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第8話 後ろで入れるか、前から入れるか

02:ゴールデンハート

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   02:ゴールデンハート

 璃茉が羽織っていたタンクトップの肩を抜いてゆく。
 璃茉も上半身を浮かせ気味にして、脱がされることに協力する。 
 悦豊は、その鴇羽色のタンクトップに鼻を押し当てて匂いを嗅いだ。 
「ええ匂いや、、」 
 悦豊は心を許した女には、地の言葉遣いが出る。
 そのタンクトップは璃茉の汗と体臭を吸い、脂粉が染みついていた。 
「璃茉の匂いのするタンクトップはええなぁ。、、日本の女とは匂いが違うんや。」 
 悦豊が口唇を璃茉に押しつけてきたので、璃茉は待ちかまえていたかのように彼の口唇に吸いついてそれを貪った。 
 悦豊が腰をもぞもぞと動かせる。 
 酒の味のする唾液を啜り合う濃厚な接吻がひとしきり続き、口唇を離して深く息をしていると、悦豊は璃茉の華奢な首筋に舌を這わせはじめた。 
 片手を璃茉の首の後ろにまわして抱きしめ、添い寝するような格好で、耳の下からうなじにかけて粘っこく舐めながら、もう一方の手で乳房のふくらみをやわやわと揉みしだきはじめる。 

「あんっ、、んん、、」 
「璃茉の黒髪、ほんまにええ匂いがする、、」 
「んんぅ、、」 
 きれいに梳かれていた髪は、今はもう崩れに崩れ、首筋から肩にかけて乱れ髪になってまとわりつき汗を吸って肌に貼りついている。 
 悦豊は、乳房への愛撫を中断し、璃茉の双手を頭の上まで伸ばさせた。 
 そして、全く無防備になった腋の下に顔を埋めた。 
「あっ! ああんっ……」 
 そこは璃茉にとって性感帯とは言えない部分だが、妙に甘いくすぐったさで彼女は身をよじってしまう。 
 腋下は脱毛処理していないので、璃茉は女性用の剃刀を使って、毎日、ていねいに剃毛している。
 けれど、そこは汗を噴いて濃密に匂いが溜まるところだ。 

 悦豊の口唇を押しつけられ、べっとりと濡れた舌で舐めまわされると、くすぐったさもどこか甘美な刺激的な快感となり、璃茉は紅唇から切ない喘ぎを洩らして身悶えしてしまった。 
 悦豊は両方の腋下をさんざんねぶりまわしてから、 「璃茉、腋もいい匂いがする、甘酸っぱくていい」 と自分の顔を璃茉の間近に寄せて、うれしそうに言う。  
 璃茉は呆れているが、好きな男にうれしそうに舐めまわされて悪い気はしない。 
 一瞬、悦豊は目を細めて、真剣な鋭い視線で璃茉をじっと見つめた。 
 その視線の重さに苦しくなった璃茉は、首をツーと伸ばして悦豊にキスをした。 
 悦豊の本気の眼差しを受けたとき、璃茉は耐えきれなかったのだ。 
 軽く口唇を合わせて吸い合ったあと、悦豊は又、元の「ヘンタイ」の顔になり、今度は璃茉の胸の谷間に顔を埋めた。
 悦豊は遊び慣れた大人だけに、璃茉の不意の動揺に知らぬふりをしたようだ。 
「璃茉、ここも、ええ匂いや」 
 くんくんと嗅いで、生温かい舌でべろべろと舐めまわされ、璃茉は「いやあ」と喘いで美貌をしかめ、身をよじらせている。 
 乳房の谷へと汗が流れて澱んでしまうように、なっていた。
 だから、悦豊がねぶりまわして悦んでいるあたりは、相当に汗の匂いがするはずだ。 
 璃茉は仰向けに寝たままで、膝を立てた双肢を思いきり開かされていた。 
 その股間のところに悦豊は這いつくばっている。 
 璃茉の首筋、腋の下、乳房と、白い裸身をさんざに舐め尽くした後、次は太股の付け根に狙いを定めたようだ。 
「璃茉、ここも、ええ匂いがする」 
「いや」 
「璃茉の匂い、たまらん」  
 璃茉はクンニしてもらうのがあまり好きではない。 
 璃茉が恋する男は、女性をしゃぶったりしてはいけないのだ。 

 ずぶっ・・。 
 と、突如、悦豊の指に菊肛を侵され、璃茉は「あんうっっ!」とのけぞってしまった。 
 クリトリスを指でまさぐられる、あるいは唇や舌で遊ばれてしまうかと思って構えていたところに、いきなりのアナル責めだった。
 意表をつかれると同時に、やはり、そこは璃茉の泣き所だったのだ。
 今までの何度かの交わりで、悦豊は、ここでも喜ばせられると理解していたのだろう。 
 璃茉にはそんな気はないが、悦豊の方は、自分がヒモであるという自覚がある。
 生活の面倒を見て貰う代わりに、せめてベッドで女を喜ばせなければならない。
「あんう、んううっ。」 
 璃茉が白い歯を食いしばって甘く切ない喘ぎを洩らせていると、悦豊の指は一本から二本になり、ゆっくりと抜き刺しを繰り返しはじめる。 
「んうぅぅ、んんぅ、、」 
 腰をひくひくと蠢かせて指の弄戯に耐えているうちに、悦豊は再び、璃茉の傍らに添い寝する姿勢になった。
 璃茉の膝は開かれたままで、悦豊は腕で内股を押さえるようにしてアナルをくじり続ける。 
「璃茉、アナルいけるな。感じるんやろ。俺の指を食い締めてるで」 
「ああん、恥ずかしい。」 
「こうやって、璃茉の悶える顔、近くから眺めるのも最高やな」 
「だって」 
(だって、タケシの指、いやらしいから) 
「おマメを充血させて、大きなおっぱいふるわせて悦んでる璃茉見てたら、俺、洩らしてしまいそうや」 
「んんうっ」 

「ほれ、俺の握ってみ」 
 璃茉はそろそろと手を伸ばして、悦豊の勃起した肉の竿を手の平に包みこんだ。
 胴幹はドクドクと熱く脈打ち、亀頭に指先を這わせると粘っこい先走り汁があふれていて璃茉の指をねっとりと濡らせた。 
 ぬちゅぬゅぷ、、ぬちゃぬちゃ。 
 指で擂られる菊肛から淫靡な摩擦音が聞こえてくる。
 そこから隣の穴の壁をなぞっているのだ。
 いや、実際に耳に入ってくるのではなくて、頭の中でいやらしい音が鳴り響いているだけかもしれない。
 もどかしいのか、すごく気持ちが良いのか、よく判らない快感だった。 
 璃茉は悦豊の指嬲りに呼応して腰をくねらせ、泣き声のような喘ぎを洩らせ続けていた。 
「璃茉。汁がトロトロあふれてきてるで」 
「だって」 
「俺のもトロトロや、璃茉の指、べとべとになってしもうとるやろ?」 
「んん」 
 璃茉のほうも、掌の中で怒立している松茸状の肉塊を摺り続けている。
 この硬く勃起した肉竿を一刻もはやく挿入して欲しいと、璃茉は狂おしいまでに望んでいた。 
 今までは受け身のままの性交で十分に満足できていたのだが、今夜は何だかちがう。
 肛門への刺激の極楽に惑溺して、何かが目覚めてしまっている。 
「ねえ」 
「なんや?」 
「ほしい」 
「何が欲しいんや?」 
「いじわる」 
「ちゃんと言わんとわからんな」 
「これ」 と、璃茉はペニスを握りしめた手指に力をこめた。 
「これ、言うてもわからへんな」 
(もお、しらばっくれてえ) 
「ねえ」 
「なんや?」 
(もおっ!焦らさないで) 
 その間も、悦豊は実に楽しそうに璃茉の尻穴を指で弄んでいる。 
(狂っちゃいそうなんだから) 
「タケシの立派な棒がほしいんです」 
「欲しいのはわかったけど、どこに欲しいんや?」 
(もお何とかして) 
「ほしいの、ねえ」 
「そやから、どこに欲しいんや?」 
(生殺しを楽しむのはやめて) 
「俺の指を喰い締めてるで、璃茉の第二の名器」 
(だからあ、はやく入れてよお) 
 タケシのおちんちんを璃茉のおまんまんに入れてください。 
 とうとう、璃茉は言わされてしまった。 
 そういう言葉を口に出させるのが、心理的戯れであると承知しているが、実際に口にしてみると顔面から火が出るほどの恥ずかしさだ。 
 恥ずかしいが、しかし、恥ずかしさゆえの陶酔がある。 
 悦豊とは明日、危険な橋を渡る予定だ。
 それなのに、蕩けてしまいそうなほどいたぶられている。 
「そうか、俺のおちんちんが欲しいんか。璃茉の希望なら仕方がないな。俺のおちんちんで璃茉のおまんまんを串刺しにして淫乱な璃茉を思い切り啼かせてやるか」 
 やおら、悦豊は起きあがり、璃茉の膝裏を押し拡げ、秘部の丸ごとオープンの屈曲姿勢をとらせた。 
 さんざんの指で弄された挙げ句の果て、璃茉の淫ら尻は蕾もクレバスの開き気味に蠢いている。 
「・・・・ああ」 
 もう待ちきれずに、璃茉の美唇からは喘ぎがこぼれる。 
「一本刺しや」 
 悦豊の灼熱した亀頭が秘部に触れ、「ひっ!」と悲鳴に近い叫びで璃茉は反応した。 
 悦豊が腰を押し入れてくる。 
「んんっ! ・・・あ、あ、ああーっ。」 
 悦豊の堅く直立した肉の円筒が璃茉の襞目を掻き分けて捩り込んでくる。 
 待ち焦がれたペニスで身体を貫かれる快感、快感というような生易しいものではなくて、これはもう信仰から離れた場所にある秘密の天国。 
 それは紛れもなく、肉の愉悦だ。 
 深奥まで刺し入れられ、ゆっくりと引き戻され、もういちど深々と通貫されて性器の粘膜を擂り上げられたとき、璃茉は「んあんっ!」とのけぞった。
 鋭すぎる痺れ電流に脳芯を貫かれ、精液がトロリと秘口から垂れてしまった。 
 もちろん、悦豊はそれを見逃さない。 
「おっ璃茉、お洩らししたな」 
「だってえ」 
「ええぞ、璃茉、俺の大好きなべちょべちょぬるぬるのセックスになってきたな」 


 悦豊達を乗せたリムジンは砂利道の小石を踏みつけながら、ゴールデンハート総合病院の玄関先に侵入していった。
 それは、この国で時たま生活道路で見受けられる中古の外国製高級車ではなく、寂寥ファミリーが差し向けた運転手付きの新車だった。
「着きました。」
「ここは病院のように思えるのだが?」
 悦豊と運転手の短い会話だった。
 少し前からおかしかった璃茉の顔色は、ますます悪くなっている。
「ここでいいのです。間違っていません。さあ、降りて下さい。」

 ゴールデンハート総合病院の玄関で悦豊を出迎える為に立っていたのは、これもこの国では珍しい三揃えの高級スーツに身をかためた男だった。
 悦豊に対する挨拶も洗練されたものだった。
 だが、その男は悦豊が同伴していた璃茉には、露骨な蔑みの視線を浴びせた。
 玄関を潜りながら悦豊は、この建物の中に充満している「病院特有の匂い」以外のなにか、非常に不吉なものを嗅ぎ取っていた。
 一言でいえば、それは悦豊の中にある冒険心を「そぎ取っていく」種類のものだった。
 璃茉の兄の伝手で、日本の麻薬バイヤーを偽る事までは出来たが、ここから先の展開に対して急に自信がなくなって来たのだ。
 悦豊は持ち前の冒険心と臨機応変さ、言い換えれば極端ないい加減さで、世の中を渡ってきた訳であるが、さすがに、この世界は勝手が違うように思えた。

 悦豊達はゴールデンハート総合病院の廊下で、魂を抜かれたような精気のない子供達と何人かすれ違った。
 男の子も女の子もふわりとしたネグリジェのようなものを来ている。
 そのために返ってむき出しの丸い肩ややせ細った足首が痛々しく見える。
 病院のお仕着せにしては奇妙な衣服だったが、悦豊の知らぬ皮膚疾患患者なのかも知れなかった。
 そして何故か、大人の患者の姿を見受けない。
 病院側の人間、つまり医師であるとか看護婦の姿もなかった。
 子供達とすれ違った時の寂寥ファミリーの嘩の表情は、にこやかなまま、変わらない。
 勿論、その視線の中にはゲストである悦豊だけが映っているのだが、、、。

「お前は、ここで待っていろ。ここから先はビジネスだ。うちの工場を一般人に見せるつもりはない。」
 おそらくは、この病院のロビーらしき空間に出たとき、嘩が立ち止まって璃茉にそう告げた。
 いつもの璃茉なら、この時点で悦豊について行くと食い下がる筈なのだが、今は黙って立っているだけだった。
 嘩はそんな璃茉の様子に一瞬、皮肉な笑みを浮かべると、直ぐに悦豊に向き直って彼を病院の奥へと導き始めた。

 悦豊を見送って人気のないロビーに置かれたベンチに腰を降ろした途端に璃茉は、自分の肩を抱くようにして頭を項垂れた。
 身体が細かく震えているのが判った。
「酷い、、酷すぎる、、噂話だって思ってたのに、、この国は酷すぎる、、。」
 璃茉が感じているものの正体は、「義憤」というタイトルの深い悲しみだった。
 やがて悦豊が幽霊に出くわしたような顔をして璃茉の元へ戻ってきた。
 嘩には相変わらず柔和な笑みが、その口元に張り付いている。
 三人が顔を見合わせた時、嘩はいかにも残念そうな口調で言った。
「私はこれからここに居残って仕事を片づけねばなりません。お帰りは、どうぞリムジンをご利用下さい。運転手には悦豊様をホテルまでお送りするように指示をしてあります。」
「ここに残って、あと子供達が何人必要かを数えるのね。この売国奴!」
 今まで顔を伏せていた璃茉が突如顔を上げて吐き捨てるように言った。
 充血した璃茉の目は、異様に赤く見えた。
「、、このチンポ吸いの薄汚い女娼が、、。客人の前だぞ。貴様の無礼。悦豊様に免じて一度だけは許してやる。だが覚えておけ、一度だけだ。」
 現地語で嘩がその内面の怒りを押さえながらゆっくりと言い渡す。
 それでも嘩のほほえみは消えない。
 璃茉はそれ以上の口答えをしなかった。
 嘩が放った言葉は単なる脅しではないことを、璃茉は十分承知している様子だった。

「それでは悦豊様、今度は私どもと、よい話が出来ると信じています。」
 嘩の右手が握手を求めて悦豊に差し伸べられる。
 悦豊の右手も同じタイミングであがるが、その手は嘩を素通りして、自分の左肩についた微細なゴミを摘み払い落としただけだった。
 だが嘩の顔色は変わらない。
 嘩は軽く悦豊に対して一礼を済ますと、再び病院の奥へと戻っていった。

「見て回ったんでしょ。此処で何があったの?噂通り?」
「麻薬を栽培してる。子供達を使って、、そう説明してたな。どうやるのかまでは見せてくれなかったが、麻薬を生成する前の植物というか、キノコは見ることが出来た。」
 悦豊が調べていたのは、指尻が「蓮華座」と呼んでいた麻薬だった。
「裏の畑で黒人奴隷の綿摘みみたいにやるのかな。ここで採れる綿は俺達みたいに、きっと黄色いんだろうな。」
 こんな質の悪い冗談で、人は笑うものだろうかと考えながら悦豊は璃茉を強く抱きしめてやる。
 そんな悦豊に応えようとしたのか、単純な自制心なのか、璃茉は小刻みに震えながらも、泣き出すのを必死に堪えようとしているようだった。
「なんだよ、喋っちゃいな。我慢する必要はないぜ。俺は確かに外国人だが、もう半分はこの国の人間みたいなもんだ。と言うか、この国の恥部は、もう十分に知ってるつもりだ。いまさら、俺に遠慮する必要はない。」
 悦豊の腕の中にある熱い体に小刻みな痙攣が走る。
「、、、子供達の身体を使って麻薬を栽培するんだって。生きた人間の身体にしか生えないキノコがあるのよ。そこから特殊な麻薬を抽出する。」
 悦豊には見えない話だったが、ただ先ほどの見学で、それが嘘ではないことだけは判った。
 この国では総ての事があり得る。
「、、その話、地下市場のウナギ人間どもを見た後だしな、信用するよ。」
「、、子供達は、、千と八十本のキノコを生やし終わったら、死ぬんだと言われてる、、。」
 悦豊は、先程すれ違った子供達のふわりとしたネグリジェを思い出す。
 あの衣服は、その下の「もの」を隠し、いたわる為にあるのかも知れない。
 そして「それ」は、どれぐらい大きくなるものだろうか?
「、、、なぁ璃茉、噂話には、いつでも尾ひれはひれがつくもんだぜ。状態はお前が想像してるよりも、もうちょっとマシかも知れないぜ。」と悦豊は気休めに言ってみた。
「残念だけどこの話は、この病院に子供を売った父親から直接聞いた話なのよ、、。」
 海馬美園国、、、、飽きの来ない国だぜ、、まったく。
 このクズな俺様にピッタリだ、、と悦豊武は二百回目のため息と共にそう思った。

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