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本気で恋したただひとりの女は、幽霊だった
命が削れるほどに、結ばれたいと思った─
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(本分より)
テレビのほうを向いているから顔は見えない。サックスブルーのホットパンツ姿でなめらかな象牙色の脚を畳んでいる。とても綺麗だった。
緑色のほろほろと崩れた土壁に何か刺さっていた。
「藁人形に五寸釘」
なんだあれは、と声を震わせ、そこから逃げた。
なめされた瑪瑙色のアパートに戻った。ふとんに大の字になって頭を掻き毟った。夜が更けても、朝が来ても、その女のことが、頭から離れなかった─
文字数 25,572
最終更新日 2019.04.27
登録日 2019.03.31
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