なぜ優れた起業家はビジネスの「正解」を知っているのか?

2019.03.19 公式 絶対に失敗しない起業術 第17回
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起業コンサルタントにも答えられない質問がある

私は起業コンサルティングを長年やっていますが、今でも答えられない質問があります。
それは、以下のような質問です。

「誰でも成功するビジネスはありませんか?」
「一番儲かるのは何ですか?」
「今すぐ人が集められる集客方法を教えて下さい」

などなど、これは典型的な「正解がある前提の質問」です。

しかし、世の中にあらかじめ決まっている正解はありません。もし「誰でも成功する方法」があれば、すでに多くの人がやっているはずです。

他にも、答えられない質問のレパートリーは無限にあります。

「起業資金はいくら必要ですか?」
「名刺は何色が良いでしょうか?」
「WEBサイトは何ページにすればいいですか?」
「起業したら、1日何時間働けばいいですか?」
「プロフィールは何行で書けばいいでしょうか?」
「反応のあるダイレクトメールの封筒のサイズは?」
「売上はいくらを目指せばいいですか?」

などなどです。

「正解はない」という言葉は誰でも聞いたことがあると思いますが、どうしても「正解がある」という気持ちになるものです。

例えば、
「『20代の女性が必ず食いつくプレゼント』を知りたくありませんか?」

と男性に聞くと、ほぼ全員が「知りたい!」という反応をします。
そんな秘密のプレゼントがあれば恋愛も楽勝だと思って、ぜひ教えて欲しいと思うわけです。

これはまさに、「あらかじめ分かっている正解がある」という前提ですよね。

さて、このとき「知りたい!」と言った男性が38歳の男性だったとします。
その方に、もう1つ質問してみます。

「『38歳男性が必ず食いつくプレゼント』ってあると思いますか?」

そうすると、多くの場合、

「そんなものありませんよ。好みは人それぞれですし」

という答えです。

「ですよね。同じように、『20代の女性が必ず食いつくプレゼント』というのもありません。欲しいものは人それぞれですので」

とお伝えすると、「確かになぁ」と納得されます。

「そんなものありませんよ」という言葉を発しているときは、ご本人は「世の中に正解はない」ということを体感されているでしょう。

ビジネスで成功するには、この感覚が必要なのです。

しかし、学校や受験勉強の弊害なのかもしれませんが、人は「正解がある」と思ってしまうものです。

起業家がそういう思考だとうまくいきません。

ビジネスの世界にも正解はありませんし、ましてや、新しいビジネスを立ち上げるのに、そもそも正解があるはずがありませんからね。

「成功者は何か特殊なことをしている」という幻想

「正解がある」のと同じような発想で、

「成功者は、自分の知らない特殊なことをしているに違いない」

と思っている人も多いです。

「それさえ知れば自分も成功できる」という考えです。

ですので、ビジネス書などの場合、難しい方がありがたがられる傾向があります。

アメリカの有名大学の教授が書いた本などが売れたり、緻密な調査に基づいた分厚い本がベストセラーになることもあります。

しかし、それで成功する人が続出するかというと、そんなことはありません。
成功者が書いた本であっても、「特殊な方法」が書かれてあるわけではないからです。

「正解がある」思考を生み出す2つの問題

「正解がある」と思っていると、2つの点で問題が生じます。

まず1つは、行動が止まってしまうことです。

正解があると思っていると、それを探すことに躍起になります。
そして、正解が分からないとスタートできないと思うわけです。

そして、冒頭のような質問に対する答えを本やセミナーで探そうとするわけですが、当然、答えはいつまでたっても分かりません。

そもそも質問が間違っているのですから。

もう1つの問題は、「正解がある」と思っていることが、不安の大きな原因になることです。

なぜなら、「自分のやり方は間違っていないか?」と、常に答え合わせをしたくなるからです。これでは、いつまでたっても自信が持てません。

新しいビジネス書が出たら、読まなければ不安になります。
新しいキーワードが流行ったら、勉強しなければならない気持ちになります。

すべての「正解」を学び終わったらようやく安心できると思うのですが、残念ながら終わりはありません。いろんな理論が新しく発表されますし、事例はどんどん出てきますし、本もたくさん出版されます。

また、誰かの言っていることと、別の人が言っていることが違っていると、「どっちが正しいんだ……」と分からなくなり、これも行動が止まってしまう原因になります。

ビジネスにおける「正解」とは何か?

では、いったいビジネスにおいての「正解」とは何なのでしょうか?
私たちは何を目指して行けばいいのでしょうか?

以前、夕食を妻と一緒につくっていました。
普段料理はしませんが、練習も兼ねてです。

料理のいいところは、レシピがあることです。
レシピ通りにつくれば美味しい食事ができるので、レシピはまさに「正解」です。

しかし、レシピを見てみたら、こんなことが書いてありました。

「はんぺんを美味しそうな焼き色になるまで焼く」

私はレシピをそこまでじっくり読んだのが初めてだったので、少なからず衝撃を受けました。
レシピには「正解」が書いてあるのかと思っていたからです。

「美味しそうな焼き色」

とはなんでしょうか?
どれぐらいの色なのか?

数値では表していません。

「美味しそう」かどうかは、人それぞれです。
人によって色に違いが出てきます。

薄い色で「美味しそう」と思う人もいれば、ちょっと濃いめの色が好きな人もいます。
「正解」は人それぞれです。

実は、ビジネスの正解もこれと同じです。

そのお客さまが、「面白い」「楽しい」「役に立つ」「欲しい」と思ってくれれば、それが正解です。

商品も喜ばれたらリピートしますし、メールマガジンやブログも面白かったら読まれますし、セールストークも興味を引けば聞かれます。

「正解」は「お客さまの感情」が決めるということです。

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プロフィール

今井 孝
今井 孝

株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング
代表取締役

大手IT企業でいくつもの新規事業開発を手がけ、初年度年商が数億円を超える事業で社内アワードを受賞。その実績をもとに意気揚々と独立したものの、スモールビジネスの成功法則を知らなかったため、いきなり挫折。セミナーを開催しても閑古鳥が鳴き叫ぶばかり。挽回のために数百万円を投資して作成した教材はほとんど売れず、部屋を占領する在庫の山に。ネット広告につぎ込んだ資金は一瞬で消えてしまい、胃の痛みと闘いながら起業1年目は終了。
その後、10年連続300人以上が参加するセミナーを主催。トータルでは6,000人以上に。
集客できるようになった一方で、毎回結果を出すことに囚われるようになり、「やらなければ……」という苦しさを味わい、その結果、数多くの経営者から学びを得て“過程を楽しむ”という本質に到達した。売上に執着し過ぎることを消し去ったのは「誰かのために貢献し続けたい」という思い。そこで、ビジネスを心から楽しめるようになる。
それらの経験を踏まえたマーケティングとマインドに関するさまざまな教材が累計3,000本以上購入されるなど、3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝え、最初の一歩を導いた。
誰にでもわかりやすく、行動しやすいノウハウと伝え方で、「今井さんの話を聞いたら安心する」「自分でも成功できるんだと思える」「勇気が湧いてくる」と、たくさんの起業家に支持されている。

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