今どきの若手の育て方

若手と組織の雰囲気をガラッと変えられる上司は、感謝の伝え方がとにかくうまい。

2019.11.21 公式 今どきの若手の育て方 第23回
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「ありがとう」のひと言を忘れない絶大な効果

貢献に対して必ず得られるもの、それは「感謝」です。そして、最もシンプルな「感謝のメッセージ」が「ありがとう」なのです。
それは、「あなたのおかげで、私はありがたい気持ちになりました」という意味だからです。なので、上司は若手の貢献に対して「ありがとう」を増やすことをおすすめします。

例えば、バッグの日本ブランドで、世界企業になっている有名な会社があります。先日、とあるテレビ番組で、なぜこの会社は世界的な企業になれたのかの特集をしていました。
そのときに、この会社にはコミュニケーションにおいて2つのルールがあることを知りました。
それは、
・相手の悪いことは絶対に言わない。
・誰もが「ありがとう」を言う。
です。

相手の悪いことは絶対に言わない

この会社は女性が90%以上なのですが、なぜ女性に悪いことを言わないのかの理由として、「女性は悪いことを言われたり、されたりすると一生覚えているから」という解説がありました。
「なるほど」と思いました。
こんな話があります。熟年離婚というものがありますが、ある定年退職した夫が奥様からこう言われたそうです。
「あなた、私たちが結婚して、最初に私がつくった料理を覚えてる?」
夫が「え?」と回答できずにいると、さらに奥様はこう言いました。
「私はね、カレーをつくったのよ」
夫は、「そうなんだ」と心でつぶやきます。
そして、奥様はこう言いました。
「あなた、そのカレーを食べてなんて言ったか覚えてる?」と。
夫は、目をぱちくりしていると、奥様はこう言いました。
「あなたは、こう言ったのよ」
「お袋の味と違うな」と。
「私はね、あなたの奥さんになったのであって、お母さんになったわけじゃないのよ」と。
奥様は静かにそう言って、離婚届をスッと出したそうです。
それを結婚して40年後に言われるわけです。特に男性全般に言えることですが、女性に対しては、決して悪いことを言わないというのが、コミュニケーションの基本なのです。ぜひ、肝に銘じたいところです。

そして、この会社ではそういったことがないように、「悪い点は言わない」ということをルールにしたそうです。
相手のいい点をしっかり伝えるコミュニケーションを全員が意識することで、スタッフ全員が強みを活用して、いい接客をするよう心掛けるようになったといいます。

誰もが「ありがとう」を言う

加えて、社長、店長、スタッフ、すべての人がお互いに何かしたら「ありがとう」を言い、感謝するそうです。
そのことによって、社内では「ありがとう」が当たり前の状態になっているそうです。
そして、それはとても大切なものをもたらしました。
それは、お客様に対しての「ありがとう」が、いつも笑顔で明るい声で言えるようになったことです。

ポイントは、「内外一致」していることです。社内という内側で行われていることと、社外に対して行っていることが一致しているということです。
これは最もCS(顧客満足)が上手くいくポイントです。

CSが「自己犠牲」になってしまっている企業は、CSがあがりません。
「お客様第一と言ってるのに、なぜ笑顔が出ないの!」と叱られている新人に、本当の笑顔は出ません。
お客様に本当に喜んでもらいたいという気持ちが大切であるはずなのに、そういう気持ちになれないような指導をしていては、本当のCSは実現しないと思います。
この会社ではそういう観点から、誰もが感謝の気持ちをもって接することができるように、社内でも「ありがとう」を実践しているそうです。

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プロフィール

石田祐一郎
石田祐一郎

株式会社GO FRONTIER代表取締役。大学卒業後、婦人服アパレル企業に就職。いちスタッフから数店舗の店長を経て、マネージャーとして全国を回る。その後、課長に抜擢。ブランド存続の危機の中で、社員一丸となって業績を挽回。さらに商品部長を経て取締役営業部長となり、全社の古い企業体質を改善。退職後はコーチング、アドラー心理学、メンタルケアを学び、プロコーチとして独立。現在は年間150回以上登壇し、成果が出るマネジメントとコミュニケーションのコツを全国で伝えている。

著書

今どきの若手の育て方

今どきの若手の育て方

「今の若手はやる気がない」「すぐに会社を辞めてしまう」「いくら教育しても育たない」――。いわゆる「ミレニアル世代」と呼ばれる若手の育成に悩むリー...
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