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第4話 女装潜入警官、再び

05:ドクターモンテール

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    05:ドクターモンテール

「さあ前菜は、これでお終いだ。今から10分休憩、各自、次のプレイに備えること。特に奈央は準備を上手くやるんだぞ。ゑ梨花女王様をゴム詰めにして差し上げるんだ。手順を再確認しておくこと。結構、ゴムは手強いぞ、化粧直しに没頭して時間を無駄にしないようにな。それが奈央の悪い癖だ。」
 門戸は奈央にそう言ったが、準備を念入りに行わなくてはならないのは、ゑ梨花の方だった。
  こんな狭い車内で、しかも座ったままの姿勢で、只でさえ手間暇のかかるラバーボンデージ装着を、ラバーについては素人の奈央に頼むのは無理だ。
 出来るのは、全頭マスクを被せて貰う程度。
 ゑ梨花は、予め用意しておいたラバー衣装を突っ込んだバッグを持って、急いでパーキングエリアのトイレに向かう。

 後に残った奈央は、身繕いを済ませて念入りな化粧直しを始めるだろう。
 門戸は、車に持ち込んだ業務用のビデオ撮影装置のチェックという所だろうか。
 ゑ梨花は既に冷めてしまっているが、これらの作業を、二人の男達が半分ペニスを充血させたままやりこなしていると思うと、何か笑ってしまった。
 「性」を追求するには、それなりの真摯な努力が必要だということだ。
 しかし、戸橋は本当の所どうなのだろうと、ゑ梨花は複雑な気持ちになる。
 こういった状況下で、本気で興奮していなければ、戸橋は門戸から見放されるだろうし、かといってこんな淫楽プレイに我を忘れているようでは、潜入捜査の効果を上げられる筈もないのだから。

「奈央はラバーは初めてだろ。しっかりその目で確かめてごらん。」
 門戸が運転席から振り返りもせずに、奈央に話かけて来る。
 その言葉の裏の意味は、ゑ梨花に対して愛撫を始めろという奈央への指示だ。
 高速道路を走る軽やかな車の振動と、サンルーフから差し込んでくる日差し、若い恋人同士なら甘い空間なのだろうが、ここにいるのは一見、派手で綺麗なOLに見えるけれど、その中身はれっきとした男性と、全身真っ黒なゴム尽くめの服の上に、さらにゴムのハーネスで体中を拘束したシーメールなのだ。
「ねえ奈央、ゑ梨花ちゃんには、ずっと前にそんな格好をしてもらって楽しませてもらった事があるんだよ。ラバーパンティはいてもらって、その上からスキニィジーンズ。後ろから見るとさ、汗が変な具合に染み出したり、、エロチックだろ、、その染みの理由を知っているのは私だけなんだ。それにゴムってのは自分で身につけても結構来るもんだ。ラバーガーターで吊ったラバーストッキングとラバーフレアースカートの擦れ具合が妙に心地よかったりする。奈央も、きっとそういうのが似合うよ。今日は、じっくり先輩のゴム人形振りを勉強するといい。」
 直接、門戸の為に、そんな事をした覚えはない。
 多分、クラブ「ATOMAGE」が企画した野外フェテッシュイベントでの出来事を言っているのだろうと、ゑ梨花は思った。
 それに門戸は単純なラバーフェチを装ってはいるが、彼の性癖の根本は、屍体愛好・ネクロフィリアであり、ラバードール化した人体への愛好はネクロフィリアに対する一種の偽装、あるいは彼自身の「混乱」ではないかと指尻は分析していた。

 奈央が、ゑ梨花のゴムで覆われた胸元に鼻を近づけてゴムの匂いを嗅いでくる。
 そして怖ず怖ずと、ゴムの皮膚の表面を舌先でちろりと舐める。
 ゾクリとして、瞬間、ゴムの上から乳首を甘噛みしてほしいと、演技を離れて本気で欲情する。
 けれど奈央は、こちらの意思に反して、ゑ梨花の腕を持ち上げると、脇の下の匂いを嗅いでくる。
 その行為に、カーッと頭に血が上る。
 勿論、ラバーの皮膚越しに体臭が臭うはずがないのだけれど、羞恥と肉欲が入り交じった微妙な気分になった。
 高ぶった奈央が、西瓜にかぶりつくみたいに、ゑ梨花のラバーで覆われた脇の下の窪みに強く吸い付いて来て舌でベロベロと、なめ回し始める。
 ピチャペチョという予想外に淫猥な音が車内になり響く。
 門戸は前を向いたまま運転に集中しているように見えるが、、それは表面のこと。
 そして多分、普段からこういう愛撫を、奈央は門戸に強要されているのだろう。
 つまり奈央は遠回しに、ゑ梨花を通じて門戸にサービスをしているのだ。

「次のインターで高速を降りるよ。ゑ梨花ちゃんは、そんな格好を回りの人に見られると恥ずかしいだろうから、、、奈央、街の中に入ったら、ラバーマスクで、ゑ梨花ちゃんの顔を隠して上げなさい。それから二人とも、もっと楽しんでな。」
 早くもラバーストッキングのつま先に汗が溜まり出している。
 不快じゃない。
 今日はラバーに身体が溶け出して融合していく快感コースを辿っている。
 ひょっとして今日は、潜入捜査のバックアップという事を抜きにして、感じてしまうかも知れない。
 嫌な予感がした。
「ちょっとうつむいて」
 奈央のハスキーな声、、彼女は既に、バッグの中からゑ梨花が小分けに仕舞っておいたシリコン製のスイムキャップを取り出している。
 この段取りは、門戸が奈央に指示を済ませているようだ。
 遊びの本番で、ボンデージの手順について、あれこれやりとりをするとムードがぶち壊しになる、、その事を門戸はよく知っている。
「ゴムは気持ち良いですな。実を言うと私、今日はアナルプラグ付きのゴムパンツをずっと履いている。こいつを最後のフィニッシュで、ゑ梨花ちゃんの顔に無理矢理被せてやろうと計画してたんだがね。今日は記念すべき奈央のラバーデビューの日だ。私のアナルプラグの味は、奈央に味わって貰うことにするよ。ゑ梨花ちゃん、、たぶん物足りないと思うんだけど、フツーので我慢してくれるよな。」
 と運転席から門戸の声・・・道理で、、初めて車の中で彼に刺激を与えようとした時、門戸の股間の感触がおかしいと思ったが、自分でラバーを履いて来たわけだ。

『でも実を言うと、ゴムと皮膚の隙間にたまるネトネトだけは、あまり好きじゃないんだよ。私は頭で射精する質だからね。このネトに気が散ってしまうんだ。』
 ずっと前のフェテッシュパーティーでは、そんな意味のことを漏らしていた門戸だが、今日はそのラバーパンツを奈央の調教の為に使うらしい。
 現に、門戸のその言葉を聞いた途端、奈央の息づかいが荒くなっていた。
 戸橋君は、奈央として、きっと門戸からパブロフの犬なみの調教を受けているのだ。
 奈央は、荒い息を吐きながら、ゑ梨花の髪を纏めてスイムキャップを被せてくる。
 手慣れたものだ。
 ウィッグとか長い髪の手入れをしなれている手つきだ。
 マゾの女装ホモ、、戸橋君は門戸の手によって何処まで調教されるのだろうか。
 そういう身体に仕込まれると、その仕込んでくれた相手がいなくなると、どうしょうもなくなるのだが。
 つまり普通の男には二度と戻れない。
 それが指尻ゑ梨花が、懸念していた事だった。
 しかし奈央の肉感的な顔には、そんな事はどうでも良く、「アタシ、これからアナルでオンナになります」みたいな表情が浮かんでいたので、戸橋君の演技がどこからどこまでなのかが判らなくなっていた。
 要するに、今の「奈央」は、今とてつもなく「幸せ」なのだ。
 ゑ梨花も、今、「幸せ」になるために、奈央が目の前に差し出したラバーマスクの甘い腐ったような匂いを思い切り嗅いだ。
 もちろん口では「いやぁ、何するのぉ」と、お約束の台詞を吐いてみせる。

 こんな瞬間には、何を考えたところで、何もまともなことは始まらないことを、戸橋巡査も指尻ゑ梨花女史も知っていたということだった。



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