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「信長殿、その額にある刀傷ですが、いかがなされたのですか」 桜の脳裏に鮮やかに蘇る恐ろしい出来事。十三年前、身を挺して自分を護ってくれた少年の姿が瞼に焼き付いて離れない。その少年は位の高い侍の子供らしく、二回りも大きな牢人に果敢に挑み傷を負った。 尾張の統一を目指す織田信長は敵陣の攻略と自身の警護を強化する為、甲賀から敵将の暗殺を任とするくノ一桜隊を雇い入れる。那古野城の天守で初めて桜に会った時、何故か初めてでは無いような不思議な感覚にとらわれる。透き通るような大きな瞳は、遠い昔心を惹かれた美しい少女の面影に重なる。 「殿の首は誰にも渡さぬと、今此処で私に約束して下され」        目の前にいる女は“この戦に勝て”と迫っているのだ。今川義元が率いる圧倒的な兵力を誇る遠征侵略軍を前に自らの死の覚悟をしていた信長は返事に窮した。     「わしと一緒にいてくれるか」 絹の襦袢の下から現れた淡い薔薇色の裸体は、目が眩むほど艶かしい。 数奇な運命に引き込まれる二人の行方は。織田信長はいかにして桶狭間の合戦を征したのか。覇権を争う侍同士の激しい戦いと、それを影で支える忍者の暗躍の中で繰り広げられる胸を締め付けられるような切ない戦国ラブストーリー。
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文字数 161,384 最終更新日 2019.04.21 登録日 2019.04.21
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