今どきの若手の育て方

若手を上手に育てる上司は、怒らずに「叱る」ことを徹底している

2019.12.05 公式 今どきの若手の育て方 第24回
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上手い叱り方で
さらに若手との信頼関係がつくれる

まず、ここでしっかりと理解しなくてはいけないことは、「叱る」と「怒る」の違いです。

「叱る」には目的があります。相手の成長を促すことです。相手の「できていない点」や「改善すべき点」を指摘し、今後に活かして、成長してもらいたいと思って叱るのです。

しかし「怒る」は、そういった目的はありません。ただ感情をぶつけるだけです。この違いを明確に理解することが必要です。
もしも、相手の成長を促すという思いがないならば、何もしない方がましです。
上手く「叱る」ポイントは3つあります。
・人前で叱らない。
・叱るは一つに絞る。
・5ステップで叱る。
順番に見ていきましょう。

人前で叱らない

まず、叱る前に注意することは、「人前で叱らない」ことです。相手の成長を促すために叱っているのに、人前で叱ってしまうと、叱られている人は「恥をかかされた」と感じてしまいます。そのため、別室に連れていって一対一で叱る必要があります。もちろん、その場で叱ることが必要な場面はあります。例えば、周囲の人や、その方自身の安全を脅かすようなミス、絶対にここで叱って気づいてもらわないといけない場面では、その場で叱ることが必要です。そのような状況でない限りは極力人前で叱らないように注意しましょう。

叱ることは一度に一つに絞る

叱ることは一つに絞ることが必要です。ここぞとばかりに2個、3個と叱ることが増えると、何について叱られているかが分からなくなります。
あれこれと指摘したい気持ちは分かりますが、しっかり整理して、「今日はこの点を叱る」という指摘事項を明確にすることが必要です。

5ステップで叱る

次に実際の叱り方です。
私は5つのステップを踏んで叱るように指導しています。
5つのステップは、
第1ステップ「何をしたのか事実のみを伝える」。
第2ステップ「叱り手の気持ちを伝える」。
第3ステップ「『どう思う?』と相手の考えを確認する」。
第4ステップ「フォローする」。
第5ステップ「今後の期待を伝える」。
です。

例えば、ある若手が始業時刻に連絡もなく30分遅刻して、会議ができなくなった場面を想定してみましょう。
「怒る」であるならば、遅刻の連絡もなく、会議ができなくなった怒りをその場でぶつけます。遅刻してきた若手に最初にぶつける言葉は、

「何やってんだ! お前のせいで会議ができないんだぞ! 連絡もしないでやる気あんのか!」

と罵声(ばせい)が飛びます。
若手は、「すみません!」とただ謝るだけで、弁解もできません。
これでは「次は遅刻しないように頑張ろう」という気持ちは生まれません。逆に、モチベーションは大きく下がり「そんな言い方はないだろう」という反発心が生まれ、パワハラになる可能性もあります。若手の成長を促すことには繋がりません。

では「叱る」としたらどうなるでしょうか。
まず「何をしたのか事実のみを伝える」ためには冷静にならなければなりません。第一歩は、自身の気持ちをコントロールすることが必要です。
若手を別室に連れていき、一対一でしっかりと「事実」を伝えます。
「○○さん、今日○○さんは、9時始業に対して30分遅刻しました。そして、会議が開催できなくなり、多くの参加メンバーに迷惑をかけました」
相手が何をしたのか、事実をきちんと冷静に伝えます。
事実に関しては、相手も冷静に受け止め、納得せざるを得なくなります。

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プロフィール

石田祐一郎
石田祐一郎

株式会社GO FRONTIER代表取締役。大学卒業後、婦人服アパレル企業に就職。いちスタッフから数店舗の店長を経て、マネージャーとして全国を回る。その後、課長に抜擢。ブランド存続の危機の中で、社員一丸となって業績を挽回。さらに商品部長を経て取締役営業部長となり、全社の古い企業体質を改善。退職後はコーチング、アドラー心理学、メンタルケアを学び、プロコーチとして独立。現在は年間150回以上登壇し、成果が出るマネジメントとコミュニケーションのコツを全国で伝えている。

著書

今どきの若手の育て方

今どきの若手の育て方

「今の若手はやる気がない」「すぐに会社を辞めてしまう」「いくら教育しても育たない」――。いわゆる「ミレニアル世代」と呼ばれる若手の育成に悩むリー...
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