賽柘キヨ

賽柘キヨ

旧名賽柘雪。何年か前まで、同名や「藤咲リネ」を名乗り、他の投稿サイトで活動していました。「天草遊羽」の名前でひっそりと二次創作活動していたこともあります。趣味はゲームです。
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代々大企業の会長を務める一族の一人娘にして、鳳高校一の優等生・天龍寺香織。 彼女はその日、ナイフを片手に、首を切ろうとしていた。 「さよなら、」 人形のようにしか生きられない自分に、別れを告げる為に。 自分とは違う「彼女」に憧れていた、藤形結衣のように。 天龍寺香織もまた、自分とは違う「彼女」に憧れていたのだ。 そして、同じように自殺を考えていた。 首筋に宛がったナイフは冷たく、恐怖心が彼女を襲う。 その時、 「……誰かいるのか?」 タイミングが良かったのか悪かったのか、彼女に声を掛けた人物がいた。 これは、藤形結衣と神野恭哉が「約束」を交わし過ごした一ヶ月の裏側で、同じように学校祭の準備に奔走した二つのクラスの学級委員長の物語。
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ある日、谷原四兄弟に向かって養母が告げたのは、結婚の報告。…突然ですが、家族が増えることになりました。 両親を事故で亡くし、バラバラになると思っていた俺達を引き取ってくれたのは、父の歳の離れた妹の美鶴さんだった。 「ねえ、私と一緒に暮らしましょう?」 今も時々思い出す、あの日の記憶。 涙を流しながら、それでも、必死に笑おうとしていた、あの時の美鶴さんの表情を、その言葉を、俺はきっと、この先もずっと忘れることはないだろう。 それから今までずっと女手一つで育ててくれた美鶴さんには、感謝している。 どうしたらこの恩を返せるのか、ずっと考えてるけど、きっと一生を掛けても返すことは出来ないだろう。 美鶴さんが幸せになれるなら、何だってしてあげたいと思ってる。 思ってるけど、…ちょっと、それはどうかと思うんだ。 …天国にいる父さん、母さん、…っていうか父さん、見てますか。 あなたの妹が、子持ちの男と結婚するそうです。 正直、美鶴さんに恋人が居たことさえ驚きなのに、突然結婚だなんて。 しかも相手は三人の子持ち。 美鶴さんは幸せそうだから喜ぶべきなんだろうけど、正直複雑過ぎる…。 一歳下の妹は、呑気にも前から欲しかった妹が出来ることを喜んでいるし、 歳の離れた弟二人は何も考えてない…と言うか、多分解ってない。 父さん、母さん、俺にどうしろって言うんだ…。
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 かつて、「聖獣」を従えて、国を災厄から救った少女がいた。  大聖女マリア・エルルカ。この国で、彼女を知らない者はいない。  聖獣の祝福を受けた彼女の子孫は、聖獣や精霊を始めとする神霊達と心を通わせる「聖なる力」を受け継いだことで、国の平和を祈る「聖女」の役割を与えられることになったという。  国民を纏める王族と、「聖獣」を従えて国を守護する「聖女」の祈りによって、世界一の大国となったハルスモニア。  やがて、時代の流れと共に人々の信仰心が薄れていき、神霊達を視ることが出来るのも、マリアの血を引いたエルルカの一族のみとなった。  首都ハルストより少し離れたセイレンの森に、精霊達と生きる二人の姉妹が住んでいる。  姉のマリアンナは、マリアの再来と謳われるほどの強い力を持って生まれた。 「聖女マリアンナ様、お迎えにあがりました」  彼女が18歳となると、代々「聖女」を擁する教会の神官が現れ、そのまま次代の「聖女」としてハルストへと連れて行かれてしまった。  妹のソフィアンナはひとり取り残された。唯一の肉親であった姉はいなくなったものの、森には精霊達がいたので、「独り」ではなかった。  姉がいないのならそれはそれで、これからは悠々自適に暮らそうと思っていたのに________ 「一週間で構わない。僕を匿ってもらえないだろうか」  ある日、泉で寝ている青年を起こしたら、そんなことを頼まれてしまった。 「ありがとう。ここでの生活はとても楽しかった」  約束の一週間が過ぎ、今度こそ安寧に森での生活を送れると思ったのに。 「ソフィアンナ様、どうかマリアンナ様の代わりに『聖女』になってください」  マリアンナが聖獣を呼ぶことに成功した、と言う風の噂を聞いて間もなく、再び教会の神官が彼女の元を訪れたのだった。  そしてソフィアンナは、姉の代わりとして招かれた教会で、一週間だけ共に暮らした青年と、思わぬ再会を果たすことになる。
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学校一の美形とも言われ、何があっても表情を変えないと噂の『冷酷王子』こと神野恭哉。 彼はその日、屋上へと続く階段を登る少女の姿を見掛けて、足を止めた。 彼女がいつも屋上で授業をサボっていることは知っていたけれど、何故だろうか、その日はいつもと様子が違うように感じた。 そう気付けるほど、「彼」はずっと、「彼女」を見ていた。 ふと、嫌な予感がして。どうしても気になって。 思わず、彼女の後を追った。 前向きで明るく、隣のクラスのムードメーカー的存在と評判の藤形結衣。 皆から好かれている筈の彼女が何故「自殺」を考えたのか、その理由を知りたかった。 彼女はきっと忘れてしまったのだろう、幼い頃に交わした約束を守る時が来たのだと思った。 ああ、けれど。そんなのはきっと建前で、本当はずっと前から、その隣に立ちたかったのかもしれない。 …なあ、結衣。 俺のこと知りたいって言ったけど、俺が抱えてる想いを全部知ったら、多分、お前引くと思う。 それでも知りたいって言うなら、聞かせてやるよ。 俺が、いつからお前のことを好きで、どんな想いで、「あの一ヶ月」を過ごしていたか。
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「少女」と「シロ」のショートショートシリーズ。気紛れ更新です。
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 遙か昔、世界は魔王によって闇に呑まれようとしていた。  大地は荒れ果て、人々の心には闇が巣食った。  音神フルジェンテは人を魔の手から救い、最後には魔王を封印した。  世界には平和が訪れたかのように思われた。  彼が遺した力はひとりの魔女に手によって、散り散りに弾け、世界へと降りかかる。  ある力は人に宿り、またある力は物に宿り、更には動物へと宿った。  人に宿った力は、人から人へと受け継がれ、  物に宿った力は、ひっそりと時を超えた。  動物へ宿った力は暴走し、やがてそれは「魔物」へと成り果てた。  音神によって救われた人々は、彼の意思に反して、その力を求めて争い、世界は再び荒廃していく。  時の流れによって、魔王の封印も弱まり、世界は破滅への一途を辿ろうとしていた。  それを嘆いた音神は、異世界から一人の少女を選び、召喚する。  彼女を『依代』に、散り散りとなってしまった力を取り戻す為に。  力を集めながら、少女は音神の想いと触れ合う。  全ての力を集め終えた時、音神は再び目覚め、世界は救われるだろう。
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事の発端は数時間前に遡る。 「ねえ、伊織。私の代わりに、婚活パーティー、出てくれない?」 古くからの友人でもある彼女は、とある金融会社の社長令嬢の彩加。 その「彩加」として、御曹司達が集う婚活パーティーに参加することになってしまった。 今まで、着たこともない煌びやかなドレス。 身に付けたことは愚か、触ったことさえ無かったジュエリーのネックレス。 まるで私じゃないみたいだ。 否、実際に、今は「私」ではない訳だけど。 ああ、まさか、こんな事になるなんて。
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 明るく、前向きでクラスのムードメーカー的存在と評判の藤形結衣。  彼女はその日、屋上のフェンスを越えて、飛び降りようとしていた。 「さよなら、」  平凡な人生に別れを告げる為に。  そっと、フェンスから手を離した時、 「やめとけよ、飛び降り自殺なんて」  低い声で、彼女を止めたのは。  学校一の美形で、何があっても表情を変えないと噂の『冷酷王子』こと神野恭哉。  顔は良いけど無口で無表情、とても冷たい人だと言われていた彼は。  柔らかく微笑んで、甘い声で囁き、優しく彼女の頬を撫でる。 「一ヶ月でいい。消そうと思っているお前の時間、俺に預けろよ」  強引な彼が引き下がってくれるとは思えず、彼女は仕方なく、その提案を受け入れた。  これは、『冷酷王子』と呼ばれながら、『彼女』には甘く優しく割とおしゃべりな学校一美形な彼と、  友人に囲まれている時は『自分』を装い明るく振る舞う、『彼』の前ではとても淡白な彼女の、  一ヶ月だけの物語。 「…一ヶ月経ったら、私に関わらないって、誓ってくれる?」  一ヶ月経ったら、今度こそさよなら―――…
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※ファンタジー長編「リオノール喫茶へようこそ!」と同じ舞台で広げられるファンタジー要素ありの恋愛短編集です。  ルドシュ・リーア王国。世界樹から溢れる力により、他の国に比べて魔法文化が栄えている。世界屈指のリオノール魔法学校や、随一の魔力を持った王家が統べるルドシュール城、そして世界樹「ウェルマ・フェルア」は有名な観光地として名が挙げられる。  さて、世界各国から魔法学問の履修を志す者が訪れるこの国も、全てが魔法尽くしと言う訳ではない。  ルドシュール王9世によって定められた法律により、国民達には労働の義務が与えられているからだ。  詳しく言うと、錬金術師の職業免許証を持つ者以外、全てを魔法に頼って作り出すことは禁止されている。国民は自分の手で料理を作り、それを食し、自分の手で物を作り、それを使っている。  その為ルドシュ・リーア王国には様々な職人がいる。ガラス細工師、人形師、銀細工師……。  彼等がアトリエを構えるのは、リオノール城下町三番街。通称リオノール工房。  職人通りと呼ばれるその街は、いつも様々な人で賑わっている。これは、そんな工房に関わる人々の物語である。
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こんな時間にお客様かな? いらっしゃいませ、「セカイ」の入口へようこそ 「恋色」の扉の先を案内する彼女と、 「無色」の扉の鍵を開ける彼には、 もう会えたかな? 良ければ、もうひとつの扉を紹介しよう これは「詩色」の扉 詩…と言うよりは…、そうだね、 物語にはならない、「語り」ばかりが溢れているセカイ さあ、扉に手を掛けて、 その耳に届く歌声が誰のものか、 さあ、扉を押し開けて、 その目に映る景色が何なのか、 確かめてみるといい
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