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第7話 生者と死者を巡る受難と解放の物語

03:マネキン化する女装潜入警官

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   03:マネキン化する女装潜入警官

 ここ数時間、俺はいったい何をしていたのだ?
 俺は自分の行動について考えた。
 本当に奇妙でぶっとんでる事をしてきたに違いない。
 だんだん記憶が蘇って来た。
 確か俺は、女の人形になるという考えに没頭していた筈だ。
 だがそんな気持ちは、もう、消し飛んでいた。
 急に今までのことが、俺の頭にフラッシュバックして来た。

 門戸に、精液を顔中へぶっかけられる。 
 俺は手足を縛られているから、顔を拭くこともできない。 
 顔面は気持ち悪くって、そして、臭ってくる。 
 肌にねっとりとへばりつくその感じがたまらなく気持ち悪い。 
 ヌルヌル感だけでも反吐が出そうになるのに、嫌な臭いがする。 
 門戸の精液は臭いがきつい。
 きっと精力がつくようなものばかり食べてるからだろう。
 鼻にツーンとくる。 
 門戸は精液を顔にぶっかけておいて、それを顔面パックだ、と言う。
 ごていねいに顔中に塗りたくられて、拭いてもらえなくて、放ったらかしにされる。
 手も足も自由を奪われているから、そのままで耐えるしかない。 
 飲まされる事もある。 
 口の中に、ドバッ、っと射精されるのだ。 
 手も足も縛られて抵抗できない状態で、のどの奥めがけて射精してくる。 
 両足を縛られて、閉じ合わせられないように縛られる、両手も背中で縛られて、そうやって縛られて弄ばれるのはしょっちゅうだった。

 だが性交はなかった。
 それがある夜、門戸が薄笑いを浮かべながらズボンの下を脱いで、そそり立った皮膚病を患ったような青黒い異様なペニスを俺に見せつけた。
 『何?しばらく口ではしなかったけど、こいつ何か妙な病気になった?』
 そんな不安と共に、同時にピンとくるものがあって、来るときがついに来たんだ、と俺は覚悟した。 
 初夜を迎えるんだぞ、どんな気分だ? といった調子で、いつものように言葉で嬲りながら、とうとう門戸に入れられてしまった。
 俺のアナルは抵抗したが、それはやはり本来の男の抵抗ではなかった。
 ようはそれを突き入れる側の男からすれば、気持ちが良く、相手はそれを受け入れたという事になる。
 だが、本当の問題は、そのペニスが門戸の腰に付けられたとても良くできたディルドーだったという事だった。
 しかもご丁寧な事に、それは半分腐乱した死人の陽物を現したものだったのだ。
 門戸の本当のペニスは、そそり立った死人のペニスが生えだしている人工皮膚パンツの股間の谷間の下で、蚯蚓腫れのような大きなテントを張っていた。
 死人のペニスの感触は今でも忘れられないし、これからもきっと忘れることはないだろう。 
 冷たくて硬いものが、俺の体内に入ってくる。
 もちろん、本物の死体の勃起したペニスなんてあるわけもないし、想像も出来ないが、ソレは確かに門戸の股間にあった。 

 おぞましい、嫌だ、やめてくれ、だが俺は縛られていたから抵抗も何もできない。 
 でも、頭の醒めたところでは、これが俺の運命なんだ、と考えていた。 
 門戸とはいずれアナル性交するのは明らかだと思っていたし、そこで俺は優位に立つんだと心の準備をして来たわけだが、もしかすると、同時に何処かで敗北してしまう自分自身も予想していたのかも知れない。 
 あれは理屈じゃなく、皮膚感覚から来る触感めいた予感だった。 
 門戸が腰を使って責めたててくると、あそこの中を硬いもので摩擦される感触がはっきりとわかった。
 そして、それはお腹の奥を突き抜けて脳天にまで響くような感じだった。
 まさに内臓を貫かれてるって感じだった。
 俺の「生」が門戸の「死」で犯されるのだ。
 辛いとかおぞましいとかを越えてしまってて、知らず知らずのうちに涙さえ出てしまった。 
 しかもその死人の偽ペニスは、放出する仕掛けがあった。
 俺は死者のペニスで生で入れられ、中出しされたのだ。 
 射精されたのが、あそこの中の皮膚感覚ではっきりとわかった。 
 死より冷たい精液を噴射されたのがわかった。 
 その時、自分が射精した時の記憶がかぶさって、まるで俺が絶頂に達して射精したような錯覚に陥り、俺はのけぞって呻いてしまったのだ。  


 ・・・そうだ、そうなんだ。そちらの方こそが、俺のリアルなんだ。
 俺の頭は、ここ最近で最もクリアーな状態になっていた。
 突然、俺は自分自身に俺が何をしていたかを思い出した。
 あの変な液体を飲んで、自分でこの姿勢に固定したのだ!
 俺はこの奇妙でいやらしいマネキンスタンドを降りなければならなかった。
 この女物の服を、そしてスーツを脱がなければならなかった。
 こんな事は、お笑いぐさの回り道だ。
 俺は足を動かそうとして、お尻にポールが刺さっていることに気づいた。
 そして腕は固く、ぎこちなく、動かすのが困難だった。
 俺は靴に手をやろうとしたが、屈む事ができなかった。
 自分の体がこんなに硬くなっていなくても屈む事はできなかっただろう。
 なぜならウエストを固く締めるコルセットとお尻のポールが邪魔をしていたからだ。
 体の力を抜くと、スーツと俺の体は自然と、元の女らしいポーズに戻り始めた。

 俺はパニックになりかけた。
 俺は足を動かそうとした。
 だがブーツは台にしっかり固定されていた。
 俺は足元を見下ろした。
 いつのまにかブーツから足枷、土台へと通じている鎖が台の中にいっぱいまで巻き上げられていたのだ!
 俺は自分の足を靴から引き抜こうとした。
 だがブーツなのでどうしても不可能だった。
 それにブーツのサイズも小さめだったのだ。
 俺はポールとディルドーの継ぎ目の所に何とか手をやった。
 自分の体を持ち上げようとしたが無理だった。
 俺はスタンドに乗ってポールの上に体を合わせた時ディスプレイスタンドからカチカチなる音を聞いていた。
 そして俺の体はその時、上に押し上げられたのだ。
 俺はブーツで足を更に固定され、肛門の棒で陳列台に固定されていた。

 何でこんな事になった? 俺が眠っている間に誰かが何かをしたのか?
 俺は迂闊にも、このブーツを履く時、脱ぐ時の心配など何もしていなかったのだ!
 肉色スーツを脱ごうと首の後ろに手を伸ばした。
 指が首の後ろをまさぐると、驚愕した。
 もっと大きかったスーツの着用口は10円玉ぐらいの大きさにまで縮んで薄くなりおまけに硬化していたのでスーツごしの指にはひっかかりすらしなかった。
 俺はスカートを脱ごうと試みた。
 だがロックされた留め金はこの指では到底はずせそうになかった。
 固く合わさったジャケットのスナップボタンも同様だった。

 俺はマウスピースの嵌ったドールマスクのしゃべりにくい口で叫び始めた。
 だが唇はエロチックに丸く無防備に開いているにもかかわらず、内部のマウスピースのポリマー素材が口中の水分を吸って膨らみ、くぐもった声しか出なかった。
 スーツで硬化した関節は固かった。
 今と違うポーズを取ろうと動かすだけで力を必要とした。
 そして疲れて脱力すると又、元のポーズに戻ろうとした。、
 俺はのたうちまわって自分自身をひっくり返そうとした。
 だが無理だった。バランスを崩そうと体を素早く揺らす自体が不可能だったのだ。

 暴れるのを諦めて鏡を見た。
 その姿は目が覚めた時から何も変わっていなかった。
 フェミニンなリアルドールのままだった。
 動くことができなかった。
 鏡を見つめ続けていた。
 事態を打開しようにも取れる動きはほとんどなかった。
 ヤバイ、本当にやばい。
 なんという事態だ。
 このままでは衰弱発狂してしまうだろう。

 この状態を打開してくれるのは、門戸照人しかいない。
 門戸はいつ帰ってくるか分からず、もう一人、この別荘に潜んでいる筈の人物は、俺が人形になってしまう事を舌なめずりしながら望んでいる。
 俺は泣きたかった。
 だがそれすらできなかった。
 突然バイブレーターが動き出すのを感じたのだ!
 やめてくれ!
 こんな時にそんなものは欲しくなかった。
 だが自分の意志でディルドーの動きを止める事はできなかった。
 快楽と振動が俺の全身をつらぬいた。
 俺のアナルはもう完全に開発済みだ。
 刺激は、硬化した肉色スーツの股間部に押さえつけられた亀頭にも与えられ続けている。
 そして俺は生命にかかわる恐怖に晒されなからも、オルガスムが近づいているのを感じていた。

 俺は絶頂に達して果てた。
 だがもし仮に周りに人がいても、俺がイッたとは誰もわからないだろう。
 俺の筋肉はほとんど動かなかったからだ。
 さらに動きづらくなっているような気がする。
 少し動くだけで全身の筋力を必要とした。
 そして脱力すると、全てが元の位置に戻っていった。


 
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