あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

独学のプロが教える「三日坊主」にならないコツ

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なぜ勉強を始める前に
「休み」を決めるのか

金曜日の昼になると、頭の中でいつも同じ曲のイントロがリフレインします。金曜日午後になると仕事がはかどると歌った、有名な女性歌手の流行曲で、今年43歳になる私はドンピシャの世代です。

土日が休みのサラリーマンだと、この気持ちはよくわかるはずです。コロナの影響で状況は変わったものの、土曜日はゆっくり休んで、日曜日は友達と会って……などと予定を考えるだけでワクワクします。

逆に、最もやる気が出ないのは月曜日の朝、もっと言えば通勤途中です。駅に向かう足取りが重くなり、電車の中もなんとなくよどんだ雰囲気です。

なぜこんな気分になるのでしょう。

当たり前ですが、休みは楽しいからです。思い切り遊んでもいいし、何もしないで家にいることもできます。時間の使い方を自由に決められます。
休みがないとしたら、どんな仕事も長く続けられないでしょう。ストレスが限界まで溜まり、いつか体も心も壊れてしまいます。

独学も同じです。

試験に挑む場合は、休みをいかに確保するかが大きなポイントです。休養なしで努力を続けられるほど、人間は丈夫にできていません。それほど心と体の疲労回復は重要です。
合否を分けるといっても過言ではありません。
勉強を始めるときは、何よりも先に休みの予定を決めましょう。

「休み」なしで頑張った結果、
私は失敗した

難関試験に挑戦する日々はとにかく苦しいです。受かるかどうか見えないまま、人生の貴重な時間をささげることになります。
社会人受験生であれば、使える時間は大幅に限られます。必然的に、多くの人は、余暇を削ることになります。それはまるで、ゴールのないマラソンのようです。

よくある失敗はこうです。
頑張ろうという気持ちが先走り、休みなしのスケジュールを組んでしまいます。最初は順調に進んでも、次第に疲れがたまり、ノルマをこなせなくなっていきます。そのうち、予定が大幅に遅れてテキストを開くこともなくなり、「自分にはどうせ無理だった」と目標をあきらめることになります。

実は、これは最初に挫折したときの私です。
最初に公認会計士試験に挑戦したときは、資格の専門学校に通っていたのですが、3ヵ月ほどで行けなくなりました。

このとき、スケジュールに休みを入れていませんでした。週7日、朝から晩まで勉強していました。標準的な1年半で受験するプランだと、1コマ90分の授業が1日に2~3コマあります。
これに加えて予習、復習をすると、1日の勉強時間は10時間を超えることもザラです。

土日も休みなく机に向かうことになり、もちろん趣味に割く時間はありません。
代わり映えのない毎日にだんだん集中力がなくなり、目を閉じてもテキストの内容が頭から離れません。
楽しいことは何もなく、「明日も勉強か……」と憂鬱な思いで毎日を過ごしていました。それはまるで、日常から色が消えてしまい、すべて灰色になったかのようでした。

当時の趣味は主に格闘技とゲームでした。
学校の勉強についていけなくなったきっかけは、競馬ゲームの「ウイニングポスト」だったように記憶しています。

起きてから寝るまで勉強ばかり、休みのない日を3ヵ月ほど続けていました。疲れ切ったある夜、アパートの押し入れに封印していたPSP(プレイステーション・ポータブル)の箱が目に入りました。合格したらまたやろう、とソフトと本体をセットにして、ガムテープで開けられないようにしていました。

「頑張ってるし今日くらいはいいかな」
そう思ったのが運の尽きです。箱を開けてスイッチを入れると、気づけば夜が明けるまでプレイしていました。
もちろん、次の日は予定していた講義を受けられません。
スケジュールが狂い始め、それから1ヶ月後にはまったく学校に通えなくなりました。

専門学校の学費は、コースによっては50万円以上かかります。受験しなくても、当然ですが費用は返ってきません。挑戦をやめると決めた瞬間に、大金をムダにしたことが確定します。

それでも、受験をやめると決めた瞬間は、後悔よりも解放感で心が満たされました。羽が生えたような気持になり、再就職を決めると同時にインド旅行に出発しました。デリーやバラナシなど北インドを中心に1ヵ月ほど周遊し、安宿に泊まりながらインド人と話したり踊ったりしているうち、景色に彩りが戻ったように思います。

「ここまで頑張ったら一休み」を決めると
三日坊主にならない

このように、資格試験を受験するときは、楽しい余暇をつぶして、辛い勉強を繰り返す日々が続きます。

さらに、社会人受験生であれば、仕事と並行して勉強することになります。家に帰ったら好きなコンテンツを見ながら一杯、とはいきません。酒も飲まず、食事を早々に済ませたら机に向かうことになります。アフターファイブは楽しい時間ではなく、苦しい時間に変わります。

そのうえ、独学の場合、仲間はいません。専門学校へ通っていれば、同じ苦労をする友人と支えあえるかもしれません。独学はひとりぼっちで苦しさと向き合うことになります。TwitterなどのSNSで受験友達を作る人もいるようですが、過度に馴れ合う場合は、勉強時間を削ることになるので、プラスにならない印象もあります。
いずれにせよ、最後は自分で自分を奮い立たせることが必要です。

まだ勉強を始めていない人は想像してみてください。金曜に休みは何をしよう、と思うことはなく、土日は勉強や模試や講義で埋まっています。考えるだけで憂鬱になるでしょう。

ところが、世の中には「超人」がいるものです。
趣味の格闘技では、1日8時間、週7日練習する人がいました。
資格試験でも、法人税法を勉強し、息抜きに消費税法の勉強、休憩に簿記論を勉強するという理解できないスケジュールで税理士試験に短期合格する人を見ました。

そういう人に遭遇するたび、「無理だ!」と思います。このような人は絶対にモデルにしてはいけません。

私をはじめとして多くの人は、このような超人ではなく、普通の人だと思います。
特に私は、基本的になまけもので、すごい人の方法論はとてもマネできません。特別に頭がよいわけでもありません。仕事をしていても、すぐにニュースが気になったり、マンガの続きが読みたくなったりして、集中できなくなってしまいます。

凡人には凡人の戦い方があります。
仮に、1週間でテキスト100ページ分を理解できるとしても、1ヵ月で挫折したら、合計で400ページしか学習できません。それよりも、1日休みを入れて週に85ページのペースで勉強できれば、2ヵ月目が終わったころには合計で680ページを理解できます。
一定のペースで勉強すること、続けることが何よりも重要なのです。

三日坊主、という言葉のとおり、3日くらいであれば誰でも頑張れるものです。大切なのは4日目以降も努力を続けることで、結果はその先にだけついてきます。
続けるためには、「ここまで頑張ったら一休みできる」というラインを設けることが大切です。

学生時代の長距離走を思い出してみてください。
息が絶え絶えになり、脇腹が痛くなってきても、ゴールが見えれば足取りが軽くなったはずです。「休み」を明確に意識できれば、最後の力を振り絞ることができます。
適切に休みを取り、体力と気力を充実させ、ペースを保つことが合格への近道です。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)店長、ワイン専門店 vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

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