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これは伝説の魔導士、ドロシーの逸話の一つ「安易な婚約破棄はブタのもと」もしくは「豚に仕返しされれば蛙になる」と伝えられる話だ。
彼女がまだ単なる侯爵令嬢だった時、ペンドルトン王国の王太子、ストルアンから婚約破棄を申し伝えられた。
「ドロシー!お前がこのジーナをイジメていたことなどはもはや明らかだっ!」
「ここで『やった』の『やっていない』だの、『証拠を出せ』だの『その証拠はそちらの方の自作自演でわたくしが行ったことのではありませんのよ』だの、小説や演劇でよくある『悪役令嬢の婚約破棄』定番の流れをなぞってみても時間の無駄ですわね……。かしこまりました、ストルアン様。そこまでしてわたくしとの婚約を破棄したのであれば、そんな不確かな理由ではなく、ここで、大勢の皆様の前で、今からそちらの方を貶めさせていただきます。そうすればストルアン様に正当な婚約破棄の理由を作って差し上げることができますわ。それでよろしいですか?」
そうして、ドロシーは魔法を使い、ジーナの顔をブタに変えた。
*「小説家になろう」様にても投稿しております。
文字数 6,752
最終更新日 2020.11.10
登録日 2020.11.10
「アンジェリカ・ド・ファルドーレ!お前との婚約を、今、ここで破棄し、ミリアリアを新たな婚約者とする!」
第一王子であるエンドリック殿下が、わたくし、ファルドーレ侯爵家次女であるアンジェリカ・ド・ファルドーレに向かって宣言なされました。
その横に侍らせているミリアリア男爵令嬢の肩を抱き寄せながら、高らかに。
ここは、国内貴族のほとんどの子息息女が通っておりますミッドガルド王立学園のダンスホール。
先ほど卒業の記念式典が終わり、卒業生の皆様や、在校生の方々、彼らのご父兄などが、これから行われる卒業記念のダンスを楽しもうと、このダンスホールへと移動してきている、その最中のことでございました。
突然のこの婚約破棄の宣言に、皆様一様に興味と困惑を抱えられているようです。
婚約破棄を申し付けられた、当事者のわたくしは驚きを禁じえませんでした。
……などというと、ウソになりますわね。
婚約破棄から始まる新王国建国の、序章です。
※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しています。
「小説家になろう」様にて、【短編版】だけでなく、【連載版】も掲載中です。
文字数 7,405
最終更新日 2020.11.08
登録日 2020.11.08
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