ない。なのでますますきな臭い。──さらに、妖精族ってのは外見の綺麗な子も多数いる。そう言った子達を攫って裏で売りさばいて金にする連中がいてもおかしくない。何せ、誘拐してから色々とするってのはリアルでもある事だからな。子供を誘拐して身代金やらなんやらを要求するなんて話を聞いたことが無い、なんて人はまずいないだろう。

 そんな予想は外れていてくれと願いながら六人に接近し、《百里眼》で視認できる範囲に到着して様子をうかがう。どうやら、戦闘が終わった直後の様で肩で息をしている。あの六人が肩で息をしていると言う姿は始めて見た……相当の激戦が繰り広げられたのだろうと予想する。そのまま六人は周囲を警戒しつつ休息する事にした様だ。油断はしていないから問題はないが……あの六人が動かないと言うのであれば、こっちから動くか。もし不届き者がいれば、それなりに近くにいるはずだからな。そしてその確認の結果は。

 ──あーあ。当たり、か。六人を《百里眼》で見る事が出来る範囲に収めつつ周囲を探ってみた所、またもあからさまにおかしい数のモンスター反応と、モンスターとは違う反応をその近くに六つ見つけた。護衛対象の方である六人の近くにモンスターの反応が無い事を再確認してから、新たに見つかった集団にこっそりと忍び寄る。こういう時に遠距離からでも声を拾う事が出来る《聞き耳》系統のスキルがあるといいなーと思う。もう枠にも余裕がないから取らないけど。なので声を拾うためにほふく前進でにじり寄る形を取った。出来るだけ草を揺らさない様にそーっと。そうしてなんとか声が聞き取れる距離まで近寄った自分の耳に入ってきた会話は。

「チッ、どこの馬鹿だよ……かき集めた上に飯に多大な金をかけた連中を潰した野郎は」

「あいつら飯をとことん食いやがるからな。魔物使いはそこがきつい。まあその分戦闘になれば物量で押し切れるんだけどよ……」

「どのみち、これが俺達にとって最後の仕事だ……この国の妖精女王のせいで、俺達魔物使いギルドはもう存在できねえ。この最後の仕事であの六人の得物をしっかり捕えて金にして、後は他の国に高跳びしてつつましく生きていくしかねえ」

「くっそ、妖精族は高く売れるオイシイ商品だってのによ……今回妖精王の座に着いたあの文字通りな女狐のせいで、多くの仲間が捕まって処刑されちまった。もう贅沢は出来ねえな……あれだけ多くいるんだからよ、ちっと俺達がいただいたって総人口は減らねえだろうが」

「まあ、ぼやいても仕方ねえ。二段構えの内の片方を正体不明な存在に潰されちまったから数的にはちっと不安だが、あの六人はさっき仕掛けた最初の一当ててほどよく消耗してるようだからよ……そろそろ本命を仕掛けようぜ。タイミング的にも気が抜けて油断をする頃合いだ……この仕事をミスったら、俺達も処刑台送りになるか飢え死にするかのどっちかしかねえ。買ってくれる旦那方も、今回の買取でお終いにするって話だしよ」

「ああ、いろんなところであの女狐の調査が入っているって話だからな。旦那方も今回の買取が終われば後はこの近辺からはおさらばするんだろ。俺達もすぐにおさらば出来る様に、とにかく金が必要だ。いつ俺達が魔物使いって事がばれるかは分からん。さっさと金を作って、この国からさっさと去る。それが俺達の生き延びられる方法だからな、今回の仕事は絶対に成功させるぞお前ら」

 ああそうですか、そう言う考えですか。ふざけんなよこん畜生。あいつらはこれからいろいろな世界を渡り歩いて、いろんなものを見るだろう。成功もあれば失敗もあるだろう。時には死に別れもあるかもしれない。それでも精一杯生きていくはずだ。だと言うのに、そんな連中の未来を己が欲望のために摘み取ろうってのか? それに魔物使いなら魔物使いで、まっとうに生きていく術はあったはずだろう。そんな道を歩まず、金に目がくらんでその手を汚したのはお前たちの責任だ。フェアリークィーンはそんなお前らを取り締まっているだけであり、お前らが彼女を女狐などと言う資格はない。

 ──結論。こいつらはここで潰す。こんな外道共を、色々な未来が待っている妖精達の前に立ち塞がらせる訳にはいかない。強化オイルを取り出し、投擲準備に入る。投げる先は、アイツらが操っていると思われる多数のゴブリン連中だ。何せ数にして百匹以上居るっぽいからな……その後は黄龍変化を解禁して一気に薙ぎ払う。数に潰される前に範囲ですり潰すのが最良だろう。さて、後はタイミング。奴らがあの六人に向けてモンスター達に向かって攻撃指示を出した直後に強化オイルをばら撒いて混乱を誘うという作戦で行く。

「よし、頃合いだ。んじゃ、攻撃始……」

 始め、と魔物使いの一人が言いかけた所で、強化オイルを次々と連続投擲。多分十五本ほど投げただろうか? 手持ちのほどんどを投げたおかげで、モンスターがいる場所からは爆発音が素晴らしい事になっている。あちこちからモンスターと魔物使い連中の悲鳴やら混乱してまともな言葉になっていない声が聞こえて来る。ま、不意打ちを決めようとした所に不意打ちされたんだから無理もないだろうが……さらに混乱してもらおうかね。今回は一気に片を付ける……《黄龍変身》発動! そしてさっそく口から《龍雷》を吐いてゴブリン達を一掃する。

「「「「「「グゲェェェェェェェ………」」」」」」

 と、断末魔を上げて大半のゴブリン連中は仲良く塵になった。まあ、強化オイルの爆発と炎でかなりボロボロになっている奴らが大勢いたからあっけないぐらいさっくりと終った。残った僅かなゴブリン達は散り散りとなって逃げていくがあれは放置しても良いだろう。あの少数では何もできまいよ……それに生きているとはいえ《龍雷》が多少なりともかすっているんだ、半死半生って所だろう。逃げるのもほぼ本能に従っての行動だろうし。あ、逃げていく奴らの大半が途中で力尽きて倒れて消滅していくな。

「な、な、な」

 何だお前は! と言いたいんだろうが、驚愕のあまりまともな声になっていない魔物使いの連中。目の前で自分達の武器である大群のモンスターを訳も分からず一掃された事になるから気持ちは分からんでもないが……だからと言って、情けをかけるつもりは一欠けらたりともないが。

「別にあれこれ理解する必要はない。お前達が理解することはただ一つで良い。これからお前達は眠ることになるって事だけだ、もちろん永遠に目覚める事のない眠りだが」

 こう告げてやると、ようやく口を聞けるようになったらしい魔物使いのうちの一人が言葉を返してきた。

「俺はお前なんか知らねえぞ! なんで初めて出会った奴にそんな事を言われなきゃならねえ! 俺達が必死で集めた連中も消し飛ばしやがって! どうしてくれるんだ! 俺達の稼ぎが!」

 人間、キレると熱くならずに冷たくなる時もあるんだね。そんな事を魔物使いの男の言葉を聞きながらどこか遠い所で自分は考えていた。

「もういい、もういい。もう眠ってくれ、もうこれ以上お前達の腐ってただれた様な声を耳に入れたくない」

 その言葉と共に、言葉を投げつけてきた魔物使い……いやもう悪党Fでいいや。悪党Fの心臓部分に抜き手で即死させた。さっきの会話からして、クィーンの仕事の残りはこいつら六人の始末だったんだろうから、手伝ってあげよう。残り五人、いや今四人に減った。真正面からショートソードで斬りかかってきた奴がいたから、正拳突きを放ってショートソードをへし折り、その勢いのまま勢いのまま胸に突き刺して差し上げた。当然、黄龍のパワーでぶち込んだんだから即死。

「や、やべえ! こいつはバケモンだ、逃げろ!」

 判断も遅い。それに、お前達のような悪党を逃がす訳ないじゃないか。《虎龍脚》で背後を取って背中から抜き手を四回繰り返して悪党ABDEを殲滅完了。こういった若い奴を食い物にする連中は許さん。ましてや我欲の為に……情けをかけるべき所が見当たらないな。さてと、さすがにちょっと暴れたから護衛目標の六人がこっちに気が付いたようでゆっくりとではあるが近寄って来ることをGPSモドキが教えてくれるので、《黄龍変身》を解除してさっさと逃げる。姿を見られると厄介だし。

 と、最終日にとんでもない事があった物の、何とか無事に護衛任務は完了し、ゼタンに依頼完了を報告することが出来た。後義賊の部下に、殲滅した悪党どもに金を出そうとしていた連中の調査を命じておいた。後でクィーンの前にその愚かな脳味噌の詰まった間抜けな顔を晒してもらう事にしよう。見つけたからには容赦はしない、というか容赦してはいけない類の悪党だからきっちりと始末はつけておかないとな……全く、どこからこういう連中はやって来るのやら。



スキル

風迅狩弓Lv50 The limit! 砕蹴(エルフ流・限定師範代候補)Lv42  百里眼Lv40 ↑1UP! 技量の指Lv70 小盾Lv42  蛇剣武術身体能力強化 Lv18 ダーク・スラッシャー Lv9 義賊頭 Lv60 隠蔽・改 Lv7 妖精招来Lv22 (強制習得・昇格)(控えスキルへの移動不可能)

追加能力スキル

黄龍変身Lv4  偶像の魔王 Lv3

控えスキル

木工の経験者Lv14 上級薬剤Lv49  釣り LOST!  医食同源料理人 Lv14 鍛冶の経験者LV31  人魚泳法Lv10

ExP 23

所持称号 妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 竜と龍に関わった者 妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人 妖精国の隠れアイドル  悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人 魔王の代理人 人族半分辞めました 闇の盟友 魔王領の知られざる救世主  無謀者 魔王の真実を知る魔王外の存在  天を穿つ者  魔王領名誉貴族 

二つ名 妖精王候補(妬) 戦場の料理人

強化を行ったアーツ

《ソニックハウンドアローLv5》
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